趣味と暮らしにまつわる「モノ」に一喜一憂するブログ

☆新型スズキ ジムニーに捧げるバラッド

クルマ

「スズキ・ジムニーと言えば」

連想ゲーム的なアレなんですが、私の場合、連想どころではなく「スズキ・ジムニー」といえば「枕詞がある単語」扱いです。

◎スズキ・ジムニーの枕詞とは?

鍋釜買うより」でございます。
意味不明?
ですよね。

これは私が学生時代に出入りしていた信州のペンションでいわゆる「耳だこ」になったTVCMのキャッチフレーズなんです。
「ナベカマ買うより、スズキ・ジムニー」
なんという素晴らしいコピーでしょう。
いえ、これはスズキというメーカーが打っているCMではなく、ローカル局に地元のディーラーが出しているCMだったと思います。
なにせ「止め絵(写真でしたが)」のCMでしたし。
いやもう、なんというか私のハートはわしづかみにされましたね。

◎「ナベカマ買うよりスズキ・ジムニー」

この短いフレーズに、わかりやすくて強いメッセージが込められていて、私はクルマのCMで、これと同等のインパクトを感じたものはメルセデス・ベンツの「最善か、無か」くらいしか思い付きません。
天下のダイムラーが全世界的に打ったキャンペーンであるメルセデス・ベンツの「最善か、無か」なんて超スカした言葉と地方ディーラーの止め絵軽自動車CMの生活臭あふれるバックナレーション「ナベカマ買うより、スズキ・ジムニー」が同列だなんて、痛快じゃないですか。

◎解釈

蛇足とは思いますがこの簡潔なコピーの解釈をいたしますと、「ナベカマ」というのは「鍋釜」でございまして、これはそのまま鍋と釜の事を言っているのではなく言うまでもなく「生活必需品」の比喩です。
つまり生活必需品である鍋釜よりも上位にあるもの、それがスズキ・ジムニーだと言っているわけですね。
このCMが流れていたのは冬。スキーシーズンだから冬のペンションにこもっていたわけですが。
要するに雪国信州では、クルマはライフラインなんです。クルマにもいろいろありますが、こと信州でスズキ・ジムニーにまさる踏破力を備えたクルマなど存在しない、という自負の現れ。
「まず生き抜くこと」
「生きていてこその食事であろう?」

◎「生きたければジムニーを買え」

と要するにそういう強いメッセージを持ったCMだったのですね。

それまで名前くらいは知っていたジムニーですが、それはカローラを知っているとか、サニーを知っているとか、フェラーリを知っているとか、その程度の認識です。
このCMはそんな私がスズキ・ジムニーというクルマをきちんと認識するきっかけであったように思います。
「そうか、スズキ・ジムニーは冬の信州に負けないクルマなのか」
CMに感心し、クルマに関心を持った私は、その頃からスズキ・ジムニーに対するあこがれを持っていたのは間違いありません。
ワタシ的なキャッチフレーズは
いつかは欲しいスズキ・ジムニー
これです。
大阪在住の私が冬の信州の田舎道を踏破する機会など年に何回もあるわけではありません。これはなんというか、よくできたツールを手元に置いておきたいという欲望に連なるものでしょう。
クジラのようなレンジローバーじゃなくて、日本独自規格のかわいい軽自動車が同等以上の踏破力を持っているなんて、それだけで痛快じゃないですか。
まさにGTならぬ、「名ばかりのヨンク達は、道をあける」ですな。もっとも、スタックしてたら道をあけられないわけですが。

◎そして私は

そんなこんなでずっと欲しいなあと思っていたスズキ・ジムニーですが、結局のところ縁がなくて所有するには至っておりません。
むしろ今はまさに「名ばかりのSUV」に乗っていたりしますからね。何をか況や、でございます。

そして今回、新型ジムニー発表。
しかも「ちゃんと」ジムニーです。

◎「ちゃんと」したジムニーとは?

コレでしょう。
実にわかりやすい。


実は私は諦めておりました。
何をって「ちゃんとした」ジムニーを。
「どうせ新型はワゴンRベースで上屋だけジープ(ラングラー)風にして出してくるんだろうな」ってね。
しかし、スズキさんは「弱かった」。
何に弱かったって、ジムニーシンパ、いやジムニー信者のプレッシャーに勝つことができず、なかなか新型を出せずにズルズルと「ワゴンRベースの新型ジムニー」を先延ばしにしていたのでございました。

◎先延ばしの先にあるもの

そして幾星霜。
いろいろな事情でもはや旧型(現行型と呼ぶべきか)の生産・販売自体が無理ゲーになってきたスズキがしでかしたのは、なんとコンテンポラリな「縛り」をクリアした「ちゃんとした」ジムニーを売るという暴挙。
この時代になんというアナクロさ。愚直さ。
信者喝采、私も快哉。

ぜんぜん太くなくてもいい、これからも息の長いモデルとして、日本の誇るクルマの一つであり続けて欲しいと願います。

新型スズキ・ジムニーに幸多かれ。
新型スズキ・ジムニーを手にする人々に祝福あれ。
でございます。

私?
今でも、というかいつでも欲しいクルマなんですけどね。
「使い途がない」
この言葉が心にブレーキをかけてしまうのですよ。
田舎の古民家なんかを買っちゃって、そこで畑仕事でもしながら余生を楽しもうかな、なんて時には真っ先にチョイスしちゃうと思うんですが、今現在はその予定がない辛さよ。

旧型もそれぞれいいけど、新型が走る姿を早く目にしたいと願う、「買わない(買えない)ジムニーファン」の独り言でございました。

※画像はすべてスズキ自動車のwebサイトから拝借いたしました。