(初出:2011/01/09)
(E-P2/G20mm)
私が使っているのはPRS-650、つまり大きい方です。
現在は、主に書き物の校正に使っています。
言っておきますが、ガラパゴスは買いませんぞ。
シャープ製のデジタルガジェットの質感の悪さにはNetWalkerでもうほとほとこりました。
そんなこんなで(電子ペーパーだけに)白黒つけようか、と。
このデバイス、それなりに使い込みました。
なので私的な用途での使い心地はほぼ見切った感があります。
まずは「まずは落として、それから上げるかも?」な私らしく、ダメなところから。
・画面の精細さにややかける(Kindle DXの方が綺麗だ)
・解像度が低い
・タッチパネルの調整がまだまだ
・充電がめんどくさい
・本体が冷たい(まあ、冬だから金属は、ね)
・画面の明るさやコントラスト調整のステップが粗い
・インタフェイスがこなれていない
・日本語辞書がない
・リセット用のスタイラスが付属しない(付属ペンに入っていない。で、付属ペンではリセットできない)
画面が小さいとか大きいとか、バックライトがないとかカラーじゃないとか言う、キーデバイスに関わる部分は今回は敢えて無視させていただきます。
もっともバックライトについては、純正ディスプレイカバーを買えばランプ内蔵なのでそれで照らせば読む事はできます。
こっちはまだ欠品が続いているようで手元に届いておりません。なのでランプ機能の使い勝手はわからないんですが。
画面の精細感と解像度はある程度相関関係にあると思いますが、少なくとも自作小説をPDFに出力したファイルを読む限りではかすれ気味でちょっと読みにくい感じです。
コントラストをいろいろ調整してみましたが、結局デフォルトが一番見やすいという結果に落ち着きました。たぶん調整の意味は(あまり)ないと思われます。
タッチパネルのセンシビリティについては微妙なところ。
ページめくりだけに言及するならば特に問題はないんですが、単語を選んだり、いわゆるマーカーを引く為の合図としてダブルタップをするんですが、まだなれないのかかなりミスります。
というか、ダブルタップであるというゼスチャを認識する部分が繊細すぎるんじゃね? というか、スイートスポットが狭すぎるようで、なれないと「ムキーっ」となる(私みたいな)人が多いのではないでしょうか。
私などは自慢じゃないですがガジェット系アーリーアダプタってヤツを長くやっているつもりですから、文句を言いつつも体を機械に合わせる事は自然にできるようになってますが、普通の人はこれじゃチトつらいんじゃないかと思われます。
要するに端末側のクセを掴んで人間がキャリブレーションを行う必要があるという事ですね。
もっとも自作のPDFを作って読む人は多いかもしれませんが、それにダブルタップしてマーカー引いたりする校正用途でReaderを買う人はごく少数だとは思いますから問題は顕在化しないかもしれませんね。
完成度の高いiPadに慣れていると、現時点ではあれ以外の何を買ってもインタフェイス部分ではストレスがたまるのは間違いないでしょう。
一例を挙げると、ページめくりは画面のスワイプでもボタンでも可能なのですが、デフォルトで使うならいいのでしょうけど、どちら側にスワイプするとページ送りになるか「戻り」になるかはカスタマイズで変更できるのに、ボタンは左右固定なんですよ。
まあ、<とか>というアイコン付きボタンなので、それを入れ替えると却って混乱するだろうという配慮からだとは思いますが、なんかヤな感じなんです。
ちなみに日本の多くの小説形式である縦書き右綴じのファイルを読もうとすると、右にスワイプでページめくりがデフォになっています。
これを左にスワイプしてページ送りという設定にした場合、ボタンでページめくりをする時は右を押す事になるんです。
コレが微妙です。
たぶん、このサイズだとほとんどの人はボタンでページをめくるんじゃないかと思いますが、私は校正用マシンとして使っているので、右手にペンを持ってそれでページめくりをすることが多いです。
するとボタンを使って「読書に専念」する場合は逆になってしまってちょっと違和感がありますね。
まあ、些細な事でしょうけど。
私がReaderを購入しようと決めたのは「PDFにマーキングやメモができる」という機能があったからですが、文句をいいつつも私の要求水準的には一応OKを出せます。
上述のようにマーキングする際のダブルタップゼスチャで誤動作することが結構あって(主にシングルタップと勘違いして、ページ送りになる)アレですが、これもまあ、すぐになれるでしょう。
あ、あとリニアにマーキングできず、遅れ気味に画面反転しますので、文字単位での精密なマーキングがやりにくいです。
これは慣れとかいう問題じゃないので早急に改善して欲しい点です。
あとはまあ、敢えて要望をするなら、マーカーの種類を増やして欲しいかな、と。
今は一種類だけですが、網点マーキングとか字消し線とかを増やしてくれると助かります。
誤変換はマーカー、削る部分には字消し線、表現含め、文章を再考する部分には網点と使い分けたいんですよね。
いまは全部グレーマーカーだけなので、家に帰ってInDesignを開いて見比べた時「これ、どういう意味でマーキングしたっけ?」とハタと固まることもありますから。
いろいろありますが、悪い所を敢えて一つだけ挙げろと言われれば、「表示品質」と答えておきましょう。
電子ペーパーはその構造上、現時点ではまだ液晶のレティナディスプレイのように高精細化は難しいので、このサイズだとギリなのでしょう。
次期Reader(来年?)ではもう少し高精細化が進んでいて欲しいです。
次に良い点です。
・軽い
・小さい
・バッテリがそこそこ持つ
・薄い
・メディアスロットが二つある
・それほど安っぽくない
・PDFファイルが読める
・PDFファイルにマーキングできる(たぶん、全てのPDFファイルに可能なわけではないですが)
・メモも残せる
等々、どうでもいいような事をムリヤリ挙げ連ねましたが、コレも敢えて一つだけ挙げろと言われたら「電子ペーパーであること」を前提とした「PDFにマーキングできる」「小型軽量薄型端末」である、と言う事に尽きます。
って、一つだけじゃないですが。
単純に電子書籍閲覧端末として見た場合は表現力の低さや反応の遅さ、ページ切り替えや画面変更する際に必ず反転時間が発生するなどという構造上の問題もあって、電子ペーパーはまだ液晶や有機ELにはかなわないと思いますが、反射原稿である電子ペーパーならではの目に優しい感じは大好きです。
今電子ペーパーのデバイスをチョイスする利点は、相対的に小型軽量でバッテリの保ちの良い端末が作れる事と、直射日光下で問題無く認識できる方式である事でしょうか。
液晶はバックランプのおかげで暗闇での視認が可能な反面、屋外では見づらくなり、お世辞にも読書に快適な表示品質を保てないでしょうしね(思いっきりバックランプを明るくする方法もありますが、今度はバッテリがまったく保たなくなる)。
有機ELは……まだまだですよね。今dust恐ろしく高くなりそうですし。
液晶に比べると電子ペーパーはテクノロジ的に発展途上ですから、高精細化や反応については早晩解決すると思われます。
カラー化は富士通がすでにモノを出していますし理論的には可能なのでしょうが、これも反応速度(電子ペーパーである限り、ページをめくったり画面をちょっと変更する度に、各色それぞれがにリセット・リドロウを繰り返さないといけない。しかも富士通のは各色が順番にそのシーケンスを行うというトロさでした)。
という事で、個人的には今のところガラパゴスにはまったく食指が伸びないのです。
レティナ系の綺麗な液晶で、片手で軽く保持でき、バッテリが最低でも連続使用で五時間は保って、PDFファイルにサクサクマーカーが引ける機能がある液晶モデルが出たら、その時はそっちへ行きたいと思います(カラーだとマーカーの色とか簡単に変えられるもんね)。
あ、そうそう。
いわゆる電子書籍リーダーとしてSONY Readerを見た場合、直接ネットに繋がらないのは最大の欠点だと思います。
今時母艦PCにヒモで繋いで経由するって、どんだけ「リブリエ」なんだ、と。
この点、Kindleの方がよほど進んでますね。
端末を売るのか本を売るのか、というスタンスの違いなのでしょうが、それでもやっぱりWiFiは入れるべきだったと思いますけどね。