(初出:2010/05/18)
(SD14/FLEKTOGON 35mm f2.4)
色々あって、複合機を買いました。
さっそくいろいろ遊んでみたところ、今まで「複合機なんて……けっ」って思っていた自分にハリセンをお見舞いしたくなりました。
「いろいろ」の部分はどうでもいいような事なので書かきませんが、これはまあ、必要に迫られて買ったという感じ。
選んだのは写真のモデル。
EPSONのEP-901F。
購入時で、すでに発売後一年半くらいたったモデルです。
でも、立派に現行品ではありますよ?
で。
なぜこれをチョイスしたのかというと、これも細かい事は省きますが、
1)fax付きでなければならぬ
2)デザイン
「それだけかよ?」と思うかも知れないけど、複合機でファクス付きって結構少ないんですよ?
結構じゃなくて、意外に、と言った方がいいかもしれないけど。
ファクス付きのインクジェット複合機をずらっとリストアップして、デザインがどうしようもないものを淘汰していたったら、残ったのがこれだけだったという話。
だから、ある意味サクっと決まっちゃいました。
リストアップに30分くらい。
淘汰には三分もかからなかったかもしれません。
オール顔料プリンタで、と最初は思ってたんだけど、そんなのは皆無というか、スペックを見てそれはあきらめる事にした。
で、話の本筋は機種選びではなくて、つまりスペックなんてファクスが着いてる染料インクの複合機としてしか認識していなかったこのプリンタだけど、使い始めて、というかマニュアルを読んでいてカルチャーショックを受けたんですよ。
なぜって……
「パソコンからプリントする方法の記述がほとんど無い」
のだよ、同志諸君!
最近のコンシューマ寄りの複合機とはまさにそういうモノだったんだ、と目から鱗が落ちる思いでした。
「好奇心は猫をも殺す」を地で行く私は、まだ死んでいないことをいい事にEP-901Fの機能を色々と試したわけですが、だんだん「これは……すげえな」と感心してしまったという話が今回のお話の主旨です。
プリント用紙を予めトレイに格納するスタイルはもう今ではスタンダードなんだな、と思いました。
次に、そのトレイが二段式ってのも「へえええ」と感心。
既にこれもスタンダードのようです。
ただし。
「え?」
と思うネガもあります。
実はこのプリンタ、その格納式トレイから「しか」印刷出来ないんです。
ハガキを100枚とか200枚印刷しようとすると、フェイスダウントレイに50枚くらい置いて、無くなったら補給して、というスタイルをずっと続けていた私にとって、いちいちトレイを引き出して、しかもせいぜい20枚程度をちまちま補充し続けるというスタイルはまさに「信じられない!」です。
というか、そういう印刷って、もうみんなしないんだな、という事にその時初めて思い至った次第です。
少なくともEPSON始め、他のメーカーもそう思っているようです。
「みんな」に語弊があるならば「マジョリティ」と言い換えましょうか。
マイノリティの私はマジョリティの存在をはじめて認識した、というか。そんな感じです。
じゃあ、マジョリティはどういう使い方をしているのか?
それが最近の複合機の持っている「お前はパソコンか?」的な多機能ぶりが回答ってことですね。
メディアからプリントする。
ケータイからプリントする。
テレビ画面をプリントする。
マジョリティにとって家庭用のプリンタって、つまりはそういう用途なんじゃないでしょうか。
パソコンと繋いで普通のプリンタとしても(アタリマエですが)ちゃんと使えるし、カラーコピーやモノクロコピーは得意だし(複合機だから)、カラーファクス機能もある。(私はまだカラーファクスというものは未体験ですが)
多品種少量生産対応家内制手工業マシン。
それが複合機の正体なんだと思いました。
たくさんプリントする時は、カメラとコイツをUSBで繋いで、インデックスプリントをまず作る。
そしてそれをみんなに回したりして枚数を集約したら……コイツでそれをスキャンするだけで枚数指定してプリントも出来ちゃうわけですが(それもすごいですね)、それをもとに、街のプリント屋さんに行く。もしくはITに明るい(ヤですねぇ、こういう言い回し)人ならネットでプリント注文をしちゃう。
その方がコストが安いし、多くの人は自分でプリントするよりもたぶんキレイに上がる(と思います)。
で、プリントは、ちょっとしたものとか、遊びに来ている両親が抱いている孫の写真とかをケータイやデジカメでとって、その場でサクっとプリントして渡す、なんていう軽やかな使い方に向いていると。
赤外線通信機能がついているケータイなら、プリンタにかざしてボタンを押すだけで大した設定もなく結構きれいななプリントができます。
EPSONのASICが中に入っていて(たぶん、だけど)画像調整もキレイに自動化されていますね。
何より最初に設定さえしてしまえば、次からは本当にケータイを向けてケータイ側でちょっと操作するだけでプリントができるんです。
iPhoneだともっと簡単。
EP-901Fが家庭内LANに繋がっている事が前提ですが、appストアからEPSONのアプリをダウンロードして予め入れておくと、撮った写真を離れたところからプリント指定できるわけで。
そしてこれが結構キレイに印刷されて出てくるから二度びっくり。
少なくともiPhoneの画面上のちょっとオフった色より実物に近い色になって出てきちゃう。それも実に簡単に。
うーむ。
私は唸りましたね。
そして思いました。
「面白い!」(・∀・)
すると、俄然プリント意欲が湧いてくるわけで。
元々プリントするのが大好きな私です。こういうおもちゃを手にしちゃうと、とことん遊びたくなってくるってもんです。
染料インクは色が落ち着くのに一晩かかったりするからケーエンしていたんですが、それはPhotoshopなんかで色を厳密に整えてプリントして、それを結果に求めるからであって「お気楽なプリントなんて、細かいトコロはどうでもいいじゃん」というライトな気分になると、とたんに軽やかな気分に。
緩やかに写真を楽しむのにPhotoshopでいろいろ設定したり、カラーマネジメントの為に機材を揃えたり、そんな手間や時間をかけるのはどうなのか? と。
いや、それはそれで楽しいんだけど、ライトに楽しんでも罰は当たらないよね、って。
最近いろいろと吹っ切れて来ている私ですが、ここへきてまたもや何かが吹っ切れた気がします。
そこで、このプリンタを買った日から、ある事を楽しむ事にしました。
「一日一枚プリント」
ただこのEP-901Fを使ってL版で一日一枚プリントするという使命を自らに課す、というか日課にするという、まったくもってEPSONに表彰されないのがおかしいんじゃないかと思える模範的エンドユーザーな私です。
そう思ってみると、写真を撮ろうという気が新たになってきて今のところいい感じ。
もう何日も続いているし、一日一枚なので(二枚はダメ)その日で一番、を選ぶ視点も楽しめます。
それをアルバムに順番に入れていって眺める、という楽しみ方。
EP-901Fはダイレクトプリントのメニューで日付を入れられるので、それを活用する事にしました。日付入りプリントなんて今までやったこともないけれど、そういう楽しみ方だとアリだと思いました。むしろこういう楽しみ方だと日付入っている方が断然面白い。
普段L版を使わない私(KG版を使ってます)が敢えて一日一枚活動(?)にL版を選んだのも、理由があって、L版なら一冊でたくさん入るアルバムがチョイスできるから。
丁度L版が360枚入るアルバムがあったので、だったらKGじゃなくてL版にしよう、と。
用紙もコスト重視でEPSONのエントリーにしました。
400枚入りというお徳用があって、これだと紙が薄いのでトレイに入る枚数が微妙に多い。
こういうライトな楽しみ方にはピッタリの組み合わせだと独りごちております。
というわけで、他人にとってはどうでもいいような写真なんだけど、プリントしてそれを眺めるのはディスプレイで見るのとは違う楽しみがあってまさに「趣味」という感じがしております。
いわゆる「作品」はディスプレイや大画面テレビに映し出して楽しむ方がいいのでしょうけど、一日一枚写真はそういう作品系よりも、その時、その瞬間に興味を持ったモノとか昼食についてきた付け合わせが妙なモノだったね、とか、そういうのを写してプリントしたものの方がむしろ楽しい。
プリントなんてしない人は増えているし、私も画面で楽しむ事の方が圧倒的に多いけれど、こうやってL版に「他人が見たらどうでもいいけど、本人が見るとニヤっとする」ような写真をプリントしてみると、まだまだプリントはアリだな、とつくづく思います。
そしてやっぱり私はプリンタが好き、というかプリンタから徐々に出てくる印刷された写真を見ていると、わくわくしちゃう人間なんだなって思いました。
そうそう。思ってもみなかった嬉しい誤算的な機能もありました。
CDやブルーレイなんかのプリンタブルメディアへのプリントが、相当に簡単で楽ちんになっているんです。
ボタンを押すと専用トレイが出てきて、それに乗せるだけで準備オッケー。
プリンタからソフト使ってビシっと作ってもいいし、スキャナ機能を使って、単体でマスターのコピーもプリント出来る。もちろんメディアを突っ込んで、とった写真をその場でプリントするなんて言う事も可能。
今までは専用トレイにディスクを置いて、ディスク印刷モードにプリンタ側のレバーを操作したりして切り替えてから位置決めをして、という手順を踏んでいたのが、手間がいっぺんに1/20位に減った気がします。
手順を考えるとレーベル印刷って結構おっくうなので、溜めていた真っ白レーベルがたくさんあったんですが、この機能を知ったその日のウチに全部消化してしまったくらい楽ちんでした。
ということで、かなり気に入った、旧聞に属するモデルのEP-901Fにまつわる「プリントするって楽しいね」なお話、でした。
まる。