(初出:2010/12/08)
(GF1/LEICA DG45)
数ヶ月ぶりに一眼「レフ」を使ってみて、改めて感じる事をつらつら書き連ねてみたいと思います。
勿論、HOYA PENTAX K-5を軸に。
「K-5のRAW、いじりたいよーママー」
とかなんとか言っているうちに、ACR(Adobe Camera Raw)がアップデートしてK-5やS95やGH2やA12/28mmのRAWが扱えるようになりました。
最近はカメラ内Jpeg生成でかなり好みの描写をしてくれるカメラが増えてきたので私の用途では結構それで事足りているのですが、色が変とか露出が大幅に変とか、HDRしたいとかいろいろしたい、なんて思った時にはやっぱりRAW(と自分のスキル)しか頼るものがありませんから、ありがたい事です。
中でもK-5はカメラ生成Jpegがとても魅力的なのでRAWの出番は少ないかもしれませんが、対応しているのとしていないのではそもそも問題の質が違ってきます。
早晩対応する、という情報を得ていたのでDNGなんてものに手を出さずに我慢していてよかったです。
閑話休題。
K-5を使っていてつくづく思うのは、K-7を使っていてつくづく思った事と重複することばかりです。
いわゆる「一眼レフの光と影」
それ自体はK-5でも何も変わっていないのです。
まずは「レフ」機として純粋に評価した場合。
K-5が持つ一番の利点はやはり、コンパクトネスです。
もちろん他社にも(HOYAにも)コンパクトな一眼「レフ」はいろいろありますが、K-7/K-5は「真剣な中級機」で、かつコンパクトであることが白眉なのです。
K-7が出た時によく言われた事ですが、本来これ(K-7/K-5)は4/3機に求められていたポジションだったはず。
「タラレバ」をあえて言わせてもらえるとすれば、OLYMPUS E-3はK-7程度のサイズになんとか収めて上梓すべきだったのでしょう。
K-7とE-3では目指しているものが違うと言えばそれまでなのでしょう。実際問題手に持っただけでもK-7がE-3ほどの堅牢性を持っているとは思えません。マトモな感性があれば両者は比べものにならないと感じるでしょう。
でも、私が欲しいのはE-3ではなく、K-7でした。
K-7には残念ながら優秀で愛しいZDレンズは装着できません。それだけはどうしようもないのですが、その代わりにLimitedという、肩の力を抜いた名人芸とも呼ぶべきレンズがありました。ZDがどれもこれもバリバリのトップクラスのアスリートだとしたら、Limitedレンズは名コーチと言った存在でしょうか。
E-3に似合うのはZDだとすれば、K-7に似合うのはやはりLimitedレンズ、という事なのでしょう。
そして私はK-7とLimitedレンズの組み合わせにシンパシィを感じたのでした。
そしてK-5。
K-7の良いところは全て受け継ぎ、欠点だと思われた点はあるところは劇的に、あるところはそれなりに改善してきてK-7ユーザーをも納得させる後継機として登場しました。
とはいえ。
それでもしょせんは「レフ」機。
レフ機のネガをつぶしてきたわけではありませんでした。
まず、ボディの分厚さは物理的にどうしようもありません。
コンパクトなK-5でも、構造的にミラーボックス部分の分厚さは削れないからです。
背面に液晶を配したスタイルはフィルム時代と違いボディの分厚さを助長するだけです。
μ4/3レベルでようやくフィルムの一眼レフっぽいボディの薄さを実現できたくらいなので、レフ機構が、ミラーが存在する限り、ボディは分厚いままなのでしょう。
AFにしてもそうです。
すでにとんでもないウルトラCを続けてきている方式です。これ以上を求めるならば、さらなるアクロバット技を実現しなければなりません。
月面宙返りさえあれば拍手喝采だった時代が懐かしい限り、という感じです。
位相差AFである限り、時計のように精密なピントを得る事は至難の業とありましょう。 曲芸をこの先どこまで続けるつもりなのかわかりませんが、どちらにしろ本当のフィルム面(撮像素子のセンサ表面)でピントを合わせる方式ではない以上、技をいくら磨いても、パーツ精度、取り付け精度の問題でせっかくのAFモジュールの性能が生かし切れないという根本的な欠点は変わらないでしょう。
(GH2/LEICA DG45 ビバ!Greeeeeeeeeeeeeeeeen ボタン)
私はネガティブキャンペーンをやりたくてブログのエントリを書いているわけではないので、実は不具合で葬ったプロダクトについてはあまりご紹介していないのです。
その大部分を占めるのが、名前は挙げませんが、互換レンズメーカーのレンズ達です。
位相差AFで合焦しても、撮影した画像はピントが来てないなんてシロモノの、なんと多かった事か。
メーカーには何本も修理・調整に出しました。ボディも一緒に出せと言われれば後でボディも送りました。
でも、あるときは「当社規定を満たしています」とそのまま帰ってきたり、「できる限りの調整はしました」と、どこをどう調整したのかわからない調整で帰ってきたり、「不具合を確認しました。調整での対応は不可能でしたので交換とさせていただきました。あしからずご了承ください」とか、いろいろです。
ほぼ実用に問題がない程度になってくるものもありましたが、ほとんどはダメでした。
主に近接がダメなんです。
コントラスト方式ではこういうストレスはほとんどありません。
その証拠に、同じ駄目レンズを使ってライブビューで撮影すれば、問題無くピントは合うのですから。
そんなストレスが背景にあって、ある日私はキレたんです。
「もう、一眼「レフ」なんているかっ」と。
E-30はほとんど使わなくなっていて、D700はでかすぎて見るのも嫌になっていました。
だからもうレフなんて要らないや、って思った訳です。
それでも、K-7だけは好きだったんです。
コンパクトなのに、多機能で、いろいろいじくる楽しさがあるだけじゃなくて、撮れる写真が好みに合っていたからでしょうね。
中でもDA☆50-135が大のお気に入りでしたっけ。
広角〜標準はDA17-70が便利ズームって事になるのですが、フードの大きさを考えるとあんまり積極的に使う気になれなくて、単焦点を使うととたんにユーティリティが下がり「だったら、E-P2でいいじゃん」となってしまったわけです。
私にDA☆50-135mmを使うシチュエーションが多ければ、K-7はμ4/3機達と平行して所持していたかもしれません。しかしいかんせん好きだけど必要性があまりなく、だったらもう要らないよね、と。そもそも50-135mmって、合焦しにくいんだよね、とか思うともういいやとなるのが淡泊な私のいいところ? です。
K-5を使う気になったのは、どう考えてもDA18-135mmという、コンパクトな便利ズームが一緒に出たからです。
ボディだけK-5になっても、結局18-55か17-70かよ?と考えると買わなかったと思います。Limitedレンズを使いたいが為、ならマウントアダプタでもいいやって事になってしまうからです(画角はさらに変わりますが)。
まあ、そういう感じで再度手にした「一眼レフ」ですが、もう欠点がわかっている中での購入なので、駄目でもイライラしなくなりました。
合焦速度はもはやGH2に負けていますし、この先も速度で位相差AFを語る時代ではなくなって行くでしょう。
K-5がμ4/3やNEXに対して持っているアドバンテージは、AFの速度なんていうものではなく、「カメラしている」部分だと思います。
それがミラーなのか、ペンタプリズムなのかは敢えて言いません。
たぶん違うんじゃないかと思いますが、確信はないからです。
圧倒的な過渡期にあるμ4/3をはじめとするレフのないレンズ交換式システムカメラの最大の弱点は「カメラしている」感が低い事です。
写真を撮る機械としては、どれもすでに優秀だと思いますが、カメラをいじっているという満足感を得るにはまだまだ何かが足りないのです。
その、何かが足りない中で、PanasonicのG/GH系のような「いかにもカメラしている風」のデザインを出されると「うーん……」とうなってしまうわけです。
いかにもカメラしているぞ、という振りをしているのに、カメラしている感がないからです。
その点でPanasonic DMC-GF1こそが現時点でのμ4/3のポジションをよく体現しているように思います。
とはいえ、GF1では物足りない部分があるのも確か。
E-P2?こちらはGF1に近い立ち位置でしょう。幸か不幸かOLYMPUSにはG/GH系のラインが不在で、これからの展開に期待が持てます。
と言う事で、「カメラしてる」感において一日以上の長がある、カジュアルな高性能レフ機一つの完成系とも言えるK-5は、ストレス発散に実に効果的だな、と。
購入以来毎日持ち歩いてクシュクシュと奥ゆかしいシャッター音を堪能しております。
いや、楽しいな、K-5とLimitedレンズ。
便利だな、DA18-135mm。
電車の中でやるボディ内現像、ワクワクだね。
VIVA! 銀残し
青いぞ、空! CTE
見ろ、人がゴミのようだ! ミニチュア
ま、K-5を触っているとそんな事を考えつつ、要するに触ったり撮ったりが楽しいわけです。
おまけに撮った後もいろいろ楽しめるのは、μ4/3勢にはまだない部分で、ここまでのおもてなしカメラはK-5だけじゃないか、と。
そこにはレフの有無を超える魅力があるわけで、一眼レフじゃなくて、K-5がエラいんだ、と。
μ4/3じゃなくてもいいから、早くPENTAXが「カメラしてる」レフなしシステムカメラを作ってくれないかなあ。
(K-5/DA35Ltd. 意味もなく銀残し)