趣味と暮らしにまつわる「モノ」に一喜一憂するブログ

★Nikon Nikon1 V1 ショートレビュー集Ⅱ

カメラ

(初出:2012/01/15)

◆Nikon 1 V1 ショートレビュー その3
タイトルは「GX1よりNEX-5」

というわけでデザインのグチを書いてガス抜きできたので、今回はカメラの機能について。

ざっと触って感じた肌触りというか、感覚として、GX1のライバルというよりは、NEX系だな、と。
NEX系は5Nもそうですが、結局イージーユースなポジショニングにあると思うのです。
パラメータにダイレクトにアクセスするボタンの絶対数が少ない事がその理由の一つ。
パラメータのカスタマイズセットを複数保存して、その切り替えで撮影に臨む、というロジックが内包されていない事も理由の一つです。
実機を触ってもいないのにこういうことを書くのもなんですが、NEXは7になって初めてGX1のポジションのカメラになると思います。
5Nは所詮5の地平のカメラなのです。
で、V1はその5Nがいる地平を共有するカメラだな、と。

具体的には単一なパラメータを使ったPモード専用カメラと言った感じです。
勿論Aモード専用でもいいんですけど、Nikon 1 V1はプログラムシフトが比較的やりやすいのでAモードの必要性はあんまりないと思います。
それでも「いや、Aモードだ」 という人はAモードで使えばいいと思いますが、絞り値を意識しながら撮るつもりなら、こんなカメラ(失礼)じゃなくて違う選択肢があるように思います。
あっ、と思ったらさくさく撮る。パシャパシャとる。とにかく撮る。ボケ具合がとか開放が、とか能書き垂れて使うカメラじゃないような気がします。撮像素子小さいんだしね。
そういう風に割り切ると、もうあんまり設定する部分なんてなく、

1)とりあえず保険かける意味でRAW+jpegモードにして、
2)プログラムオートにして、
3)AWBにして
4)ISO Autoにして
5)シャッター音と操作音を消して
6)EVFの視度を調整して
7)Eye-Fiカードをそうにゅうして

後はただシャッターを押すのみ。

要するにコンパクトカメラっぽく、押して撮るだけカメラとして考えると、コンパクトカメラとは比べものにならないほど快適な撮影が楽しめるカメラだという事です。
たぶん、Nikonの人もそういうポジション(NEX系)を狙ったんじゃないかと思います。
でなければ、NEXは割愛したにもかかわらず、カメラメーカーのプライドなのかなんなのかわかりませんが、せっかく存在している物理的なモードダイアルにPASMポジションを作らないはずがありません。
要するにユーザーにムダな「?」を浮かばせないように使って欲しいというカメラなんでしょう。
ユーザーはズバリ、重い一眼レフをムリに、あるいは見栄で使っている老人向け。
どうせ老人なんて、一眼レフ使っててもフルオートポジションに入れて、キットレンズ一本だけ、しかもフードを付けずに、代わりにプロテクトフィルタ付けて撮影するような人たちですから、まさにV1の仕様で必要充分なんです。
PASMがメニューに押し込まれてる!
マニュアルフォーカスが変態過ぎる!
なんて言う人はハナからV1の顧客じゃないんですから。

「どうしても使いたければメニューに入れといてやるから、使えるものなら使ってみろや」感漂う仕様なのは、つまりはワザと、なんですね。

さて、コンパクトカメラより断然快適なのは、そのAFの早さといわゆるシャッターの切れの良さに集約されます。
コンパクトカメラからステップアップした人なら
「おお、さすがに一眼レフは違うなあ」
と、感動出来るほどの使い心地の良さがあります。
「一眼レフじゃないんです、ミルクスって言うんですよ、おじいちゃん」と指摘したいところですが、ぐっと我慢しましょう。世間ではでっかいカメラは一眼レフだそうですから。日本そもそも「なあなあ」な国民性で、正しい事を言っても「いいじゃん、わかれば」的に濁流に流そうとしてくるわけで、抗うとおぼれます。

Nikon 1のAFが技術的に注目されている事はご承知の通りで、位相差AFができちゃうセンサを使っている、というのがウリです。
いえ、おじいちゃんには意味不明なので業界内での自慢のようなものしょう。
ユーザーはAFが速いか遅いか、正確に合うかどうかが重要なのであって、位相差だろうがコントラスト方式だろうがどうでもいいんです。
で、結果としてのNikon 1 V1のAFは結構快適です。
結構、と書いたのはGX1を使っている者としては、AFの速さはGX1の方が上じゃん? と思ってしまうからです。
特に暗所ではGX1の方がAFは効きますし、近接だとそもそもV1は「合焦しているよ」って嘘っぱちばかりで使い物にならなかったりします。
中央部分はまだマシですが、少し外側にAF枠を持ってくるといきなり合焦能力が低下して迷い始めます。
AF枠を設定できる範囲もGX1と比べると狭いですし、AF枠自体が昔のE-P1みたいにでかくて、GX1のようなスポットなAF枠が設定できません。

とは言え、充分速いAF、シャッターの切れ自体はシャッター自体が小さい事もあるのでしょうがGX1より上ですし、苦手なシーン以外だと非常に快適に撮影できます。
AFが合わないのは私がわざと苦手な被写体を使ってテストしているからであって、実際の運用で困るシーンはそれほど多くないと思います。

さらにGX1だと後付けに頼らなければならず、付けっぱなしだとかさばってウザいし、というEVFが内蔵されているV1は、気分によってEVFをサクっと利用できますし、切り替えはセンサ式でオートなのでボタンで切り替えるμ4/3勢より断然快適です。そりゃもう1024倍くらい快適。
そのEVFですが、見栄味も充分です。人工光下の部屋をのぞいたりすると、できのいい光学ファインダと見間違う程です。いえ、マジで。
荒涼たっぷりの屋外だと、光学ファインダとの差は感じますが、その差は微々たるもの、というかエントリークラスの歪んで低コントラストなペンタミラーのファインダより絶対こっちの方が上等です。
スポーツシーンをがんがん撮る、とかそういうEVFでは構造的に苦手なシーンをのぞけば、もう安物一眼レフのファインダなんて、バカバカしくてのぞきたくなくなると思います。
色がなんか違う?
いや、安物一眼レフの光学ファインダの色も相当変ですから、問題ないと思います。

眼鏡をかけていても見渡せるので、アイポイントもそれなりに稼いでくれているのが、カメラ屋Nikonの良心かな、とちょっと思いました。

そう言うわけで簡単なまとめを書くと

1)プログラムオート主体でパシャパシャ撮るカメラとしては、AFのレスポンスがとてもいいのと、シャッターの切れの良さもあって秀逸
2)プログラムシフトはやりやすいけど、プログラムラインに戻すのはめんどくさい(スイッチON/OFFしかない。でも時間かかるからシフトした数だけまたレバーを戻すしかないのかも←マニュアルを読んでないのでひょっとしたら(・∀・) な方法があるのかも)
3)ISO Autoがデフォルトで3200まで上がる設定にっていて、しかも結構つかいものになる。GX1とどっこいか、それ以上
4)ボディに手ぶれ補正がない。(GX1も同じだけどね)
5)今のところEye-Fiカードは快適に使えている

という感じ。

◆Nikon 1 V1 ショートレビュー その4
タイトルは「すぐに次がくる」

さて、長円と出っ張りの組み合わせで造形が破綻している云々という「その2」の私の魂の叫び? がよりおわかりいただけるのは「裏」だと気付いたので、まずは裏の写真をご覧ください。
いえ、違います。見るべきところはMade in Chinaのところではありません。念のため。
ボディの端です、はしっこ。

長円を破綻させている出っ張り具合がおわかりいただけるかと。
出っ張り部分はぷらっちっく(合成樹脂のこと)で出来ています。マットな感じでごまかしてますが、使っているうちにすぐにテラっとした感じになるアレです。
ここが綺麗な長円になり、フルメタルなガワになってくれると嬉しいのですが。

長円破綻問題はこれくらいにして、そろそろまとめにかかろうかと思います。
「え? もう?」
と思われるかも知れませんが、正直にいって底が浅くて薄っぺらい(物理的には厚ぼったい)カメラなので、あまり書くことがない訳で。

で。
徹夜でNikon 1 V1をいじっていて(うそ)思ったのは、V1の中途半端さ。
調べてみると下位機種がJ1というヤツで、V1からEVFとメカシャッターを取り去ったモデル。
操作系は一緒。
このJ1を見ると、V1の立ち位置がわかるし、やっつけ仕事なデザインの舞台裏も垣間見える。

つまり、私が思うにNikon 1はJ1のみでオッケーのはずのカメラだったと。
少なくとも第一弾は。
コンパクトカメラから「はやりのミルクスでもちょっと行ってみるかなあ」と思ってやってくるステップアップ組がメインターゲット。
※「ミルクスとはMILCS(Mirrorless Interchangeable Lens Camera System)の事。「ミラーレス」とか「一眼」とか勝手に読み替えてください。間違いではありませんから。でもリアルに私に向かってそういう単語を投げかけると、小物で人間ができてなくて心の狭い私はきっと「あなたのそのiPhone4Sも『一眼』で『ミラーレス』だけど?」 なんてムダな争いの種をまくことは必至ですが……(。・ω・。))

セールスのボリュームはJ1で、V1はいわゆるベテラン(老人と言ってもいい)向けの言い訳モデル。
すなわち
・いわゆるデジカメ撮りという手を伸ばして背面液晶で写真を撮る事を忌み嫌う人々の為のEVF
・カラバリ展開でいわゆる婦女子におもねったJ1に対する黒と白のモノトーン硬派路線をアピール
・盛大な音がするほど興奮する耳の遠いNikon大好きロージンズの為にメカニカルシャッターを搭載
・プロ用/ハイアマチュア用カメラにストロボを内蔵してはならない、という憲法を声高に叫ぶ人々の為に内蔵ストロボを廃し、ギミック好きをも取り込もうというスケベ心を全開にした専用ポートを設置

とまあ、こんな感じで「いっちょ上がり」的に作られたのがV1なのです。
ええ、言い切ってしまいます。そうに違いありませんから!(・ω・)
そんなことをつらつらっと思っていたら、当然の帰結として「これは『とりあえず』カメラだな」と感じたわけです。
たぶん、上位機種が出ると思います。
地平の話で言えば、GX1やNEX-7が立つところです。
J1系インタフェイスとは一線を画す、カメラっぽい上位機種。
それきっと

1)PASMのモードダイアルがあり、
2)少なくともISOとWBにダイレクトにアクセスできるショートカットボタンがあり、
3)ユーザーがカスタマイズしたパラメータセットを複数登録して簡単に呼び出せる仕組みがあり、
4)露出補正はプラスマイナス5までセットでき、
5)プログラムシフトした後、プログラムライン一発で戻れる仕組みがあり、
6)三角輪が普通の大きさで
7)チルト液晶が備わっていて
8)しっかりした着脱可能なグリップシステムが導入され
9)二軸水準器があり、
10)AFターゲットの大きさが可変で
11)programmableなボタンがいくつかあり、
12)当然、動画ボタンもprogrammableで、
13)RAW+jpegであってもデジタルズームが一発で変更できて
14)Eye-Fiカードでエラーが出ず、
15)長円の円錐形に全てが収まっている。

そんなカメラに違いありません。

上位機種はキヤノンがミルクスに参戦した時を見計らって、それにぶつけるように出してくるのだと思いますが、新型機種を想像する為のヒントがV1にもいくつかあります。

1)このクラスとしてはしっかりした広さのサムレスト


2)Fキーの存在と、レバーの存在


※Fキーは実はprogrammableではない。ファンクションキーじゃないから。Nikon的呼称はフィーチャーキーと言ってモードで決めウチされている、まさにフィーチャーキー)

えっと、二つくらい? (。・ω・。)
EVFは既に導入されているので、問題無く上位機にもありますし、つまりはやっぱりV1は「ビミョー」なんです。
いろいろやりたい人たちの為の上位機種を待ちながら、ぶつぶつ文句をいいつつ愛でるカメラ。それがV1だと思います。

EVFはさほど必要が無い場合はJ1で充分以上でしょう。
内蔵ストロボの存在は大きいはず。
この手のカメラの為に外付けのストロボもって歩くなんて個人的にはナンセンスだと思いますし、日中シンクロやりまくりな私にはGX1やE-P3は本当によく考えられたこなれたカメラだとしみじみ思えます。