趣味と暮らしにまつわる「モノ」に一喜一憂するブログ

★SD1を持ってスイス・アルプス ヘタレハイキング Ⅴ

カメラ

(初出:2011/06/27)


(SD1/17-50OS)

しつこくスイスに滞在中です。
日焼けで死にそうです。
今日のツェルマットは朝から雲一つ無い快晴。
という事で、扉は逆さマッターホルンで。


本題はツェルマットではなくてグリンデルヴァルトということで、一つよろしく。

グリンデルヴァルトに限らず、この時期の山岳リゾートの多くは工事ラッシュです。
雪が溶けて川になって……じゃなくて、雪が溶けてようやく工事が可能になる事に併せ、雪でダメージを受けたいろいろなものの修復が必要になるわけです。
日本の年度末の必要のない掘り返し工事とは根本的に意味が違うという事ですね。

工事にちなんだ話題としては、グリンデルヴァルトも結構様変わりしています。
相当以前に行った方は、駅がモダンに変わっているのにびっくりするはず。
昔の田舎の場末感漂う駅とは違い、垢抜けたものになっています。
言い換えると風情が全くなくなったわけですが。

スイスの駅は道路と陸続きのところがおおいです。
いわゆる日本の概念の改札はなく、道路とはそのまま繋がっているのでバイク(自転車)でガーっとやってきて、そのまま担いで自転車に乗せる、なんて言う事が簡単にできますし、事実やってます。
バイクOKの車両も用意されている事が多く、輪行などせずそのまんま乗せてそのまま下りてさくっと乗ってどっかに行くという感じで、実にフリーです。
改札が内代わりに検察はきちんとやってきます。

ですが、注意!
たぶん多くのガイドブックにも書かれていると思うのですが、自分の甘えた考えが世界に通用すると思っている日本人の多くが「切符は電車の中で買えばいいや」とばかりに乗り込んで、罰金をとられているそうです。(だから最新のガイドブックには書いてある……はず)
確か罰金は八〇フラン。日本人的な甘えた理由をいくら述べようと逃れられません。
つまり、切符はあらかじめ買っている事、持っている事が前提です。
ここでもパスを持っているメリットが生まれるというものですね。

鉄道の話が出たついでに、一等車と二等車について補足を。
今回の移動時にもよく見たんですが、一等車と二等車の存在を知らない日本人の旅行者。
添乗員付きのツアーだとガイドさんがちゃんと同行しているので正しい乗車位置で正しい車両に乗るんですが、添乗員がない安いツアー、つまり現地係員付き、というパターンだと移動は実質個人旅行者みたいな感じになります。
多いのが一等車両の乗り場で待っている人達。
私達が迷いなく行くのについてくる人が必ずいるんですよ。なぜかカップルが多いんですが。(私達がカップルだからかもしれません)
駅には必ずサインがあって、どのエリア(セクター)が一等車か二等車かが表示されていますし、大きな駅ではアナウンスがあり、そこでも必ずセクターごとに一等車二等車だぜ、と注意を喚起しているわけですが、私達についてくるような盲目的な人達は聞いてないし見ていないので、列車の中で車掌さんにノーと言われたり、乗る直前にようやく気付いて、遙か彼方の二等車まで重いスーツケース引きずりながらダッシュしたりで、見ていて気の毒になるのですが、まさか「ここは一等車のセクターですが、一等の切符持ってます?」などとは聞けないわけです。
持っていたらきわめて失礼ですしねえ。

それから、ローカル線は一等車を二等車として解放している場合があります。
一等車両3,二等車両4みたいな編成だとすると、一等車両のうち二両は二等車両に解放して、残りの一両も半分が二等、なんていうのを今回も見ました。
ローカル線でも一等と二等の車両はそこそこ違いますし、たぶんシートがいい場合が多いのとシートピッチが広いので快適です。
それがわかっている外国人(現地人か)は一等車両に群がってきます。
そりゃもう、戦争というか我先ですよ。恐ろしい。
要するに一等車に乗る人とか非常に少ないのでそういうバランスにしているのでしょう。
そんなパターンでも一等ブースはゆったり使えますので、一等車パスを是非、と重ねて言っておきます。

補足ついでの話題ですが、書き忘れたネット環境の話。
iPhone4だとソフトバンクの海外ローミングが6/30まで1480円/一日です。
通話は別料金ですが、いわゆるパケット通信はアンリミテッドなので、テザーとか必要のない人はこちらでもいいのではないかとおもいます……って、6/30までだから実質意味はありませんね。
なお、SwissCOMがローミング相手になります。

さて、グリンデルヴァルトの話題。
ここではスイスの食事の話題を少し。

 

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(チューリッヒ到着後、とりあえず何か腹に入れておこうと思ってカフェで頼んだスカのようなサンドウィッチ。これで9フラン/P300)

またもやグリンデルヴァルト限定の話ではないのですが、スイスは何が高いって、食事代が異常に高いと思います。
食事代の高さに比べたら列車の一等車と二等車の差なんて目くそ鼻くそ状態です。
なので、スイスの外食代は相当高い事を覚悟しておきましょう。
ざっとですが、割く予算としては、昼食が一人三千円。夕食が一人五千円程度。
もちろんもっと安く済ます事は可能ですが、サンドウィッチと飲み物でも1500円くらいかかります。
毎日ミグロスやコープの出来合いサンドと水でいいなら800円程度。
でも、それって楽しいですかね?

 

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特にハイキング目当てなら、休憩をかねてレストランでゆっくりするべきですし、そうしたいですよね?
天気がいい比ばかりではないし、風が強い日もあるしめっちゃ寒い場合もあります。(七月でもすぐに氷点下になります。ええ、場所によりますよ、当然ですが)
そんな時ミグロスで買った冷え切ったサンドを、吹きっさらしのベンチでモソモソ食べて楽しいですかね?
いえ、人の楽しさを私がどうこういうのもアレなんですが、ケチるところと使うところはきちんと分けた方がいいと思うんです。
ええ、余計なお世話かも知れませんが、私としては豪華な食事はする必要はないと思いますが、レストランで食べましょうよ、と言いたいです。

スイスの食事は高いのですが、一概にただ高くてひどい、なんていうつもりはありません。
だって、料がハンパではないのです。

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(ルッコラとチーズのサラダ。写真ではわかりにくいけど一人前が恐ろしい量)

最初にスイスに訪れた新婚旅行は、いわゆるスイート・ツアーというやつで、要するに新婚旅行用のツアーだったんですが、その時の食事の事は今でも覚えています。みんな新婚ですから、若夫婦ばかりです。というか若夫婦って何歳まで?
具体的には二十代半ばとしておきましょう。
十組程度の新婚カップルの誰一人として全部の食事をすべて平らげられた人はいませんでした。
(全食事がついているツアーだったので観察可能です)
何が言いたいかというと、勘のいい人はもうおわかりの事と思われますが、

1)食事は一人前
2)飲み物はそれぞれ

というオーダーをすればいいのです。
三人組だと二種類(二人前)頼んで食べ比べなどもできますね。
頼む時に「二人で分けて食べます」と言っておけば取り皿を持ってきてくれますし、気の利く店なら半分に分けた状態で二皿にして持ってきてくれます。

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(ラム肉のグリル。これが一人前。食えるか! ヽ(*`Д´)ノ)

 

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(上のラム肉のグリルの付け合わせ。二種類チョイス可能で私が選んだのはリゾットとブロッコリー。フレンチフライを頼むと恐ろしい量になりますぜ、ダンナ)

スイスの観光地のレストランの人達は日本人があんまり食べられないのを知っていますから、向こうから聞いてくる場合もあるくらいで、かっこ悪い事もなければマナー違反でもありません。
堂々とお願いすればいいと思います。
我が家はスイスではだいたい昼食はそんな感じで楽しんでいます。

グリンデルヴァルトもそうですが、スイスはイタリアンが大好き。
だいたいのレストランでピザやパスタはメニューに乗っていますし、そもそもがイタリアレストランの看板を掲げている店も多いのです。
スイスなので「リストランテ」と銘打っていてもピザを出してOKなのが客としてはありがたいところです。

でもせっかくスイスに来たからにはスイス料理が食べたい! というのが人情ですよね。
そこで私のオススメは

1)ロシュティ(ロスティ)
2)ラクレット
5)ラムステーキ(三四が無い)

です。
cheese fondue?
まあ、ダメとはいいませんが、あんなものは「スイスでチーズフォンデュを食べた」という思い出もしくは話題作りの為のイベントみたいなものです。

昔はスイスってパンがとってもまずかったんです。
マズいものの修辞として「スイスのパン」という言葉があったくらいです。
理由は新しい(つまりおいしい)小麦はシェルターへ入れておき、代わりに取り出した古い小麦粉(日本的に言うと古古米みたいなもの)でしかパンを作ってはいけないことになっていたのです。(法律)
そのスイス人でさえまずいと思っているパンをどうにかして……はっきり言うと吐き気を催さずに食べたい……それにはどうしたらいいのか、という目的の為に考え出された手段が、チーズフォンデュなのです。

パンのマズさを隠すために、臭いの強いチーズとニンニクを使い、白ワインをブチこんでパンなんだかチーズなんだかワインなんだかニンニクなんだか、というどさくさに紛れてパンを胃に放り込む……それがチーズフォンデュの正体です。
冷戦が終わりスイスのシェルター政策も変わり、新しい小麦粉でパンを作る事ができるようになり、今のスイスは普通にパンがおいしい国に変貌しています。
つまり、もうcheese fondueなど食べる必要はないのです。
ビバ! ベルリンの壁!(の崩壊)なのです。


(SD1/17-70OS/グリンデルヴァルトから見たアイガー)

それでもどうしても食べたい、という人は一人前で。
oil fondue(フォンデュ・ブルギニヨン)と違って、チーズフォンデュは一人前でOKの店がほとんどですから、是非一人前で。

レストランで近くの日本人の四人組がチーズフォンデュ四人前、とか頼んでいるのを耳にするとめまいがしてきます。
そして私に遅れる事五分程度で、日本人の四人組はめまいを覚える事になるのです。
「食えるか、こんなに!」
と言うほどのパン、パン、パン。
というか、一人前の分量を二人でも食べきれませんよ、たぶん。
というか、あんなもの、一つ二つでいいんです。

最近は私のようにチーズフォンデュなどに目もくれない観光客ばかりなので、敵も(敵?)いろいろかんがえてきていて、さっぱり系のトマト入りチーズ・フォンデュなんていうものが流行っています。
これはたぶん日本人に会っていると思います。少しだけ割だけですが。

それでもどうしてもチーズ・フォンデュを食べたい、という人に私なりの食べ方アドバイス。

四人組までなら、一鍋(一人前)で充分。
私に言わせれば一〇人でも一人前でOKですが……
で、各自2,3切れ、パンにチーズをからめて食べる。
たぶん二きれも食べれば「もうええわ」となる味覚の日本人が多いと思われます。
全員が「もうええわ」と言ったところで、今度はひたすら煮詰める。チーズを!

実はチーズ・フォンデュの一番おいしいところっていうのは「お焦げ」なんです。
チーズを煮詰めて、そこが焦げてきたらフォンデュ・フォークで完全に焦げ付く前に剥がしにかかります。そしてそのきつね色に焦げた部分をみんなで分けてたべるんです。
それがウマいです!
チーズフォンデュとかやめて、チーズフォンデュのお焦げだけちょうだい! と言いたいくらいです。


(SD1/8-16mm/フィルストからのハイキングコースでのスナップ)

ちなみに私達もチーズフォンデュのお焦げが食べたいが為に、一日だけ一人前のフォンデュを頼みました。もちろん別の料理と一緒に。
お焦げをガシガシ削りながらそれをフォークでこそげとり、口の中に入れて「熱っ」といいつつホフホフカリカリと食べるのが絶品でした。
ビールに合いますし、ワインにも合います。
好みによりますが、私は白ワイン、ドライ系のもの、つまりスイスの白ワインにぴったりだと思いました。

で。
日本ではあのチーズフォンデュのお焦げをなかなか手に入れられないのですが、スイスのミグロスやコープと言ったスーパーには「チーズフォンデュミックス」なるものが売られています。
これを日本の土鍋に入れてお焦げを作ればいいのではないか、と思いつきました。
買って帰りますので、結果は後日報告します。

 

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(一人前です/XZ-1)

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(焦げはじめ。もう少しするときつね色のコゲが増えてきます/XZ-1)

1)のロシュティはハワイイでいう「ロコモコ」的な現地食です。
ジャガイモの細切りを炒めたものに、いろんなトッピングを併せて食べるというもの。
私はロシュティが大好きなので、三食ロシュティでもいいくらい。
好きなのは、卵焼きとベーコン入りか、卵焼きとハム入りといったシンプルなヤツ。
卵は欠かせませんよ、卵は。

2)のラクレットは、チーズです。
基本はゆでたジャガイモにとろけたチーズがかかってて、それをからめて食べるシンプル極まりない料理です。
アニメのハイジで、アルムおんじが囲炉裏の火でチーズを溶かしてパンにのせてますが、あれはラクレットじゃないかと思います。
ラクレットを知ってからあのアニメを見ると「ハイジ、贅沢してやがるな」と思ったりして……。
シンプルですが、これが本当においしい。
コレがおいしくないという一とは私は食べ物に関して話をしたくありません。
たぶん多くの日本人の口にも合う食べ物だと思います。
チーズ嫌いな人は……まあスイスにはそもそも行かない方がいいじゃないかと……。
スキーとかならカナダの方が快適で色々便利ですし、ハイキングもアメリカの国立公園系が雄大でいいと思います。

3)のラム肉ですが、これはスイスの牛肉があまりおいしくないから、という側面とラムはマジで美味いから、という王道的な理由からのオススメです。
スイスの牛肉は日本で売られている牛肉とは違い、赤身オンリーという感じです。
しかもタダの赤身ではなく、日本で出回っている多くの輸入肉がいわゆる飼料で肥育された牛の肉であるのに対し、牧草で普通に野ざらしをして育てられた牛の肉なのです。
草を喰った牛の赤身の肉は、多くの日本人が食べ慣れないもので、たぶんパサパサして美味くないと感じるんじゃないかと思います。
牧草牛の赤肉が好きという日本人は相当のグルメか、タダの通ぶったいけ好かないヤツのどちらかでしょう。(後者は本当はマズいと思っているけど、通ぶりたいからウソを言っている)

ラムは本当においしいです。
羊が嫌いという人も多いので闇雲には進めませんが、私はラムも羊もOKですから、スイスのラムは日本で喰うより断然美味いと言っておきましょう。

全般的にスイス料理は塩辛いので、日本人の口にあった店を選ぶのが問題になりますが、目安は「本格的なイタリアン・レストラン」という点でしょう。
イタリア人の職人が作っているイタリアンはしょっぱくないのです。
スイス人はしょっぱい味付けが基本なので、日本人にはちょっとアレな場合が多いです。
特にスープ。
あと、ピッツァ。
現地に着いたら、何よりまずレストランの選定作業を。
聞きやすいかもしれない、日本人相手の現地の特定の人達が勧める店は本当にオススメなのではなくて、後でバックマージンをもらうタイアップ店だったりしますので、鵜呑みにしてはいけません。
それよりも今はネットがありますから、ネットで旅行者の旅行記などを探して事前にチェックするのがいいかもしれませんね。

という事で今回もだらだらと長くなったのでこの辺で。