サイクリストの都市伝説。その名は「パンク」
と思っていた時が私にもありました。
家を出て、ずっと登って10kmくらいで1つ目のピーク。そこで休憩したときのこと。
同居人が妙なことを口にするではありませんか。
「昨日は(自転車を)掃除しなかったん?」
「は?」
「だって、最初から汚れてたよ、ほれ」
同居人が指差したのは、シートピラーから下、普通のロードレーサーだとリアブレーキがあるあたり(私の自転車はちょっと特殊なのでここにリアブレーキはない)。
言われるままに見てみると、白っぽいハネ汚れが結構たくさんついてます。
「いや、この辺も昨日はきちんときれいにしたけど、今日、水たまりとか走ったっっけ?」
「でも、走り出してすぐに気づいたから、本当にはじめの頃くらいから汚れてたよ」
「んん? それって……」
まさか、とは思いつつ、嫌な予感がした私は、その白いハネ汚れを指で触ってみると……。寝ちゃっとした粘液質のものでした。
悪い予感が的中です。
しかし現実を認めたくない私は、再度確認作業を行います。
リアタイヤを摘んでチェック。
そのまま今度はすぐ横にある同居人のリアタイヤを同じように摘んでチェック。
「認めたくない!」
「なにを?」
「私のリアタイがパンクしているかもしれないことを」
「パンク?」
そうなんです。
多分その白っぽい粘液は本来であればタイヤの内部にしか存在しないはずのシーラントです。
それが周りに飛び散っているということは、要するにシーラントが漏れているということ。
更に詳細にリアタイアをチェックしたところ、バルブ付近には一切シーラント跡がないので、バルブの根本からのモレではなさそう。
ついで、リムのフチを入念にチェック。
リムの破損や変形によるモレも、基本的になさそうです。
つまり考えられるのはタイヤ表面のどこかに穴が空いたということになります。
しかも、走り出してすぐに。
走る出す直前に空気を規定量いれた時には当然ながらシーラントが吹き出るようなことはありませんでしたので、本当に走り出してすぐに何かを踏んだのでしょう。
全然気づきませんでしたが。
なお、空気は減っていますが、走るには全く支障がない程度。路面抵抗はある程度高くなっていたのでしょうが、ずっと上りでしたし全く気づきませんでした。
もちろん、そのまま走り続けても、問題はなさそうです。あまりスピードを上げたりすると荒れた路面でタイヤやリムを炒めるかもしれませんので、そこだけ気をつければオッケーでしょう。
ですが、大事をとってそこで引き返すことにしました。
ついでに、そのままいつもお世話になっているショップに持ち込んでチェックしてもらおうと思い付きました。
何しろ三日後にはホノルル・センチュリー・ライドのために渡航しちゃいますので、このままタイヤを使い続けても大丈夫なパンクなのか、諦めて交換したほうがいいのかを、プロの目で判断してもらおうと考えたのです。
自宅に帰るほうがもちろん早いのですが、少し遠回りをするだけでオッケーなので、そのままショップへ向かいました。
ショップに着くと、ガレージのシャッターが降りているではありませんか。
すわ、定休日だったか、と思ったら、なんのことはない、開店前でした。
朝練なのでまだ早い時間だったのです。
とはいえ、30分程度で開店しますので、近くのコンビニでソフトクリームなどをなめつつ時間を潰して、開店と同時に駆け込みました。
診断結果としてはパンクなのは間違いないでしょうとのこと。
でも「可能性がある場所が数箇所ありますが、現状では完全に特定できない」
そうな。
つまり可能性がある傷からシーラントが出た痕跡が確認できないのです。
多分シーラントが穴を塞いでから20km以上走ってる計算になりますので、もはやわからない状態らしいのです。
つまり、シーラントがきちんと役目を果たしているという証左で、喜ぶべき状況です。
まあでも、できたら特定した方が判断がしやすいでしょう、ということで、ちょっと強めに圧をかけて(つまり空気を入れて)みて、そこからシーラントが滲み出たら特定できるし、もし高めの圧をかけても吹き出たりしなかったら完全に固まっているので、その場合はむしろそのまま使って、つまり様子見でいいんじゃないか、と言うことでお願いしたところ……。
吹き出ませんでした。
ということで、話をまとめると、こんな感じ。
「ハワイイ出発直前にチューブレスタイヤがパンクしちゃったけど、シーラントがいい仕事してくれたみたいで大丈夫かも?」
「かも」かぁ。
ちなみに扉の写真に付着しているシーラント、わかりますかね?
場所はシートステーとシートチューブの接合場所。シートピラーの付け根付近ですね。
一番わかり易い部分に関しては、ショップの店長がきれいに拭いてくれたのであとは残っていません。先に写真とっとくべきでした。