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★スピーカー選び 最終フェイズ

オーディオ系

ちょっとカッコいい響きなので「最終フェイズ」という言葉を使ってみた。(初出:2017/03)

「最終か?」と自分でツッコミを入れつつ。
結局PARK Audioの10cmフルレンジユニットシリーズで一番気に入ったのは「P」こと「パルプコーン」のモデルでした。コーン部分が黒いので面構えもいい感じ。
問題は「じゃあ、フォステクス勢と比べてどうなの?」という事です。
フォステクス勢と言ってもFE103EnとFE108EΣなので、こちらは純バックロードホーン向けのユニット。一方PARK Audioはどちらかというとバスレフ向け。むしろバックロードホーンの事など(あまり?)考えていないわけで、比較自体がフェアじゃないことはまあ百も承知です。
でも、いいんです。極めてパーソナルなチョイスなので。
ユニットとしての優劣を決めているわけじゃないですからね。あくまでも私の「3000円の耳」が気に入るかどうかという、定量化が不可能な条件下での比較ということでご理解下さい。

比較したユニットは3つ。
価格と(自分好みの)音質は比例しませんが、一応値段も入れておきます。
FOSTEX FE103En コイズミ無線WEB Shop参考価格 10,382円(ペア。以下同)
FOSTEX FE108EΣ 29,960円
PARK Audio DCU-F121P 14,658円
103Enと108EΣなんて同じメーカーでざっと3倍の価格差ですから、常識的には「勝負になるの?」って思うところですよね。
なお、ユニットは全部100時間以上のエージングを済ませた状態での比較です。
エンクロージャーは同じもの。
10cmフルレンジを想定したバックロードホーンタイプの小型エンクロージャーです。

本来はもっとしっかりした大きさの、具体的には音道が2mくらいあるエンクロージャーで比較した方がいいのでしょうが、何しろ「私の環境用」ですから、該当エンクロージャーでならない事には意味がないわけで、要するに「そもそも不公平な比較」である事をお断りしておきましょう。
因みに比較に使用した楽曲は
◆ムソルグスキー「展覧会の絵」(ストコフスキー編曲)から
「バーバ・ヤーガの小屋」
レオポルド・ストコフスキー指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

「プロムナード」の旋律が有名な「展覧会の絵」ですが、原曲はピアノ独奏曲なのですが、ラヴェル編曲の管弦楽曲の方が圧倒的に有名ではないかと思われます。
だがしかし。
毎度毎度で恐縮ですが、こちらの曲はそのラヴェル版ではなくストコフスキー自らが編曲したストコフスキー版の「展覧会の絵」です。
この曲を選んだのは、主に弦による低音がどう演奏されるかを比べたかったからです。
因みに皆さんご存じの、数多い編曲がある同曲でも最も著名な「ラヴェル編曲版」とは比べものにならない低音偏重演奏です。
ラヴェルはキャッチーな煌びやかさを狙って管楽器、それも金管楽器で旋律を歌わせる編曲(主旋律といえるプロムナードなど)ですが、ストコフスキーのそれは弦楽器のユニゾンで表現していて、真っ正面から喧嘩売ってる感じですね(いや、違うでしょうけど)。特にこの「バーバ・ヤーガの小屋」などはラヴェル版より圧倒的に「不気味」です。
ラヴェル版では泣けない感受性が強めのお子様でも、ストコフスキー版を聴かせるとトラウマになるかもしれないほど「おどろおどろしい」演奏です。
「展覧会の絵」ファンで、ストコフスキー版をまだ聴いたことがない人は「変わり種」としてコレクションしておくことをおすすめします。
私などはストコフスキー版に慣れてしまったもので、ラヴェル編曲のモノがチャラい……もとい軽薄……もとい、軽く聞こえてしまっていけません。中途半端にラヴェル版を聴くなら原曲のピアノソロ(リヒテル版推奨)を聞く方がいいと思うくらいで。
いえ、言い過ぎました。洗練されたラヴェル版と違い、泥と死肉の匂いが漂ってくるようなストコフスキー版も一度聴いみては? 気に入るかどうかは個人の好みでが……というお話でした。
因みに私、実はこの曲の原体験はELP(エゲレスのロックバンドの名前)版で、その後は冨田勲のシンセサイザー版です。ちゃんとした? ラヴェル版を聴いたのはその後でした。

さて、まずPARK AudioのDCU-F121PとFOSTEXのFE108EΣとの聴き比べです。
あー、これはもう圧倒的にFE108EΣの勝ちですね。
低音のボリュームというよりも、おどろおどろしさの度合いが深い感じです。
コントラバスの低音とトランペットの高音のコントラストがクッキリしているというか、魔女が空を飛んでいる様子がよりリアルに瞼に浮かぶというか、そんな感じです。
次に、ΣをFE103Enと取り替えてチェック。
というよりも、これはEnより値段が3倍も高いΣの方が良いに決まっているという確認作業のようなものです。
が、しかし……。
「あれ?」
ちょっとおかしい感じがして、スピーカーユニットをΣにまた付け替えてチェック……。
「あれれ?」
今度はまたEnに戻してチェック。
FE103Enの方がいいんじゃね?

なんと、最終的に我がメガネ、じゃなくて「3000円の耳」にかなったのはベーシックというか、一番安いFE103Enの方でした。
Enに比べると、Σは金管楽器がちょっと下品に鳴るんですよ。いや、ベルリンフィルとか絶対にやらないような、ホルンのベル持ち上げてぶっ放すように鳴らす下品さは私としては大歓迎なんですが、そうじゃなくて音としてちょっと耳触りというか破裂音最低、というか。まあトランペットの音があまり好きじゃない私なので普通の人より辛口かも知れませんが。
一方、Enの方が再現性が鈍いからだというそれだけの理由かもしれませんが、下品じゃなくて不気味という感じが出ている(ように思う)んです。
低音については実はΣもEnも同じようなもので、基本的に出ませんからね。

という事で、念のために曲をヴォーカル曲に変更して再度聴き比べました。
◆LISA 「Rising Hope」
LISAのヒット曲の多くは、私の場合、ボリュームを上げるとイラっとする感じで音が耳に突き刺さるのですが、この曲はその最たるもの。
これで聴き比べてみると……やはりΣは早めにイラっとします。Enはまだマシ。3曲くらいならLISAの曲を続けて聴けそうな感じ。
要するに私の駄耳は安い方が気に入ったようです。

結局「一周回って元の位置」という感じで、最初の最初であるFE103Enが生き残ったという、極めてつまらないお話でございました。
私のポチりは何だったのか。(・∀・)

だがしかし。
コレとは別の「もうひとつ」のメインスピーカーには、意外な伏兵が……。
それが写真のコレでございます。
同じ10cmフルレンジスピーカー、Mark Audio(PARK Audioではない。パチもん臭い名前ですがね)Alpair 7 Generation3でございます。

スペックは以下の通り。

インピーダンス 6Ω
出力音圧レベル 85.8dB
再生周波数帯域 70.9Hz~32,000Hz
最低共振周波数 70.9Hz
Qts 0.54
Mms 3.95g

スペック上はどう見てもバックロードホーン向きのユニットではないのは明らか。
というか、びっくりするのは再生周波数帯域。ざっと70Hzから32kHzって、フルレンジの帯域じゃないですね。2wayとか3wayスピーカーの数値です。
このユニットを見つけた時、(バックロードホーンには向いていないけど)「これは是非聞いてみたい」と思っちゃったんですよね。
で、バックロードホーンのエンクロージャーに取り付けて見たら、予想通りどうしようもない、というか全然よくない。
そこで、コイツには素直にバスレフのエンクロージャーを用意する事にしました。
という感じで、オーダーしていたエンクロージャーが届いたところなので、現在エージング中です。

私はバックロードホーン大好き人間ですが、ソレしか存在を認めない狂信者ではないので。
そんなこんなで、ものすごく久しぶりに我が家に普通のバスレフタイプのスピーカーがやってきましたぜ。
さて、このスピーカー、果たして我が家のメインスピーカー「その2」として生き残れるのか。