趣味と暮らしにまつわる「モノ」に一喜一憂するブログ

★乖離する理想【SONY NEX-7】

カメラ

(初出:2012/02/26)

予約していたのを忘れるほど待たされて、二回目の発売予定日に(今度は本当に)発売され、私の手元にも同日届いたNEX-7。
待っている間にNEX-5Nを「つなぎ」に買ってしまうという愚行も冒し、なんかもう「NEX-5Nでもいいかも?」なーんて思いつつも待ち焦がれたNEX-7。
ああ、NEX-7、NEX-7。

そんなわけで、既にGoogle+ではき出した不満の数々……ではなくて感想をまとめておきます。
ちなみにまだNEX-7は継続愛用中なので、完結はしていない、という方向で。

まずはコレ。
ボディはタイ製ですが、なぜかレンズがMade in Japan。
日本でも作れるんだ! へえ!
と言うのが正直な感想です。
ちなみにNEX-5Nレンズキットの銀色標準ズームは、タイランド製。

最初に結論じみたことを書くのは時期尚早とは思いますが、どうにもぬぐい去れない違和感があるうちにその時の気持ちを書き殴っておく方がいいと思って、敢えて。

★がっかりした。

いえ。
高画素センサが作り出してくれる画像に不満はあんまりありません。
もう少し高感度でもディテールを重視した絵作りをしてくれると嬉しかったんですが、コレはコレでピクセル等倍鑑賞しなければ充分だと思いました。
というか、すごくいいと思います。(jpeg画像の話)
タイ製だけにトリミング耐性がある、というどうしようもないだじゃれはおいといて、そういう方向性に文句は今のところありません。

文句があるのは操作性ともうしますか、つまりインタフェイスの部分。
私はてっきりNEX-5Nの上位にあり、かつα900っぽい機能を入れ込んだカメラがNEX-7の操作体系になるんだろうなあとばかり思っていました。
が。

はっきり言ってPENTAX QやGR Digital IVの方が上位機種に思えます。
もっと言えばE-P3の方が。

NEX-7はボタンのカスタマイズは出来ますが、ユーザーに開放されているパラメーターが少なすぎてどうにもカッカソーヨー感が拭えません。
EVFがついて、ダイアルが二個増えた引き替えに小型軽量とタッチパネルを失ったNEX-5N以外の何ものでも無いと言ってしまうとおしかりを受けるかも知れませんが、まさにそんな感じです。

私が一番がっかりしたのは、AFです。
合焦能力が相変わらず弱いです。
NEX-5Nでけっこうマシになったのかなと思ったのは勘違いで、やはりE-P3やGX1のレベルには遠く、そう「遠く」及びません。
え? MFにしろ?
そうですか、アドバイスありがとうございます。<(_ _)>

良い部分も勿論あります。
AF/MFボタンが独立したのは幸いです。
AFの弱さを棚に上げ(棚に上げてるわけではないのでしょうが)MF使えや、このタコども! とか言われてもねえ(誰も言ってない言ってない)。

という事で、EVFと高画素に興味が無い人は、値段の差を考えるとNEX-5Nが大バーゲンだと思います。
メニュー内容とかあんまり変わってないというか、劣化しているような気さえします。
とゆーかぁー、ですね。
メニューに関してはコンパクトカメラ以下じゃないかと。
α900なんかを作った部署というか、そっちの人は一切関わってないんでしょうね。
え? その人はとっくにSONYを辞めてる?
そうでしたか。

じゃあ、私はNEX-5Nでいいのか? と言うとさにあらずで、NEX-7を使うと、もうNEX-5Nを使う気にはならないわけで。
勿論、NEX-5NがNEX-7にはとうていかなわないカメラだという意味ではなくて、私が「望む機能」がNEX-5Nにはなく、NEX-7にはある、というだけの話です。
言い換えるなら、NEX-5Nに私が欲しい機能が入っていたら、NEX-7は要らないという事になるわけで。

私がミルクスに求める機能って……

1)内蔵ストロボ(リモコンストロボのコマンダー付きがベスト)
2)アクセサリシュー(内蔵がなければ外付けで対応するわけで)

ここからプライオリティはググッと下がって

3)EVF(ミルクスにOVFなんていらない)

なんかね、内蔵ストロボを頑なに「要らない」って言う人がいて、私はいまだに理解に苦しむ訳ですよ。
いえ、そう言う人は理解して欲しいんじゃなくてそういう主義主張の人なのでしょうから宗教戦争みたいなものに発展しそうで今更アレですが、内蔵ストロボってピーカンの屋外でよく使いますし、何よりも写っている事がありがたいメモ的写真をぶれなく撮りたい時など、あると本当に便利だと思うんですよ。

車の場合、

「パワステ要らないなら切ればいいじゃん」
「ブレーキサーボの感触が嫌いなら、サーボ切れよ」

なんてさすがに言うわけには行きませんが(パワーサポート切ったらステアリング鬼重でカーブ曲がれないでしょうし、サーボ切ったらペダル踏んでも止まりませんからね。両方ない車に乗ってましたが、そもそも車重が軽自動車より軽い車でしたし、そもそも アライメントやセッティングがアシスト前提の車とは違うので比較にはなりません)、カメラではなかなか人は死にませんし怪我もしにくいので、内蔵ストロボは使いたくない人は使わなければいいだけなのに、そもそも存在が許せないと主張する人は何なんだ? と思ったり思わなかったり。(どっちだ? (・∀・))

1)ストロボがあったら、故障箇所が増える

いやいやいやいや。(・∀・)
そうかもしれんけど!

2)ストロボがあるから、強度が落ちる

いやいやいやいや。(・∀・)
そうかもしれんけど!

3)オレはアベイラブルライトでしか写真を撮らないベテランで「わかっている」カメラマンなんだぞ、というアピールが出来ないじゃないか。

いやいやいやいや(・∀・)
そうかよ!

冗談はさておき、ちょっとした人物撮影なんかでもマジで日中は補助光としてストロボ使いますよね。
その「ちょっとした」時にいつも外付けストロボを取り出すのか、と。
レフ板広げるのか、と。
私はそう言いたいわけです。
ええ、ソレが目的で本気で撮る時はモノブロックでもなんでも用意すればいいわけですが、私は「ちょっとした」時の事をいいたいわけで。

女性を撮る時なんかはアイキャッチ用に調光めんどくさい(機種を使う事も多い)から指で塞いで弱くしたりして撮ったりもします。
余談ですが、プリントして渡す時、アイキャッチが入っているとけっこう喜ばれるんですよね。だから入ってない時は無理矢理フォトショップで入れちゃったりしてます。
勿論アップの写真のシミやシワは不自然にならない程度に「お化粧」しますし……。
コレが世渡りってヤツですよ、フォッフォッフォ??

とと、脱線脱線。

私は手元の小物やなんかを日々とって楽しむテーブルフォトグラファーですから、真剣にストロボは使いますし、外付けストロボ自体は超重要アイテムと捉えています。
昼に家に居られるのは土日だけですし、時間にかかわらず、思いついた時に撮りたいから、当然デイライトがいつもあるわけではなく、そうなるといきおいストロボが欲しい。
そう言う時はさすがに内蔵ストボロは役に立たないというか、まず使いません。複数台の外付ストロボでライティングします。(ええ、下手ですが!)

つまり、そういう撮影に向いていない(こともないんですが、めんどくさすぎる)NEX-5NはちゃんとホットシューのあるNEX-7に逆立ちしても勝てないわけで。
α900をメイン一眼レフ(サブはK-5)として使っている私の場合、α900用のストロボがあるわけで、ソレが流用できてしかるべきだろ、NEXシリーズ! と思っていたら、なかなかそうは問屋が卸してくれなくて、ようやくNEX-7でサブになる気が出てきたな、ってところでしょうか。

話をストロボ宗教論争から元のNEX-7のレビューに戻しましょう。
内蔵ストロボは写真のような位置。
軍艦部(とはさすがにもはや言いにくいですが)に面イチ、フラットに収まっていて、パット見てストロボ内蔵かどうかはわからないくらい、とイイッタラ言い過ぎかも知れませんが、E-P3などの処理よりはステルス性高し、です。

↑イイッタラ (・∀・)

当然ながら単純なポン炊き性能はたいしたことありません。
他社にはコンパクトカメラでももうちょっとまともな調光をしているモデルがあると思います。だからまあ、普通ですね。

なので!
内蔵ストロボは無いよりあった方が断然いいし、飲み屋でのスナップや旅行の宿でのスナップ写真などには充分だと思われますが、綺麗な写真を撮る為に使うというものではありませんね。

次。
個人的にNEX-7の一番のウリだと思っている内蔵EVFについて。
期待値が大きすぎたわけではないと思うのですが、正直に言うと「やっぱりイマイチ」というのが使い始めて一週間程度での感想。

今、手元に内蔵EVFがあるミルクスは三台。
1)NEX-7
2)1 V1(製品名はこれでいいのかなあ? Nikonまで入れないとダメかな? それともV1?)
コレに加えて外付けのEVFが装着できる
3)E-P3
があります。
PENについてはE-P3に加えてE-P2もまだ1台持っているのですが、まあEVFの見え方の話なので、ここはE-P3と言うよりもVF-2と言うべきなのかも知れませんね。

で。
この3種類のEVFを見比べてみて、私の主観で順位を付けると……

1)E-P3のVF-2
2)V1
3)NEX-7

という感じです。
何度試してもVF-2が一番自然に感じます。
高精細云々ではなくて、覗いて撮って、違和感がない。電子デバイスっぽくないというか、デジタルくさい感じが少ないのです。
V1はVF2に比べるとかなり落ちた2位なのですが、それでも「コレで充分かも」と思えるクオリティです。
正直に言ってNikonの内蔵EVFには期待していませんでしたが、これなら普通に使えるなというのが第一印象でした。
特に目が悪くなってきている老眼の方には歪んだOVFよりEVFの方がよほど見やすいんじゃないかと思うんですが、なかなかOVF神話は崩れませんねえ。
目が悪いんじゃないのかな。(・∀・)

SONYのEVFもまったく悪くありません。
これはこれで充分いいと思います。
よりよいものと比較してしまうからアラが見えるというレベルだと思っていただけるといいかな、と。

NEX-7のEVFは、なんとなくリフレッシュレート優先で解像度を可変しているように思います。
暗いところも解像度を落としますね。
そうなるといきなりEVF感がバリバリ出ます。
映像がチラチラちらついて、コレを見て

「EVFはアカン」
と言われると
「本当にそうですね」
と答えざるを得ない感じ。

その分、カメラを振ったりしてもけっこうマトモに追随してくれます。
対極にあるのがE-P3の外付けEVF。
解像度・精細さが命というか、解像度を落としてまで表示しませんぜ、プライドありますから、という感じす。
で、その分カメラを振ると追随性が低いので多少なりともカクカクします。

色合いはVF-2が最も自然で、なんかもうよく知らない人にはOVFってウソついてもこれはこれでいいんじゃないの? とさえ思えるレベル。
V1やNEX-7は色が濃いというかコントラストが強すぎるというか、特にNEX-7は最も脂ぎった絵になります。
調整は出来ると思うので(やってません)、好きに調整したらいいとは思いますが、コントラストを下げるとたぶん薄くなるだけのような気がしますね。(やってませんど。というか調整出来るかどうかもあやふやですが)
要するに快調表現性の差というやつかもしれません。

次に総合的な見やすさ、です。
これはメガネっ子の私の評価なので裸眼の人には当てはまりません。
で。
これまたアイポイントが長めのVF-2やV1に比べてもスペック上、常識外れに長いNEX-7にはかなり期待していたのですが、一番見にくいという結果に。
たぶん、接眼部分の「のぞき穴」が小さすぎる事が一因だと思われます。
さらに本当に中心部分に合わせてみないといけないというポジショニングの寛容さが低いのでしょうね。
要するにEVFにもちゃんと存在する光学部分にNEX-7はカネをかけてない、と。
小型化優先で、光学部分にしわ寄せが来て、結果として画質がスポイルされているのは残念と言うしかありません。
その点、一番でかいVF2がやはりここでも一番快適だと感じました。
そしてV1はほとんど差が無く、二位。
V1は中心部分から多少ズレていても極端にひどくはならないのが使いやすいと思います。
この辺はカメラ屋さんのNikonが、家電屋のSONYよりツボがわかっている部分じゃないかと思います。
カメラのデザインはアレですが、ファインダは値段を考えると相当いいのがV1の美点ですね。
アイポイントってアンタのとこはどこからの距離なんだ? っていう粉飾疑惑を覚えるのがSONYだったり。(・∀・)

という感じで、NEX-7のEVFには過度の期待は禁物です。
ただ、EVFを使ったマニュアルフォーカスが一番しやすいのはどう考えてもNEX-7です。
だってEVFにもちゃんとピーキングがあるから。
あれはもう無敵と言っていいです。白く(色は変えられます。赤とかにも)光ったところが合焦しているところなので、ササっと撮れますね。
こればかりはE-P3など、は逆立ちしてもかないません。
今度出ると言われているE-M5だかE-OM1だか(結局、OM-D E-M5でした)のEVFはVF-2と同等以上の性能で、プラスしてピーキングがついていると最強のEVFになれると思うんですが、ダメでしょうね。(ピーキングはダメでした)

あ、ちなみに私は利き目が左なので、OVFだろうがEVFだろうが左目で覗きます。レビューのご参考まで。
どうでもいいけど聞き耳は右です。

さて、ここで組み合わせるれんずの話を。
NEX-7に合わせるように発売されたTamron 18-200(B011)との組み合わせについてちょっと。

私は旅行用のスナップに望遠系はほとんど不要なのですが、ある方からTamronの18-200は旅行用にコレ一本でいいよ、なんて強く推奨されたので、いっちょ試してみますか、という気になりました。
思たったが吉日で、スキー旅行の前日の朝Amazonで見つけてポチり、その日帰宅したら届いていたというスピード配送。
テスト装着すらせずにカメラバッグに放り込んで、諏訪湖の畔で初めて取り出してNEX-7に付けて、使い始めてみました。

私がほぼ全面凍結している諏訪湖の氷上(この翌日に「御神渡り」が観測されました)に立って遊んだ際、頼まれ仕事のコンサート撮影以外では最近滅多に使わない200mmなんていう超望遠域で主に手ぶれ補正能力をチェック。
なぜか私たちを見て寄ってくるカルガモの一団が居たので、いきなり鳥撮り。
このカルガモ一団は、
「諏訪湖と言えばウナギ」
と言うわけで、寄れば必ず食べるそのウナギで満腹なはずの私たちに鴨鍋や鴨ステーキを連想させてくれました。
というか、ほんの1mほどまで近寄った後、座り込んで寛ぎ始めたのには驚きました。

諏訪湖の鴨は人なつっこいというか、餌付けされてるのでしょうねえ。
鳥に餌をやる行為は悪だと決めつけている私は勿論カモを餌にしようとは思ってもエサを与えようなどとは思わず、ひたすらポーズを要求していろいろ撮らせていただきました。
ええ、私のポーズの要求に、鴨たちは一切応えませんでしたとも! (T_T)

結果としてTamronの18-200の手ぶれ補正はけっこうなものだと言うことがわかりました。
ビタっとファインダーが止まるのがすごいです。
E-P3などでは味わえない感覚で、GX1とGX14-42の感覚に近いです。

ただ、やっぱり散策や町撮り用に使おうとすると、こういうレンズは私には大げさすぎるように思います。
なので、結局NEX-7の出番はこのときだけで、その後は全部E-P3にVF-2くっつけて、G20mmを装着したもので済ませました。
やっぱりこの組み合わせが一番使い勝手が良かったです。
広角が欲しい時は14mmや17mmにすればいいだけで、動画ボタンにアサインしたワンタッチ2倍画角がRAWファイル付き(こっちは勿論通常画角ですが)で得られるE-P3の代わりには全然なり得ないな、というのが私の結論。

それでもこのレンズ、いわゆる画角倍率が必要な人にはいいんじゃないでしょうか。
Tamronらしくなく、鏡胴が金属でかなり高級感があります。
ローレットのゴムも新しいデザイン? でシャープで感触もいいですし、使い勝手自体はとてもいいと思います。

でも、私はたぶんもう使う事はないだろうなあ……。
いえ、レンズがいい悪いじゃなくて、私には18-200なんていうレンズ自体に必要性を感じないからです。
それよりもなによりもコンパクトなレンズが欲しい。手ぶれ補正を考えるとNEX-7に使えるレンズは現時点では標準ズームただ一本のみ、というのが私の現在の評価です。

NEX-7にG20mmのようなレンズが(手ぶれ補正込みで)出ると画質面では明らかに差を付けられているE-P3の出番は少なくなると思いますが、現状は面倒でもVF-2を装着したE-P3の方がハンドリング含めていろいろと便利ですし、何より見た目が軽やかです。
VF-2が邪魔になったらとっぱらってポケットに放り込んでおけますし、シャッターのいわゆるキレは圧倒的にNEX-7ですが、AFの精密さやターゲット移動の便利さ、AF自体の速度などを考えるとNEX-7にはやや時代遅れなものを感じます。
GX1とGX14-42とNEX-7のSEL1855の組み合わせの比較でも、私の中ではEVFの有無を無視するとGX1の圧勝で、GX1のあのサイズにEVFが押し込まれたらNEX-7は逆にほとんど必要ないかなあなんて気分になっています。
画質の差はあるにせよ、そもそもミルクスに究極の画質など私は求めて這いませんから。

もっともα900を使っているという背景がある限り、レンズが流用できる楽しさはありますから、サブシステムとしてのファインダ付きカメラであるNEX-7は手元に残しておこうとは思います。