趣味と暮らしにまつわる「モノ」に一喜一憂するブログ

☆新型インプレッサ・スポーツ2.0i-L 7daysインプレッション

クルマ

7日間お付き合いした新型インプレッサ・スポーツ(5ドアハッチバック)。(初出:2017/09)

スバルが誇るAWD(4WD)ではなく普通のFF、加えて装備的なグレードも中間のものでしたが、それなりに味わいながら走ったこともあり、7日間ではありますがそこそこわかった事があるのでまとめておきたいと思います。
なお、比較対象がジャンルもカテゴリーもクラスも違うVOLVO XC60です。要するにかなり偏った評価になっている事を予めお断りしておきます。
加えるならば私は自動車評論家でも、ましてや自動車評論家を気取ったブロガーでもありませんので、評価軸が定まっているわけでもなく、つまりは気付いた項目を順不同でダラダラと書いていこうと思います。
それから例えば照明色などは設定で変更出来るかもしれない等々、理解不足の点もあろうかと思います。ゆえにそんな状態で評価している事については予めご容赦下さい(ご指摘歓迎)。

・エクステリアデザイン
デザインの善し悪しや好悪は別として、基本的に代わり映えしないというか、どこが変わったのかあまりわからない点はマイナスにはならないのかと他人毎ながらちょっと心配です。そこが良いんだという意見はわからなくもありませんが。
なお、個人的にはこの手のガンダムチックなビジーなデザインはよく言えば精神年齢が低いというか子供っぽい、悪く言うと幼稚でガキっぽくて好みではありません。

・インテリアデザイン
個人的にはクルマというのは実はエクステリアよりインテリアのデザインの方がよほど大事だと考えています。だって世の中のほとんどのオーナーは自分の車のエクステリアを見る時間より、インパネを見ている時間の方が圧倒的に長いはずですから。
とはいうものの「じゃあ、内装がXC90だったらエクステリアはプリウスでもいいのか?」と問われるとぐうの音も出ないわけですが。
それはさておき、新型インプレッサの内装デザインはエクステリアデザインよりずいぶんと精神年齢が高めだと感じました。
センターコンソール上のボタンやダイヤルなどのイルミネーションが赤基調なのがこれまたガキっぽくて個人的に減点対象ですが、全体的には黒基調の嫌味のない普通の内装だと感じました。花は全くないですけど、少なくとも「この内装はないわ~」とは思いませんでした。
比較的好意的な感想は持ったのですが、「花」が有る無しよりも今ひとつ個性がなくてつまらないというかもの足らない部分です。

・居住性(ドライビングポジション)
シートポジションについては調整範囲が思ったよりも広くて、さすが北米最優先メーカーだと感じました。
ただしシートポジションの調整範囲にステアリングの可動範囲がマッチしていないのが気になりました。
個人的にはアップライトでシートバックは立てた上で、そのままできるだけアイポイントを高くしたいのですが、そうするとチルトとテレスコピック機能付きのステアリング調整範囲を超えてしまい、メーターパネルの上部が見えなくなります。その辺りはもう少し頑張って欲しいと思います。
たぶん、このクルマはドライバーのトルソ角というか上体を寝かせ気味で運転させる事が前提の設計なのでしょう。
中途半端にフロアが低く、脚を投げ出し気味でペダル類にアクセスする様になっていますし、つまりできるだけアップライトに座りたい私の好みのシートではないということです。

・居住性(リアシート)
全高を抑えたデザインの為、座面が低く、従って成人であればよほどの短足かチビでない限りシートバックに深く座っても座面からフトモモが浮き気味になります。これは新型インプレッサに限らず国産車に多いパッケージングですが、フトモモがシートから浮くポジションは地味ですが重要な疲労原因です。
長距離(長時間)のドライブなどをするとリアシート高をたっぷりとっているクルマがいかに楽なのかがわかります。まあ、オーナーは自分が後席に座る事がない為、リアシートに関しては膝と前席との距離とか頭上の空間をチェックして広いだの狭いだのというだけですから甘いとしか言いようがありません。つまりメーカーにしてみれば評価されない部分はコストを下げる、つまりリアの居住性は改善しない、と。
そもそもスバルの評価軸として床からのシートまでの高さなんて存在しないのでしょう。日本車はヨーロッパ車に近づいたとか言われていますが、椅子の文化が長い彼の地のクルマと比べると、こういうニッチ部分にはまだまだ差があると思います(最近はヨーロッパ車も怪しいクルマが増えましたが)。

・積載性(ラゲッジ)
うーん。このクラスのラゲッジスペースは個人的には狭すぎて使い物にならないので「×」としか言えませんが、そんな事を言い出すと新型インプレッサだけでなくこのセグメントのクルマは全部×。なのでインプレッサが特別ダメってことにはなりません。
新型インプレッサはいわゆるCセグメント、つまりコンパクトカーです。その同じCセグメントのGOLFよりラゲッジのカタログ数値はよいそうですから、容量に文句をいう私は的外れなのでしょう。

・ラゲッジの利便性
ではそのラゲッジの使い勝手ですが、まずリアシートが6:4でしか倒れません。4:2:4で倒れてくれると嬉しいのですが、コンパクトカーには分割可倒式ではない一体式のクルマも多いのでないよりはマシだと思います。まあ、せめてスキーホールくらいは欲しいところですが。
さらにリアシートを倒してもいわゆるフルフラットにはならないのはとても残念です。これがフルフラットになるかそうではないかはフルフラットに慣れた人ならその差が小さくないことは重々理解していただけると思います。
奇妙なのは新型インプレッサ(というか母体となったXV)は北米を見て作られたにもかかわらず、なぜか日本の(東京近辺の?)機械式駐車場をも気にしているようで、要するに全高が低いクルマです。XVで155cm以下に抑えているのですから、推して知るべしです。
とは言えカタログデータではラゲッジ容量でGOLFに勝ちたいと考えたのかどうかはしりませんが、ラゲッジ高を稼ぐ為に、使い勝手を犠牲にしている所があります。
具体的にはリアハッチの見切りよりラゲッジの床が低いのです。
つまり荷物を積むのも下ろすのもハッチの下の見切りまで一度持ち上げる必要があります。
この「バスタブ型」? ラゲッジルームの「仕様」は我が家にはきわめて評判が悪いんです。
いや、実はこれもこのクラスだとGOLFをはじめとして「普通」の仕様なんですが、フルフラットラゲッジ同様、いったん見切りから続くラゲッジになれてしまうと、後戻り出来ないというか。
例えば我が家ではラゲッジにチェロ(が入ったハードケース)を放り込んで運ぶ事が多々あるのですが、ケースの一部を持ってスッとスライドさせれば積み卸しができるクルマに慣れていると面倒なんですよ。
積む際には見切りの向こう側にガタンと落とし込む事になりますし、下ろす際にはあまり軽いとは言えないケースを「どっこいしょ」といったん見切り部分まで持ち上げてズリズリゴリゴリと見切り部分を擦るのは本当にストレスなんです。
女性や高齢者や腰に不安のある人にとって、このラゲッジの設計はいただけません。容量がどうのこうのというよりも使い勝手が非常に悪いと言わざるを得ませんから。
まあ、「文句があるならそういう造りのワゴンを買えや」という話ですよね。
ちなみにこの新型インプレッサ、実は車検証上では「ステーションワゴン」なんですよ。車検証のカテゴリーってどうなってんでしょう。なんか笑っちゃいますよね。個人的には「ステーションワゴンを舐めんなよ」と言いたいところですが、私が考えるステーションワゴンと他人が考えるステーションワゴンの定義が同じ訳がないので意味のはない話なのでしょうね。
そうそう、ラゲッジの前後長ですが、チェロは問題なく入るだけの長さはありました。まあ、Cセグメントならどのクルマでも問題はないのでしょうけど。

・自転車の積載性
たとえ後席を倒したとしても、ラゲッジルームに二台のロードレーサーを積載するには前後輪とも外さないと無理ですね。面倒なので試してもみませんでしたが。
1時間程度の短距離ならルーフキャリアなどがゲンジツ的ですが、泊まりがけで遠方のイベントに参加するなど長距離を走る必要性がある場合は、愛車は室内に入れて運びたいですし、そうなるとあきらめて前後輪を外して輪行袋に入れて積載するなどそれなりの手間が必要でしょうね。というか、Cセグメントで前輪を外しただけで二台載せようとするとミニバン系を選ぶことになるのでしょう。

・動力性能
XC60から新型インプレッサに乗り換えた直後は「なんて非力なんだ。これで同じ2000ccなのか?」って呆れましたが、少し慣れてくると「これで充分かも」と思えて来ました。
というのも、エンジンの絶対的な数値は凡庸というかはっきり言って低いのですが、CVTとの相性がいいのか感覚としては「パワー不足」を覚えるものの、クルマは充分な速さで走っているので。
慣れてくるとパワー不足感もマヒしてきますし、何より多少の上り坂も特に「しんどい」そぶりもなく、すいすいと言っていいレベルの走りを見せます。
なので数日も付き合うと非力感はなくなりました。ただし、欧州勢お得意のダウンサインジングターボのような低回転からグイグイくるような力感とは(当然ながら)無縁です。

・静粛性
音については個人差が大きいので評価も難しいところですが、新型インプレッサは静かとは言えません。
四六時中キャビンはなんらかの音で充満しているという感じで、車検が終わって自分の車に乗り換えた時にはホッとしたほどです。念のために書き添えますが、私の車も別静粛性に優れているわけではないのですが、遮音の質というかその辺りがかなり違うようです。具体的にはインプレッサは駆動系の音に関する遮音性が低いと感じました。特に気になったのがCVTの音と思われる「ウミューーーン」というような音がずっと耳について、正直に言うとこれは個人的に「しんどい」系の音でした。いわゆるエンジン音もけっこう入り込んでくるのでよく言えば「賑やか」、悪く言えば「落ち着かない」居住空間です。
これらの音の質はラジオや音楽など、カーオーディオを鳴らしながら運転していないと長時間になるとイライラしてけっこう疲弊する類の音質ではないかと思われます。

・乗り心地
実の所新型インプレッサで一番感銘を受けたのがこの乗り心地です。いや、乗り心地というより粗い路面に対するタイヤを含めたボディ側の「いなし」と言った方がいいのかもしれませんが、ともかくそれはかなり上質だと感じました。単に柔らかいとは違い、ただただボディが強固だというフィーリングとも別物です。
なんというか、強い入力に対してハネるような感覚がなく、もっとずっと車重の重いクルマのようなどっしりしたものを感じます。かと言って軽い入力に関してはクラスなりの軽やかさも併せ持っています。
こう言っちゃ言いすぎかも知れませんが「これって本当に日本のコンパクトカー? スバル、すごくない? 」って思ったほど。新型インプレッサはGOLFがライバルだそうですが、現行GOLFは知りませんが、ちょっと前のGOLFよりは明らかに上の乗り心地だと言えます。
ちなみに同じスバルでも現行のレヴォーグなどは強い入力に対してはどうしても突っ張った感のある乗り心地で全く別物。つまり新型インプレッサの方がよほど上級車種だと思えます。

・安全装備
これはもう◎でしょう。
それぞれの「出来映え」を納得いくまで試すほどの時間はありませんでしたが、安全項目としては現行VOLVOのインテリセーフよりも多機能と言っていいですし、アイサイトの持つ物理的な弱点さえ理解していればきわめて安心感のある愛車になると思います。
装備として文句を付けるならば一部の安全ギミック、例えばVOLVOでいうBLISが一部グレードでオプションなのはいただけません。チト中途半端。こういうのは全車標準装備とすべきでしょう。
それから、アラート音がVOLVOのそれに比べると気が弱いというかおとなし目なのがちょっと気になりました。
安全に関与する部分なのでもっと主張した方がいいんじゃないかと思われますが、日本人はその手のものに対する意識が低いので、「うるさい」とばかりにおとをを切ってしまう人が続出するので敢えて押さえているのかもしれませんね。
カタログデータとしての燃費はたいした事はありませんが、私が普段XC60と同じように走っても、XC60より15~20%ほど高燃費なので個人的には全く問題ありません(高速巡航ではどうしてもトルクやパワーの差が出て、XC60の方が少し良い数値を出すようですが)。
ちなみに一度しか給油しませんでしたが、平均燃費計は満タン法と比べて5%ほど嬉しい(プラスの)数値を出す様です。

・ハンドリング
普通に走っている分には普通でした。
ELISEのような回転感もマイケル・ヘイルウッド・レプリカのような無回転感もなく、ハンドルを回せば感覚にズレることなく上りでも下りでも交差点でもワインディングロードでも普通に曲がります。
なお、これは褒め言葉です。普通に走っていてハンドルを回すとどうにも違和感があるレベルのクルマがまだまだ日本車には多いので(輸入車にも多いですが)。
もっとも「ハンドリングはニュートラル」なんてわかった風の評価をしているわけではありません。だって普通ではない速度で走る趣味はないので。つまりいわゆる「峠を攻める」的なレベルでのインプレッションではないという事です。そういうのは私にとっては無意味なシチュエーションです。
サーキットで130Rにアプローチする際のステアリングフィールやシケインを通過する際のリアサスペンションの挙動より、私にとっては自宅付近の塗装が荒れた狭い道を時速20~30kmで走る時のリアサスペンションの挙動やステアリングへのフィードバックのフィーリングなんかの方が1024倍も重要ですから。
だという事を念のために書き添えておきます。
ハンドルを最大まで切った際にはなぜかいきなりデッドなフィーリングになる日本車が多いのですが、新型インプレッサにはそれはありませんでした。最小回転半径も個人的には充分過ぎるほど小さく、マイホームタウンのようなすれ違いに気を遣う古い住宅地でも持て余すようなことはありませんでした。

◆各論まとめ
デザイン :★★
インテリア:★★★☆
リアシート:★★
ラゲッジ :★★★
乗り心地 :★★★★☆
安全装備 :★★★★★
静粛性  :★★★
動力性能 :★★★☆
燃費   :★★★☆
総合   :★★★★

◆総評
300万円内外のクルマとしてはとてもいい出来じゃないでしょうか。
というか「かなり安くてお買い得」だと思いました。
特にプリクラッシュ系の出来を考えるとGOLFを買うよりこのクルマを買う方が断然いいんじゃないかと思います。
ガンダム系の子供っぽいエクステリアデザインに目を潰れるなら、ですが。

とても良い車だし、装備を考えると相当にお買い得だと思いますが、それでも私はインプレッサは絶対に買いません。
むしろもし私がこのクラスの車を飼うとしても、新型インプレッサは真っ先にリストから外します。
それは「インプレッサを買うなら、同じボディを使って最低地上高を7cm稼いだXVの方がいい」と思うからです。
ボディは全く同じ。ドアを開けてシートから見える風景も同じ。
違いはバンパーや下回りなどの装飾系のみ(加えてタイヤが大径など)。
XVはインプレッサをややワイルドに加飾してSUV風味にした事で、エクステリアはむしろ多少なりとも幼稚さが気にならない様になっています。
なんというか、セダンというジャンルがそろそろオワコンになろうとしている昨今、いわゆる5ドアハッチも同様の道をたどるのではないでしょうかね。
それくらい、個人的にはXVじゃなくてインプレッサを敢えて選ぶという選択肢が意味不明です。
そもそも今回の両車は、メーカ自身が「インプレッサはXVの派生車種」と、旧型とは180度違うコンセプトで設計したようなので、XVこそがあるべき姿だと言っている様なものですからね。

追補

おっと、特筆すべき◎な点を書き漏らしておりました。

視界良好です。
Aピラーの角度や太さ、位置などの問題、ミラーをボディ側にマウントしてはめ殺しながら三角窓を設けるなど視界確保というか死角削減の努力が認められる造りになってました。
カメラによる画像で死角をカバーしているとは言え、インプレッサに比べると我がXC60の死角の多さよ、というしかありません。

☆写真は富士重工業のサイトから拝借しました