趣味と暮らしにまつわる「モノ」に一喜一憂するブログ

★135判フルフレームセンサ搭載光学式手振れ補正機能付28mm単焦点コンパクトカメラ その名もLEICA Q

カメラ

「これって中味の電子部分はPanasonic(個人的な勝手な憶測です)なんだから、パナソニックから同じコンセプトの、具体的には画角が違う、RX1系対抗で35mmレンズ搭載のカメラが間違いなく出るだろうな」(初出:2016/04/23)

「レンズや画素数、あとは派生モデルの存在にもよるけど、たぶん半額から高くてもRX1R mk2と同等の2/3位のプライスタグが付けられるに違いない」

LEICA Qが発表された時に、根拠もなくそう信じていた私です。
Q自体には価格以外のコンセプトとその実際のカメラとしての性能にはとても興味がありましたので。
んでもって長々と待っておりました。
そりゃもう、すっかり忘れてしまうほどに。(・∀・)

が。
この間、某関係筋から「しばらくそういうモノを出す予定はないッスよ」という情報を得ました。
「しばらく」といういい方がビミョーだな、と思いましたね。
「そんなものは出ない」ではなく「しばらく出ない」ですからね。
つまり、出る可能性はある、もしくは研究開発はしている。と見るべきでしょう。

「うーん、だったら『もうしばらく』待ってみるか」と考えていたんですが、なんというか、本当にそう思った矢先の、ドンピシャ的なタイミングで、友人が「これどう?」なんて寄越してきたurlを踏むと、その先はまさにQ。
その時は「欲しいけど、こんな値段じゃ買えねーよ」と即答し、自分にもそう言い聞かせたわけですが……。
その日のうちに「じゃあ、まあ、いっか」とレゲエの人に。(・∀・)
そんなわけでほぼ一週間くらい使ってみました。
発売日からそろそろ1年を迎え、既にモデル末期? とさえ噂されているものなので、かなり「今さら感」はありますが、備忘録を兼ねて簡単に感想などを書き殴っていこうと思います。

と書いたものの……。

なんというかこう、適当な切り口が見つけられないんですよね、このカメラに対する評価の。
いつもの調子でお行儀の悪い突っ込み論調でやると、ただのポンコツカメラになってしまいます。
でも、ポンコツじゃないんですよね。
むしろポンコツは以前はそれなりに気に入って使っていたRX1Rの方だと思うくらい、出来のいいカメラだと思います。
でも、ツッコミどころはRX1Rより断然多い気がしますし……。

なので基本的に「いいカメラ」だと認めているということはおわかりいただきたいな、と。
認めてはいるんですが、「それはいったいどの視線で見たいいカメラなのか?」 なんて自問すると評価軸がブレブレになっている自分を発見するわけで、つまり「これって相当ビミョーな存在じゃないのかな」なんて考えてしまうわけですね。

上から目線で一言で評価すると、
「よしよし。ライカもようやくまともなデジカメを作ったな」
です。
もっと素直に褒めてあげたいんですが、それはあくまでも「ライカとしては」という前提ありきであって、「コンテンポラリな高性能デジカメ」として冷徹に評価すると、いろいろプアで「なんだこれ?」としか思えないわけです。
翻って、ライカカメラのヘヴィユーザーやライカのカメラの信者、大ファン、穂波真太郎さん(たまちゃんのお父さんです、念為)視点で見ると「かなり素晴らしいコンパクトカメラ」としか言いようが無いのかも知れません。
だってライカユーザーって(デジタルカメラに対する)要求水準低いんですもん。(・∀・)
いや、低いというか認識が私とは違う世界にいると感じてます。

つまり何が言いたいかというと、私はライカというブランドに対するリスペクトが「あんまり」ない人間なんです。ライカよりむしろオリンパスをリスペクトしている位ですからね。
とはいえ「ライカが初めての俄ユーザー」とも言い切れないわけですよ、これが。
何しろライカブランドのカメラはこれまで十台以上使っては捨ててきてますからね。
まあ、単純に言うと「ライカのデザインは好きだけど、けっこうアンチなライカユーザー」とでもいいましょうか。ライカはいつも気になるブランドだけど、自分の価値観と乖離した製品がおおく、性能自体も要求水準に達してなくてイラっとしているというか、そんな感じですね。

まあ、そんな視点からのレポートです。

て、全然本編に入って行きませんね。
本題に入る前につまらない理屈を延々書かせるくらい、私の中でもライカというブランドは特別だっていうことの証左なのでしょう。(・∀・)

さて、自分の立ち位置というか評価軸を見失わないように、まずは改めて「なぜこのカメラが欲しいと思ったのか」を振り返ることにします。
というか私は「これがいい」ではなくて「このスペックはいい」と思ったわけです。
そして「このスペック」は現時点で唯一無二(たぶん)です。
ではこのスペックとは?

1)135判のフルフレームセンサー搭載
2)28mm(相当、ではない)の画角
3)勝手に「ボーダーかな」と思っているf/2.0以下の明るいレンズ(f/1.7)
4)手振れ補正機能搭載
5)最短撮影距離が許容範囲(というか望外)の17cm。
6)デジタルテレコン(ライカではクロップ機能)機能がある。

ちなみにコンパクトカメラの場合、同セグメントのSONYのRX1系を含めて、日本のメーカーは「レンズの前玉からの距離」を表記していますが、このQの場合は特に公式サイトにも記載がない為、勝手に「(同様に)レンズ前からなんだろうな」と思っていました。まあそれでもギリギリ許容範囲だと考えておりました。

なので。
私が実物を手にしてまずやったのがその検証です。
チェックすると、なんとレンズ交換式カメラと同じ「合焦面(センサ位置)からの距離」である事が判明しました。要するにレンズ前表記だと11〜12cmという感じでしょうかね。つまりかなり寄れます。

まず「このスペックがいい」と思ったのは、背景にSONYのRX1とRX1Rを使っていた経験があったからそうおもえるのです。
135判フルフレーム(以下、フルフレーム)という贅沢なサイズのセンサを使った、レンズ交換式じゃないコンパクトカメラ。
当然レンズありきの話になってしまいますが、明るい単焦点レンズを付けたフルフレームのセンサのカメラでとった写真の品質が悪いわけがないんですよね。
物理的なサイズの違いで、APS-Cやμ4/3などと比較して余裕のある階調を目にしてしまうとね。
誤解のないように言い添えますと、実際問題はセンササイズの違いなんて全然わからないような写真の方が多いんです。少なくとも絞り込んで撮影するとそういう写真が多くなりますよね。でも、階調表現に差が出るような、空とか雲とか単調なカラーの風景とか(雪景色とかね)だとシロウト目でも違いがわかる(場合がそれなりにある)んです。
なので、贅沢っちゃ贅沢ですが、趣味にカネかけるならこういうのはアリだと思うわけで。

なけなしのカネをはたいて(つまりローンじゃなくて)フェラーリ買って、あとはキャベツともやしとコンビニの消費期限間近の割引弁当で過ごす、なんてのは私は「そんな車ライフもアリ」だとは思います。新車に限る、ですが。
並行ものの中古、それも年代物の308系とかのフェラーリ、あまつさえローンでこれやっているヤツいたらアホかと思いますが。(・∀・)

この例はさすがに極端でバイアスかかりまくりですが、こだわるモノにはカネをかけるけど、そうじゃないものは廉価品でオッケーというのはもはや普通の考え方じゃないかと思います。
つまりはまあ、所詮はカメラ程度の話なのでフェラーリとは0(桁)が2つも3つも違いますからまあ常識の範囲でセーフでしょうと思っております。
要するにカメラがどれだけ好きなのか、というメンタル的な強度? の問題でしょうか。
ただ綺麗に映ればいい、そして「カメラというより写真が好き」という人からみると理解し難い行為なのかもしれませんが、それは仕方ありません。写真好きってだけなら、これはもうスマートフォンだってオッケーなレベルになってますしね。そもそも写真が上手とか下手とかいう問題なんて問題じゃないんですよ。写真が上手な人はそれこそスマートフォンだって何だって、下手な人がフラグシップの一眼レフで最高の光学性能を誇るレンズを使おうが太刀打ち出来ませんからね。物理的な問題を除けば。

私は写真「も」好きですが、むしろ「好きなカメラで写真を撮る事」の方がもっともっと好きな人種です。カメラ好きとはいえ、カメラを磨いて眺めて酒飲む趣味はありませんから、完全なハード系(ハードゲイではない)じゃないんですよね。微妙?
そんなどちらかというとカメラ主体の話なのに「写真の階調が」なんて理由を引き合いに出すのは自分でもなんかちょっとおかしいとは思いますが、まあ相互関係はあるにせよ、私の価値観はカメラ側に偏重しているのだなあとお読み下さい。

そんなこんなで「これはまさしく私好みの一台でほぼ完結系カメラじゃね?」

と思ったのが注目の始まり。
RX1系の何が気に入らなかったのかというと、いろいろあるんですが、35mmという焦点距離(画角)が窮屈だった、という点が大きいので、Qの28mmは「我が意を得たり」というわけです。
いや、ここは欠点とかじゃなくて「好み」です。
RX1系をポンと買える購買層の年齢を考えると35mmドンピシャの人の方が多いかもしれませんね。
でも私は28mm以下じゃないと「ああああああ、狭い」なんてだんだんイラっとしてくるわけで。
28mmが使いにくいって人もたくさんいるでしょうし、好みです、好み。
でもまあ、若い人なら標準レンズは28mm方がしっくりくるとおもいますけどね。スマートフォン世代ですからね。

それに28mmには35mmにはないアドバンテージもあります。
28mmならデジタルテレコンで35mmになりますが、その逆はムリ。
QでRX1系はカバーできますが、逆はムリ。
これは物理の問題なのでどうしようもありませんね。
だったら24mmが、とか21mmが、とかいう話になりますが、そこはレンズ設計という技術的な問題やカメラとしてのバランスと市場の需要の問題で28mmというのが現時点ではベストな選択ではないかと私は思っちゃったりしております。
ライカはカタログデータで(RX1系に)差を付ける為に、f/2.0より明るいレンズにしたかったでしょうし、かと言ってレンズオバケになることは避けたかった。そもそもライカは伝統的にコンパクトなレンズを好みますから、これはもう社是みたいなものでしょう。
その落とし所は24mm(25mm)ではなく28mmだったというのはわかりやすい帰結かと。
そもそもライカ版って標準レンズは50mm。もしくは35mmがソレ、みたいなところがありますので28mmはある意味でレンズがフィクスされているカメラの標準レンズとして異端ですけど、それでもコンパクトネスを追求したかったということで、私の好みにフィットした、というわけです。

もっとも28mmだとライバルは多いですよね。
単焦点コンパクトならGRやニコンのAがありますし、そもそもレンズ交換式のコンパクトなヤツだってキットレンズなら28mmは間違いなくカバーされてます。
最近でたX70も強力なライバルでしょう。
しかしそこで物理的な差である「フルフレームセンサのコンパクトカメラ」という前提がクローズアップされてくるわけです。
フルフレームであっても、一眼レフ系のキットレンズとか28mm単焦点との組み合わせでカバーできますが、今度は「重厚長大」ってことになりますので、28mm単焦点をフィクスしたコンパクトカメラである事はとてもとても重要なことなのです。
まあ……GRとかX70を見ちゃうと「これってコンパクトなのか?」と思えるサイズと重量ではありますがね。だってX-Pro2に17mmつけたサイズとあまり変わらないというか、重量はむしろ重いというか。

あくまでもM系ボディとの比較であって「当社比」なのでしょうが、それでも、一眼レフと比較すると圧倒的だと思います。

それを考えるとポップアップというギミックがアレですが、EVFを内蔵し、可動液晶まで備えたRX1R M2は「さすがSONY」と言わざるを得ませんね。素直に日本の誇るカメラの一つだと敬意を表したいです。
あのサイズで手振れ補正がついてて、28mmだったら……もう違うカメラですね、はい。(・∀・)

いやあ、まだ引きずってますけど、それ、絶対にパナから出ると思ったんだけどなー。

1)135判のフルフレームセンサー搭載
2)28mm(相当、ではない)の画角
3)勝手に「ボーダーかな」と思っているf/2.0以下の明るいレンズ(f/1.7)
4)手振れ補正機能搭載
5)最短撮影距離が許容範囲(というか望外)の17cm。
6)デジタルテレコン(ライカではクロップ機能)機能がある。

そういうわけでこの辺りがQの特徴かな、と思いますので、これらの項目を縦糸にしつつ、都度思いついた事を横糸として交えながら思いつくままに感想文を織っていきましょう。

まず、操作性とデジを除いた「カメラとして」のQは、実に素晴らしいと感じます。
操作性とデジ部分を取り除くって何?
と書いて見て、自分でも「コイツ、何言ってんだ?」と突っ込まざるを得ないわけですが、要するに単純に28mmレンズ付きカメラとして、撮影してみて、出来た写真はどうか? という意味ですね、ハイ。
それが素晴らしいと。
いえ、世の中の全ての28mmレンズをチェックし比較し倒したわけじゃないのでアレですけど、取った写真の写りはいいな、と素直に思える出来映えです。
主にパラメータ弄らない、標準のjpegでの話ですけどね。

なんと申しますか、最近はずっと富士フイルムのカメラを集中的に使っていた関係で、特に色あいなどにグっとしながらもホッとさせられます。
なにしろ富士フイルムのカメラって、言ってみれば化学調味料をがっつり入れた中華料理みたいな色の写真製造機ですからね。どのフィルムシミュレーションをとっても。地味目なやつもありますが、化学調味料まみれの地味絵ですし、舌がしびれまくりです。
Qのjpegも実は色については「こってり」系ですが、こっちは富士フイルムと違って「普通の3倍時間掛けて煮詰めたスープ」的なもので、化学調味料とはニュアンスが違う……ように思えます。なにぶん感覚的というか官能評価なのでいい加減です。なので話半分、ハナクソほじりながら「ふーん」と言いつつ読んでいただければ幸いです。

で、露出は暗め。
好きですなー、ややローキーに振った絵が、ライカは。X系もそうでしたっけ。
個人的にはイニシアルで標準より-0.3EV下げてる気がしますね。
暗部の階調に自信があるのかもしれませんが、鮮やか目の絵でも暗く映ると鬱っぽく見えることもあって、その辺は好みかも知れませんが、まあ嫌ならRAWであるDNGをPhotoshop(のCAMERA RAW)で好きなだけ現像すればよろしかろう、というスタンスでしょうか。
その証拠に? Qには他のライカカメラと同じく、AdobeのLight Roomのライセンスがついてきます(保証書にダウンロード用のキーが印刷されている)。
既にPhotoshop持ってる人には無用の長物でしょうが。

で、レンズで気になる歪曲ですが、上手なデジタル補正(たぶん)がみごとな具合に為されていますので特段文句はありません。X70と比べるのは酷かもしれませんが、四隅も私にはほとんど気になりません直線が気持ちよくスーッとまっすぐなのは本当に気持ちのいいものです。
フィルム時代からライカの広角レンズといえば一眼レフのソレと比べて圧倒的に歪曲がない(小さい)というイメージですから、Qはそこら辺、こだわっているはずだと思っていましたが、予想通りでした。

予想通りといえば、画角。
EVFを覗いた瞬間、「広いなあ」と思ったのですが、それもそのはず。普段使っている28mm相当のX70に慣れているとGRやQの28mmは相当広く感じます。
念のために全く同じところからとった主に歪曲チェックに使っている写真で比較してみたところ、もはやX70の28mmは「詐欺」レベルだな、と感じますね。X70が正しいなら、GRとかQが画角詐欺。
Qは同じ28mm(相当ですが)のGRよりさらに画角が広いですね。
X70って、富士フイルムにおける「データ改ざんカメラ」かもしれませんね。
日産から指摘を受けて再チェックしてみたら実は30mmでした。みたいな。
三菱自動車工業か!(´д`)

一応、28mm画角単焦点レンズコンパクトカメラ画像比較、みたいな感じで添付しておきます。

A 画角と歪曲チェックそれぞれ。

【Q】

【X70】

【GRⅡ】

B 右隅拡大
【Q】

【X70】

【GRⅡ】

C 中央部分拡大

【Q】

【X70】

【GRⅡ】

ちなみにみんな開放でっす。
画素数の違いで解像度は変わっておりますので「ふーん」的にご覧下さい。
総合案内板のリアリティが全く違いますな。
X70はもともと等倍チェックとか拡大チェックは苦手なフジのXトランスCMOSなのでアレですが、こうやって比べるとしみじみとわかりますが、GRはホワイトバランスに起因する? 色の悪さを除くとレンズ描写はホント頑張ってますよね。

ということでのんびり続く、かも。