最初にお断りしておきますが長いです。何しろ原稿用紙換算で15枚くらいになりますから。(初出:2017/04)
長くても140文字しか読めない人が多いネットに長文ばかり流していてホント申し訳ないですが、大学のレポートは140文字じゃ点数もらえないんですよ。
いえ、別に私は学生じゃないし、これは提出用レポートでもないので文字数とかどうでもいいんですが。
さて。では長い話をはじめるとしましょう。
うまく回っている一連のサイクルのうち、重要な部分をどれか一つ換えると、そのサイクルが今まで通りうまく回っていくかというのは大いなる疑問でしょう。
例えばクルマ。
気に入って乗っている愛車。車検を機に「もっとパワーがあるともっとワクワクと楽しいだろうな」と思ってターボチャージャーをボルトオンしたとしましょう。
パワーはノーマルの1.5倍に達し、当然ながら直進の加速は激増しました。
でもそのパワー堪能しようとすると、今度は直線での速度が今までより早い為に、コーナー入り口でのブレーキングを強めに行う必要が出てきます。というか、今までよりブレーキに負担がかかるようになりました。
コーナリングでも同様です。パワーがある分、コーナーの出口で今までより早めにアクセルを踏みたくなってきたのですが、タイヤがコーナリングパワーと駆動力の両方を受け止めきれずにアンダーが強くなってしまいました(FFなので)。仕方なくタイヤをハイグリップタイプに換えたところ、コーナー出口でのアンダーはマシになりましたが、今度はパワーをかけた際に車体のヨレが気になってきました。ヨレによるアンダーステアもそうですが、加速時にサスペンションがパワーを吸収出来ずに安定感を欠く事が気になってきます。
要するにあるサイクルを快適に回すということは、バランスが大事って事ですよね。
そんなわけでスマートフォンを換えると、それまでのサイクルに歪みが出てきてしまったというのが今回のお話ですよ。
arrows M03がノイズまみれで音が悪い
↓
GRANBEATに交換したら、ウソのようにスッキリクッキリした音に
↓
ハイレゾ対応のGRANBEATなのに、手持ちのイヤホンは全部ハイレゾに対応していない事に気付く
↓
ハイレゾイヤホンにしたら、もっとGRANBEATの実力を引き出せるんじゃね?
とまあ、こういう感じになってしまいまして。
要するにアレです。
タイトルを付けるとしたら
「GRANBEAT時代のイヤホン選び」
みたいな?
そういうわけでイヤホンやイヤホン的なものをいくつか買いました。
もちろん「見せてもらおうか。GRANBEATの実力をやらを」と言いながらポチりましたとも。
ポチったブツ達がようやく初期エージングを終えたようなので、そろそろ感想を入れつつ、新しいサイクルにはハイレゾ対応イヤホンが必須となるのか?
いや、現状だと別にハイレゾとか必要なくね? と現状肯定になるのか。
はたまた「私の耳ではよくわからん」と問題そのものを投げ出すことになるのか。
乞うご期待。
といいつつBluetooth、それもSBC接続のW800BTの音で満足しちゃう「3000円(以下)の耳」を持つ私の音質評価なので、真に受けずに読んでいただけると幸いです、と但し書きを付けておきます。
何しろ私、チキンですからね。批判反論されてもオロオロするしかありませんので最初に逃げ道作っておくのは重要なんです。
そうは言っても「3000円以下の耳なんだから、感想手法なんてなんでもアリです」というわけにはいきません。
というか評価軸がない感想など、私自身も困ります。個人的な備忘録としての役に立ちませんからね。
そんなわけでその「評価軸」を設けた上で、要するに相対評価を行うのがわかりやすいと考えました。
すなわち「1mとは子午線の4000分の一の長さでこれくらいだよ」、という1m原器のようなものを設定しようというわけです。
私の場合のメートル原器、それはいつも使っている、文字通り耳にタコができるほど聞き込んだカナル型イヤホン、Westone 4Rになります。
Westone 4R(以下、W4R)を1mとして、それより優れている(と私が判断した)場合は1.2mとかそういう感じで。もちろんW4Rより劣っている場合は0.8mとか3cmとか、そんな感じで。
例えば、
◆W800BTの総合評価:64cm
って感じで。
え? わかりにくい?
そうですか……。個人的にメートル法は悪くないと思ったんですがね。
仕方ない。じゃあw4Rを10として、それ以上、それ以下を基本整数表記で評価って事で。
◆W800BTの総合評価:6点
こんな感じでいいッスか?
イヤホンやイヤホン的なものの評価に入る前に、まずは次にそのメートル原器について少し説明をせねばなりますまい。
既に過去の遺物となっているW4Rですが、歴史に残る名機……と思っているのは私だけで、W4Rなんて知らないっていう人が居るといけませんので……というか殆どの人はW4Rなんて知らないと思いますので、やっぱり簡単にW4Rの解説を。
スペックとしては以下のようなものです。
・形式:カナル型(要するに耳の穴に突っ込んで保持する耳栓タイプ)
・ドライバー形式:バランスド・アーマチュア(BA)型(一般的な音楽用のドライバーはダイナミック型。BA型というのは要するにもともと補聴器、つまり音の分離と解像度重視の医療用ドライバーです)
・ドライバー数:BA型×4(高音、中音、低音×2という構成。すなわちクロスオーバーは3way)
・周波数特性:10Hz~1.8KHz(つまりハイレゾ対応じゃない)
・感度:118db/mw
・インピーダンス:31Ω(1kHz)
・プラグ:リケーブル対応3.5mmステレオミニ L型
これだけだとピンとこないかもしれませんので、もう少し俗な説明を加えると、「カテゴリとしては5万円クラスのイヤホンです」となります。
「ええ? イヤホンに5万円? ないわー」
という健全な感想を持った方、あなたは正常です。その感覚は誇りに思うべきです。
つまりW4Rっていうイヤホンは、簡単二言うと「音質にこだわるマニア向け、ただしざっとミドルクラスの価格帯にあるイヤホン」って感じになります(ただし金額は5年以上前なので、当時ではハイエンドカテゴリと言ってもいいかもしれませんが……)。
W4Rの購入動機ですが、実は私はこのW4Rの前に同じWestoneの3、つまりW3(ワンダースリーではない。念のため)を使っておりまして、その流れで購入したものです。W4が出た時にもW3がよかったので上位機種だともっといいかな、と思っていたのですが、「次買うならリケーブル対応」と決めていたのでスルーを決め込んでおりました。すると「だったらこれなら買うんだろうな? ということですぐにW4のリケーブル対応番、つまりW4Rが出たので「仕方ないなあ」という事で購入。使ってみるとかなり気に入ってしまい「個人的にはもうこれでアガリでいいや」と満足して5年以上使い込んでいるイヤホンです。
確かW3に乙付くまではいろんなイヤホンをとっかえひっかえ買っていたような気がしますが、まあ他のイヤホンは忘れました。
その頃の彷徨の記録の残滓というか、今手元に残っているのはSHUREのE5cとETYMOTIC RESEARCH ER-4Sのみ。
もっともどちらも断線しているので、イヤホンというよりは文字通り残滓……というか、ただのゴミですが。
ま、名前が出てきたついでなので、この2機種の簡単な感想を。
ER-4Sはなんというか、モニタ的と言ってしまえばそうなのかもしれませんが、私の好みで言わせてもらうと「音が弱い」んですよね。繊細だけどパワーがないというか。
「凄腕なんだけど、足腰が弱ったロッカーが演奏しているような」まあそんな感じですかね。補聴器にはいいんじゃね? みたいな?
まあ、もともと補聴器メーカーだっけ、ETYMOTIC RESEARCH。
それからこのER-4S、ケーブルのタッチノイズが強烈でしたっけ。これがもう最悪で、個人的にETYMOTIC RESEARCHの印象は悪いんですよね。
SHUREのE5cはW4Rになる前の「まいふぇいばりっといやほん」でした。
ツブ立ちがよくて元気のいい音で個人的に大変好みだったのですが、耳の上側から回す体のハリガネっぽい硬い部分が超ハリガネっぽくて取り回しというか付け外しがややウザい感じがしておりました。
そこへもってきてW3を購入したところ、同じ取り回しでもWestoneのケーブルはSHUREのそれより柔らかくて耳にも優しくかつ、いわゆるケーブルの「タッチノイズ」がほぼないというか気にならないレベルだったので一気にWestoneファンになったという感じで、かつ音質もE5cと比較するとややおとなしいながらもきれいな音だったので、結局W3がお気に入りになっておりました。
そしてようやくW4Rのお話です。
じゃあW4Rはどういう傾向の音(と私が思っている)かというと、
・繊細かつウォームな中高音域
・特に中音(ヴォーカル)が綺麗にエロく聞こえる
・低音は軽め(ドライバを2つも使っているので当時のBA型、例えばETYMOTIC RESEARCHのER-4Sと比べると差は歴然、というレベルではありますが)
籠もったような音ではなく、クリアで音場も広がりがよく、いわゆる心地良いステレオ感に浸れるイヤホンでした。定位に関してはER-4Sの方が上だったと記憶しておりますが、トータル性能では「個人的に過去最高の音質」という評価を与えたイヤホンでありました。
要するに私のイヤホンの音質評価はW4Rで止まっているわけです。
言い換えるとW4R以上の音質のイヤホンは知らないわけです。
だって「もうこれでアガリ」と満足しちゃったイヤホンですからね。
当時の5万円弱の価格はそりゃもう「高いなあ」と思ったものですが、結局5年以上満足が持続して使い続けているわけで、1万円クラスのイヤホンを「もっと高いイヤホンだともっといい音がするんだろうなあ」なんて思いつつ使い続けるよりよほど幸せですし、結果論ではありますが高い買い物ではなかったと思っています。
という事で、E5cもER-4Sも比較対象には登場しませんが、今回私的には現役の東の横綱であるW4Rに挑む新人とは……。
おっと、さすがに長くなってきたので続きはまた後ほど。