趣味と暮らしにまつわる「モノ」に一喜一憂するブログ

★長期レポート【PORSCHE Macan GTS】XX サマリー(10,000km)その5:後編

PORSCHE Macan

やっはろー(*´ω`*)

パプアニューギニア!!

ほろ苦くも軽くさっぱりとした中にさりげなく光る個性、みたいな?

さて、前編では悪いことばかり書きなぐってしまいましたが、もちろん愛する我がMacan3 GTSにはいいところもたくさんあります。
というか、いいところがなかったらかなり凹んで、こんな記事を書いたりしませんよね。

というわけで、行ってみましょう。

◎Macanの○

悪い話の後はいい話を。

○視界がいい

後方は×ですが、前方は○というお話です。

同じクラスのセダンなどより視線が高いSUVはセダンと比べると相対的にに視界は良くなります。もちろんシートポジションやボディ形状による位置関係にもよりますが、同じボディで最低地上高だけをかさ上げした系の……例えばスバルのインプレッサに対するクロストレック、あるいはVOLVOのV系(ワゴン系)に対するCC(クロスカントリー系)、VWのGOLF ヴァリアントに対するオールトラックなんかは典型的ですね。

まあ、そんな話はおいといて、視点の高さ以外の観点で視界がいいのがMacanです。ただし前方に限る、ですが。

シートポジションを下げないと天井に頭が当たる人はアレですが、MacanはAピラー付け根部分の視界が確保されているのがいいところ。ここが素通し(?)になっていることにより、Aピラーをあまり太く感じない視覚効果も生じているような気がします。

○ワイパーの払しょく面積が広い

まあ「どの車と比べて」という話ですけど、XC60やXC40よりは広いと思います。
ただし、多少広いからってそれがどうした? って言われると「確かにそうですね」みたいな感じです。
必要な部分がしっかり払しょくできていれば問題は全くないと言えるでしょう。

でもそうじゃなくて、なんというかこう、アレです。
同じワイパーが動くにしても、払しょく面積が広い方が見ていて気持ちがいいじゃないですか。
「気分が上がる」系の話ですが、そこはけっこう大事かなって思うんです。
通常は気分が落ち込む雨の日に気分が上がる要素があるなんて素敵じゃないですか。

○ルーフ後端にシャークフィンがなくスッキリしている

昔はAピラーの根本とかトランクサイド付近にあったロッドアンテナ。
一部の車種ではウインドウにフィルムアンテナを貼り付けてたりしたこともありましたっけ。
その後、ルーフの先端中央に可倒式の短いヘリカルアンテナを取り付けるのが主流になっていったかと思う間もなく、気づけばルーフの、今度は後端部分に海洋生物の背びれみたいな、俗にいうシャークフィン型のアンテナが装着されるようになり、今に至ります。

個人的な体験で恐縮ですが、シャークフィン・アンテナ初体験はVOLVOのXC60でした。
その後、XC40でも小型のものがのっかっていました。
ADASに加えて純正NAVIがアタリマエになっていき、携帯電話網を使ったサービスも加わる時代に入っていましたから、それら複数のアンテナを一か所にまとめて空力を考慮したカバーをする、というのは極めて合理的に感じたものでした。
「現代のSUVにはアタリマエのものなんだろうな」
ってな感じです。

しかし納車されたMacan3 GTSのルーフには一切の突起物がありませんでした。
ルーフ後端にあるのはGTSグレード専用となるダブルフィン型のスポイラーのみ。
実にすっきりしたものです。
ステルス系処理をしているということですね。
たぶんですが、ルーフスポイラーにある2か所の膨らみ部分がアンテナの場所なのかなと考えております。


でもそうなるとGTS以外は単純なのっぺりしたルーフスポイラーがあるだけなので、あの膨らみはGTSグレードを差別化する為の単なるデザイン……なのでしょうね。
Macanのルーフはスチールでしょうから、アンテナはやはりスポイラーの中、ただし膨らみ部分とかはあまり関係ない、みたいなところなのでしょうね。

ちなみにFMラジオの受信力(感度というべきか)はXC60やXC40の方が一枚上です。
京都のα-StationというFM局の電波が、XC60とXC40ではマンションの駐車場に入ってもギリ聞こえる感じですが、Macanになってからは駐車場に入った途端にロストしてノイズだらけになってしまいます。
というか、その程度の差しか体感できないんですけど、シャークフィンの方がFM派に関しては有利なのかもしれません。

○アホっぽい顔がちょっとかわいい

相変わらずデザイン全体としては「Macanはカッコ悪い」という私の当初からの感想は揺るぐことはありません。
が。
「ブスは三日で慣れる」という格言じゃないですが、主にフロント、いわゆる「顔」の部分がかわいく思えてきました。
「カールおじさんの口回り的」なMacan3 GTSのフロントグリルのマヌケさがなんというか脱力系のユルキャラっぽく見えなくもないな、と思ってからはけっこう親しみを感じております。

ちなみにこの「黒いでっかい口を明けた間抜顔」はMacan3 GTS専用の顔です。
Macan1やMacan2、Macan3の他のグレードはここまで間抜け面はしていません。
Macan3 Tもコンセプトが「2リッター版GTS」なので雰囲気が近いんですが、色が黒くないんですよね。グレーなのでマヌケっぽさが薄い感じ。

○色

ボディカラーは「自己満足」100%といってもいい、きわめてパーソナルな領分の話になりますのでアレですが、私のMacanの「パパイヤメタリック」に関しては、同居人ともども非常に気に入っております。

町で見かけるMacanの90%は白か黒。
同じマンション駐車場のお向かいに止まっているMacan1 Sも黒。
なので白と黒は絶対避けたい……と思ったわけではありません。
色なんて好みのものにすればいいんですよ。
そもそもお向かいさんが中古のMacanに乗り換えたのは私がMacanを発注した後ですからね。

実は当初はこの色かグリーンかどちらかにしたいって考えていたんです。
でもMacanのグリーンは特色ということでそもそもアップチャージの金額がハンパなく、かつグリーンを選ぶと内装その他のパッケージが漏れなくついてくることになるんです。
細かいところは覚えていませんが、確かグリーンを選んだ時点で価格が100万円以上上がったような記憶があります。
もちろんそのオプションも欲しいものばかりならそれはそれでいいのですが、個人的には必要としない、いやもっと言うと好みじゃないオプションもついてくるようなパッケージだったので、私などがおいそれと選べる色ではなかったのです。

もともとクルマを買う場合、色は同居人に選んでもらうことにしています。
同居人も盲目的に「これじゃないとヤだ」という人ではなくアップチャージの価格を認識したうえで冷静に?チョイスする庶民なので「常識的な?」アップチャージで選べる「パパイヤメタリック」にしたわけです。
ええ、グリーンの値段を聞くと一瞬で興味をなくしておりました。(^^;
まあ、何だかんだで私と好みは一致しているというころですね。
で、同じ色の実車はなく、紙のカタログやディスプレイ越しの色や、ちっちゃな色見本プレートを見て決断したわけですが、実車を目にすると予想以上に気に入りました。
第一印象はもっと明るいオレンジをイメージしていたので「オレンジじゃない、パパイヤだ」的なこの色は予想より地味で、ある意味多少の拍子抜けの部分もあったのですが、太陽光が強いと明るく輝き、暗いと茶色系に落ちていく色変わり?的なところがいい感じで、非常に気に入っております。
基本的に妥協した色ではないところが満足度につながっているのだと思われます。

カメラでは、そしてディスプレイではちゃんと再現できないけど、赤じゃありません、念のため。

今では乗る前に立ち止まって全体を眺め「うん、いい色買ったなあ」と思えるくらい気に入っております。ええ、ボディのデザインは見ないことにしております。

いやあ、自己満足度って本当に大事ですね。

○ロードバイクの積載時にありがたさが染みるラゲッジのアンダースペース

ロードバイクを積載する系の記事では何度かかいていますが、サイクリング用品を床下部分にすべて収納できるのはとても快適です。
シューズ、ヘルメット、シートポストごと外したサドル、スタンド、フロアタイプの空気入れ、etc.etc. それら全部を飲み込んでさらに余裕があるのは実にありがたい。
Macanのラゲッジ高はSUVとしては低めなのですが、そのウィークポイントを多少なりとも補ってくれる床下収納には感謝です。

○リアシートを倒すとほぼフラットになるラゲッジスペース

これは言うまでもないことですが、ここがフラットになるのとならないのとではラゲッジの使い勝手に大きな差が出ます。段差もしっかり養生されていてスムーズに仕上げられていると思います。

「ユーティリティ・ヴィークル」を標ぼうするんですから、この辺りは基本的に気を遣ってほしいところですが、PORSCHEはきちんと考えているといっていいでしょう。
同じSUVでも兄貴分のカイエンはそのあたりは考えてないみたいですが、Eセグというかアッパークラスほどダメなのは後席の居住性が求められるからでしょうね(快適性を確保するためにリアシートの座面を長く大きく、そして厚くしないといけない)。

不満があると言えば、ラゲッジ側からリアシートを倒す為のレバーやスイッチが存在しないことです。
これもMacanの基本設計が古いことが理由であろうと思います。
今ではこのギミックは当たり前のように装着されていますもんね。

○リアシートが4:2:4の3分割になっている

これも重要。
さすがにこのクラス(X3とかGLCなどのDセグメント)になると4:2:4の3分割が主流だと思いますが、2分割と3分割とでは「ユーティリティ」度合がけっこう違うんです。
とはいえ、これも「わかる人はわかる」けど「わからない人には伝わらない」部分でしょうね。

スキーに行くにしろ楽器を運ぶにしろ、長尺ものを収納しつつ左右の快適な方のリアシートが2つとも生かしておけるというのはいろいろと便利この上ないのです。

○ボンネット形状(開けると笑みが浮かぶ穴)

これはなんというか、オーナーならではの「自己満足」系のアレです。
Macanのエンジンフード面積は広大です。
何しろヘッドライト部分まですっぽりと覆ってますからね。
「目」が抜けているのを見るとちょっとニヤっとしてしまいますよね。

まあ……BMW MINIのマネなんですけどね。

ミニのエンジンフードと違うのは「その面積」です。
このMacanのボンネットが一枚モノとしてなんでここまで大きくしたのかというと……実はVWグループとしての一つの実験だったというまことしやかな話があります。
というのは「VWグループが導入した新型の大型プレス機の性能を試してみたかったから」だそうです。
作成可能な最大サイズのパネルを作って(そして使って)みたい、な話になって、制作ちゅうのPORSCHEのMacanを見て「こいつのエンジンフード、ミニみたいにしちゃう?」「BMWはそれくらいかよ。ウチはこんなにでっかいのができるんだぜ」的な「マウント取り」の為に採用されたのだとか。

昔からこういうタイプのカバーって、スポーツやレーシング系のクルマではそこそこありましたけど、ああいうのって全部手作業だったんですよね。それが今ではプレス機で量販車用として作れちゃうというお話です。

○使いやすいブレーキホールド機能

ブレーキ系の話ですが、本体の性能云々ではなくギミック系のお話です。

最近のクルマはこの「ブレーキホールド(オートホールド)機能」を搭載しているモデルが増えてきました。
「便利機能」
「もはやこの機能がついていないクルマには乗る気がしない」
などともてはやされることが多いですよね。

私は前車のXC40で初めてこのブレーキホールド機能に出会いました。
が。
さほど便利な機能だとは感じませんでしたし、クルマ選びの際にブレーキホールド機能の有無なんて気にもしないだろうなと思いました。
強いて言うなら「いや、横着せずに停止時はちゃんとブレーキ踏んどけよ」派なのでしょう。
同居人も「停止時はブレーキ踏んどけばいいだけじゃん」と、この機能にはまったく興味を示しませんでした。
なのでXC40についていたブレーキホールド機能を使うことはほぼありませんでした。

私の場合、ブレーキホールド機能に否定的な理由はいくつかあります。
一つは「いままでそういう習慣がなかった」から。
もう一つは「信号待ちなどの停止状態でブレーキから足を離すことに対して心理的な抵抗がある」こと。いいかえると「その機能を信用できていない」ということです。
もう少しつけくわえると「(信号待ちなどで)後ろから追突された時にちゃんと効いてくれないんじゃないか」という不安もあります。

そんな感じでブレーキホールド機能になじまない状態のままMacanに乗り換えたんですが、今ではこのブレーキホールド機能、便利に使わせてもらっております。
懐疑派から賛同派に寝返った理由は、ズバリ「(ちゃんと代わりにブレーキをかけていてくれると)信頼できる」ようになったからです。
信頼とは「積み重ね」により得られるものです。
ええ、Macanに乗り換えてから、私はこのブレーキホールド機能を使って「本当に問題なくちゃんとブレーキをかけていてくれるのか」と、しばらくの間チェックを続けていたのです。

信号待ちで止まるたびに「いつでもブレーキペダルを踏めるぜ」状態でブレーキホールド機能をONにして様子を見る、ということを何度も繰り返したわけです。
その結果、平坦であろうが急こう配だろうが、ブレーキホールド機能はびくともせずにがっちりブレーキをホールドし続けてくれることがわかりました。
むしろ適当にブレーキ踏んでるような、急こう配でズルズル微妙に動いてるような人なんかは積極的に使うべきだとも考えるようになりました。
「基本的に人間がブレーキを踏んでいる状態よりも信頼できる」というのが現時点での感想です。

私の場合「楽」という考え方はそもそもありません。そもそもブレーキペダルを踏んで停止している時に「しんどいなあ」なんて思ったことは今まで一度もないですから。
「楽さ」ではなく「人間よりホールドに信頼がおける」システムだと判断したから使うようになったのです。
人間の場合だと、時にエラーを起こします。後席の子供の様子を見るためにブレーキを踏んだまま振り返ったり、ダッシュボードに入れたものを取り出そうと状態を動かしたりと、「ブレーキをホールドしている」という状態にスキが生まれる場合があるのです。
本来なら「そういうこと」をする場合はパーキングブレーキを使って完全に固定した上で行うべきですが、頭では理解していてもなかなかそうできないのが人間です。
一方でシステムは「そうだ、ダッシュボードに入れてたアメちゃんなめよう」なんてことは考えませんからね。
もちろんシステムですから100%エラーが起きないなんてことは言えませんが、人間が起こすエラーより間違いなく確率は低いといえるでしょう。

なので今では便利に使わせてもらっています。
でも、じゃあなぜXC40の時は「信頼」できるかどうかという検証すら行わなかったのか?
それは両車における「ブレーキホールド機能」のロジックが全然違うからです。
XC40の場合はセンターコンソールにあるスイッチで「ブレーキホールド機能」自体のon/offを行います。
そしてブレーキホールド機能がonであれば、ブレーキを踏むたびにブレーキホールド機能は働き、offであれば働かないのです。
「当たり前だろ?」と思うかもしれませんね。私も「アタリマエだな」と思っていました。

Macanはどうでしょう?
Macanの場合、スイッチはありません(たぶん)。
停止した後、ブレーキペダルをさらに踏み込むことによってホールド状態になるのです。
つまり使う、使わないはつま先一つで操作可能ということ。
なので「ちょっと(ホールド機能を)試してみるか」なんて思った時に瞬時に対応可能。いちいちスイッチをonにしたりoffにしたりする必要がないのです。

というわけで、使っているうちに「便利かも」と思うようになったという流れです。
通常の信号待ちではまず使いませんが、長いとわかっている時や渋滞時はきわめて便利だと感じております。
XC40もこういう「使い分け」が容易なロジックであれば積極的に使っていたのだろうな、と思います。

◎追加の「×」

「×」項目で重大なことを書き漏らしていたので最後に一つ追加します。

×15km/h以上にならないと2速にはいらないPDK(DCT=ダブルクラッチトランスミッションのこと)の仕様

マンションの駐車場内では徐行が義務付けられています。
私のマンション駐車場の場合「徐行」については「〇km/h以下」という具体的な速度表記がないのですが、要するに急に何かが飛び出してきても「余裕で」対応可能なくらいゆっくり走れ、という意味ですから、私はそれを励行しております。
具体的には15km/h以下で走行しております。
Macanだとこの速度域での移動ってけっこう辛いんですよ。
トルコンATやCVTでは問題ではないと思います。
MTも問題ないでしょう(アホじゃなければ)。
でもDCTのようなツインクラッチを使った自動変速装置を持つクルマだと極低速域が苦手なクルマは多いんじゃないでしょうか。
その辺はクルマごとにセッティングが違うので何とも言えませんが、Macan3 GTSのツインクラッチは15km/hにならないと2速に入ってくれないんです。
ちなみにマニュアルモードにしても2速に変速させてくれません。
ええ、「なんでやねん!マニュアルモードちゃうんかいな!!」と思いましたよ。

MT車を運転したことがある人は想像してください。
1速に入れたままで延々と駐車場内を移動することを。
ほんの少しガスペダルに入れる入力が変化するだけでギクシャクしちゃうんですよ。
DCTって要するにマニュアル車でギア直結させるわけですからトルコンやCVTのようなルーズさがないのです。
MT車はそれでも任意でギアを2速に入れておけます。平地なら10km/hも出ていれば2速でしずしず走るのは何の問題もないでしょう。

この15km/hの壁問題を除くと、MacanのDCTは素晴らしい出来映えです。
変速は電光石火ですし、実にスムーズ。
出足についても静止状態から動き出す際の「半クラ」感はほぼ皆無です。
以前乗っていたEOS V6というクルマにもDCT(VWではDSG)がついていたのですが、あれは明確に「半クラ」感がありました。久しぶりにDCTの半クラ感を味わうことになるのかな、と思っていましたがいい意味で空振り。言われないとDCTなんてわからないレベルじゃないかと思います。
言い換えると「クルマに詳しくない人が運転しても何の違和感も覚えない」くらいのマナーを身に着けているということです。

DCTも進化しているのでしょうが、EOS V6とMacan3 GTSとでは低速トルクにかなり差があることも発進時のスムーズさに寄与しているのではないかと思います。
排気量こそEOS V6の方が大きい(3.2L)のですが自然吸気エンジンなんです。回転数でパワーを稼ぐVR6エンジンに対してMacanは2.9Lですが低速域もカバーするツイン・ターボ仕様。Macan3 GTSの方が400kgも重いとはいえ、それを補って余りあるくらいの低速トルクが出ているのでしょうね。

◎最終章:Macan3 GTSを一言で表現するなら?

「ちょっとでっかいホット・ハッチ」

「ホット・ハッチ」って死語かもしれませんが、そこは青春時代が昭和だった人間のタワゴトだと思って流してください。
うーん、平成風にいいかえると「ヤバいハッチバック」、令和風に言い直すと「エモいハッチバック」って感じ?ちょっと違う?
まあ、どうでもいいや。(^^;
要するに「けっこうすごいハッチバック」ってことです。

Macanは一応SUVカテゴリーではありますが、私が勝手にカテゴライズしたSUVとは「なんか違う」感じなのです。
クーペSUVというカテゴリー自体がそもそも「なんか違う」んですよね。それでも例えばBMWのX4(X6)とかメルセデスのGLC (GLE)クーペとかは私が勝手にカテゴライズした「SUV」枠に収まっています。
でもMacanは微妙に外れている気がしてなりません。
あ、カイエンはSUVだなと思いますし、Macanのベース車、AUDI Q5もSUVだと思います。

Macanはそれらのクルマとはちょっと違ってSUVというよりも「ぼくが考えた最強のスポーツ・ハッチバック」だと考えると、そのポジションにストンと落ちる気がするんです。
Macan以外だと……同じセグメントならマセラティのグレカーレ、少し上のセグメントだとランボルギーニのウルスとかフェラーリのプロサングエ、アストンマーティンのDBXなんかもこのカテゴリーだと思います。あ、同じマセラティでもレヴァンテはSUVな感じかな。

普通のスポーツ・ハッチバック、例えば私が尊敬するGOLF GTIを基準に考えてみましょう。
なんでGOLFかというと、私が最初に買った輸入車がGOLFだったからです。
私が買ったのは日本で輸入開始になった直後のGOLF 3。
スポーツグレードのGTIに憧れていましたが、まだ販売はされておらず、当時の最上位グレードであったGLIで妥協したわけです。
その時のマインドというか思いというのはけっこう心に深く刻まれているもので「いつかは乗りたいGOLF GTI」みたいな思いが私の中にあるのです。

これはなんというかアレです。
「熱帯魚趣味はグッピーに始まりグッピーに終わる」
「釣りはフナに始まりフナに終わる」
あと
「○○道は礼に始まり礼に終わる」
はちょっと違うか。
でもまあそういうノリで「GOLF GTI」は私の中では常にある種別格のクルマとなっているんです。

話を戻しましょう。
GOLF GTIは今でも「いつか買いたいクルマのランキングベスト10」に入る車です。
でも買わない。というか買えない。
買えない理由は「AWDではないから」です。

シーズンに入ったら、ゲレンデ・エキスプレスとして活躍してもらう必要があるので、AWDの方が「モア・ベター」なのは言うまでもありません。「FFでも充分」という意見はその通りですが私は「モア・ベター」とを希望し、できれば保険を掛けておきたい派なのです。
「だったらGOLF Rがあるじゃないか」と思いますよね?
ええ、私もそう思います。

GOLF Rは今でも「いつか買いたいクルマのランキングベスト10」に入る車です。
でも買わない。というか買えない。
買えない理由は「最低地上高が低いから」です。

前述のゲレンデ・エキスプレス用途を考えても最低地上高が低いクルマは候補に入らないんです。
というか、普段使いでも最低地上高が低くて困ることはあっても高くて困ることはないわけです(重心が高いから、ドライバビリティ云々という話はクルマによってはそもそも意味がなくなっている今日この頃なので、ここでは言及しません)。

SUVに乗るまではずっと「最低地上高がもっとあるといいのに」と思っていたくらいなので、GOLF Rのような「下りアプローチでアゴをする可能性がある」ようなクルマはライフスタイルが変わらないとチョイスしかねるのです。
「だったらTIGUAN Rがあるじゃないか」と思いますよね?
私もそう思います。

TIGUAN Rは今でも「いつか買いたいクルマのランキングベスト10」には入って……いませんが、嫌いではありません。
というか、TIGUAN Rじゃなくて私ならAUDIのRS Q3を選びます。
RS Q3は今でも「いつか買いたいクルマのランキングベスト10」に入っています。
でも買わない。というか買えない。
買えない理由は「エンジンが横置きだから」です。

BMWの323i(e46)を最後に、その後は長い間横置きエンジンのFFもしくはFFベースのAWDを乗り継いできたのですが、定年退職を機にクルマ選びに関してはできるだけ好みというかわがままを言わせてもらおうと考えているんですよ。
とはいえこの後はどんどん「諸般の都合」というヤツに包囲されていくでしょうしいつまでわがままが通るのかはわかりませんが、わがままが通る間は通したいと思うわけです。

横置きエンジンのトルクステアや何だかんだで雑味の多いステアリングを知っている人の中には私と同じように「都合が許すならばFRに乗りたい」と考えている人は多いんじゃないでしょうか。
FR=縦置きエンジンです。

既に「AWDじゃないと」と書いておきながらFRを持ち出すのは矛盾していますよね。ええ、そうです。言いたいのは「FRベースのAWD」がいいんです。

もちろん最近の電子デバイスの性能は驚くべき進化を見せていて、横置きFF車の中にはトルクステアなんて感じない車も多くなったようですし、電動パワーステアリングのシステムもどんどん良くなっていて、横置きエンジン車のステアリングフィールにしてもひと昔前とは段違いによくなっているという話も耳にします。
なのでこの辺りは原理主義というか骨格主義(なんだそれ?)が私の中にあるのだろうと思います。

物理の法則を電子のパワーでねじ伏せるのも嫌いじゃありませんが、ねじ伏せる必要はない方がいいですし、備わっている物理の法則を延ばす方向に電子デバイスを割り振る方が好みだというお話ですね。

まあそんな感じでいつの時でもVW GOLF GTIのことをぼんやり考えつつ、その時その時のライフスタイルに見合ったクルマを選んでいるわけです。

翻ってMacanです。
改めて考えてみると、この車は私が思い描く「理想的なVW GOLF GTI」と言っていい存在のような気がします。
「今のライフスタイルに合うGOLF GTI」がMacanだと言い換えてもいいでしょう。

MacanはAWDなので、細かいことを言うとGOLF GTIではなくて最低地上高を確保したストレッチGOLF Rと言った方が近いですけどね。

というわけで、整理しましょう。
「ボクが考えた最強のハッチバック」はこんな感じです。

・縦置きエンジンレイアウト
・前後のトルク配分がFR寄りのAWD
・通常使用で気を遣う必要がない最低地上高が確保されている
・マルチシリンダーエンジン
・余裕のパワーと低速トルク
・ロードバイクを2台を積んで数週間のトリップを余裕でこなす積載性能
・ロングドライブが苦にならない乗り心地
・ロングドライブが苦にならない快適装備群
などなど

Macan3 GTSはこれらのすべての要件を満たしてくれているクルマといえるでしょう。
これ以外にも望むとすれば「いつまでも眺めていたいくらいかっこいい」デザインであることですが……これは妥協可能です。乗ってしまえばエクステリアデザインなんて見えませんからね(と自分に言い聞かせておくことが重要です)。
Macanはこの項目だけは×ですが、付き合っているうちに「よく見ると味があるデザインだなあ」と思わなくもないような気がしないでもありません(苦しい(^^;)。