趣味と暮らしにまつわる「モノ」に一喜一憂するブログ

★第四部「白き翼」【Ricoh GR Digital IV ただし白】

カメラ

(初出:2011/11/19)


可及的速やかに購入する必要は全くないのに。
実売が5万円を切ってから考えようかなんて。
べ、別に全然気になってなんかないんだからねっ!

的なスタンスで眺めていた最新のGR Digital、IVの話。

こう見えて(どう見えて?)GR Digitalは初代からIIIまで全部購入したし、けっこう使い込みました。
それぞれの時代に於けるコンテンポラリなGRDは、どれも卓越したポケットカメラの資質を有していましたし、特にその操作性に於いて私はとても満足しておりました。
もちろん今更初代GR Digitalを使いたいとは思いません。IVが出た後では、IIIがいくら値下がりしようがこれっぽっちも食指が動かないのです。
買うならIVしかない。
IVしかないのだけど……。

「買うなら」という前提条件が問題なわけで。
それはつまり「買うのか?」という自問が前段階として存在しているわけで。
もちろんGR Digital IV(以下、IV)が新機軸のカメラなら、私は発表即予約、という手順で手に入れたと思います。
でも、GR Digitalという名前を冠したカメラは初代のphilosophy? を継続する為に、時間の経過により陳腐化したスペックを「それなりに」スープアップし続けているだけ。
要するに「新鮮味」がほとんど無いカメラと言っていいでしょう。

しかもIVにまでなると、GR Digitalとしての新鮮味は多少あるにせよ、カメラとしてはもはや「遅れている」と言えます。
「スティルの写真にこだわった」なんていうと聞こえがいいけれど、冷徹に見ればスペック的には「時代遅れ」だと私は思います。

私はそもそも、GR Digitalというカメラは嫌いじゃ無いけど、作っている人(人?)が好きになれないんですよ。
本心か、はたまたごまかしかは知りませんが「GR Digitalには手ぶれ補正は要らない」なんて、本当に宗教みたいで心底気持ちが悪いとしか思えません。

「レンズが明るいから手ぶれ補正はいらない」
「広角レンズにはそもそも手ぶれ補正機構なんていらない」

なんていう理由を言われても、私にはまったく理解出来ない。
自動露出も、アイリス優先だけじゃなくてプログラムオートまで付けておいて、あまつさえオートフォーカスも備えてる。ただの電子自動化カメラです。なのに自動化のうち手ぶれ補正だけはGR Digitalには不必要って、どういう精神構造で言えるんでしょうか?

「レンズが明るいんだから、そこに手ぶれ補正を付けたら、もっともっと撮影シーンが広がるでしょ?」
「広角レンズだって、目立たないだけで物理的に手ぶれはするでしょ? だったらないよりあった方が絶対いいよね?」

こう言うと、今度は「被写体ブレには手ぶれ補正は意味が無い」

というもっと意味のわからない返答が帰ってきたり。
問題のすり替えと言うヤツですね。こっちは被写体ブレの話なんてしてないのに。手ぶれ補正はないよりあった方がいいね、という話なのに。
こういうのを「話が通じないヤツ」というのでしょうね。

要するにGR Digitalというモデルは特別な存在だそうで、それにはどうやらphilosophyというかpolicyがなければ作ってはいけないらしいのです。で、最近ふえたそのフィロソフィーというやつの一つが「手ぶれ補正は載せない」というもの。
でも、真実は「手ぶれ補正機構をいれると、このサイズに収まらない」というのが正解じゃないのかな?
だったらこう言えばいいのに。
「そこまでの実装技術が(リコーには)ありません」と。
それなら「じゃあ、仕方ないな」って私も素直に納得しますから。

私はGR Digitalというか、GR Digitalの、その「もっともらしいけど意味不明な言い訳」(をする人)が大嫌い。ひいてはGR Digitalもなんとなく好きになれなくなってくるわけで。
だからIIIもいいカメラだと思ったけど、明るい広角レンズのついた手ぶれ補正機能付きのカメラが出たら、すぐにお払い箱になってしまいましたっけ。
もっとも、GR DGigitalほどのコンパクトネスはないので、完全な代わりにはならないのだけれど。

で、今年の秋。
予定通りにIVが出ました。
私は発表されたスペックを見て、少し驚いて、けっこうほっとしました。

「手ぶれ補正機能を搭載!」

手ぶれ補正を入れないというのはphilosophyでもpolicyでもなかったという事がこれで証明されました。
Q.E.D.

「欲しいというお客様が増えたから」なんていう言い訳には相変わらず唾を吐きかけたくなるけれど。
GR Digitalピューリタンというか、新しい技術を受け入れられない層以外の大多数のユーザーは「無いよりあった方がいい」って思ってるはずなのに。
そもそも手ぶれ補正が嫌い、必要ない、なんていう人は「手ぶれ補正機能を切ればいい」だけの話なのに。

要するにリコーもようやく手ぶれ補正のユニットを入れてもあのサイズに実装できるようになったって事なんですよね。
本当は手ぶれ補正機能を入れずに「より薄く」するなんていう案があったのかもしれないけど、それじゃあもうIVは売れないという主張をする(まともな感覚を有する)人が内部で勝利した……んだろうと勝手に想像しております。これからも頑張って欲しいと思います。

手ぶれ補正機能が搭載されたことで、私にとってIVは「いつかは買う」カメラになりました。搭載されていなかったら「買うかもしれないけど、3万円くらいになったらね」的な「どうでもいいカメラ」その1になっていたことは間違いありません。
とはいえ、IVになって手ぶれ補正機能を搭載したからと言って「GR Digital IV、すごい」となるわけではありません。
だって、これでようやく「欠点」を一つ潰しただけなのですからね。

残る欠点は……

1)プアな動画機能
2)タッチパネル未搭載
3)ズームができない
4)GPSが載っていない
5)ダストイレーサーが……
6)EVFが……
7)スイングパノラマが……
8)レンズ周りのコントローラーリングが……

くらい?
まあ、3)5)7)は冗談だけど。

1)は個人的に不必要な機能なのでどうでもいいとして……。
そうなると

2)タッチパネル
4)GPS
6)EVF
8)コントローラーリング

あたりが個人的に欲しいんだな、ということがわかります。
これをリコーは小出しにしながらGR Digital V, VI,VII,VIIIを作るんだろうなあ、と適当な事を考えてみたり。
こう書くと、たぶん

「GR Digitalにはタッチパネルは必要ない」
「GR DigitalにはGPSは(以下略)」
「GR Digitalにはもうダイアルがあるから、コントローラーリングは……」
「そもそもGR Digitalというカメラは……」

という感じでGR Digital信者に袋だたきにされて火あぶりの刑とか磔の刑とかアイアン・メイデンの刑? とか、ギロチンの刑なんかに処されそうで首筋が寒くりなります。
出来れば是非安楽死を……(それじゃ刑にならないか)。

さて。
まあそういう感じで
「手振れ補正がついたなら、買ってもいい」と思っていた私は、結局それでも7万円とか6万円ではもうGR Digitalを買う気にならないわけでして。
「さっと出してチャチャっと撮って、ぱっとしまえる『サチャパシなカメラ』としては、現状、手元にNikonのCOOLPIX P300とCanonのPowerShot S95があるので焦らず待てるわけで。
でもP300はRAWがないのと画質の、特に色合いが好みじゃなかったり、S95はEye-Fiとの相性がイマイチだったりで「心のスキマ」は存在してる状態でして。

そんな私が、ある日ある時ある場所で突然ある事に気付いたと思って下さい。

「え? 白って台数限定なの?」

ヤバイ。
私は「限定」という言葉に弱い。
これはたぶん、私のせいではなく、交友関係が良くないんだと思います。
要するに友達が悪いんです。
以前は私はそんな「限定商法」に引っかかるような子ではなかったんです。
しかし「物欲番長」と呼ばれる友人が出来た頃から、その「番長K」に感化されてしまったのです。
「番長K」は「限定萌え」の属性所持者で、彼が熱く語る限定への愛と忠誠心(というかもはや隷属心?)を聞かされるウチに、いつの間にか彼の弟子と化していたのです。
それからは「限定」という言葉がひそひそささやかれるとピクリと耳が立つしまつ。
居ても立っても居られなくなるのです。
そしてその「限定」が、私の守備範囲でなかった事がわかると初めてほっとするんです(注:主に高くて買えない浮き世離れしたものだったばあい)。
だがしかし、守備範囲ではないはずなのに時々「限定波」に当てられ、気がついたら必要もないし使いもしないモノを手にしている事が往々にしてあるんです。アニメ「初恋限定。」は毎週楽しみだったし(クソアニメだと思っていたが、あれはとてもいい話だった。ぜひ続きを作って欲しい。なんなら私がストーリーは作ってもいい)。

これはもう「限定中毒」の一歩手前ですね(まだ中毒ではない……はず)。
あぶないあぶない。
でも「らき☆すた」デジカメなどはその最たるものですよね。
絶対使わないのに、デジカメというカテゴリーで、かつ「らき☆すた」はにくからず楽しいアニメだと思っている私のスキマをドドンドンドドンと突いてきてしまったカメラでしたっけ。

つまり、何を言いたいかというと、GR Digital IVは、白を買った、と言うことです。
限定なんだから、「40000円以下にぃ~」とか「50000円切ったらぁ~」なんて言ってぼやぼやしてたら世界から消えてしまうのだから!
限定だし!!


ああ、白!
でも、白!
ポチってから知ったけど、限定「10000台」だったorz。
100年以上市場にありそうじゃん!

で、で、でもいいんだ!
私には前科があるんだから。
1000台も作られた【あの】天使で青い「限定」モデルすら買った人間ですから!
白は手にする運命なのです(たぶん)。

で、白。
驚きの白さ。

細部をチェックすると、そこそこ変態な人が白くしたに違いないと思える程、普段は見えない部分も白いのに驚かされます。
それでもレンズ部分を白くしなかったのはリコーにも美意識のかけらくらいは存在するんだ、という主張だと思いました。レンズが白なら私はアホらしくて買わなかったと思います。たとえ「限定」でも。

いつものように実物など一切見ることも手にすることもなく脊髄反射的に購入する私は、買ってはじめてブツを手にして「うっ」と唸って絶句する事もままあります。
黒の通常モデルならばもはや勝手知ったる? GR Digitalの黒モデル。なので淡々としたものになるのだけど、白は新機軸。
というか、GR Digitalに白? とか今さら言ったりして。

で、その白モデルのフィニッシュはどうか?
と言う話をちょっと書いておきましょう。

予想はしてましたけど、パネルごとに白の色が違う。
違う白。
これ、間違いなく使っているうちにどんどん「違う白感」が加速する気がします。
これを見て「飽きたら変色する前に売ろう」と心に決めました。
いや、最初から飽きてるんですけどね、GR Digitalには……。

一番期待していなかった塗装の仕上げですが、これは相当いいと思いました。
軍艦部? のパーツの仕上げだけがなんかちぐはぐに悪いのは中国製だからでしょう。
というか、PENTAXを傘下に置いたのだから、是非「GR Digital IV コレジャナイロボ モデル」を出して下さい! もちろん「限定」で!! 年次有給休暇とって、Macの前で予約開始を待ちますから!!!
というか、私にはこっそり一台売って下さい。(。・ω・。)
ちょうちんレビュー、100回シリーズで書きますとも!!!!

ということで。

え? レビュー?
これ、レビューエントリーじゃなくて、ただの日記ですから。
GR DigitalなんてIVになっても一緒ですよ。目新しいところはほとんどなくて、「今回もGR Digitalでした。で終わり」のカメラですから。

まあ、強いて感想を挙げるなら、

1)期待していた手振れ補正機能は、リコー・クオリティだった(全然効かない)

2)jpegは相変わらず小汚くて、なんとか我慢出来るレベル(騒ぐほどかわってない)

3)AFは、E-P3とかGF2とかに慣れてるから、速いとか言われても、そう言えばコンパクトカメラとしては速いほう? みたいな?

4)液晶! そうだ、液晶はすごくいい!! 良くなった!!! GR Digital IIIなんか捨てて、すぐにでもIVにすべき!!!! と思うほどいい。 IVで一番変わったのは液晶だと思う。

5)相変わらずレンズ駆動がやかましい。 今時ここまでうるさいカメラも珍しい。隣で誰かがGR Digitalのスイッチを入れたり、追尾AFやったりすると「何だこの安っぽいデジカメ的な音は?」と絶対思うほど相変わらず安っぽいというか、動画機能とか付けられないね、これは確かに、と妙なところで納得する。

6)カスタマイズ性は相変わらず変態的に高くて、自分好みのセットが決まると、ここまで使いやすいカメラはない、と思わせるところは相変わらず。で、その「自分好みのパラメータセット」の保存数とか保存方法とかの変態度がさらにあがり、いったいいくつ登録しておけるのか数えられないほどに。というか、そんなに多くのセット、覚えられるのだろうか? 私にはもはや「何がどうなっているのかわからない」状態になっているというのに……。
ハッ(・∀・) ボケ防止か? ボケ防止用に作られた老人向けカメラなのか??

7)ボディ、いい加減でかいよ。S95くらいになりませんかね? リコーだからムリか。あ、PENTAXが来たんだから、相談してVはS95並で是非。

8)デジタルテレコン機能を是非搭載して欲しい。これ、ファームウェアのアップデート出来るような気がするんだけど……。今のデジタルズームははっきり言って時代遅れ。ズームしなくて×2(画角ね。念のため)のスイッチ式でいいから。28mm相当と56mm相当の二焦点あれば万能度が飛躍的にアップすると思う。
IVのデジタルズームは汚すぎる。E-P3に搭載されたデジタルテレコンを見習って超解像ボディ内引き延ばし機能を是非。

ちなみにE-P3のデジタルテレコンを知らない人の為に簡単に説明しておくと、
(私はデジタルテレコン機能を特等席にある動画ボタンに割り振ってます)
・デジタルテレコンを押すと、画角が二倍になる。
・もちろんクロップなので実際の解像度ではない。(アタリマエ)
・RAW+jpegでの使用も可能。(IVのデジタルズームはjpegモードでしか使えないアホ使用)
・テレコンで撮ったクロップ画像は、カメラ内でリサイズされて、通常撮影のものと同じ解像度のjpegファイルとして保存される。(通常画角のファイルが4000×3000だとしたら、デジタルテレコンで撮ったクロップ拡大画像も4000×3000にして保存される)
・RAWファイルはあくまでも通常画角で撮った画角のファイルになる。(つまりRAWの中心部をクロップして、リサイズするという方法)

という感じです。
なので私はE-P3に14mmとか17mmとか20mmのパンケーキレンズを付けて、それぞれ二焦点レンズ機能搭載のコンパクトなカメラとして楽しんでいるわけで。
たとえば14mmパンケーキを付けていると、E-P3は28mmと56mm相当の二焦点レンズ付きカメラとなるわけです。切り替えはボタン一発ですし。
これはもう「標準ズームなんていらない」と思える程便利。
IVのデジタルズームとは月とすっぽんと言っていいほどE-P3のデジタルテレコンjpegはよく出来ていて、「え? これってリサイズ拡大ファイル?」なんて言われないとわからないくらい。
もちろん空間周波数が大きい場合はそれなりですけど、でもここまで仕上がっていると私はもう充分だと思います。

デジタルテレコンについて熱く語ってしまいましたけど、単焦点レンズ&コンパクトがレゾン/デートルであるGR Digitalだからこそ、デジタルテレコンはもっと真面目に真剣にねっとり、じっくり、ぬっちゃりと取り組んで「オリンパスのデジタルテレコンなんか『屁』の突っ張りだぜ?」と鼻を鳴らすくらいのものを搭載して欲しいところです。
搭載されたら、本当に隙のないカメラになると思う。
今みたいなピューリタンを中心としたマニア層だけじゃなくて、普通のユーザーも取り込めるんじゃないかなあ。

あ。
あと、デジタルズームがらみで文句を。
デジタルズーム時の、あの液晶表示クオリティは、ありゃ何じゃ?
最低。
赤点。
落第。
やり直し!

そんな感じ?

でも。
ぱっと取り出して、AFの事なんかもあまり考えずに(フルプレスAUTO)、ぱっと撮ってケータイカメラ以上の画質を約束してくれるカメラは、たぶんこいつ以外に無いと思います。
だから、いまだに唯一無二。
GR Digitalはその方向でずっと行ってもいいのかな、とも思えてしまう。
だけど甘えていいのはユーザーだけで、作り手がそこに甘えると宗教になります。
さらなる高みを目指したGR Digital Vを、期待します。
なので!