私にとって最適なゲーミングモニターはどれなのか?
買うことは決めてあるので、熟考してみた。
◎条件を整理してみよう
私が求めるゲーミングモニター(ただしファイナルファンタジーXIV用途)の要件について、まずは軽くリストアップしてみましょう。
・サイズ:27インチ以上(27~34)
・解像度:できれば4K(3840×2160)
・駆動方式:VAもしくはIPS
・表面処理:ノングレア
・フレームレート:60fps以上(要するにPC用モニタであれば基本的に全部おっけー)
・その他1:HDR10準拠(HDR400/600/1000)
・その他2:テアリング/スタッタリング対策(できればG-SYNCですがFree Syncでも可)
・その他3:フリッカーフリー
・その他4:HDMI・DP・USB-C対応
・その他5:ケーブルの差し込み方向が垂直方向であること(垂直差込であってもスロットが縦型ならかろうじて許す)
・その他6:できればある程度リスペクトしているメーカーのロゴがあること(個人的な日々のモチベーションに関係する為)
・予算:10万円
うーん、絞られているようで絞られていないような気がしないでもないですが、実は「その他6」の項目がクセもので、私の場合はここでごっそりと絞られてしまうのでした。
◎27型が本命なれど、果たしてそれでいいのか考えてみた
なんだかんだで最初はサイズ選びから入りました。
今まで使っていたiMacが27インチ。
同じところに設置するわけですから、27インチのモニタにすれば今までとさほど違和感なく導入できます。
なので実のところ最初は27インチ決め打ちで、他のサイズのことはほとんど考えていませんでした。
だがしかし。
「ちょっと待てよ」と思ったわけですよ。
何度も何度も書いてますが、今まで使っていたiMacは27インチ。
しかも4Kより解像度の高い5Kという高解像度。
同じMacを使っている人ならおわかりかと思いますが、実のところ、主にUI(ユーザーインターフェイス)の問題で、5kという高解像度をフルに使えないのが実情なのです。
どういうことかといいますと「解像度をフルに活かすと文字とか細かすぎて読めない」という事態に陥ってしまうからです。
で、どうしているかというと、スケーリングといって解像度を変更して、つまり落として拡大して使っているんですよ。でないとただ広大なデスクトップが表示されるだけですからね。
もちろんメニューやテキスト、アイコンのみがスケーリングされて、肝心のビットマップ(画像など)は5kで表示されますので「高解像度の意味はない」というわけではありません、念の為。
翻ってこれからどっぷり付き合っていくWindowsですが、こちらはMac OSと違ってスケーリングが下手くそ、というか全然ダメというのが私の評価です。
10になってそこそこ良くなっているという話も聞くのですが私は信じてません。
なので「Windowsは表示機能がMacに比べると全然ダメ」なことを前提してモニタを選ぶことにしました。
すなわち「物理的に大きくする」という方法です。
つまりスケーリングに頼らずに文字がキレイに読めるようにするには物理的にドットを大きくすればいいだけ。つまり同じ解像度ならサイズが大きければ文字が大きくなるという当たり前の考え方です。
もともと同じ27ですから、4KディスプレイではMacより解像度が落ちます。
すなわち、27インチディスプレイにしてもMacのスケーリングなしよりは文字が大きくなるわけですが、1.25倍程度では足りないでしょう、と。
なのでこの段階で27インチ以下は無し、ということになりました。
つまり31.5インチの4K(3840×2160)、か、34インチのウルトラワイド(3440×1440)か、という二者択一に絞られたのでした。
◎31.5インチの候補を絞る
早速候補を絞ってみましょう。
まずは31.5インチの4Kディスプレイ。
○価格.comで絞り込み
とりあえず私はこの手の絞り込みをする時には価格.comを使います。
Amazonでもいいのですが、あちらは「31.5インチ」「4Kディスプレイ」なんて打ち込んで検索しても4Kじゃない2Kディスプレイが出てきたり「スポンサープロダクト」とかで全く関係のないタブレット端末が候補に上がってきたりと「だまし」に合う確率が高いので注意が必要です。
その点価格.comはけっこう細かくフィルタが欠けられますし、回答に商売的理由による外道の割り込みがないので助かります。
まずは31.5インチディスプレイ同士の比較をするために、以下の項目でフィルタリングしました。
・価格は10万円を上限
・画面サイズ:30インチ以上
・表面処理:ノングレア
・画面解像度:4K
・HDR対応
・HDMI2.0対応
・DisplayPort対応
・USB Type-c(DisplayPort Alt)対応
この時点で液晶駆動方式のTNパネルの候補は0です。
というか、引っかかったのは3台でした。
この内2モデルが43インチだったので、これを除くとなんと候補は1台のみです。
ほんまかいな、ですよね。
残ったのはこれ。
◆PHILIPS 328P6VUBREB/11
○Amazonで絞り込み
今度はAmazonで絞り込んでみましょう。
「4Kディスプレイ 31.5インチ HDR」のキーワードだと9件表示されました。
でも、案の定2560×1440の低解像度ディスプレイが候補として表示されます。2モデルも。
更に1つの候補はセット商品でダブリ。
10万円を超えるものが2つ。
結果として残ったのは4モデルということになりました。
うち一台は価格.comで唯一表示されたPHILIPSと同じものなので、ここでは残りの3モデルをご紹介。
◆BenQ EW3270U
◆LG 32UD99-W
◆Acer ET322QKwmiipx
○4モデルを比べてみた
◆共通するスペックは以下の通り
31.5インチ
4K(3840×2160)
HDMI2.0搭載
DisplayPort搭載
ノングレア処理
フリッカーフリー
つまりダメ出し項目はこれ以外だということになります。
一応、★は「ここはいいな」と思ったもの、▼は「これはないな」と思ったもの
・PHILIPS 328P6VUBREB/11
上記共通機能に加える特長は
VAパネル(コントラスト比3000:1)
応答時間 4ms
★明るさ 600cd/㎡
★色域 NTSC、sRGB、Rec.709は100%以上、Adobe RGB 94%、DCI-P3 97,6%
★USB Type-Cポート(給電可能)
★HDR600準拠
★スタンドは高さ調整可能。左右首振り可能、上下チルト可能、加えて画面の縦横切替可能
スピーカー内蔵(不要ですが)
USBハブ機能内蔵
★RF-45ポート付き(Type-c接続で有効になる)
ポート類は下向き(垂直接続方式)
※総評
写りに関してはスペック上は候補中のトップ。
HDRも10より上位の600の認定を受けていて一番信頼できる。
USB Type-Cで接続すればDisplay側のLANポートで通信が可能なのもノートPC接続を前提にしている私にとっては軽やかでいい。
▼が一つもないが、FreeSyncにもG-Syncにも対応していない点が▼。
・BenQ EW3270U
上記共通機能に加える特長は
VAパネル(コントラスト比3000:1)
応答時間 4ms(GTG)
明るさ 300cd/㎡
色域 DCI-P3 95% Rec.709 100%
USB Type-Cポート(給電不可)
HDR10準拠
▼スタンドは上下チルトのみ可能
スピーカー内蔵(不要ですが)
USBハブ機能内蔵
ポート類は下向き(垂直接続方式)
★FreeSync対応
PHILIPSに比べると輝度が低く、同じVAでも1世代前のような印象を受ける。
機能的にはピボット対応していない点とスタンドが固定式でほぼ動かせない点が気になる(もっとも、iMacと同じですが)
・LG 32UD99-W
上記共通機能に加える特長は
▼IPSパネル(コントラスト比1300:1)
応答時間 5ms(GTG)
明るさ 350cd/㎡
色域 DCI-P3 95% sRGB 99%以上
USB Type-Cポート(給電可能)
HDR10準拠
スタンドは高さ調整可能。上下チルト可能。加えて画面の縦横切替可能
スピーカー内蔵(不要ですが)
USBハブ機能内蔵
▼ポート類は後ろ向き(水平接続方式)
FreeSync対応
4モデル中で唯一のIPSパネルモデル。したがって仕様上仕方がないとはいえコントラスト比がかなり見劣りする。
それより許せないのは各ケーブル類を水平、すなわち後ろ向きに突き出さねばならないこと。
経験上、ケーブルの水平出しは思わぬ事故でコネクタを痛める。まともなメーカーであればこういう対応をしないはず。何よりディスプレの後ろにそれなりのスペースを取らないといけなくなって効率が悪い。
iMacも同じ真後ろ水平出しだが、ポートが縦になっているだけLGよりマシといえる。もっともAppleは「まともなメーカー」ではないのでこの際どうでもいい。
というか、あそこはデザインが全てで、この手のロジックはわかっていてあえてやっているのでどうしようもない。
・Acer ET322QKwmiipx
上記共通機能に加える特長は
VAパネル(コントラスト比3000:1)
応答時間 4ms(GTG)
明るさ 300cd/㎡
色域 sRGB 100%
HDR Ready
▼スタンドは上下チルトのみ可能
スピーカー内蔵(不要ですが)
ポート類は下向き(垂直接続方式)
FreeSync対応
※総評
特筆すべき点がないのが特徴といえば特長か。
スタンドの機能が安っぽい。
FreeSync対応なのが救いか?
○ということで、31.5インチクラスの候補モデルは?
まずはIPS方式のLGのモデルがボツ。
IPSだからダメなのではなく、このメーカーのプロダクトに対する無策振りというか、製品コンセプトに全く共感が持てない為です。
むしろ嫌悪感すら覚えます。
理由は「ケーブルの取り回しが『頭がおかしい』レベル」だから。
真後ろに突き出させるというのは考えが足りないでしょう。
そこにデザインはなく、あるのは「作る側の都合」のみ。
うーん、百歩譲って好意的に考えると、設計者はiMacのマネをしたのかなあ、と。
あれも後ろ突き出し方式ですから「これでいいんだ」と思ったとか?
だとしたら、いやだとしても、です。
そこを真似する前にやることがあるんじゃないかな、と思うのは私だけでしょうかね?
こういう大きな欠点があると、IPSでコントラストが低いのは構造上の問題だとしりつつ、それすら欠点に思えてきます。
まあそもそも、今回はVA方式を選ぶ流れなのでしょう。
BenQとAcerはスタンドの作り込みのいい加減さというかスタンドはとりあえずあればいい、的な位置づけなのが×。
もっともいくら可動項目が多くてても支持強度が足りずにちょっと触っただけでグラグラするのはいただけませんが、それにしてもコストダウンしすぎじゃないですかね。
設置の自由度のなさが許されるのは宗教入っているApple製品(具体的にはiMac系)だけじゃないかと思うんですよ、私は。
○31.5インチの候補はPHILIPS
というわけで結論というか、消去法でPHILIPS 328P6VUBREB/11が第一候補になりました。
◎34インチの候補を絞る
選定手順は31.5インチと同様に行いました。
○価格.comで絞り込み
・価格は10万円を上限
・画面サイズ:34インチ限定
・表面処理:ノングレア
・画面解像度:縦方向1440画素以上
・HDR対応
・HDMI2.0対応
・DisplayPort対応
・USB Type-c(DisplayPort Alt)対応
これはほぼ31.5インチを絞った時と同じ内容ですが、解像度のみ34インチディスプレイに合わせています。
本音としては4K以上の解像度が理想、つまり縦解像度を2160以上としたいところですが、そういうモデルはほぼ皆無。
なので現実に沿ったものに変更しました。
が。
この検索項目で引っかかったモニタも0。ナッシングでした。
どうやら34インチクラスは「USB Type-c(DisplayPort Alt)対応」がネックの模様。
ここを妥協すると、2モデル残りました。
◆JAPANNEXT JN-VC34100UWQHD
◆Acer B346CKbmijphzfx
○Amazonで絞り込み
同様に34インチもAmazonで絞り込んでみましょう。
「34インチ HDR 3440×1440」のキーワードだとヒットしないので、「HDR」を削除したところ、10万円以下のモデルは3つでした。
内一つは価格.comで抽出したモデルとダブっていましたので残り2モデルなのですが、調べるとうち1台はすでにカタログ落ち(Amazon的に在庫もなし)。
要するに入手不可と判断。
結局Amazon検索で残ったのは一台きりでした。
◆LG 34UC88-B
○3モデルを比べてみた
◆共通するスペックは以下の通り
34インチ
QWHD(3440×1440)
HDMI2.0搭載
DisplayPort搭載
ノングレア処理
フリッカーフリー
31.5インチと同様に★は「ここはいいな」と思ったもの、▼は「これはないな」と思ったものです。
・JAPANNEXT JN-VC34100UWQHD
上記共通機能に加える特長は
VAパネル(コントラスト比3000:1)
応答時間 5ms
明るさ 300cd/㎡
色域 sRGB 99%
▼スタンドは上下チルトのみ可能
ポート類は下向き(垂直接続方式)
FreeSync対応
※総評
これも特筆すべき点がない感じ。
スタンドの機能がショボいとコストダウンモデルだなと思ってしまう私は根性がネジ曲がっているのでしょうか?
色域もsRGBが100%を切っているのもなんかちょっとね、という感じがします。
FreeSync対応なのはいい点ですが、なんというかこう、愛用されている方には申し訳ないですが地雷臭がプンプンします。
くれぐれも狭量な私の勝手な思い込みによる感想なのでお許しを。
・Acer B346CKbmijphzfx
上記共通機能に加える特長は
IPSパネル(コントラスト比1000:1)
応答時間 5ms(GTG)
明るさ 320cd/㎡
色域 sRGB 100%
スタンドは上下チルトに加え、左右、高さとも調整可能。ただし縦横切替(ピボット)はなし。
ポート類は下向き(垂直接続方式)
※総評
JAPANNEXTのモデルに比べるとスタンドにお金がかかっている感じ。
パネルはIPS駆動になるも応答速度は同等。
悪くないけど特長もない感じですね。
・LG 34UC88-B
上記共通機能に加える特長は
IPSパネル(コントラスト比1000:1)
応答時間 5ms
明るさ 300cd/㎡
色域 sRGB 99%
スタンドは上下チルトと高さ調整が可能
▼ポート類は後ろ向き(水平接続方式)
FreeSync対応
※総評
LGはケーブル類を真後ろへぶっ刺すのが社是のようで。
それだけで買う気が失せる。
○ということで、34インチクラスの候補モデルは?
うーん。
各モデルの総評を読んでいただければすでにおわかりかと思いますが、どれも好意的なものがない、つまり私の物欲センサーには引っかからなかったということになります。
その最大のポイントは3モデルに共通する「HDR対応モデルではない」という事。
間違っているかもしれませんが、素人目には「この34インチウルトラワイドクラスは、世代が古いモデルしかない」と映ります(実売10万円以下のジャンルに限った話)。
この「世代が古い感」は特に31.5インチクラスに比べると顕著ですし、27インチクラスに比べると更に顕著になるとおもわれます。
ということで、この段階で34インチのウルトラワイドモニタは候補から外れるということになりました。
○34インチの候補は
なし。
以上。
というわけで、私が購入するべきは消去法で唯一残ったPHILIPSの328P6VUBREB/11、ということに相成るわけですが……。
だがしかし。
今回、機種選択の途上でいろいろと最新モニタの動向を勉強させてもらったわけですが、機種を見て、それらを比べるうちに私の中で「こういうモニタがいい」という条件が明確になっていきました。
もちろん最初に条件を決めてから候補を絞ったわけなので何を今更と思われる方もいらっしゃるでしょう。
でも、カタログデータを読んだ時点で「これは必須条件だな」と羅列した文字が、理解を深めるうちに有機化してくるわけなのですよ、私の中では。
こういう心理状態を文字にして伝えるのは難しいのですが、敢えて言うならば、並べたいろんな要件の優先順位が明確化してくる、といいましょうか。
最初に挙げた項目でも「どうでもいいかな」と妥協できるものもあれば、当初掲げた条件以外のものが重要だと思えてきてしまったなどなど、そういう感じなのです。
なので私が実際に導入したモニタをご紹介する前に、次回、機種選定編最終回として、「私が欲しいのは、実はこういうモニタだった」という「モニタ選びの旅を終えて」的な感想文を書きたいと思います。
ここまで長駄文(超駄文ではない、と思う)をお読みいただき本当にありがとうざいました。
お礼に私からはケアルやケアルラじゃなくて白魔道士奥義【ベネディクション】をかけさせていただきます。
最後になりましたが扉のハイパーワイドディスプレイは本文とはあまり関係がありません。