さて、今回はXC60のラゲッジルームをサラっとご紹介。(初出:2014/11/05)
「Part 1」なので。
「サラっと」と言うのは、実の所まだ私がラゲッジスペース(の小物入れ等の収納スペース)の使い方を決められていないから、デス。
前車のEVOQUEの場合ラゲッジルームにいわゆるポケット的な収納スペースは皆無と言っても差し支えないほどでした。
なので、車載しておきたいアイテムは厳選に厳選を重ね、要するに本当に必要なものに絞って、小型のトートバックに詰め込んで、ロードリテンションシステムのバーで押さえておりました。
が。
XC60には目も眩むほどの隠したり隠さなかったりする収納スペースがあって、どうやって使ったら良いのか途方に暮れている状況なのです。
まあ、アレです。わかりやすく例えると……。
ウサギ小屋で育った庶民が、「自由に使っていいからね」なんていってセレブのお屋敷を丸ごと借り受けた時のような、そんな気持ち。
いえ、「自由に使っていいよ」とセレブのお屋敷を丸ごと借り受けた事がないのでマジでその時の気分と同じかどうかはわかりませんが、そこはホレ、シミュレーションというかイメージですよ、イメージ。
ええ、私のイメージがウサギ小屋で育った庶民のソレから脱却できていない事は認めます。
XC60とEVOQUEの一番の違いは何か、と尋ねられた私は、間髪を入れずにこう答えるでしょう。
「もちろんルックスだよ」と。
ですが今回の本質はルックスとはほとんど関係がありませんので、少し間を置いてから冷静に口を突いたこの言葉を基本にしたいと考えております。
それは次の一言です。
「ラゲッジの広さと小物入れの数はルックス以上に違うね」
そう、両車のトランクルームは、広さはもちろんですが、むしろそのユーティリティがチョー違う、と思うんです。
まずはXC60のラゲッジルームをご覧下さい。
リアゲートを上げて、トノカバーをスルスルっと巻いた状態です。
ご存じの通りXC60はSUVというカテゴリに入っていますが、その実体はステーションワゴンの仲間でもあります。なので、トノカバーは当然のように巻き取り式です。
同じSUVのカテゴリに居るEVOQUEはXC60とは違って、形からわかるようにステーションワゴンではなくハッチバックの仲間になると私は考えます。だってトノカバーが吊り下げ式ですからね。
ちなみにどちらも車検証的には「ステーションワゴン」ではあります。まあ、お上には今のところ「SUV」というカテゴリはなく、全部ステーションワゴンに分類されるようですね。
あ、お上の分類はどうでもいいッスね。トノカバーの話でした(そうか?)。
吊り下げ式のトノカバーって面倒じゃないですか?
少なくとも私は面倒だと思うタイプなんですよね。
我が家は2台のBROMPTONをラゲッジルームに乗せることが多いのですが、その際、トノカバーが邪魔になります。要するにトノカバーをとらないと載せられないのです。それはEVOQUEもXC60も同様です。
EVOQUEにBROMPTONを積む時、いつもいつもいつもいつも思ってました。
「トノカバーが巻き取り式ならなあ」と。
自宅ガレージの方にはわからんのですよ。
取り外したトノカバーがいかに面倒なシロモノか、という事を。
我が家の部屋はマンションの玄関から二つのエレベーターを乗り継がないと辿り着かない僻地にあり、マンションのエントランスから部屋までヘタすると三分以上かかります(エレベータ待ちなど)
要するに余分な往復が一回増えるんです。
しかしその吊り下げ式トノカバーはEVOQUEと共に去り、XC60の納車と共に我が家のトノカバーは待望の巻き取り式になりました。
ということで、スミマセン、巻き取り式とのカバーの説明が長くなってしまいました。
次の説明に行きましょう。
正面で白くその存在を主張している柵のようなものは、ロードリテンションシステムのラゲッジセパレータ。その名の通り、これを使ってリアシートバックのバック(後ろ)との間を区切ってそこに荷物を置きます。最後に軽くセパレータを押されば、走行中に荷物が転げ回るようなことはありません。
位置決めは左右独立式なので、荷物が少ない場合はナナメにして押さえる事で固定できます。
スーパーの買い物袋などをドサっと置いてスーッと固定する、というのが我が家の定番の使い方です。
向かって左側の同じレールに突き刺さっている二本の黒い棒は、同じくロードリテンションシステムのベルトテンショナーシステム。
これは二本のバーでサイズを調整し、その間にある伸縮式の巻き取り式のベルトを引き延ばして荷物に巻き付け、その後掃除機の電源コードを巻き取るような要領で幅広ベルトを巻き取ればテンションがかかり、セパレーターバーと同じく走行中にラゲッジルーム内で荷物が暴れることはありませんよ、というものです。
我が家では主に12オンスのエビスビールのケース(24本入り)を運ぶ時にお世話になっております。あと、小型のスーツケースの固定などにもピッタリです。
え? セパレーターバーとベルト固定棒の使い分けですか?
ンなもん、普通の知能があればその時その時で判断、対応できるものです。つまり人それぞれ、TPOで使い分け、という奴ですよ。
基本的にセパレータはテールゲートに向かう人間から見て「奥に固定」で、ベルト固定棒? は手前に固定するものです。
なので、エビスビールのケースのような重いもの(そして四角くてベルト固定にぴったりな物体は)は奥で固定するより手前で固定するほうが出し入れが楽、という感考え方です。
まあ、考えるより使ってみろ、というギミックですね。
このバーとベルトのシステムはEVOQUEにもありました。というか工場オプションとしてオーダーし、予想以上に便利に使っていました。
というかですね、もうこれがないワゴンなんて考えられません。
旅行なんかもそうですが、荷物の増減(というかたぶんお土産を買うので減らずに増えるだけですが)に合わせてバーもベルトも調整できます。
植木やワイン、日本酒といった瓶ものにはめっぽう強いですね。「あ、今のカーブで荷物が崩れた、倒れた、割れた」なんていう悲劇を引き起こす羽目に陥ることは金輪際無くなるのです。
要するに「もう手放せません」的装置です、はい。
でも、このアルミのセパレートバー、時と場合によっては……というか、EVOQUEの時にはトノカバーと同様に邪魔になる事もありました。
まずはBROMPTONを積む場合。
EVOQUEのラゲッジスペースだと、アルミバーを一番奥にしていてもBROMPTON2台を積む際の邪魔にしかなりません。要するにバーを装着していたらラゲッジに積めないのです。なので当然自転車を積む=アルミバーは取り外す、という事になります。
それからチェロ。
チェロのハードケースをラゲッジに積む際にも、アルミバーは当然ながら邪魔になります。
つまりチェロや自転車を運ぶ度に、アルミのバーはいちいち取り外さないといけませんでした。
※注:チェロの場合、EVOQUEでも自転車とちがってトノカバーを外す必要はありませんでした。6:4分割可倒リアシートのうち、6(大きい方=運転席後ろ)の部分を倒してツッコむ形です。
XC60にチェロを積む時ですが、こちらもEVOQUE同様、さすがにラゲッジにそのまま乗せることはちょっと無理がある(実は乗せられるけどリアシートに立てかけるような格好になるので安全面で問題あり)ので、4:2:4の可動式リアシートのうち、真ん中の補助シート部分を倒せばOKです。
ええ、もちろんその際にアルミの柵ことセパレーターバーは邪魔になります。まあ、その上に立てかけるという方法はありますが、セパレーターバーに重いものを立てかけて破損させるなどという行為に及ぶわけにはいかないので当然外すわけです。
え、だったらチェロに関してはEVOQUEもXC60も同じようなものじゃん? と思われるかもしれませんが、実はここがXC60のEVOQUEに対する数値上のアドバンテージの見せ所なのです。
数値上のアドバンテージ。
それはエンジンパワーがちょっとだけ上だとか、JC08の燃費データが随分いいな、とかそういうものではなくて、もっとこう、物理的なものです。
それは全長です。
EVOQUEとXC60はざっと30cm弱、正確には270mmの差があります。
もちろんあくまでも全長比なのでXCのトランクがEVOQUEと比べてまんま270mm長いわけではありません。世の中そんなに単純に出来てないんですよ、兄弟。
全長とはセットで考えるべき数値というか、ホイールベースにも着目する必要があるのですよ。
EVOQUEのホイールベース=2660mmに対しXC60は2775mm。その差115mmです。要するにEVOQUEよりXC60の方が前後のキャビン長が115mm長い=室内が広いという事です(実際はそこまで単純ではないのですが、まあ目安として)。
もちろん単純に言い切れませんが、トランク長に関係するのはホイールベース外のサイズ……具体的にはリアタイヤより後ろ……だと仮定すると、全長差270 – ホイールベース差115=155mmがEVOQUEと比べてXC60がラゲッジに割り当てられる最大値ということになります。
そこで実際のラゲッジルームを計ってみると……
床の前後長はEVOQUEが約795mm(カタログデータ)で、XC60は色々探したのですがカタログ値というかメーカー発表値のようなものが見つからなかったので実測しました。
実際にはかるとラゲッジの床の長さは1000mmを楽に越えちゃうのですが、リアゲートの内張分がマイナスになるはずなので、実測値はざっと970mmというところです。
EVOQUEより175mm長い勘定ですね。
だとするとこの175mmの差は私が鼻くそほじりながら適当な計算ではじき出した155mmの差と比べても、結構いいセンいっているというか、ほぼ計算通りというか、20mmとかもはや誤差だろ? というか、そんな感じですかね。
いやまあ、ガタガタ書き連ねるのではなく単純に「XC60の方が15cmくらい長いよ」、と書けばそれでいい話でしたね、ハイ。
で、クルマに於けるこの155mmの差ってのは、意外にでかいんです。たかが155mm、されど155mmというわけですね。
そこには天と地……とは言わないまでも、明確にEVOQUEとXC60が実は違うクラスにあるクルマなのだと認識せざるを得ないほどの差があるわけです。
その差を明確に感じたのが
【ロードリテンションシステムのあのラゲッジセパレータの片側を抜いて縦にしても、リアゲートがちゃんと閉まる】
これです。
これがもっとも簡単にあのセパレーターバーを「収納」する方法なのですが、EVOQUEだと全くもって不可能なこの目論見が、XC60ならサックリ出来てしまうのです。
たかが155mm。されど155mm。ここには越えられない壁が存在するということなのです。
そう、チェロを運ぶ場合のようにセパレーターバーが邪魔になる場合は縦にしてしまえばOKなのです。
残念ながらアンカー部分はレールから外れてしまうのでカチャっとはめ込んで美しく収納するわけにはいきませんが、ゴム付きのフックを取り付けて、そのフックをラゲッジの手前の隅にあるラゲッジフックに引っ掛ければバッチリ固定される、という寸法です。ワンタッチっすね。
いやあ、これができるとわかった時の私の嬉しさときたら。
「小躍りする」という言葉がまさにその時の表現にピッタリ、という感じでございました。
写真でもフックに引っ掛ける為のゴム付きフックが向かって左の下側のバーにぶら下がっているのがおわかりいただけるかと思います。
トノカバーとロードリテンションシステムのアルミのセパレータ。EVOQUE時代は便利だけど不便なアイテムだったこれが、XC60では「ただただ、もう便利なだけのアイテム」として存在してくれているのが素晴らしいところです。
EVOQUEより155mm、センチになおすと15.5cmもラゲッジ長が長いXC60ですが、「だったらEVOQUEの全長を15.5cm長くして、それを全部ラゲッジ長に振り分ければXC60なんて敵じゃ無いぜ。OK?」ということになるのでしょうか?
ブブーッ。
答えは「×」です。大×です。
考えてもみてください。果たしてそのリアオーバーハングが単純に15.5cm長いEVOQUE L(仮称。longのL)のデザインはかっこいいのでしょうか? それはEVOQUEと言えるのでしょうか? という話にはなってくるのではないかと思うのです。
ラゲッジを稼ぐ為なのでホイールベースはそのままです。あのデザインで単純にリアオーバーハングだけが大きく(長く)なるわけなので、そりゃあバランス悪いんじゃないスかね? EVOQUEの緊張感あふれるスキのないリアビューは絶対スポイルされると思いますぜ。
と言うか、あの小股の切れ上がったEVOQUEのデザインは、リアのラゲッジスペースを削って「発明」したものであって、妙な事はしない方が吉だと思います。
EVOQUEの全長、全幅、全高のデータ。ホイールベース対トレッド比、それはギリギリに切り詰められた前後オーバーハングの少なさを産み、ひいてはEVOQUEのあのかっこいいデザイン(パッケージングと言い換えてもいいですが)を構成する黄金律のようなものなのですから。
まあ、アレです。小股は全然切れ上がっていない、というか足首が太いEVOQUE「風」のクルマが欲しい場合はRANGE ROVER Sportsとかいうのがありますのでそちらを買えば幸せになれそうですよ。値段がだいぶ違いますが……。
あ、ついでに言っときますが「小股」って股の付近の名称ではありませんよ。知らない人は「小股」で検索してね。足首系のお話ですからね。
という事でロードリテンションシステム系のお話は終了。
お次は左右に貼り付けられたネットについて。
これも想像力のある方なら、たいした説明ナドせずとも「便利なもの」である事はおわかりいただけるかと。そのポケットが左右にあるんですよ、左右に。
◆左(ラゲッジルームに向かって)
◆右(同上)
普段クルマに積んでおきたいアイテムで、かつ出番が多いモノをここに入れておくことができれば、実に便利この上ないのです。この位置に配備できるということは、実に重要な事なのです。
というのは、この両サイド部分は、床下収納のトレイ、要するにラゲッジの床板の開閉に干渉しない位置にあるからです。
ちなみにフロアに直付けされているEVOQUEと違って、XC60のロードリテンションシステムのキーである左右のレールはトレイの左右の端にクリップ留めされているので床下トレイを持ち上げるとレールごと、システムごと持ち上げるということになりますのでちょっとご注意を。
で、そのフロア下の収納に行く前に、ラゲッジルームの床面にあるVOLVO流の「トンチ」をご披露しましょう。
それが「衝立システム(私が名付けた(・∀・))」ことグロサリーバッグ・ホルダー。
フロントウィンドウにある「チケットホルダー」と並び、VOLVO伝統のギミックでして、このように床の一部を持ち上げる事ができるんです。
で、左右に二つあるフックにレジ袋などをぶら下げろ、という事のようです。黄色いテープはゴムで、この下をくぐらせてレジ袋をフックに引っ掛ける事により多少の揺れなどでも(レジ袋が)脱落しませんよ、というもの。
EVOQUEにも実はレジ袋を引っ掛けるフックが左右に二カ所あります。オーナーならご存じだと思いますが、場所は吊り下げ式トノカバーの台になる部分の手前あたり。
EVOQUEのフックはまさにフックだけ。VOLVOよりシンプルな構造で、使い方も至ってシンプル。いちいち衝立を立てる必要もありません。
かく言う私もEVOQUEのそのフックは便利に使わせていただいておりました。
だがしかし。
構造上仕方ないのですが、EVOQUEのそれは説明したとおり単純にフックだけなので。どういう事かというと、レジ袋はぶら下がるだけですから、当然ながら車の動きに合わせて振り子状に自由気まま? に動くのが欠点でした。
その点VOLVOの「衝立システム」にあるレジ袋フックは、黄色いテープが「押さえ」になっていて、把手付近だけですけど、衝立に当てて固定します。荷物も衝立に立てかけるような感じになります。つまりただ空間にぶら下げるだけのEVOQUEに比べると相対的に固定力が上なのです。
まあ、とは言っても動きますから大きなものや妙に重いものはムリですが、その場合はロードリテンションシステムのアルミセパレータバーを使うなり、再度のネットポケットを使うなりすればいいでしょう。
何度も言いますが、人間の脳(オツム)は使う為にあるんです。レジ袋=盲目的に衝立に引っ掛けるだけの人は私の生物分類では人とは言えません。ミトコンドリア? いや、ゴルジ体レベルか……。
で、レジ袋を引っ掛けるだけにしては大げさすぎるグロサリーバッグ・ホルダーですが、これは「衝立システム」という名称のとおり、レジ袋を引っ掛けるという単機能のシステムではなくて、ラゲッジセパレータにもなるんです。ただしアルミのセパレータと違って区切る部分が可変ではなく固定なのでご注意を。しかも完全セパレートではなく左右は結局筒抜けになります。なので、それを理解して使うのが便利に使うコツなんですよ、という感じです。
そう。我が地味子ことXC60のラゲッジには固定衝立と可変衝立が1つずつ。加えて荷物用二点式シートベルトまでついている、という状況でして、もはやラゲッジルームでモノが動き回れる余地などないのです。
という事で、Part 1は軽~く7000文字程度で勘弁しておきましょう。(・∀・)
Part 2ではいよいよ? 床下収納と、現時点で床下に収納しているグッズの紹介を予定しております。