さて、そもそもなぜ我が同居人がロードレーサー(※今日、日本国内に於いて一般的に使われている「ロードバイク」という単語ですが、個人的にはどう考えてもカテゴリ名称として「とても」変だと感じているので、ここでは敢えてロードレーサーという単語を使っています。ロードバイクという単語がおかしいと思わない人は脳内で「ロードレーサー=ロードバイク」なので、そう読み替えて下さいませ)を買う事になったか、でございます。(初出:2016/05/23)
◆「ある朝目が覚めたら、突然ロードレーサーが欲しくなった」
わけではありません。
◆ここのところ毎晩ジロ・デ・イタリアを見ているので、そこに感化されて「私もロードレーサーに乗ってみたい」と思った
◆「弱虫ペダル」
※むしろ「ばくおん!」はアニメを毎回見ていますのでそっちの方が詳しいです。ぶっちゃけると、去年から「あなたにはぜひロードレーサーに乗って欲しい」とラブコール? を送り続けていたのが、ここに来てようやく「そこまで言うなら乗ってみるか」という事になったというのが正解でございます。
ええ、ラブコールを送り続けていたのはもちろん私です。というのも、去年の夏に我が家のリビングの片隅にオブジェとして置かれていた四半世紀前のTREKのMTBを乗れるようにリペアしたのが事の始まり。
TREKのMTBは私がサイクリングをしようと思ってリペアしたわけですが、数回乗っただけで「コレでアスファルトを走っても軽快感がなくて楽しくない。やっぱりロードレーサーが欲しい」となり、それを即購入した後はまあ、基本的にMTBは不要になってしまいました。
MTBと言っても、町乗り用にリペアしたので、タイヤはラフロード用ではなくてロード用のスリックに換装しております。
なので余ったMTBを見た同居人が「私もコレ(MTB)で、一緒に走ろうかな」という流れに。
もともとお揃いのミニバイクで時折走っておりまして、サイクリング自体は不足する運動を補うアクティビティとしては同居人も好みではありましたので、自転車に乗る、という事自体のハードルはなかったわけです。
そういうわけで、MTBは同居人の体格に併せるべく改造を施されました。
と言ってもステムを短いヤツに交換しただけですが。
我が家のTREKのMTBはサイズ的に乗り手を選ぶバイクでして、そこら辺のチビには辛いサイズでございます。
私の身長は175cm。たぶん私の身長で下限なんじゃないかな、というサイズ。
サドルを下げて股下サイズは縮められても今度はハンドルが遠すぎて、腹筋背筋に過度な自信がある人でも、今度は首がおかしくなる事請け合いです。
そんなわけで「これ以上はムリ」という極短ステムに交換し、何とか乗れるようになりました。
ちなみに同居人の身長は167cm。
私の同居人が私の母上や愚妹のように140〜145cm程度しかなかったとしたら「あきらめろ」と言うところでしたが、ステムの交換程度で済んだので「君の身長が高くて良かった」と、つくづく思いました。
その後は月に1回程度は二人でサイクリングをしていたわけですが、なんというか、本人は特に気にしていないようなのですがMTBとロードレーサーの組み合わせはいろいろとムリがあるかな、と。
主に私のメンタルな問題で。
理由は「私ばかり楽して申し訳ない」というものです。
当然ながら同じ距離を同じペースで走るわけです。
そうなると、楽チンさ加減というか疲労度が全く違うんですよ。
ロード用スリックとはいえ、ファットなタイヤを履いたMTB。
フルサス仕様なので踏み込んでもパワーが逃げる。
タイヤが太くてパワーが吸い取られる。
そもそも重くて(付属品なしで約15kgあります)重くて重い。
何も付けてない素の私のロードレーサーの二倍近い重さですから、そりゃあ登り坂はしんどいわけですよ。
MTBなのでギア比はそりゃスーパーロー的な領域まで軽く出来ますが、そもそも車体が重りみたいなものですから、貧脚な我々には辛いんです。
そういう事もあって、「出来れば楽なロードレーサーに乗って貰った上で、一緒に走りたい」と思うようになったわけでございます。
同居人にそれを言うと
「別にいいよ、これで」
と、あまり気乗りしない返事。
理由は
1)新しいバイクは金がかかる
2)バイクを買ったら、ウエアだ何だと言って、周辺にまたカネがかかる
3)とにかくカネがかかる
4)マンション住まいという住宅事情を鑑み、これ以上バイクを増やすのは勘弁(現時点で4台が部屋保管スからね)
5)BROMPTONにもあまり乗ってないのに、ムダ
等々。
実にロジカルです。
返す言葉もございません。
所得が多くてお金持ちな家庭なら思いついたらじゃんじゃん買って、問題が起きればその時考えればいいじゃん、的な価値観でイケるのでしょうけど、ウチは普通のサラリーマン家庭ですから経済と住宅事情を出されるとそれを切るカードはなかなか無いわけです。
とは言え、ロードレーサーで一緒に走りたいという思いを捨てたわけではない私は、アプローチは欠かしません。
そういわけで「我々レベルの脚力のライダーにとっては、8kgのロードレーサーは15kgのMTBよりかなり楽ちんである」という理論を証明する為、バイクを交換して私のロードレーサーのフィーリングを試して貰う事を数回行いました。
ここでも同居人がチビでなくて助かります。
私用のフレームサイズではありますが、シートさえ合わせれば乗れないわけではないからです。
場所も淀川のサイクリングロードなら道幅は広いしクルマは通らないし、安全にそういう試乗を楽しめます。
本人もMTBからロードレーサーに乗り換えると、本当に楽ちんだということは理解してくれました。
何しろ乗り換えた直後、結構な速度でカッ飛んでいく同居人をMTBで追いかけるのですが、結局私には追いつくことができず、止まって追いつくのを待って貰う始末。
もともと若い頃はスポーツ全般得意でしたし、スキーなんて同居人が私の師匠です。
たぶん脚力も私より上なのは間違いないところ。
そもそもメンタルでは絶対敵いませんから、同居人がロードレーサーに乗ったあかつきには、今とは逆に、私の方が引いて貰う立場になるに違いありません。
お、コレって私にとってとってもメリットがあるんじゃ?
つまり。
同居人がロードレーサーに乗ると、今より楽ちんに走れる。
私はその同居人に引いて貰えるから、今より楽ちんに走れる。
おお、win-winとはこの事か。(・∀・)
とまあ、その他にもくどくならない程度に、「ロードレーサーに乗ろうよ」コールを続けていたわけですが、ついにあるプランを実行するにあたり、同居人に「ロードレーサーを買う理由」が出来たのです。
それは「ホノルル・センチュリー・ライドに参加するぞ」というものです。
もっともホノルル・センチュリー・ライドが2016年も開催されるかどうかは現時点では不明ですが、開催されれば参加しよう、と昔から懇意にしている友人夫妻(夫は坂バカ)と約束を交わしました。
もっとも、当初はBROMPTONで参加する予定でした。「みんな一緒に小径車でホノルルを走ろう」というのが盛り上がりの発端だったので。
で。
浮上したのが現実です。
「BROMPTONでロングランして、本当に楽しいのか?」
という。
もちろんBROMPTONでロングランできます。
ネットで検索すればいくらでも出てきますが、ブルベ走り切っちゃう人とかビワイチしちゃう人とかアワイチしちゃう人とかサドイチしちゃう人とかいくらでもいます。
でも、彼らと我々とは実は同じ人間ではない、という事に目を背けてはいけないのです。
凡人、いや凡人以下の貧脚ライダーが、ヘンタイのマネをしてはいけない、という事に気付かなければなりません。
実際にちょっとロングなアップダウンがあるコースをBROMPTONで走ってみました。
「ホノルルライドはこの3倍くらいの距離があるんだけど?」
峠越えでへこたれている同居人に、ここぞとばかり問いかけたところ、
「マジ? それはちょっとかんべん」
という予想通りの評価をいただきました。
そして畳みかけたわけですよ。
「やっぱロードレーサーにしなよ。断然楽だから。BROMPTONの3倍は楽ちんだね」
「そっかー」
そもそもBROMPTONよりMTBの方が断然楽なことは既にしっている同居人ですからね。
なので最初はこう切り返しが来ました。
「MTBで行くとかは?」
私は思わず言っちゃいましたね。
「あの鉄の塊を飛行機輪行するのかよ!」
いや、鉄とかほとんどつかってませんけど。ほとんどアルミですけどね。
クルマへの積み込みなどで私のローレーサーとMTBの重さの違いを体で知っている同居人は、ようやくロードレーサーという選択肢を真面目に考えはじめました。
それでも、ずっとBROMPTONやらMTBやらで、ストレートハンドル系に慣れている同居人は、基本的にドロップハンドルのロードレーサーに多少の壁というか抵抗があるようで、当初は
「クロスバイクの方がいいかな」とホザいておりました。
そこで、クロスバイクがいかにロングライドに向いていないかを理詰めで説明していくと、なんとか納得してもらえました。
私の同居人は理論で固めた説明には納得してくれるのです。
これが「ロードの方がカッコいい」とか「本格的なのはロードでしょ」とか「ライドイベントの参加者は基本的にロードレーサー」とか「普通、スポーツバイクといえばロードレーサーだから」なんて言おうものなら正座させられてそれぞれの理由を30文字以内で簡潔に説明させられます。つまり感覚的でいい加減な理由では同居人を納得させる事は不可能なのです。
先日、ロードバイクを物色しにいくつかのショップに行ったわけですが、そこでもまだ「こっちでいいんだけどなあ」とフラットハンドルのクロスバイクを指さす同居人に、ショップのスタッフがロードレーサーとクロスバイクの「違い」を簡単に説明すると、それが私の説明と同じであり、かつその内容が納得いくものであったこともあって、「わかった。だったらロードレーサーにする」と本決まりになりました。
的確かつ簡潔でわかりやすい説明をしてくれたスタッフ、グッジョブでございました。
ちなみに違いはいくつかあるのですが、同居人をもっとも納得させたポイントは、
「ポジションの自由度が高いドロップハンドルと、自由度がないフラットハンドル」
「そのドロップハンドルを基準にフレームの各寸法が考えられているのがロードレーサーで、クロスバイクにロードレーサー用のドロップハンドルとブレーキレバーを取り付けても、理想的なライディングポジションになりにくい」
「通学や町乗り程度の短距離のエクササイズならクロスバイクの方がむしろ楽かもしれないが、数十キロ走ることが前提のバイクを考えると、例え女性でも初心者でも関係なくドロップハンドルのロードレーサーがおすすめですヨ」
という感じ。
これで車種もぶれることなく、ロードレーサーに決定。
あとは「じゃあ、どれを買う?」という話になるわけです。
それについては本人は全くのノープラン。
「断然あのチェレステカラーよ。なんて可愛いの」とか
「コルナゴのロゴとマーク。なんか凛々しくてカッコいい」とか
「デ・ローサにあらずばロードレーサーに非ず」とか
「国産じゃないとヤだ」とか
「フォークとシートステーがガクガクしているのが変わってて素敵」とか
「サガン様が乗っているバイクがいいワ〜」とか
「好きな番組、『チャリダー 快汗!サイクルクリニック』に敬意を表して、ここはスペシャライズドでしょう」とか、そんなのはいっさいありません。
別にBRIDGESTONEのロードマンでもツノダのTU号でもいいわけです(TU号はロードレーサーじゃないですけど)。
そう言えば子供の頃最初に買ってもらった自転車はフジサイクルだって言ってましたっけ。
フジかあ……遠い目……。
(ちなみに、フジサイクルはもうなく、FUJIはアメリカのブランドになってしまいました)
なので基本的には「本人が気に入ったもの」なわけです。
予算は取りあえず封印。
だって「予算は○○円まで」となると、我々庶民っていうのは強力なフィルターがかかるんですよ。
まず値札を見てからバイクをみる、という流れになりがちなんです。
そして「本当は○○がいいんだけど、予算の都合で○○に」という感じで、「気に入ってコレにした」感が薄れます。
ええ、私の体験ですけど(・∀・)。
なので値段は取りあえず考えずに、各ショップに飾っているバイクで気になったものをチェックしていく感じから入りました。
基本的に同居人が同居人のお金で買うので同居人が気に入ったものを買うべきだと思っておりますので。
とは言え。
ロードレーサーと名の着くものならなんでもいい、と思えるほど私はオトナではないのです。
なのでショップの人には私から3つの条件を提示しました。
1)見ての通りの、この人が乗るのにムリのないモデルである事
2)コンポーネントは105以上であること
3)カーボンフレームであること
1)はまあ、当然です。
その上で素っ頓狂な提案をしてくる店員がいるショップからは買うまい、という判断材料にしたいな、と。
もちろんちゃんとした知識と常識ある店員なら同居人をみてピストバイクとかBH付きのTTバイクを勧めるはずはないだろうという判断です。
あとは、同居人の体格を見て果たして女性モデルを勧めるのかユニセックスモデル(一般モデル)を勧めるのかにも興味がありました。その理由なども聞きたいところだったので。
2)は同居人の好みを無視した個人的なこだわりです。私のバイクではありませんが、105より下位ランクのコンポーネントが着いていると、「アップグレードしたくてたまらなくなる病」が発症するのが目に見えているからです。
ここは以前ならアルテグラ以上、と言いたいところでしたが、5800シリーズにフルモデルチェンジした105なら、アルテグラじゃなくても充分だと思えます。なので105以上なら「アップグレードしたくなる病」は防げるのです。
3)については理性では本来ロードレーサー初心者にはアルミを勧めるべきだと思うんです。「転倒したら即パーになる(かもしれない)」というリスクがありますから。事実、私も自分のロードレーサーを買う時には当初はアルミフレームを、と考えていたのです。でも、実際にカーボンフレームに乗り始め、時々アルミフレームのロードレーサーに試乗したりすると明らかにその差を感じるんです。もちろんモデルに依って様々なキャラクターがあってアルミでもカーボンより振動吸収がいいフレームもあるのでしょう。でも、ここは一般論重視です。さほど体力や脚力が無いライダーにとって、ロングライドでも疲れにくいのはどちらか? と考えた時、やっぱりカーボンだなと思うのです。あとは一般的にカーボンフレームのモデルの方がコンポーネントや付属品にいいものを使っているモデルが多いからです。有り体にいえばCarbonフレーム=上級モデルという一般式が成り立つというわけで、105以上のモデルの選択肢が増えると考えました。
ということで、私達がショップスタッフを捕まえて上記の条件を提示したところ……。
いやあ、ショップによって、いやスタッフの違いって本当に大きいなあ、と当たり前のことを改めて実感しましたヨ。
都合、三人のスタッフと話をした格好になるのですが……。
一人は論外でした。
新人だの何だのと本人は断ってましたけど、提案してくるモデルの違いを訊ねても値段以外にはカタログ見ないと答えられないとか、試乗車をポンと持ってきたのはいいのですが、そのままではサドルが低すぎたので指摘すると「あ、サドルの高さ変えますか?」とか、もうね。
あげくの果てにシートポストのクランプを緩める手際が悪すぎて「そっちに回すと締めてない?緩めるなら逆でしょう?」などと普段は天使のように温厚な同居人ですら指摘する程。
別のスタッフは普通にちゃんと知識があり、こちらの質問にはアンチョコなど見なくてもきちんと答えてくれる頼れる人でございました。
さらに別のスタッフとはかなり長く話をさせていただきました。
知識の豊富さと確実さからくる提案力、そして理論は理論。ジツブツに勝る納得無し、とばかり実車の試乗から、実車をもってきて目で比較させる等々、一つのバイクを納得して選べる安心感がありました。
こちらの条件に値段が入っていない事を告げると、その辺のニュアンスも理解してくれて、プロスペックに近いものを省いて、そのスタッフが提案する松竹梅の説明となぜその違いが生じるかという説明等々、全部ストンと納得いくものでございました。
で。
いろいろあって、丸半日ほどかけ、ようやく購入モデルが決まりました。
金額も出て、じゃあ納期はという段になって
「すみません、メーカー在庫がないようです」
というではありませんか。
実は第二・第三候補もあったので、それを告げると、それらは二つとも現時点で「完売・終了モデル」でございました。
第一候補は在庫がないだけで完売・終了というフラッグが立っていないので、入荷可能性はあるモデル、というわけです。
でも、本当に納車できる可能性があるのか、実は完売で終了モデルになっているのか、その実体がわかるのはメーカーが稼働する月曜日になってから、という結果とあいなりました。
そんなこんなで現在、連絡メール待ちです。(・∀・)
お店としては「急がないのであれば、もうすぐ各メーカーの2017年モデルの発表があって、ガラっと変わっているとショックかもしれないので、それまで待つという選択肢もありますよ」なんて言ってくれていますが、こちとら9月のホノルル・センチュリー・ライドには使いたいので2017年モデルを待ったはいいが、ライドに間に合わないではちょっとね〜、という気持なわけです。
ギリギリ間に合うとしても、やっぱりそれまでに走り込んでおきたいのがホンネです。
走り込んで各部の調整や緩みトリなどをやって、万全の体制で遊びたいじゃないですか。
というわけで、モデルは決まったものの、購入まであと一歩、というところでございます。
あ、トップの写真はイメージです。
※追補
ショップから連絡があり、(世界のどこかで在庫があったのでそれを取り寄せると)2〜3週間くらいで納車出来ます、との事。
なので発注しました。(・∀・)
9月には充分間に合いそう。
※追補そのに
ホノルル・センチュリーライドですが、開催は決定して、既にEarly Entryの受付が終わろうという段階でした。
すっかり見落としておりましたぜ。(・∀・)