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☆本気で作った妥協作 Nikon Z7、Z6が発表された

カメラ

2018年8月23日木曜日、ニコンよりかねてより噂の(今度は)本気で作ったいわゆるミラーレスカメラが発表されました

発売はZ7が9月下旬、Z6は11月下旬とのこと。

◎本気が感じられなかったNikon 1

それでも6台ほど買ったNikon 1。
過去の記事を探してみましたが、そこそこ残っていました。
このブログで拾い上げた中でも結構記事があります。
これとか、

★Nikon 1 V3 プレミアムキット
第一印象(初出:2015/01/14) ・本体デザインは歴代Vシリーズで一番いいと思う。 ・頑張ってEVFを内蔵して欲しかった。が、EVFを取って付けたデザインも私はけっこういいと思う。 ・本体のグリップでも悪くないが、キットのグリップを一...

これとか、

★Nikon Nikon1 V1 ショートレビュー集 Ⅳ
(初出:2012/01/18) ◆Nikon 1 V1 ショートレビュー その8 タイトルは「キットレンズはきっといい」 10mmの単焦点レンズがキットについていて、ズームのみの設定はまだない。望遠ズームが必要の無い私はダブルズームキットは...

これなんかも。

★Nikon 1 J5 レビュー前
のチェック(初出:2015/04/23) Q:V3があるのになぜエントリーラインのJ5を追加購入したのか? A:新しいセンサが気になったからに決まってる 新しいセンサの特徴は二つ。 1)画素数が増えた(RX100シリーズと同じ2メガ) 2)...

すみません、どれも例によっていい加減な記事で。

でもまあ、アレです。Nikon 1って、

センササイズとか
画質とか
レンズ性能とか

そういう部分以前の問題、つまりボディ側の機能や操作性などの店で、「お前、なめてんの?」的な部分が鼻についておりました。
しかもFマウントの一眼レフとの「格差」をわざとつけるかのように。
Nikonとしては想定する購買層、つまりセグメントが違うという判断で、コンパクトカメラの延長としてしか捉えていなかったのでしょうが、その想定する購買層ではない私のような「新しもの好きでカメラ好き」という属性持ちのユーザーにとってはなんとも欲求不満が貯まるシステムでした。

その、あまり本気で作ったとは言えないNikon 1マウントのセンササイズは1インチでしたが、Nikon Zマウントは135版フルフレーム。
今度こそ本気が伺えます。

基本的にNikonはずっといわゆるミラーレスのシステムカメラを馬鹿にするような発言を続けていたように思います。
なんというか、異世界ファンタジーなどでよくある、貴族階級が平民を蔑むような、あんな感じです。
なので私はNikonがどうにも好きになれないのです。
あ、Nikonのカメラは大好きです。カメラに罪はないですからね。
私の場合、坊主が憎くても袈裟は袈裟として評価しちゃう一貫性がないやつなんです。

延命に延命を重ねてきた「もう充分よ。これ以上頑張らないで」系のNikon Fマウントの正統の名称はZマウント。Zはもちろんアルファベットの最後の文字。Nikon 1が文字通り「始まり」を意味していたとしたら、Zは「最後」ではなく、「究極」の、もしくは「不退転」を意味するものなのでしょう。
まあ、なんというか、極端ですよね。中二病風味を感じます。
※個人の感想です。

◎貴族が平民に足を掬われる

まあ、そんなNikonでしたが、時代の流れの中で「そうも言っていられない」状況に陥ってしまったのでしょうね。
もちろん、ミラーレスの先鋒マイクロ4/3……などではなく(Nikonは今この時点でもマイクロ4/3ごときは下民に過ぎない、と思っていると思います)、SONYのαシリーズ、それもα7を中心とする135版フルフレームのセンサを持つシステムが、「一眼レフ」という聖域を侵し始めたからに他なりません。

平民のマイクロ4/3が多少頑張って自分たちの「居場所」を確保しようが、貴族のNikon様はその度量で「まあ、いいじゃないか。あの程度」と余裕ぶっこいていらっしゃいましたが、SONYは平民出身ながら、完全に貴族の利権を食い荒らし始めてしまったのですから。

それでも最初はSONYも平民としての分をわきまえた振る舞いをしていました。

「へっへ、大丈夫でさ、Nikonの旦那。俺たちゃ所詮はAPSさいずですから。ほれ、マウント経もこの程度しかありませんし」
「そうか、まあせいぜい励めよ」

しかし、狡猾なSONYは、怒涛のようにEマウントのボディをばら撒き、一定のシェアを確保したあたりで、聖域である「135フルフレームのカメラシステム」に攻め込んできたのです。
虚を突かれたNikon家やCanon家といった貴族たちは、急には体勢を整える事ができず、あれよあれよと今にいう間に、一部とはいえ、自分たちが守ってきた不可侵であるはずの領土を占領されてしまったのです。

◎聖戦勃発と撲滅兵器

聖地奪還を掲げたNikonとCanonの両家は、最新の兵器で武装したSONY軍に対抗すべく準備をはじめました。
そして幾星霜。
先に軍備を整えたのはNikonでした。
そしてSONYを研究しつくし、撲滅を目的として開発された新兵器こそ、Zマウントシステムであり、Z7とZ6というミルクス・アーマーだったのです。

多少遅れたとはいえ、その潜在能力はZシステムを凌駕するとも噂されるCanon陣営の参戦は必至。しかもCanon家はこの機に乗じ、かねてよりの政敵であるNikon家も、SONYもろとも討滅しつもりであろうというきな臭い噂も万円している情勢です。

さて、この聖戦の行方は?

続きは来月発売予定の第2巻、「激突!三陣営」にて。

刮目して待て!

◎えーっと……

とにかく話をもとに戻しましょう。
そういうわけで、Nikonは今度こそ本気にならざるを得なかったのです。
Fマウントの一眼レフにこだわっている限り、Nikon家は老いた家臣たちとともに、緩やかな死を迎えることのなったでしょうから。

◎SONY以下のZ7とZ6。

で、ようやく今回発表されたZ7とZ6の話になるのですが、一言でいうと「いいね!」です。
何がいいって、135版フルフレームというセンササイズを除くと、私の場合は主に

1.ボディ内手ぶれ補正機能を搭載している
2.チルト液晶である

という二点。
今までNikonは「画質至上主義の血統である我がNikon家はレンズ側こそ至上。ボディ内手ぶれ補正など、欠点だらけ。愚民が考えそうなことだ。まさに愚考であろう」と言ってきた気がしておりますが、ここへ来てそのボディ内手ぶれ補正を搭載したのは英断だと思います。
おそらく「ボディ内レブレ補正はクソ」などと言っていた側近を抑える賢明な家臣が台頭してきたのでしょう。

手ぶれ補正を内蔵できれば、レンズ側の設計負担が減ります。
手ぶれ補正用のエレメント(レンズ)の必要がなく、コストも重量もサイズも抑えることができますからね。
その上で「さらなる手ぶれ補正能力の増強」も可能です。ええ、レンズ側に手ブレ補正機能を搭載し、ボディ側の手ブレ補正機能と連動を図るアルゴリズムがすでに確率されていますから。
もはや「レンズ側」と「ボディ側」の優劣を議論など、前時代的なものになっているのです。

バリアングルではなく、敢えてチルト式ディスプレイにしてきたのも英断です。


一長一短のある両方式ですが、Nikonの場合、家臣(既存のユーザー層)を考えると、皆そろそろボケが始まっている頃ですから、複雑なバリアングル方式を使いこなせない可能性があるからです。
なのでここはベーシックでシンプルなチルト式を採用したのでしょう。
ここにも「縦撮りに対応できる可動ディスプレイはバリアングルタイプであるべきであろう」と、盲目的にゴリ押ししようとする長老達を「実態を見据える」ことに長けた現実主義の若手の老中が抑えてくれたのでしょう。
Nikon家も新陳代謝が始まっている模様。

勝手な憶測をすると、Zマウントシステムは新進気鋭の若手を重用(ちょうよう)し、「バリアングルがー」とか「ボディ内手ぶれ補正は熱で画質がー」とか騒いでいる旧態依然とした価値観の連中は、「君たちはFマウントのさらなる進化にその実力を発揮してくれたまえ」などとおだてて、その泥舟……じゃなくてそちら側の開発に回したのではないでしょうか。
しらんけど。

というわけで、Z7とZ6は本気で作ってはいるようですが、私に言わせると「枯れたテクノロジーを無難にまとめたモデル」という評価に落ち着きます。
だって、他のミルクス(MILCS=Mirrorless Interchangeable Lens Camera System)系メーカーの中でも中心となっているOLYMPUS、Panasonic、SONYでは、とっくに採用しているものばかりですから。

タイトルの「本気で作った妥協作」というのはそういう意味あいでつけたものです。

◎奢れるSONYは久しからず

でも、短期決戦ではどうあれ、長期戦となる「135版フルフレームにおける聖戦」の行方は、おそらくNikon家に軍配があがると私は考えています。

なぜなら、SONY陣営はあくまでも奇襲によって一時的に陣地確保が出来ただけに過ぎないからです。
理由は「マウント径」にあります。
EマウントはAPS用に策定されたもの、というのは間違いないところ。
「まあ、ムリしたら運用できます」レベルではないでしょうか。
「無理したら」マイクロ4/3でも135フルフレームセンサに対応できるんじゃないでしょうかね。

翻ってNikonは最初から135フルフレームセンサに無理なく対応できるサイズをチョイスしました。
これはレンズ設計においてSONYに対してアドバンテージがあると思います。
具体的には同じ性能のレンズであればより小型軽量化が可能で、同じサイズであればより光学性能の高いレンズが設計可能なのではないかと。

SONYのEマウントは、135版フルフレームというセンササイズの戦いに於いては、皮肉なことにデジタル時代でムリにムリを重ねた小径マウントであるNikon Fマウントの立場になっているのです。

ちなみにSONYのEマウントは46mmφ、Nikon Zマウントは55mmφ、キヤノンのEFマウントは先見の明を感じる54mmφもあるのですが、いかんせんフランジバックの問題でミラーレス勢に対するアドバンテージはありません。

Zマウント発表時点ではレンズも少なく、SONYのαシステムとは雲泥の差ともいえる兵力差がありますが、多分Nikon Zマウントのネイティブレンズは遅くとも3年以内に追いつくことでしょう。
それまではマウントアダプターを介して、レガシーであるFマウントレンズで繋いで行くことになるのでしょうが、いきなり補給路が絶たれるなどということはなさそうです。

Fマウントという資産を投入しつつ、援軍を待ちつつ地道に戦えば、「その日」は意外に早くやってくる可能性が高い。
私はそう見ますが……。

◎Nikon Zマウントへの期待

とはいえ、Nikonは実のところ内憂外患状態なのではないでしょうか。
外向きはSONYと、そして今年の年末には概要がわかるCanonと戦いつつ、社内ではレガシー派、すなわちFマウントシステム派とリソースを分け合う必要があります。
資産という名の負債をどうやって清算していくか、そこがNikonと、そしてもちろんCanonという貴族達の大きな課題ではないでしょうか。

私は新しもの好きなので、そもそも最初からNikonのFマウントシステムやCanonのEFマウントシステムには未来はないと思っています。
Canonのそれはまだ未知数なのであれですが、Nikonがなりふり構わず勝ちに行くつもりであれば、このZマウントは大いに注目だと思います。

特に最初に出してきた手堅い作りのZ7、Z6を見ていると、「次の一手」の存在が容易に想像できます。
Z7とZ6で地盤固めをしつつ、Nikonは次のモデルで底力を見せてくる気がします。
だいたい、番号を見ればわかりますよね。
SONYのエースナンバーは7。そこにぶつける新モデルですから、7の番号を冠したのでしょう。
SONYにはもちろん9もありますが、そちらはエースというより「大御所」的な存在。
対してNikonのエースナンバーは1ですから、1というモデルが出てくるまでは、Nikonのモデルは実験機であるのでしょう。

いや、しばらく閉塞していたデジカメ業界ですが、ここへ来て面白いフェイズに入ってきました。

◎バイヤーズガイド。買うのはZ7か、それともZ6か

まあ、両方買えよって話ですが、庶民にはこれがなかなか出来ませんよね。
かく言う私もZマウントシステムはほしいので買う予定です。
とはいえ両方は買えませんから、どちらかを選ぶ、ということになるのですが……。

これはもう、なんというか私の場合はあまり迷う必要がありません。
この二台なら断然Z6です。
理由は以下の通り。

1.私の場合は画素数はZ6で十分
2.画素数以外は基本的にZ7もZ6もだいたい同じ(というか、ボディは同じものを使っている?)
3.Z6はZ7のだいたい半額

連射性能とかISO設定範囲とか、AF測距点の差とか、細かい違いは他にもありますが、私的にはそれらは「こまけえ事はいいんだよ」項目。
高画素数が必要な人は迷わずZ7にすべきでしょうけど、Z6の24MPでマジで十分な私としては価格の差が圧倒的なチャームポイントになるわけです。

というか、Z7を買う理由が思いつきません。

◎ボディデザインについて

デザインについてはもう、各人の好みなのでアレですが、敢えて言わせていただけると
「絶妙なダサさ」
でしょうか。


絶妙とはどういう意味かというと、「ブサカワイイ」範囲にギリ入っているという感じで。
新しいところを狙いつつも、醸し出されるオヤジ臭っていうところがにくいですね。

対してレンズはプレーンな感じで、こちらは好みです。
金の輪とか赤い輪、とかそのうちそういう価値観の「社内カースト」的な視覚付加物がついてくる可能性がありますが、今のところは良識派が活躍してくれているようで何よりです。

◎初期レンズは3本。どれを選ぶか?

単焦点派の私ですが、ここは迷わずNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sです。
全域で最短撮影距離が30cmというのは「頑張ったな、Nikon」と思います。
F2.8なんてムリしてませんので、小型軽量に収まっていてボディとのバランスを考えても使い勝手がよさそうです。
Z6とこのレンズのキットが私にとってのベストバイかと。

単焦点の二本も悪くないのですが、それを選ばない理由は簡単です。
私が使わない画角だから。あと、サイズがでかい。
35mmも50mmも、私は普段からほぼ必要がないんですよね。
小型軽量の24mmのF1.8くらいの小型の普及レンズが出てから検討します。
28mmは今メインで使っているLEICA Qとダブるので必要ありません。

さて、発売が待ち遠しいですねえ。

ちなみに、実機のハンズオンイベントが、東京や大阪などでは発売前に行われます。
行ける方はぜひ。すごい人出でしょうけど。

東京:9月1日(土)、9月2日(日)
大阪:9月15日(土)、9月16日(日)
名古屋:9月22日(土)、9月23日(日)
札幌:10月6日(土)
広島:10月28日(日)
福岡:11月4日(日)
仙台:11月10日(土)