以下長文です。(初出:2014/06/17)
ちょっと自慢……いや、自慢になるかどうかはビミョーなんですが、私は多くの皆さんに比べてかなり早期にカーナビとであっています。
多分私より早くカーナビを使った人は少ないと思います。
なぜか。
それは私が初めて出会ったカーナビは「世界初のカーナビ」だから。
それより早いのは「ない」わけです。
もっとも世に出てないモノを開発段階に使っていた、などというのは「反則」です。カウントされません。(・∀・)
「エレクトロ・ジャイロケータ」
それがホンダのアコード/ビガー(第二世代アコード発売に合わせて登場した姉妹車)に搭載されたカーナビの名前でした。
これのすごいところはGPS使ってない、という事です。
ジャイロセンサーを使った位置特定をしていたのです。
しかもガスレートジャイロセンサーなんていうのを開発して載っけてきたんですから、そりゃあ当時はもう「未来がここにやってきたぜ」的な?
GPSなんて私その頃知りませんでしたから、ガスレートセンサー=21世紀の技術、みたいに思ってただただスゲーと思っていました。
「道は、星にきく」なんていうパイオニアのカーナビのあの有名なCMで私は初めてGPSというものを認識したくらいですから。
いえ、話をGPSからエレクトロ・ジャイロケータに戻しましょう。
これね、厳密に言えば「ナビ」じゃない気がします。
ナビ(NAVI)を案内、航行指示的な意味あいだと考えるとホンダの世界初のカーナビ「エレクトロ・ジャイロケータ」には「案内」機能はありませんでした。
コイツは自車位置を表示するだけです。
しかも走行前に自車位置を「手動」で合わせる必要があるんです。
これ、どういう事かというと「自車位置を認識していなければならない」わけです。
つまりそもそも地図がちゃんと読める人じゃないと使えないのですよ。
もちろん自分んちの駐車場の場所を合わせるくらいは慣れれば誰でもできるんですが、そもそもこういうカーナビが必要なのはドライブの途中。あるいはドライブ先です。
そこがいったい地図のどこなのかを、出発前に正確にポジショニングしないといけないわけです。
さらに言えば「マップマッチング」なんて単語が存在してませんから(存在はしていたと思いますが、まあそこはそれ)。
走っていると当然ズレます。
で、そのズレをどうするのかというと地図を「手動」で動かして自分で正しい地点に戻す必要があるんです。
ヒューマン・マップマッチングです。
これをしないとどんどんズレていきます。
GPS方式じゃありませんから、ズレてもそのうちまた正しく場所を表示する、なんてことはあり得ないんです。
ジャイロはあくまでも「自車位置からの相対的な動き」しかわからないのですから。
その地図も今のようなデジタルデータとかありませんからね。
必要に応じて地図シートを入れ替えるわけです。
オーバーヘッドプロジェクタ用みたいな透過シートに地図が印刷されていた、と思っていただければ。
その地図シートが分厚いファイルにズラっと入っていたわけですが、今入れている地図からルートがはみ出たら、そのエリアの地図シートをファイルから抜き出して手動で入れ替える必要がありました。
このエレクトロ・ジャイロケータの画面は当然ながらブラウン管ですが、そのブラウン管の下に空いたCDスロットみたいな隙間に入れて、後ろ側から引っ張る、みたいな?
これがチョー面倒くさい。アタリマエですが、入れ替える度に停車して作業する必要があるんです。
入れ替えた地図はちゃんとモトのファイルの場所にいれないと、後でえらいことになりますからズボラな人には絶対使えません。
あ、そうそう、書き忘れましたがエレクトロ・ジャイロケータ搭載車はエンジンかけてしばらく待たないと発進できません。
いえ、発進はできますがカーナビが使えないのです。
ガスレートセンサーに封入したガスの動き? が安定するのに5分~10分くらいかかるんです。
つまりエレクトロ・ジャイロケータとは
1)始動に5-10分かかる
2)最初に自車位置を手動でポジショニングしないといけない
3)地図は手動で入れ替えないと行けない
4)そもそもジャイロがズレて道に迷った場合、自分がどこに居るのかわからないのでマップマッチングもできず、どうしようもなくなる
5)でも、なんかすごかった
6)でも(超面倒くさいので)すぐにみんな使わなくなった
7)結局、誰かを乗せるときに「これ、すごいんですよ」的に自慢する一発芸に堕した
というシロモノでした。
なのでそう言うカーナビの始祖鳥を使った事がある私などから言わせると、昨今のカーナビ事情は「パラダイス」以外のなにものでもありません。
もうすごすぎです。
私の車に付いている純正カーナビについては事あるごとに「うん◎」「酔っ払いのゲ◎以下」みたいにぼろくそに評価していますが、エレクトロ・ジャイロケータに比べると当然ながらそれでも「神」です。
まあ、神同士で比較してしまうので我がカーナビは神というか低級霊?みたいに思えてしまうのです。
で。
長い昔話を披露して何が言いたいのかと申しますと……。
「これからはiPhoneのカーナビじゃね?」
という事です。
いえ、アンドロイドケータイでもいいんです。
要するにスマートフォン用のアプリですね。
ハードウェアカーナビはその安定性、精度、速度、価格の高さなど、今はまだiPhoneアプリを圧倒しています。
でもハード+ソフトの開発速度よりソフトウェアのみの開発速度の方がどう考えても早いわけです。
早いし、柔軟性が高いんです。アイディアを即取り入れることが出来ますし、競争もあって色々面白アプリが増えています。
常時ネットに繫がっているスマートフォンですから、情報のやりとりもリアルタイムです。
もちろんハードナビメーカーもその辺は当然わかっていますので、最近は買ってから2年とか3年の間はネットにつなげっぱなしにするサービス込みで売ってたり、地図データも同様に一定期間無料更新ができるようにしていたりするわけですが、はっきり言ってもう消耗戦というか先が見えてきていると思います。
そんな中、iPhoneが自動車との親和性を打ち出し、いくつかのメーカーとタイアップしてスマートフォンをクルマと合体させようという動きを見せてきました。
実際に使った事がないのでアレなんですが、私に言わせれば「ヌルい」と思います。
というかですね
「スマートフォンのディスプレイをまんま表示すればもうそれでいいよ」と。
もちろんタッチパネルだけのインタフェイスではドライバー一人の場合は危険ですから入力デバイスについては各社知恵を絞って頑張ってくれたらいいと思いますが、要するに
「iPhoneをコンソールから出ているライトニングケーブルに繫ぐ、もしくはクルマのコンソールにあるiPhoneソケットに差し込むと、iPhoneの画面がクルマのディスプレイに映ればいい」と思うんです。
これでほとんどユーザーはカーナビやカーオーディオは要らなくなります。
カーナビなんてその時その時に好みのソフトを使えます。
たとえば一人の時は趣味丸出しで声優ボイスのカーナビで萌えを満喫し、同乗者がいる時はナビタイムのアプリに変え、デートの時は周辺のスポット情報が豊富なカーナビにする、なんて事も簡単に可能です。切り替えればいいわけですからね。
もちろんGPSの受信能力などがiPhone側に依存しますからジャイロとかないし、精度はアレですが、そこはそれ、クルマ側のセンサを利用する、というような仕組みは簡単にできるはずです。
最近の輸入車には最初から衛星やらテレビやらラジオやらのアンテナを格納しているモデルがあるのは余り知られてませんが、そう言うのを各メーカーオプションなり標準で搭載しておけば、スマートに事が運ぶってもんでしょう。
どうです?
絶対その方が楽しいし楽ちんだし、何より安上がりだと思いませんか?
で。
実はここまでが前振り。
そんな妄想、というかもはやほとんど確定事項? の近未来を垣間見る事ができるプロダクトがもうすぐ発売されて、私は楽しみにしている、というお話です。
それが、GARMIN HUD 日本語版です。
「何言ってんだ? 全然違うじゃん」
とツッコミを入れたくなるあなた、あなたは多分すごく正しいと思います。
全然汎用性はないし、そもそも自動車との接点は電源用のシガープラブのみでiPhone(スマートフォン)と自動車画面との融合でもなんでもありませんからね。
でも、iPhoneのアプリをドライバーにストレスなく見せる事ができるという点は先取りしていると思うんです。
敢えて書きませんでしたが、そもそもセンターコンソールのナビ画面だけってのがカーナビとしては未完成というか、時代遅れです。
Carrozzeriaはじめ各メーカーも最近は「HUD」オプションを開発しています。事実最近のCarrozzeriaのHUDはすごいなあ、と思うほどキレイでよくできていると思います。
そう、時代はカーナビの画面情報ではなくHUDに如何に情報を表示するか、という方向へ向かっていると思うのです。
そこでGARMIN HUDです。
ハードナビと専用HUDを買って、相当なコストで装着するのがハードメーカーの現状ですが、GARMIN HUDはiPhoneがあればそれでOKという、もろもろの「たいへんさ」をすっ飛ばした製品だと思うのです。
画面の地図は結局必要ですが、走行中のドライバーって
1)次の分岐・交差点でどのように曲がるのか?(どの方向へ向かうか)
2)複数車線のある道路の場合、ストレスなく走行もしくは右左折するにはどのレーンに居るべきか
というのが「現場的最低必要事項」です。
少なくとも私がカーナビ画面で確認したい情報のうち90%はソレです。
GARMIN HUDはCarrozzeriaのHUDと違って表示項目はシンプルですが、上記2点は満たしています。
それに加えて目的地の到達予想時間という、けっこう気になる項目も表示してくれます。
ここまで表示してくれれば「カーナビ画面をチラ見する回数・時間を劇的に減らせる」んです。
それは安全運転に大いに寄与するはずです。
ということで、まだまだプリミティブではありますが、それでもかなり便利で「使える」と思われるGARMIN HUDのレビューがさっそくあったよ、というお話でした。
そうそう、以前「スペースがなかったら、附属のスクリーンじゃなくて、フロントウィンドウに直接表示させればいいや」と言ってましたが、日本ではそれは違法だということを知りました(説明書にもそう書かれている)。
なので附属のスクリーンが必須ですが、スペース的には私の場合は問題なさそうです。
6/11に予約したのですが、6/25の発売日に届くといいなあ、と今から楽しみです。
※画像はGARMINさんから拝借しました。