趣味と暮らしにまつわる「モノ」に一喜一憂するブログ

★NEX-5より30S!【Canon IXY 30S】

カメラ

(初出:2010/06/17)


(DP2S)

久しぶりにカメラに一目惚れをしました。
そもそも色がいい。
この色とこのフォルムの組み合わせに私のハートは鷲づかみ?

とはいえ買う前から正体は大体読めておりました。

【ルーン(魔法)がかった劣化S90】

たぶん、それ以上でも以下でもないだろうなあ、と。
そんな事を思うくらいですから、「盲目」というほど入れ込んでいたわけではないのですが、正直に言ってしまうと同じ日に発表になったSONYのNEX-5よりこちらの方が少しでも早く欲しかったんですよね。
NEX-5とかは「来年発売です」とか言われても「ふーん。そうですか」ってな感じでしたし。

ともあれ、使ってみるとこれがなかなか楽しい。
確かに劣化S90なんですが、S90はこれくらい劣化してちょうどいいんじゃないかな、って思えてくる楽しさで。
もちろんS90のデザインまんまで劣化したんじゃ本当にただの劣化版ですが、30Sには一本突き抜けた意思があるし、その意思にシンパシィを感じるんです。

その意思ですが、これはもうシンプルです。

「カッコいいだろ?」

これですね。
実はカメラとしての中身なんてなんでもよくて、要するにこれは「フォルムと色」が売りたいプロダクトなんですよね。
もちろんカメラとしても売りたいわけですから、だったら一応写らないとマズ。でもなんとか写るだけで実際の画質があからさまに悪いと評判が落ちる。だから中味にはそれなりのものは用意させてもらいつつ、でもどうせだからセンサは最近ハヤリの「リメンショウシャ」ってヤツを使ってお前ら(ASIC部隊?)ちょっと勉強してみ? みたいなことも背負わされることになったんだろうけど、そこはキヤノン。一応普通の人が普通に撮って普通に満足できる普通の画像が生成される「中身」にはなっているからまったくもってカメラとしても問題はないと思います(長いセンテンスですみません)。

一眼レフなんかを使ってて、さらに交換レンズも複数持ってたりする人がそれに照らし合わせて機能や操作性を30S上で語るといろいろとあるんでしょうけど、そういう人には「S90をどうぞ」という事なんだと思います。
S90というホットコーナーを任せられる存在があって、初めて30Sという「冒険」が成り立つのかもしれません。
いや、そんなのは冒険でもなんでもないんですが、ここへきてデジカメの世界が大きな踊り場に出たという事をキヤノンはコイツで確かめようとしているんじゃないかな、と思いました。

もちろんまだまだやることはたくさんあるんだろうしキヤノンだって基礎研究はいろいろとやっているに違いありません。でも、機能を売り物にするのもそろそろ飽和状態じゃないの? と誰しも思っているところに、キヤノンは水準器もGPSも入れ込んだ調整その他にコストのかかる「最新デバイス全部入り」ではなくて、ライトな内容だけど、基準は抑えたうえで、その素材に素晴らしい化粧を施して見せたという事なのでしょう。

あとは私達がその化粧が気に入るかどうかだけ。
私は大いに気に入りました。
もっとも、30Sに多くを求めていないからあんまり文句がないっていう事は間違いない部分でしょう。
カメラという切り口だけで30Sを評価したら、いろいろ言いたいことも出てくるんでしょうしね。

でもね。
こいつはそういう風に付き合うカメラじゃないと思うんです。
持っていて、そして眺めていてちょっとニヤっとしてしまう。
そんなデジタルデバイスの一つとして、存在意義があるし、輝くんだと思いました。

誤解の無いように書いておくと、写りは普通に水準以上だと思います。
何よりスイッチオンから撮影までの時間や、カードへの書き込みなんかのレスポンスがいいので、キビキビ感がはっきり言って七難隠していると思います。

30Sを使っていて、ちょっと訳知り顔のカメラ好きがやってきてこう言ったとしましょう。
「ああ、IXY 30Sね。レンズは広角端で確かに明るいけど周辺部の描写が云々……、望遠側の画質が云々……」
その場合は
「そうだね。うんうん」
などと言ってやり過ごしましょう。

だって、カッコイイと思ったから買ったんだし。
自分以外の誰かがカッコよくないと言ったって問題なし。
こういうのって、手の中にある30Sを眺めて「へへへっ」とニヤついたものの勝ちなんですから。