趣味と暮らしにまつわる「モノ」に一喜一憂するブログ

★Canon PowerShot G1X MarkⅡ の「ここに心が折れた」篇

カメラ

RX10の描写力の良さを改めて実感しました。(初出:2014/03/24)

長いので、Mk2と呼びます(エルガイムじゃないよ?)。
じっくりねっとりと触りまくったので、さっさと感想を書きたいと思います。
まずは結論として「期待外れ」であった事を白状しておきます。
もちろん個人の感想と、たぶんほとんどは好みの問題なので購入を考えている人は私の戯れ言など一切意に介さず、自分のフィーリングを大事にしてチョイスして欲しいと思います。

さて、このG1X MK2、私がそうですが、メーカーのWebサイトを見ていると「全部入りでコレ一台」的な幻想を抱くカメラです。
旧型のG1Xは仕様表の「最短撮影距離」を見た時に「私にとってはこの世に存在していないカメラ」となったわけですが、G1X発売直後、某所でキヤノンの某氏と話したときに、私の涙ながらの訴えに「要望は理解している。今回はムリだったが次機種では改善されると思う」という回答をいただいていたのですが、その事をすっかり忘れた頃にGX1 Mk2が発売されたわけです。
色々と忙しかったこともあってGX1 Mk2発売の報はなんとなく知っていたのですが、CanonのWebサイトを開いたのは発売後数日経ってからでした。
で、最初にチェックしたのが最短撮影距離。
レンズ固定式としてはよくある焦点距離による可変方式ではありましたが、24mm相当に広がった広角端で5cmまで寄れるという表記を見て勤務中なのに思わず椅子を蹴って立ち上がる私。私のただならぬ様子にビビる周りの同僚や部下達(ごめん)。
これは我が便利ズームカメラであるところのSONY RX10と同じスペックなのです。
その後は新型であるMk2のスペックのチェックに没頭?(仕事しろよ>私)。
するとMk2はもはやMk2というよりも、G1 YとかG2 Xと呼んだ方がいいほどの変貌ぶりを見せていることが判明しました。
多機能なMk2ですが、私が特に◎をあげたいのは、次の通り。

 ・最短撮影距離の改善
 ・タッチシャッターが可能
 ・自分撮りができるバリアングルじゃなくてチルト液晶に(バリアングル大嫌いなもので)
 ・LUMIX DMC-GH2っぽい本物のマルチアスペクト方式を採用
 ・24mmスタートとなったズームレンズ
 ・広角端がF2.0、望遠端でもF3.9という明るい専用ズームレンズ
 ・レンズバリア内蔵(フードは別売りだけどね)

とまあ、ここまで全部入りでセンササイズはSONYのRX10なんてメじゃない? 1.5インチ。
そもそも私がG1 Xに対してあまりにガッカリしたのは、こんな大きなセンサを持っているのに、最短撮影距離が長すぎてカメラとして「使えない」のが本当に残念だったからです。
何しろ私は「寄れないレンズはクソレンズ」教の熱心な信徒ですからね。
ちなみに1.5インチはμ4/3よりちょびっとでっかいサイズです。

で、「やってくれたよ、Canon!」ってなもんで興奮しつつポチってその日にゲットしたMk2なのですが……。
「うーん、使えねー」
的に5分程度で放り出してしまう事に。
つまり私はMk2に「ダメカメラ」通告をしてしまったという事です。
もちろんたった五分で全てを知ったようになっているわけではなくて、私がカメラやレンズに対して持っている「好み」からMk2が外れている、しかも大いに外れているカメラである事を思い知るのに五分は充分だったということです。
もちろん気を取り直して使いまくったわけですが。
でも、最初の印象は覆りませんでした。
ほれ、合コンの第一印象で「コイツとはないわ」と思った相手とツーショットで二次会になったけど、結局第一印象のままだった、というあんな感じです。
なお、私はいままでいわゆる合コンというものに参加した事がないので勝手な想像です、はい。

さて、今回はそのMk2が個人的にダメだと思った主な理由を備忘録的に列挙していきたいと思います。

1.(いわゆる)プログラムシフトができない

いったんAEロック状態にしないとできない。これ「なんか違うんですケド」感が漂うんですよ。
えっと、できないよね?
シャッター半押しした上で、レンズ側のダイヤルを操作する方法しかないよね?
カスタマイズ出来るダイヤルの項目にないんだよね。
もしできたらマジごめん。
私は基本プログラムモードで撮るんですよね。
で、被写界深度をコントロールしたいなって思った時には、プログラムシフトをする事で強制的にアイリス優先モードにするというのが通常のやり方なので、これができないカメラはマジ勘弁。
プログラムモードとか使わない人には関係ない話ですが、きょうびアイリス優先とかシャッター速度優先とか時代遅れじゃね? と思う今日この頃です。

2.モードダイアルの「角」が嫌い

これはマニュアル関係ないので決定事項。
モードダイアルの角、引っかかりません? 指の腹とか横部分とかに。
シャッター押す時もどうかすると指の一部がモードダイアル(の角)に触れるんですが、ここが超エッジ状態になっているのか、気になるほどの感触で引っかかるんですよ。
これ、Mk2に限った話ではなくて、時々そういうカメラに出会うんですが、生理的にダメなんですよね。気になって気になってイライラっとして集中できなくなるんです。
エラそうなことを敢えて言わせていただきますが、人間光学的にそういう仕上げはイカンと思います、ハイ。
私の愛機の中にはちゃんと面取りなどしてアタリが鋭利な感じにならないように工夫しているものもあります。天下のキヤノンのプロダクトなのだからその辺にも気を遣って欲しかったところです。

3.プログラマブルでない

要するにダイアルとかボタンとかの機能割当を変更する際の自由度が低いんですヨ。
今回Mk2の特徴としてレンズ側にプログラマブルなリングが二つ設けられているんですが、メニューをほじくってみると欲しい機能がそこにはない、というか。
「え? 普通◎◎は選べるもんじゃね?」とか思いました。
で、まあ他のボタンやダイアルも似たり寄ったりで。
カスタマイズ性の高いカメラを普段使っているとどうしても厳しい目で見てしまいますが、皆さん、これくらいできればいいのかなあ……。
オリンパスとか一台買ってみればいいのに、と思います。

4.チョー重い

いえね。物理的な重さはわかっているんですが、箱から取り出したときに「あれえ?」と思うくらい重いんです。
たぶん、レンズの硝子成分が多いんじゃないかと思います。重量バランスも前よりですし、たぶんレンズ頑張ってますよ。ってな事はわかりますし、スカスカに軽いより重みがあった方が凝縮感が出て高級感やイイモノ感があるとは思うんです。コレに比べるとRX10とか大きさのわりにスカスカで安っぽく感じますし。
でもね、なんというかハンドストラップで運用するのがためらわれる重さなのは確か。
欠点とかじゃなくて個人的に気になっちゃったぜ、な部分なのですが、これは敢えて書いておこうと思いました。
購入考えてる方は高い買い物ですし、一応店頭で大きさ・重さは確認した方がいいと思います。
見ずテンで買って実物を手にした時に「あれえ?」なんて言う私のような人種は人類分類学上「愚者」と言われていますので。
消費者よ、賢者たれ! でございます。愚者の私が言うとアレですが。

とまあ、各論はいろいろあるんですが、要するに「操作感が肌に合わない」んです。
これはキヤノンの操作感やロジックに対するポリシーのようなものに対してダメだということになるのでしょうから、本当に個人の好みの問題なのでしょう。
でもね、例えばデジタルテレコンをボタン割り当てしたら、一回押したらテレコンON状態になって欲しいでしょ?
オリンパスもSONYもそうなってるし、だから使いやすい。使いやすいから割り切って積極的に便利に使う。そういうのが大事だと思うんですよ。
いえ、デジタルテレコンは一例です。
キヤノンのインタフェイスにも良いところはもちろんあって、メインで使っているオリンパスにも是非見習って欲しい機能もあるんですが、基本的な文化が違っちゃっててなんか使いづらいって思っちゃうんですよね。
Mk2だけを例えば二週間毎日使い続けるとかだと慣れで解決できる部分が多いとは思いますが、私の様に複数のカメラをその時の気分で持ち出すような人(少なくないはず。特にMk2なんて買おうと思っている人の場合は多いと思います)にとってあまりに違う文化は慣れないまま次第に敬遠されちゃう、という存在になるんですよね。

もっともあまりに違う文化であっても、例えばΣのDP3Mなんかはその違いが保有される理由になるのですが、Mk2には「代わり」があります。もちろん機能については多少ガマンが必要ですが、それでもMk2より「使いやすい」カメラの方が結局役に立つんです。
例えば私の場合は容積をガマンすればそれがRX10であり、レンズの明るさを特に必要としない場合はパンケーキズームをつけたE-M10なんかの方がよほど「使える」カメラなんです。

今回、G1 x MarkⅡを集中的に使った後で、RX10やE-M10、GX7なんかに持ち替えると「ああ、なんて使いやすいんだろう」としみじみ感じました。
なので私はオリンパスやPanasonicやSONYのような考え方のカメラが好みなのだと言うことです。
だから逆にオリンパスやSONYがダメでキヤノンのG1 xのようなインタフェイスが肌になじむ人が居ても不思議ではありません。
例の赤い録画ボタンがプログラマブルなのはいまだにオリンパスだけのようですし、そこにデジタルテレコンを割り当てる使い勝手の良さはPanasonicもSONYも敵いません。でもPanasonicやSONY、そしてRICOHなんかは「そっち側」に近いロジックを持っていると感じています。
もちろんレンズ交換式カメラと比べるなと思われるかもしれませんが、例えばSTYLUS 1などはμ4/3系の操作感ですし、SONYのRX10はレンズフィクスカメラです。

このあたりはメーカーのフィロソフィに関わる事なのでそれを否定する気はありませんが、オリンパスやSONYはカメラをユーザーに解放する方向のカメラであるのに対し、キヤノンはMk2を見ただけだと「制限」する方向のカメラに思えます(Nikonの1シリーズもしかり)。
いわゆる一眼レフの上位機種を使うユーザー「も」使うことを想定しているのか、コンパクトタイプからのステップアップ用と考えているかの違いと言ってしまえばそれまでですが、制限より解放の方が少なくとも私にはありがたいです。

 あ、そうそう。
 良い点も一応書いておきましょう。
 画質はとってもいいです。「いい」というのは精細でスッキリくっきりとした色あいでここまで写ると文句はありません。
 レンズの歪曲も綺麗に補正されていて24mmの広角端から建物撮影にもガンガン使えると思います。
 手振れ補正の効きも充分ですし、明るさと高感度耐性を考えると相当広いシーンで三脚要らずで使い回せると思いました。

それから蛇足的で検証画像も面倒なので貼りませんが、RX10とMk2とで比較撮影してみましたが、描写はRX10の方が上だと私は思いました。特に精細感において1ランク上だと思います。物理的なセンササイズに起因するボケ量等々では物理の法則を超えることはもちろんできませんのでその辺りを考えるとどっちが上だとは一概には言えませんが、私はRX10の描写力の良さを改めて実感しました。

以上、長々とすみません。<(_ _)>