趣味と暮らしにまつわる「モノ」に一喜一憂するブログ

★KING JIM PORTABOOK XMC10 しばらく使ってみて

PC IT系

続き。(初出:2016/12/09)

次に各論に移りましょう。
起動時間については30秒程度と既に書きましたので、それ以上でもそれ以下でもないです。
この起動時間は物理的に短くすることは出来ませんが、体感的に短くすることは可能です。
電源ボタンを入れる
ディスプレイを開く
キーボードを開く
カバーなどをバッグにしまう
マウスを取り出して、ONにする
という手順を踏んでいるうちに起動している、という感じでしょうか。
もっともこれは電車の中で取り出してちょっと使う、なんていうシチュエーションではなくて、テーブルなどの置き台があるところでのはなしになりますけれど。

それより問題はpomeraと違いPCなので、作業をするには基本的にポインティングデバイスが必要(タイルモードと矢印キーなどで代用は出来ますが……)というかあった方が便利だという点で、PORTABOOKがpomeraより機動性がスポイルされているのは確かです。
とは言え私が使うのは基本的にエディタだけなので、WZ Writing Editorをスタートアップアプリにしておけばある程度の手間が省けます。
気になるのはむしろシャットダウンの時間でしょうか。
これはメモリの消費具合にもよるか、一定ではないようで、意外に長くかかる事があります(起動時間と同じくらい)。
HDDのような回転部分がないデバイスなので、そのままディスプレイを閉じてケースに突っ込めばいいんですが、ついついつい待ってしまいますね、性格的に。もちろん「おっと、電車が出ちまうぜ」とか「おっと、駅についちまったぜ」なんて場合は考えるまでもなくそのまま閉じちゃいますけどね。

話題が出たので、次はポインティングデバイスについて。
PORTABOOKには一応光学式のポインティングデバイスがついているので、それで済ませる手もありますが、はっきり言ってアレを使うくらいなら、荷物になりますし、使う前にいちいち取り出してON/OFFしないといけませんが、それでも無線マウスを別途用意する事をオススメします。その方が断然心が安らかになれます。それくらい使いにくいです。特に細かいポインティングに苛つきます。なんというか、手袋をしたまま米粒を餞別しているような隔靴掻痒感とでももうしましょう。
言ってみればあのポインティングデバイスは悪魔の徴(しるし)です。長く使えば使うほど、慣れるどころか精神が徐々に蝕まれてきますのでお気を付けあれ。
私はそうそうに見切りを付け、手元にあったロジクールの小型無線マウスを持ち歩いておりました。ただしUSBドングルが必要なタイプだったので、すぐにBluetoothマウスに代えました。
手持ちのBluetoothマウスはどれもフルサイズというか大きめのものしかなかったので、PORTABOOK用にコンパクトなものを一つ買いました。専用ケースに続き、また出費です。(・∀・)
もっとも、これで一つしかないUSBポートを塞がずに済みます。

Bluetoothマウスのメリットは、レシーバーが内蔵されているのでポートを塞がない事ですが、USBドングルタイプのマウスにもメリットがあって、それはBluetoothマウスと違い、通信がふいに途切れたり、起動してもペアリングされなかったりというBluetoothものに散見されるトラブルが経験上まず発生せず、安定した運用がおこなえるという点ですが、今のところPORTABOOKと購入した小型BTマウスとの相性はいいようで、安定して動作しております。

USB端子の話が出たので、次はIO関連の話を。
PORTABOOKにはpomeraでは考えられないほどのありとあらゆるIOが用意されています。
場所はいわゆる背面、つまりディスプレイを開けて使用状態にしている時、本体の向こう側にあたる部分にあり、各ポートはご丁寧にリッドで隠されていたりします。
あ、ちょっとウソ書きました。「ありとあらゆる」は大げさです。
存在するポート類というのは、

USB×1(2.0。3.0じゃないところがミソというか、なぜ?)
マイクロUSB×1(実は給電/充電専用なのでACポートと呼ぶべき)
HDMI×1(フルサイズ)
D-SUB15pin×1(mini。いわゆるアナログのディスプレイポート)
マイク/ヘッドフォン共用ジャック(3.5mmミニ規格)

です。
これに加えて、筐体の横向かって右側にSDカードスロット(SHXC対応)が一つ。
それからIOとは別ですが、web会議やスカイプ用? にディスプレイ上部にカメラが内蔵されています。また試してはいませんが、スピーカーはなんと(無駄に)ステレオのようで、本体後方の左右にあります。

ステレオスピーカーを別にすると、この中で異色なのはアナログディスプレイポートの存在でしょう。
私はコレを見て思わず「イマドキ?」って思いましたが、世間的にはまだまだアナログポートを使ったモニタ環境の事を外せないってことなのでしょうかね。たぶんこれがSONYだとハナからオミットされてたにちがいありませんが、KING JIMがこれをあえて取り付けたということは、KING JIMにあるプロジェクターはまだアナログ接続ものが多いのでしょう。会社のインフラ? の違いがこういう所で露呈している気がします。
というか、こんなの(失礼)つけるよりUSBポート2つ用意してくれる方がありがたいと思う人の方が圧倒的に多いと思うんですが。
だってUSBポートはアダプタ使えばアナログのディスプレイポートになりますが、mini D-SUB15pinをUSBポートに変換するアダプタってあんまり(いや、個人的にはまったく)聞いたことないですから。

そのUSBポートについて。
使ってみて初めて気付いたんですが、ちょっとした気遣いがあります。それはポート自体が他のIOより奥まった所に設置されているんです。
これは要するにUSBドングルタイプ受信機を使う無線マウス用の気遣いですね。奥まっている関係でたいがいのUSBマウスの受信機ドングルは装着したままでリッドを締めておけるんです。
要するに変な? ポインティングデバイスを搭載せざるを得なかったKING JIMのせめてもの罪滅ぼしというか、免罪符? 。結局多くの人がUSBドングルタイプの無線マウスを使うんだろうな、とはじめからわかっていたという証拠です。
ただしそうすると、USBはマウスで一杯。空き無し。なのでUSBポートは2つ欲しいな、と。

まあ、ちょっとした気遣いに感心したのも束の間。
SDカードスロットがどうにもイケてない。
イケてない理由はカードが全部ボディ側に入らないタイプの「先っぽだけ」スロットなんです。
この手のスロット、最近多いですよね。プッシュイジェクト機構を内蔵したくないスリムノートなどが多くなったからでしょうか。つまりデータの受け渡しをする際にのみ挿入する、というけっこう面倒なスロットだということです。
ストレージの不足をSDカードで補えるかな、とちょっとだけ考えた私は肩すかしを食らった格好です。

その後、ちょっと調べて見ると、この手のスロットに挿しっぱなしにしておく用の、つまりは短いSDカードのカタチをしたマイクロSDカードアダプタがけっこう出ている事を発見。
もともとはMacbook用らしいのですが、たぶんPORTABOOKにも使用は可能でしょう。
問題はどれくらいの出っ張りがあるか、ですね。
この場所は電源ボタンもあるし、指を引っかけると怪我をする可能性大。
なので買ってまで試す気になれません。

筐体はそれなりにしっかりした造りです。
もっともフットプリントが小さいのでガワの剛性がさほど必要ないのでしょうけど。
好ましいのは変なロゴが一切なく、シンプルに黒いことでしょうか。
KING JIMというロゴはディスプレイを開いた時、その下側に存在を確認できますが、それも黒い筐体に黒い文字でプリントしていて文字通り黒子に徹しています。このあたり、KING JIMの矜持を見た思いがしますね。SONYあたりだとこれ見よがしに自社ロゴをアピールしますからね。目立たせるだけでなく光らせたりしますからその自己顕示欲には舌を巻きます。もっともそれを良しとする信者が多いので何の問題も無いのでしょうけれど。

ボディ全体はしっとりした手触りのプロテイン塗装。これは指の脂分が目立つとかそういう問題以前に長く使ってクルとハゲてきてみっともなくなるパターンです。いや、すぐに禿げるプロテイン塗装かどうかは裏を取ってないのでわかりませんけど、少なくとも私にはそう見えるというお話でございます。あと、使わず放置していると加水してベトベトになりますな、プロテイン塗装。なので長く使わない時は防湿庫に保管すると多少マシになるかもしれません。

分割キーボードですが、これは基本的に問題はありません。
個人的に打鍵感は、固定キーボードのDM200よりも上だと感じます。もちろん個人的な好みや、あるいは個体差があるのでこの手の官能評価は参考まで、ということで。
少なくともこのキーボードの仕上がり具合なら、私は普通に執筆に没入できます。

モバイルデバイスとして重要なバッテリの保ちですが、これについてはカタログデータの5時間に近い数値が期待できる感触を得ています。
OSの他にはWZ Writing Editor2のみを立ち上げて、WiFi接続しつつBluetoothマウスをたまに使う、という運用で4時間以上保ちますから。

私の使い方だと今のところ全く問題のないバッテリの保ちですが、実は予想以上に快適だと感じたのが、USB給電が可能であること。
私の場合、自宅でノートPCを使う場所は、メインマシンのある書斎以外、つまりダイニングのテーブル上であったり、リビングであったりするわけです。で、どうしても物理的現象としてバッテリはなくなります。そうなるとACアダプタに接続して使わざるを得ない状況になるわけですが、ノートPCにACケーブル(とACアダプタ)がぶら下がる事自体が何となくややこしいというか、めんどくさいんですよね。いきなり拘束感が出るというか。
動き回るのではなく、それはテーブル一カ所に固定して使い続けるのであっても感じます。
その点、USB給電ができると、この部分ががかなり軽やかに感じます。
もちろんそれなりに? ケーブルは使うわけですが、その先が壁(コンセント)じゃなくてモバイルバッテリーでいいわけですから、PCの使用中にケーブルが邪魔になる事はありません。超短いUSBケーブルでも事足ります。
さらにモバイルバッテリは本体の後ろ側、つまり死角に置けるので、ディスプレイに隠れてコード自体が視界に入りません。この「視界2じゃマナものが入らない」というお状況が地味に快適なのだと今回初めて気付きました。
モバイルバッテリはなんだかんだでけっこうな数をもってますから、例え一つが空になっても違うものと付け替えればいいだけです。ノートPCから出ているケーブルが、コンセントに繋がっていない事が重要なのです。
実際問題としては家の中でうろうろと移動する事はないんですが、もし移動する事になったとしても、ディスプレイ閉じて、その上にモバイルバッテリ乗せればいいわけで、そのまますいっとダイニングからリビングに持ち運べますからね。ケーブルの長さを気にしたり、コンセントを変えたりする手間がないぶん、心が軽やかになるんですよ。

という事でPORTABOOKなら、稼働中に壁(コンセント)に繋ぐことは皆無。
寝る前にモバイルバッテリをはずして、充電用のUSBケーブルに繋いでおくだけです。
なお、バッテリ切れでシャットダウンさせてから充電ケーブルを繋ぎ、充電中のインジケータが消えるまではざっと4時間弱のようです。

どちらも完璧ではないPORTABOOKとpomera DM200。ではどちらをチョイスするか、ですが、それは二種類あるストレスのうち、どちらのストレスをチョイスするかという問題と同義です。
すなわち「使うまでのストレス」をとるか「使っている時のストレス」をとるか。
心が病んでいる人以外は、使っている時のストレスとか選ばないでしょ?
とまあ、当たり前の最終結論になりました。

なんだかんだグチはありますけど、しばらく大事に使ってあげるつもりです、PORTABOOK XMC10。
というか、この値段で売っているうちに、予備としてもう1台買っておくべきかどうかをもう三日も悩んでます。(・∀・)