趣味と暮らしにまつわる「モノ」に一喜一憂するブログ

★北欧オーロラ撮影の旅 XIX

カメラ

(初出:2012/10/17)

さて、乗船前には全ての乗客がブリーフィングをうける必要があります。
まあ、飛行機のテイクオフ前にやる、アレです。
救命胴衣の着用の仕方とか、ですね。
飛行機と違うのはご覧のようにフルカバーな着ぐるみになっている事。
なぜなら北極圏の海に落ちたら、救命胴衣があろうと無かろうと秒殺、みたいな感じになる季節もあるので、こういう完全防水系救命胴衣が必要、ということなのですね。
ちなみに救命胴衣自体はアイキャッチ画像の着ぐるみが入っている箱がソレにあたります。

というか。
たぶん、これ、船が揺れてたりしたら一人で着る事ができるのは一握りじゃなイカと思われます。


私はなんとかできるというイメージが得られましたが、不器用なオバサンやオバアサンはまず不可能と思われます。

で、ブリーフィングを受けるといよいよ乗船。チェックインです。
船に乗る前には必ず通路の至る所に取り付けられているご覧のアルコールフォームで手を洗う義務もあります。


まあ、これはヨーロッパの船旅では見慣れた風景ではありますが……

手がカサッカサになるんですよね。(・ω・)

フッティルーテンの船旅の始まり。
私達が乗った船は、ミズ(船は女性名詞のようだ)フィンマルケン号。

いやあ、フィンマルケンですよ、フィンマルケン。
ファンタジー好きにはたまらない名前です。
ノルウェイのラップランド地方の名前(近畿とか、東北、という感じの地域名)なんですが、ご存じの方はご存じの、あの「雪の女王」の氷のお城があるとされている地の名前です。

私は果たして雪の女王に出会える……のか?(いや、あんまり出会いたくないわけですが)

フィンマルケン号はフッティルーテンの最大・最新の船。
と言っても、いわゆる排水量は15000トン程度なので小さな船です。
もっともいわゆる豪華クルーズ船ではなく、あくまでも人と物資を交通の便の悪い港町に運ぶための補給船なので、あまり大きくする意味もないのでしょうね。
最大の船ですが、1000人程度しか乗れません。

もともとフッティルーテンはフェリー機能つきの物資搬送ルート。
なので毎日出港してノルウェイのキルケネスという北の果て?の街にいってまた戻ってくる、というルートを繰り返す船です。

ちなみに乗船前に出ていた青空は仮初めで、出港は雨。

フッティルーテンの出向をデッキから眺める、の図。

カウンターでチェックインすると渡されるカード。
基本的にはキャビンのカードキーなんですが、フッティルーテンの船内ではクレジットカード機能付きのIDカードと言った役割を担う大事なIDカードといったところ。
乗船前のブリーフィングを受けたことを証明する丸いフッティルーテンシールが貼られていないと乗船を拒否されます。

乗船時、また途中で立ち寄る街に途中下船する際、そして最乗船時、すべてこのIDカードのバーコードが読み取られてチェックされます。

最初はクレジット機能はありませんが、乗船後に船側の端末で任意のクレジットカードと紐付けすることでクレジットカード機能を持つ事になります。
船内の売店やカフェ、レストラン・バーなどではもちろんキャッシュ(ノルウェイクローネ)が使えますが、一泊二泊の人ならアレですが、北行き全泊する旅行者に、そんな不便な事をする人はまれじゃないかと思います。
私達ももちろんんそれぞれ紐付けをしました。

聞けば夫婦の場合は夫の(あるいは妻の)一枚のクレジットカードをそれぞれ両方のカードに紐付けすることも可能だそうです。
我々はそれぞれ別々にやったのですが、免税処理のことを考えるとカードは一枚に集約する方がいいと思います。(紐付け後に気付きました)
もしくは買い物はどちらか一方のカードを使う、など。

上部に穴が空いていますが、これはネックストラップに通して首からぶら下げるため。
専用? 品が船内で販売していて、私はさっそく買っちゃいました。バックルでワンタッチの取り外しができるので非常に便利で、付けて歩いていると「それ、どこで手に入れた?」とさっそく数名から声をかけられてしまいました。
まあ、ダサいっちゃダサんですが、そう言うのをぶら下げているとらしい雰囲気に盛り上がってくるので自分が単純だということを再認識することになるわけですが。(・∀・)

さて船内。

フッティルーテン(HURTIGRUTEN)の、とりあえずはキャビン。
外洋向きのまどがある、スタンダード系の上にあたる部屋だと思われます。
ベッドはどっちもリトラクタブルというか収納式。
片方はソファに、もう片方はご覧の通り壁に。壁上には棚があってこれが結構重宝します。
またまどの下にも収納があって、その下には電話。電話の下にもちょっとした物入れがあり、写真ではわかりませんが、カーテンの左右にやや奥まった収納があります。

これから7日間この部屋がベースになるわけですが、着替えや生活用品、カメラ関係の装備一式をスーツケースから取り出しても収納にはまだ余裕があって、これは嬉しい誤算。


しかもスーツケースが2つくらいなら余裕で収納できるスペースもあって室内にスーツケースが出しゃばらないようになってます。


もっともわが家の場合、私のスーツケースがちょっと異常なディメンションのものなので2つは入らず、結局一つ分が部屋の動線を侵食しましたが、それでもストレスはほとんどありませんでした。
以前乗ったシリアラインのキャビンはもう一回り以上狭かった記憶があるので、それに比べれば本当にゆったりした気分になります。

室内にテレビはないと思ってましたが、なんとブラウン管テレビが!
久しぶりに見ました、ブラウン管テレビ……。
って、ウソでした。わが家の寝室にはまだ一台捨てていない小型ブラウン管テレビがもう十年以上通電されずにあって、毎日視界に入っているんでした……。
はやく処分しなきゃ。

バスタブはありません。バスタブがあるのはたぶん最上位の部屋くらいだと思われます。シャワーブースは変な形(台形?)でアレですが、お行儀よくシャワーが浴びられるわが家二人だと床がビシャビシャになることもなく快適です。お湯も夜と朝に浴びて試しましたがどちらも安定した温度のものが充分出ます。


ヨーロッパの下手なBusiness系ホテルよりマトモかもしれません。
ちなみにシャワートイレではありません。


海外旅行の何が嫌って、シャワートイレを完備しているホテルなんてほとんどお目にかかれないことですかね。
あのハワイイのワイキキのホテルでもここ最近ですからね、シャワートイレ導入は。(もちろん日本人向けのサービスでしょうね)
ちなみにノルウェイの便座は異様に高くてカカトは地面につきません。小柄な女性はたぶん足はぶらぶらのはず。

フッティルーテン(HURTIGRUTEN)は基本的に連絡船ですが、観光航路としての魅力からそっち方面の引きが多くてクルーズツアーに適した船をいくつか建造しているようですが(つまりクルーズに向いてない船も多い)、このフィンマルケン号がたぶんもっともクルーズ寄りの船だと思います。


最も多くの客を迎え入れられることと、最も新しい(注:パンフレットを見かえすと、最も新しい船の一つ、とあって、さっき調べたらより新しい船もありました。だから最新ではなさそう)ということもあって、実のところ「ただの連絡船に毛が生えた程度」とタカを括っていた私はちょっと驚きました。


いえ、規模などは4倍の大きさの船を体験しているので話にもなりませんが、驚いたのは船内の雰囲気というか、調度です。
きらびやかなシャンデリアでデコデコ飾り立てられたものではない、センスの良い落ち着いた高級感があるんです。


フロアごと、スポットごとにまとめられたカーペット、テーブルと椅子のテーマの変化、その椅子のかけ心地のいいこと。


ふんだんに木を遣った各フロアのせいで船に乗っていることを忘れる時すらあります。
うそです。揺れてるので忘れようにも忘れられないんですが。(゚_゚;)

施設的には雰囲気の良いこじんまりしたホテルだと思っておけば間違いないと思います。

ビジネスホテルではなくてシティ/ホテルです。
なにせプールはあるし、ジャクジーもある(屋外。真冬でも営業していますゼ!)。フィットネスは当然で、洗濯機と乾燥機は洗剤付きで無料です。(客室を持っている客だけ、だと思いますが、誰でも無料で使えそうです)

デスクはいわゆるフロント・レセプションではなくてツアーデスク。
フロントにはたいがいスタッフが複数居てレンズを向けるのはアレだったので無人のこちらへ。


何の為のツアーデスクかというと、長時間寄港する場所で行われる観光ツアーの受付デスクです。
そう、いわゆるオプショナルツアーは船が主催するんです。
フッティルーテンではそれを「エクスカーション(excursion)」と呼んで、要するにただの観光じゃなくてより積極的に文化と交流しろ、という事なのでしょうが、「ツアーデスク」という名前を付けている時点で台無しです。(・∀・)

人気ツアーは乗船してすぐ申し込まないと定員に達してOutになってしまうので、我々も気が気ではありませんでしたが、運良くほぼ一番乗りのグループで受け付けOKでした。
我々は団体行動大嫌いですから、ソロでは無理なものを一つだけチョイス。
ヨーロッパ最北端の岬と言われる(本当は違う)ノールカップ・エクスカーションのみを選びました。
あとは全部自分達で自由に回ります。寄り道しながら写真を撮るぞ、と言う感じ。(・∀・)
ちなみにお値段は一人当たりざっと11000円程度。

ツアーデスクの左上の写真のヒトは、ピアノ弾き語りをやってくれる歌い手さん。(もちろんめちゃくちゃ上手くていい声)


ちなみにこの歌い手さん、キヤノンの1D系に70-200/f2.8つけて甲板で外の風景を激写するほどのカメラ(写真?)好きで、空き時間はバーの片隅でMacBook Proを広げて撮った写真を加工したり(たぶん)ブログにアップしたりとお忙氏。
お互いMacBook Pro & カメラ好きという事で速くもアイキャッチでニヤリと通じ合って歓談したりました。実に気さくで陽気な方でございます。