趣味と暮らしにまつわる「モノ」に一喜一憂するブログ

★all about XC60【ACC、最高!\(^_^)/の巻】

VOLVO XC60

ACC、最高!\(^_^)/(初出:2014/10/14)

さて、ACCの概論に続き、こんどは各論へ。
各論というか、XC60に搭載されているVOLVOのACCのについてですね。
週末に1000km程走ってきたので、そろそろファーストインプレッションを上げてもいいかな、と。

今回も結論から書きましょう。
「ACC、最高!\(^_^)/」
なんというか、アレです、アレ。
「もうACCのない車なんて考えられない」
コレです。
「今までACCのないクルマに乗っていた自分が哀れで仕方ない」
コレです。
XC60はモデル末期。日本には2009年あたりに入ってきたモデルで、その時からACCは搭載(私のもそうですが、オプションですけどね)されていたわけですから、もし私がその時点でACCの便利さに注目し、理解していたなら、ACCとの出会いはもっとずっと早かったに違いありません。
それと言うのも、私がACCの存在を知ったのはACCが設定されていないEVOQUEを購入した後だったからです。
要するに私は2013年にはじめてACCという「21世紀のじどうしゃテクノロジー」なるものを認識した、かなり「遅れた」もしくは「自動車事情に暗い」ドライバーでした。
私でそうなのですから、いまだにACCの存在すら知らない人は多いはず……ですよね?
でも、ACCの存在を知ったその時から、私はずっとACCが気になり、つまりはあこがれておりました。
気に入っていたEVOQUEの豪華絢爛な装備・ギミック類ですが、一つだけ……「ACCがついていない」事をずっと気にしていたのです。
もちろんクルーズコントロールはついています。というかここ20年ほどはクルーズコントロールが付いてないクルマは所有していません(セカンドカー除く)。
クルーズコントロール、CCなんて輸入車なら随分以前からあたりまえの機能でしたからね。

国産車に乗っていたときも、はじめて自分のお金で勝った新車(自己所有2台目。本田 VIGOR TXL ←二代目ACCORD HBの姉妹車で、確か本田でカタログ価格がもっとも高かったと思われます。北米向けACCORDのヘッドランプやデザインを取り入れた変わり種モデルでした)にCCが付いてまして(VIGORは全車に標準装備。しかもCPU搭載のデジパネだった)、その当時はまだ高速道路が今のように混雑していなくて、たとえばスキー行きの為に夜の高速を走るときなどは、前にも後ろにも自分の車のみ、なんて状況でしたので、充分役に立っていたものです。
しかし恵那山トンネル交互通行時代の終焉とともに、高速道路には次第にクルマが増え、「私をスキーに連れてって」の発表が週末の高速人口? を過密化し、宅急便の発明とともに物流トラックが爆発的な増殖をはじめ、いつしか日本の高速道路ではCCの出番が無くなってしまいました。というか、レガシーなCCは使いどころが難しいデバイスになっていったのです。

それでもCC初期から搭載車に慣れ親しんでいた私はその楽ちんさを知っているので、使える所では結構使っていました。
速度調整は手元でできますし、解除もボタン一つ。またCCモードに戻りたい場合にはちゃんと「レジューム」ボタンもありましたから、CCのロジックと操作を熟知していれば「それなりに」活躍はしていたのです。

そんなレガシーなCCですが、クルマの制御が進化してくのに伴って実用性も地味に上がっていきました。
というのも、当初のCCは結構「鈍い子」だったからです。
速度設定を変えても瞬時に反応するわけではなく、結構のんびりしたものでした。
加速は当然として困るのは減速です。
具体的には下り坂での速度キープは事実上不可能で、結局解除してドライバーがシフトやブレーキで補助してあげるしかありませんでした。
その辺りの制御はゆっくりとながら改善していき、2013年モデルのEVOQUEでは「まあ、なんとか許容範囲?」と自分を納得させる事ができるかどうか、まで来ていました。
とは言え、80km/h設定をしていても、比較的急な下り坂だといったん95km/hくらいまで出てしまう事は多々あり「よくできました」より「もう少し頑張りましょう」のハンコが似合う状況でしか無かったわけですが……。
そんなEVOQUEのCCの動作を体験する度に、私の脳裏にはACCの影がちらついておりました。2014年モデルではCCがACCになると聞き及び、嫉妬の炎で焼け死んでしまうのではないかと思う程でございました(かなりウソです)。
まあ要するに、CCを解除する度にACCへの思いが募っていた、というわけなのです。

なので。
EVOQUEを降りて違う車に買い替えると決めた時、何はなくてもACCは必須装備でした。ACCがつかないクルマなどもはや眼中にはありません。
そうです、LOTUS ELISEやケーターハム セブンなどは眼中にはなかったのです。
言い換えればACCさえ付いていれば、ある程度の妥協はするぜ、などと思っておりました。
幸にして「これが良いかな」と思ったクルマはどれもACCが選べました。
「いい時代になったものだな」と思う反面、「2013年モデルなのに、何でEVOQUEにはACCがなかったのか!」とLAND ROVERには改めて恨みを抱きました。
2013年モデルのEVOQUE Coupe DynamicにACCさえ乗っていれば、ACCの副次的作用で私のEVOQUEにはあれほどのトラブルが発生することなどなかったにちがいありません。
とは言えまあ、所詮は「たられば」の世界。2013年モデルにはACCは搭載されず、私のEVOQUEは1年のうち60日はピットインを余儀なくされる個体だったという事実は確定しております故。

そしてEVOQUEのリプレイスとなったXC60。とっくにACCが搭載されたモデルです。
ステアリング左側にある、ACCスタンバイのアイコンをなでさすりACCに思いを馳せる私に、地味子はきっとこう言っていたことでしょう。「何を今さら、そんな古くからの機能に入れ込むの? 変なヤツ」と。
変なヤツで結構! こうみえて(どう見えて?)ACCは初体験。つかACCなんて知ったのは去年だよ、去年。悪かったな、無知で! 自動車事情とかに暗くて! 悪いけどこちとら、ここ10数年来、クルマ雑誌とか全然読んでないんだよ! 最新テクノロジとか知るかよ! なんだよ、知らない間に世の中のクルマ、こんなに便利になりやがって、聞いてねえよ! つかお前、地味なのに改めて調べるとギミックがすごいよな! リアゲートがパワーじゃないけどな! ステアリングヒーターついてないけどな! フロントウィンドウに熱線入りのデフォッガーがないけどな! センサ・電気系デバイスはすげえよ! つかACC早く使いてー!

とまあ、苦節1年? でACC搭載モデルを手に入れた私は早くその機能を味わいたくてウズウズしていたわけでございます。
「果たして本当に動作するのか?」 という好奇心がありましたので、チラっとだけですがテスト使用はしました。というか使い方を知る為に操作してみたというのが正しいいい方ですが。
最初に断っておきますが、XC60にはCCモードもあります。とうかACCがオプションなので、CCが標準ということですね。つまりACCを使うという設定は必要です(とは言えACCモデルではデフォルトでACCを使うモードになっていますが)。

XC60のACCの設定ロジックには当初戸惑いました。
私が理解しているCCの設定ロジックは次の通り。

1)設定したい速度で走る
2)CCボタンを押す

もしくは

1)取りあえずCCボタンを押す(CCが使える速度域である事が前提。当然ですが)
2)車速設定ボタンの+/-で希望速度に設定する

でしょうか。
私は主に前者で設定し、走行車線の流れにあわすべく、車速設定ボタンで巡航速度を頻繁に調整して使っていました。
ところがXC60の、というよりVOLVOのACCはスタートさせるのにちょっとだけ、具体的にはワンステップ必要です。

1)ACCの「スタンバイボタンを押す」(45km/l以上でないと反応しない)
2)設定したい速度で走る
3)+ボタンを押す(-でもいいけど)

(260km/hの下にあるアイコンがACCアイコン。白いのでスタンバイ状態であることがわかります。自動追随中の場合はこのアイコンがグリーンになります。中央の自車の向こう側に白い車影があるのでロックオン(追随)中だとわかります。また自車とターゲットにある白い横筋が距離で、3本が濃い白なので3番目の距離を選んでいることがわかります。ちなみにACCアイコンの左がワイパーの雨滴感知モードがONであることを表すアイコン。その左のECOの文字は文字通りエコモードである事がわかります。蛇足ながら220の左にある○に50のアイコンは、ご想像通り今走っている道路が制限速度50km/hだという意味です。また速度計の0-20km/hあたりが明るく輝いているのは光が反射しているわけではなくて、針がある近辺を目立たせるためにその部分だけが明るくなるというロジックです。100km/hで走行しているとその付近だけがこのように目立つようになっていてドライバーの視線を自然に誘導するようになっている模様です、はい)

実際にはACCスタンバイボタンをおして、すぐに+ボタンでONにするので手間はほとんどかかりません。
でも同じロジックだろうとたかをくくり、はじめて試した時はスタンバイボタンを押して放置するとどんどん車速が落ちていき「ハテナ?」と思った事を白状しておきましょう。まあ、まだマニュアルを読む前でしたからね。
ちなみにVOLVOの車速設定のステップは粗いです。5km/hキザミです。
設定時のみその設定速度で設定されるようですが、たとえば78km/hで設定して+を1回押すと80km/hになり、その後は+でも-でも5km/hキザミで反応する、という事です。78km/hの次は83km/hということではありません。

使い始めた初っぱなは「うーむ。粗いなあ」と思った私ですが、すぐに「これでいいのだ。これが合理的なのだ。VOLVO、やるな」と一転肯定派に鞍替えをしました。
なぜか?
それはACCだから、です。
何キロに設定していようが、前車の速度に適合した(adaptive)速度で走るのがACCなのですから。
前車がいなければ設定した速度でCCとして走行しますが、そもそも制限速度は10km/hキザミです。「オレ、制限速度の2km/h下で走りたいヒトなんで」というマイノリティは無視していいレベルだと思うのです。
それより制限速度、もしくは制限速度プラス何キロ、という設定をする場合は5km/hキザミの方がボタンを押す回数が少なくて済みます。
CCとしては微調整出来た方がいいに決まっていますが、ACCはこれで充分。むしろこっちの方がいいというのが私の評価です。
それから設定速度を上げるにしろ下げるにしろ1km/hキザミとかだと微妙です。5km/hだと即座に反応して設定が体感できるので、官能評価的にもこれでいいのでは無いかと思います。
ちなみにCCのみを搭載しているクルマでも、1km/h毎に設定出来るのはまれじゃないでしょうか。
EVOQUEは確か3km/hキザミじゃなかったかなあ。

というわけで操作ロジックの話はここまで。
いよいよ実際に使ってみての話をしましょう。

実際に使ってみて……「ACC、最高!\(^_^)/」
もうええって……。というツッコミは甘んじて受けましょう。でもやっぱり「ACC、最高!\(^_^)/」としか言いようがありません。

XC60は対応距離の違う二種類のミリ波レーダーと赤外線センサー、さらにデジカメまで使っているそうで、中でもACCに使われるミリ波レーダーは雨などに影響されにくいという話は、さっそく今回の復路の台風がらみの大雨で確認させていただきました。途中結構な風雨にさらされ、前車が巻き上げるしぶきで白い霧のような状況になっても、変わらず淡々とACCは作動していましたので。
当然ながら夜だろうが昼だろうが、ACCは完璧に動作してくれていました。

使い始めは「いつでもブレーキを踏むぞ」という覚悟でブレーキペダルの直前に足を浮かして待ち構えていましたが、ACCはマジで信頼できるとわかったあとは、右膝は深く曲げてフロアをどっしりと踏んで楽な姿勢をとることにしました。この点、XC60のアップライトな着座位置は好都合で、足の裏をべったりと床に付けるようなポジションを取ってもフトモモが浮いたりしません。伸ばした右脚をちょっと手前に引く位では座面との関係があまり変わらないのです。たぶんボディかさ上げ系を除く、いわゆるSUVの多くがXC60同様の楽なポジショニングができるのではないかと推測します。EVOQUEはもちろんOKです。

ゆったりとクルージングしている時は当然ながら、ACCがその真価を発揮し、私にして「ACCすげー!」と言わしめたのは、登り坂やトンネルなどでアホなドライバーがブレーキかけたり減速したりしたのが原因で急に前方が詰まったりした時です。
ACCは実に適切な減速を行い、ACCで追随している限り、確実に、ドライバーに不安を与えること無く減速し、必要であれば停止してくれます。
今回も、雨が強くなったことが原因なのか、いきなり前のクルマが急なブレーキを(高速道路上を直進しているのに!!)踏んだのですが、即座に急ブレーキでこれに対応、安全な車間を保ったまま前車追随を続けてくれました。
「あ、ヤバ。ブレーキ踏もう」と思った時にはブレーキ踏んでくれてました。しかも相当強いブレーキです。
多くのドライバーは急ブレーキを踏めません。自分で急ブレーキだと思っているのは全然急ブレーキじゃないわけなんですが、それがわからない。止まれるのに止まれずぶつかる事故の半分以上はクルマの性能を出し切れていないドライバーのタコさ加減が生んでいるそうです。
しかし、ACCはそんなタコなドライバーが一生踏まないような急ブレーキをためらわずに踏んでくれます。まるで「急ブレーキってのはこういうのを言うんだよ」と言っているかのようです。
ACCはオートブレーキなどの技術の副産物です。歩行者にぶつからないようにするシステムがやることです。ブレーキが得意なのはいうまでもないですよね。

ちなみに、帰宅してしばらくして道路状況を確認したのですが、ACCが急ブレーキを踏んだ区間がいち早く通行止めになっていました。たぶんあの区間は雨が激しい区間だったのでしょう。その後伊勢湾岸道路など海上を通るような道路も不通になっていましたが……。
それにしてもワイパーがきかないほど雨が強くなったからと言ってブレーキ踏みますかね? 追い越し車線で。
クルマに詳しくないのでメーカーや車種はとんとわかりませんが、黒いミニバンでしたけど、他のクルマにおいつくと「早くどけや!」的に真後ろにピッタリ付けて威嚇するように蹴散らす走りをしていたかと思うとソレです。早くお迎えが来ることを祈っております。

ACCの車間距離ですが、次の2つで変化します。

1)速度
2)ドライバーの設定

当然ながら、巡航速度が上がれば車間距離は広くなり、下がれば狭くなるわけです。
で、その基準値となる車間距離をドライバーが5段階で設定できます。
色々試しましたが、個人的にしっくりきたのは真ん中、つまり3番目でした。
3番目だと普段自分で走っているより「気持ち」広いという感じで、その分何かあった時のマニュアルの対処に余裕が生まれます。それより広くすると、たとえば追い越し車線とかで前車に追随していると「車間開けすぎ」だと思われるかな、と言う感じです。言い換えると走行車線でより余裕が欲しい時はさらに広げてもいいと思います。
ACCで楽しつつ、かつ燃費も稼ぎたい場合は前車との車間をできるだけ詰めた方が空気の流れをりようできますので有利に働きます。
まあ、一番短くしても前のクルマを煽っているかのようなミニバン走り、トラック走りにはほど遠いジェントルな車間なので問題はありません。しっくりくる車間を選ぶといいと思います。
私は狭くするのは渋滞や密集してきた時用かな、と思っていますが、それでもウインカーも付けずにいきなり目の前に入ってくるクルマが多い日本(ドイツだと日本のミニバンオーナーの多くは通報されてヘリが来てタイホされます。で、死刑かな(・∀・))ですから、多少混んでいても少し開け気味の方が割り込み(割り込まれ?)ゾーンが大きいので安全だと思います。いくらACCでも直前に割り込まれてブレーキでも踏まれたらぶつかりますしね。

まあ、そう言うわけでACCでのクルージングはまさにクルージングと呼ぶにふさわしい「優雅さ」があります。もちろんステアリング操作の必要はありますし、いざという時の対処が遅れないようにしておく心構えは必要ですが、それでも流れを先読みしてCCの速度設定を変えたり、あるいはCCなどつかわない場合は路面の角度や前車の動きなどを判断した上で自分の車の性能を把握して、アクセルペダルに置く足のGを変化させるという結構な「作業」を行う必要がなくなります。
加速はもちろんとして、特に定速側の速度調整が楽ちんです。今まではパドルシフトを多用しておりましたので、XC60の2014年後期モデルにパドルシフトが付いていることを知りたいへんホッとしたものです。本来V40CC狙いだった私がXC60に転身? したのはパドルシフトの有無が大きな理由の一つでもあったくらいです。
でも、ACCを使ってみて考えが変わりました。
「別にパドルシフトなどいらないのだ」と。
普段はACCに任せておき、ACCナシで走っている時にはセレクタをマニュアルで使えば充分です。
つまり
「パドルシフト? アレは絶対いるでしょ?」派から
「パドルシフト? ああ、アレはあってもいいよね」派に鞍替えです。
ただし、EVOQUEの場合は事情が違います。あのクルマ、ACCがあったとしてもマニュアルでATを操作しようと思うとパドルシフト必須なんです。
なぜか? それはセレクタがダイヤル式だからです。というかセレクタでマニュアル操作なんてできませんので別のレバーなりなんなりが必要なのですが、それがパドルシフトだということです。
別項で述べますが、やっぱりセレクタはダイヤルよりシフトノブ型です。しかもギザギザゲートよりストレートゲートです。色々使いやすいのはそれだ、とストレートゲートのセレクタに戻って、しみじみと感じました。
いやあ、EVOQUEのせり上がってくるダイアル式のセレクタを見た時には、その物珍しさとサイバー感溢れる雰囲気にコロっといっちゃいましたが、やっぱセレクタはアレではいろいろアレだな、と今だからそう思います。
いえ、EVOQUEの名誉の為に書いておきますが、EVOQUEに乗っているときは別にあれで何の不自由もありませんでした。
むしろはじめてEVOQUEを見る人に「おおっ」なんて驚いてもらえますし、「それだけでも元は取れる」のかな、と。(・∀・)

そうそう、ACCを使っていてちょっと感動したのは追い越しをする時の動作です。
走行車線でACCを使っていると、たまに「ちょっと耐えられないくらい遅い車」に遭遇するわけです。
「速度制限解除区間(つまり100km/h制限ですが、実は100km/h制限という制限はありません)で、さすがに70km/hとかはないだろう」、と、私は思うんです。
そういう流れなら前方にタコがいるので仕方ないと思うのですが、単独でそういう車って最近結構いるじゃないですか。昔はいませんでしたよ、そんな定速マイペース車。数の増加は質の低下とはよく言ったもので、最近の高速道路のマナーはもう……って今回の主旨ではないので自粛しておきましょう。
ともかく、そういう「あ、これは追い越させてもらおう」と思ってウィンカーを出すとします。
するとXC60は加速してくれるんですよ。もちろん急加速ではなく、スムーズに加速しつつ追い越し車線に入るという、普段自分でやっているアクセルの動きをまるでトレースしてくれるように。
最初は「ターゲットがなくなったので設定速度に上げるために加速したのかな?」と思いました。なので確認しましたが、どうもウィンカー連動のようなのです。
コレにはちょっと心が動かされましたね。機械に対して「地味子、お前ってちょっと可愛いなあ」と。
まるでこっちの思いを知っていて「追い越すの? いいわよ」みたいな感じで、こちらの望む動きをしてくれているように錯覚しちゃいました。
でも、愛着というのはそういう部分でフト深まったりするんですよね。
なので今回のツーリングで私はすっかり地味子ファンになってしまいました。
ACCもそうですが、シートが素晴らしいし、乗り心地も「ああ、車が違うと乗り心地ってこんなに違うのね」と感動するくらい良かったですし。

さて、そんなACCですが、楽ちんなのは高速巡航中だけでなくて、実は高速の渋滞の中でこそ最強のデバイスなのじゃないかと思いました。
今回は裾野ICから上り車線に入ったのですが、いきなり30kmの渋滞にはまってしまいました。
しかし私は密かにワクワクしておりました。
「見せてもらおうか。ACCの渋滞性能とやらを」
そうです。ひどい渋滞の中で果たしてACCを使う事でどれだけ楽ちんになるのかを体験しようと。
結果。
「ACC最高!\(^_^)/」
いやあ、もうマジで楽ちんでございますよ。アクセルペダルもブレーキペダルも踏むことなく、私がやることといったら完全停止した後に前のクルマが動き始めたらレジュームボタンを押すだけ。これだけです。

ここでもう一つ解説をしておきますと、全速度追随型ACCでも大まかにわけて2種類の追随ロジックがありまして、
1)停止→発進をフルオートで行うもの
2)いったん停止した場合、再発進するにはきっかけを与える必要があるもの
XC60というかVOLVOは後者のカテゴリです。
「完全停止後3秒以内に前車が動き出せば自動的に発進、追随」ですが「3秒を経過した後に発進する場合はアクセルペダルを少しだけ踏むか、ステアリングのレジュームボタンを押すと追随開始」というロジックになっております。
もちろんより楽ちんなのは前者ですが、VOLVO方式でも全くストレスはありません。むしろ全自動での再稼動の場合、微妙に遅れ気味で追随が始まるのですがドライバーのタイミングでレジュームを押すとよりスムーズな追随ができるんです。というか、理想はその「3秒」というタイミングをドライバー側の好みで変更できるようになっている事でしょうか。なんというか、3秒では短すぎる気がしました。10秒かな、と。
ちなみにオートで再稼動できるかどうかはインジケーターのACCアイコンの色がグリーン(追随中)から白(スタンバイ状態)に変わることでわかります。

蛇足ながら停車中は坂道であろうとがっちりとブレーキがかかっていて、ドライバーがブレーキを踏む必要はありません。

こんな便利なACCですから、高速道路だけじゃなくて一般道でも使いたい、と思われるのは無理もありません。実際に使ってみましたが、使えます。
ですが、個人的には「日本の道路事情ではシチュエーションを選ばないと火傷をする」と思います。というか、基本的に脇道まで見通せる郊外の道路で使うならアリですが、それ以外はやめておいた方が無難だと思います。
理由はいくつかあるのですが、

1)急カーブや右左折だと前車を見失う
→結構なヘアピンにさしかかったとしましょう。下りの。それまで前のクルマに追随して40km/hくらいで走っていたので忘れてたけど、CC自体の設定速度は70km/hだった、なんていうばあい、前車を見失った段階で加速します。40→70km/hの加速ですから結構な加速です。1.8tもあるクルマが下りで加速しますからね……登りや平地で加速するよりあたりまえですが加速力は強いです。まあ曲がり切れればいいんですが下手くそだと「どアンダー」かステアリングを切りすぎ→回頭しすぎ→慌てて戻す→制御を失ってスピン……という流れが容易に想像できます。対抗来ていたらどアンダーが出た時点で正面衝突確定です。

2)急な割り込みに対処できない
→ビッチビチな短距離で追随しませんから、車間がひろがります。結果としてアホバカばかりの都市部では、低速域での無法な割り込みでヒヤっとするでしょう。パニクりやすい人はそう言うときにアクセルとブレーキを踏み間違います。

3)信号無視をしかねない
→赤信号自動認識機能はありませんので、うっかりしていてそのまま交差点に入っちゃう、ということがなきにしもあらずです。ACCで気が緩んでいると「あっ」と思った時には交差点に進入していて、側方からダンプカーにぶち当てられてあの世行きにならないとも限りません。いくらVOLVOが世界に誇るSIPSがあろうと、物理の壁は越えられませんからね。

どんな道具もそうですが、使う人、使い方次第でそれは凶器になります。ましてや自動車なんて走る鉄の塊なんですからそもそも凶器の素質充分です。それを人間のうっかりがイージーに本当の凶器にしてしまう可能性をもACCは孕んでいると言えるでしょう。
カーブでの前車ロストでのフル加速や信号無視はともかく、割り込みなどはVOLVOの場合はシティ・セーフティがある程度カバーできるのではないかと思いますが、混沌ではやっぱり自分を頼った方がいいのではないかと思います。やることをやった上で、クルマがさらなるカバーをしてくれる事もある、というのが現在の状況、……もっともかなりいい状況にあるクルマに限りますが……であろうと思います。

ネガをよく知った上で使うACCは、本当に「夢の機能」だと私は思っております。
ということで、最後にもう一度言わせていただきたい。

 ACC、最高!\(^_^)/