DACだDACだ! と騒ぎながら「必要なのはDDC」という結論にいったんは達したわけですが、ゴソゴソと機材(スピーカーユニット含む)をとっかえひっかえしながら聞き比べをしていて、思いました。(初出:2017/02)
「私はたぶん迷走している」と。
そこでいったん冷静になって原点に戻ることにしました。
原点とは?
既に思い出せない状態でしたが、じっくりと音楽を聴きながら心を落ち着けるとようやく辿り着きました。
それは
「デッドストックされているガラクタの仕分けをやったところ、20数年前に購入した古いスピーカーユニットを発掘した」
コレです。
発掘した → 全然問題ない
そこで「捨てるのはもったいないな。よし、コレを活用してやろう」という流れになったわけです。
愉ピーかーユニットを活用するというのは、机の上に伏せて置き、マグネットにゼムクリップを貼り付けて簡易クリップホルダーとして使用するとか、そういうわけではありません。要するにスピーカーとして活用してやろうと思い立ったわけですね。
スピーカーユニットのために「ハコ」、つまりエンクロージャーを用意してやろう、という事です。
昔は訳がわからないまま、見よう見まねで自分でいろいろ計算なんかして、設計図を書いて、一から自分でエンクロージャーを作りました。
唯一、板のカットだけは設計図を見せてDIYショップに頼みましたが、誤差が大きく(2mm3mm違うとかなりズレてくるんですよ)、組み立て段階は部材の修正に時間がとられるって感じで、けっこう(時間と手間的に)大変な作業でした。でもみんなそうしてましたし、まあそういう時代だったんです。
しかし、今はパラダイスですね。
有名設計者? の設計図をもとにした「音的に間違いは無い」組み立てるだけのキットはあるわ、そもそも組み立て済のものさえあるわ、設計図があれば1mm以下の精度で部材を用意するなんてスピーカーに精通した木工屋さんもたくさんあり、よりどりみどりです。
まあ、そんな中で見つけたスピーカーのメーカーの純正品(そしてほぼ専用品と言っていい)で完成したハコを見つけたので、それを買いました。
でもユニット組み付け時にスピーカーを破損。
実はこの時点できっぱりリセットしたら良かったんですよね。
「スピーカーユニットが無くなったので、ハコの方は返品なり売却なりして、何もなかった事にする」
この選択肢が正しかったんです。
しかし、その時はそんな選択肢はこれっぽっちも浮かびませんでした。
「このスピーカーからはどんな音がするんだろう?」というわくわく感に完全に支配されていたからです。
理性の喪失でございますね。
結局新しい(全く同じもの)スピーカーを手配して、ハコもユニットもド新品のスピーカーをゲット。
そして鳴らしてみたら、予想通り「ぼへ~」っとした音でした、と。
経験上、特にバックロードホーン形式のスピーカーって新品の時は「うわ、音、悪っ」という感じでスタートするんです。
なので本来の音が鳴るまではエージングを行って、ひたすら待つわけです。
そして「お、いい音が出てきた」という段階になると、今度は従来のシステムといったいどちらの方がいい、もしくはポテンシャルがあるのかを比較してしまうわけです。
そう、ここから堕転? が始まるわけですよ。
「比べる」
これがクセモノです。
この「比較するために音楽を聴く」という作業は、音楽を単純に楽しむという行為とは似て非なるモノなんです。
簡単には説明しにくいのですが、「音を分析している」か「単純に音楽を楽しんでいるか」の違い、みたいな?
全くの憶測ですが、前者の場合、脳からはガンマ波が、後者の場合はアルファ波が出ているのではないかと思います。要するにどちらも同じ行為、すなわち「音楽を聴く」という状況ながら、脳内では違う処理を行っている事になります。
何が言いたいのかと言うと、音楽を楽しむ為の機器選びなのに、多くの人は全く違う切り口で(機材を)選んでいるのではなかろうかという、提言というか注意喚起というか疑義というか、要するに「それでいいのだろうか?」という自戒に向かう意識があるということです。
もちろん人に依っては定位とか音場とか、音楽を聴くというのはそう言う部分を楽しむって人も多いと思います。たぶんいわゆるピュア・オーディオ趣味の人は分析「も」音楽を楽しむという行為に入っているのだよ、という事なのです。私なんかもピュア・オーディオ趣味なんてものは持っていませんが、じっくりと音楽に填まる場合、どうしても分析的な聴き方「も」入っているようです。いや、入っている時もある、といいましょうか。
さて、ここでようやく機材選びが混迷しているという話に戻ります。
当初のスタートからはもはや全く違う方向に行ってしまったPCオーディオ回りの改変作業ですが、混迷している事はもう仕方ないとして、方向性を決めておかないとイカンですな、という事なのです。
なぜそうなったかというと、毎日のように届く「ポチり物」を見て、さすがに「このままではヤバイ」と思ったからです。
自分自身への見せしめのために、この一ヶ月に注文したブツを羅列してみましょう。
・DAC×3台
・スピーカーユニット×6セット(!)
・エンクロージャー×4セット(!)← (ウチ届いたのは2台。あとはオーダー品なので製作に時間がかかっていて納期未定)
・スピーカーケーブル×2セット
・フロアスピーカー(既製品。2wayのPA用)×1セット ← リファレンス用に購入。
・スピーカー端子(ファストン端子)×数十個
・パワーアンプ×1
・スピーカーターミナル×5セット
・Y端子、ネジ、ワッシャー、爪付きナットなど×多数
・フェルト×適量
・グラスウール×適量
・ハタガネ×4セット
・木工用ボンド×2ボトル ←日本製のアレは使い物にならないのでメリケン製タイトボンド
・電動ドリル用ビットセット×1(一つ破損したので(・∀・))
えっと、これくらいだったかな……。
これらは方向性なんてなくて、「お、これは良さそうかも?」とか「これはちょっと試してみたいな」「だとしたら比較用にこれは欲しいかも」などという感じで、どんどんあらぬ方向に走りつつあるんですよね。
ここいらで整理しないとカネなんていくらあっても足りません。
まさにオーディオ沼というヤツでございます。
沼から脱却し、一般人として末永く生きていく為にも、方向性を定めて、タイトに責める事が重要だと気付いたわけです。
私はいったいどうしたいのか?
・DSDをネイティブに聞いてみたいのか?
・今までの環境からステップアップしたいだけなのか?
・現状だけ考えるのか? 今後の方向性は無視するのか?
・そもそも私のオーディオ的に重視するポイント(好きな音、というべきか)は何?
という感じでこの辺をまとめることが重要です。
・DSDをネイティブに聞いてみたいか?
→ まだ環境というかソースが寂しい限りなのでどっぷり楽しめるわけではないものの、興味はありますので、できれば楽しみたい。でも将来性を見越してまだまだ高価なハイスペックなものを用意するような段階でもないと考えているので、取りあえずつまみ食い出来る程度のものでOK
・今までの環境からステップアップしたい「だけ」なのか?
→ だけ、であればスピーカー換えるだけで大幅に変わる。今回はPCオーディオ回りを久しぶりに見直して見たいと考える
・現状だけを考えるのか? 今後の方向性は無視するのか?
→ 両方同じ事ですな。並列させる意味が不明。(・∀・) これはPCオーディオ回りを見直すという事イコール今後の方向性を考えておく、という事で決まり。
・私のオーディオ選びはどこがポイント? 現状よりどこをどうしたいのか?
→ 改めて自問して、具体的な方向性ってやつがわかりました。
実は私は、普段スマートフォンにツッコんで使っているイヤホンの音を無意識にリファレンスにしているという事実です。5年か10年か、もうずいぶん前(調べたら5年ちょっと前だった)に買ったイヤホン(Westone 4R)ですが、気に入っているんですよね。満足しているというか。そして知らず知らずにイヤホンの音とリビングのオーディオの音を比較して「もっとこうならないのかな」なんて沼に填まっていったようです。
イヤホンの音はあくまでもお手本にするとして、その上で好みを文章かすると……。
まず、定位重視。人の声や楽器の音がどこから出ているのかわからないのは聞いていてだんだんイライラしているので。次に私が分析的に重視するのは実は高音がスッと綺麗に、かつしっかり聞こえる音が好きなようです。実はこのイヤホンは低音の豊さがウリなのですが……。
という事で、コレを機材的に整理してみました。
要するに今回は、「スピーカーを換える(増やす)」そして「DACを導入する」の二点に収れんされる事になりました。
なので、目減りを承知で
・パワーアンプ
・PA用大型(私にしてみれば、ですが)フロアスピーカー
の2つを売却しました。
人気商品だった事もあり、おかげさまでほぼロスなしで行けました。ありがたい。
あと、エンクロージャーを自作するのはやっぱりやめて、全て組み立てまでやってもらうことにしました。要するに完成品の購入です。
で、
・ハタガネ
・木工用ボンド
を返却(未使用だったので送料負担のみでいけた)
ネジや端子類はスピーカーユニット交換などでも使うし、まあ安いものなのでそのままです。
エンクロージャーとスピーカーはしばらくの間残す予定です。
この中で組み合わせて試聴してベストを探りつつ、現状、合計して8セットあるものを、引っ越しまでに2~3セットに整理する、という事にしました。
DACについては、DDCにこだわらない事に。DACでもOK。そもそもその方が選択肢が広がるし、何しろ問題は音なのだから、というアタリマエの結論に辿り着きました。
よし。
長文の末、ようやく「DAC選び」という本来の話に辿り着きました。「一周回って元の位置」ってやつですな。
でも今回のアタマの整理で、DAC選びの方向性も見えてきました。
一番なのは「DACによる音の違いを比べない」という事です。
いや、コレやり始めたらまたけっこうオカネかかりますからね。悟りを開いてすぐに、実は既にポチっていたのを3つほどキャンセルしたんですよ。ええ、全部キャンセルです。
そこで改めて一つだけを絞る事に。
音で選ばないということですから、ある程度の定評があるもので、私のニーズに機能が合致するもの。そしてできれば今後の方向性にも沿ったモノで、リーズナブルな価格である事。
機能については、DDCの呪縛から逃れたことが実に大きい事に気付きました。
なんたって「出力はアナログだけでいい」と割り切りましたので。これで選択肢は無限です。
あ……選択肢が増えすぎるって、要するにかえって面倒になっただけか。(・∀・)
そこで、別の条件を。
できれば楽しみたいので、DSDネイティブである事を加味。
といっても、最近のDACは細かい対応範囲こそ違うにしろ、ネイティブ対応してますから、まだあまり絞れません。
じゃあ、次の条件を加えようって事で、最重要項目である「リーズナブルな値段」の値段部分を具体化する事に。
「(実売)3万円まで」
コレです。そしてこの30000円は鉄の掟としました。つまり30001円でも×なんです。
そうしないと「34800円だけど、○○が○○だし、これはリーズナブルだよね」という事になり、「34800のコレを考えるなら、あと5千円だすとワンクラス上のやつに手が届くな」なんてズルズルと上限がなくなっていくのが目に見えてます。
だがしかし。
3万円以下でも意外に多い。昔と違ってイイモノが安くなってますな。
なのでさらに条件追加。
「今後の事を見据えて選ぶ」
これです。
そして選んだのが、写真のコレ。
KORG DS-DAC-100
「今後の事を考える」というキーワードを付加したことで、有力候補だったAMULECHやFOSTEX、ONKYOなどのDACが消え、KORGが浮上。
KORGだと10、100m、100とどれもが3万円以下で購入可能。
このシリーズは中味は基本的に一緒ということなので「だったら100mにしよう」と思ったのですが、じっくりと見てみると100はアレがあるじゃありませんか。
そう、出力です。アンバランスだけじゃなくてバランスがあるのは100だけ。というかこのサイズでバランスついてるんだ! と多少はしゃいだのはナイショです。つまりRCAだけじゃなくていわゆるキャノン(XLR)があるということです。
キャノンケーブルは手元に遊んでいるのが1セットありますし、アンプ側にバランス入力端子がある。だったらアンバランスなんか使わず、バランスを利用しないテはないんじゃないか、という流れです。
で、DS-DAC-100をチョイスしました。
というか、今回初めて知りましたが、モデル末期とはいえ、安くなってますな。
ラッキーでした。
ちなみに「今後の事」というのは、引っ越しを機に全部廃棄しようと思っているLPレコードをDSDデータで録音するのに、DS-DAC-10Rを導入しようというのが既定路線だからです。
DS-DAC-10Rは市場払底でいつ手に入るかわかりませんので、それまでの繋ぎとしてKORGのDACを導入しておけば、専用ソフトの使い方にも慣れて、DS-DAC-10Rを導入してもスムーズにシームレスに行けるに違いない、と判断しました。
このDS-DAC-100ですが、実は入手済なのですが、ソフトウェアやドライバの設定が必要らしいと聞いていたので、時間が取れる時に一気に更新する予定で、まだ荷ほどきすらしておりません。
スピーカーユニット交換して音出しをするのにDACまで変えちゃうとまたリセットされてしまうので、実際に使うのは試聴環境(リファレンススピーカーのセッティング)をまず整えてからになりそうですが。