G.エルム……じゃなくて福良港を後にした我々に立ち塞がるのは四番目、つまりは最後の峠群です。(初出:2017/07/10)
道なりにまっすぐ走っていたらいつの間にか国民休暇村に着いている、という騙し? ルートに引っかかったのです。国民休暇村は高台に建っており、そこへの登り坂は国民休暇村専用道と言っても差し支えのない坂道。
いったんこの道に入ってしまうとショートカットはありません。正しいルートに戻る為には入り口まで引き換えさねばならないのです。
ちなみにアワイチの峠ルートへは直角に右折する必要があります。おそらく私だけでなく大勢のサイクリストがこの国民休暇村坂道の餌食になっているに違いありません。
前回はこの「ムダな登り」でもはやすっかり足が売り切れ状態になってしまい、正規ルートにある最後の登り坂は疲労困憊のあまり記憶がありません。
ただただ「早く終わってくれ」と祈り……いや、呪いながら上っていたような気がします。気がするだけです。何しろ記憶がありませんので。
だがしかし。
今回の私はもはや別人。故に前回の轍は踏みません。
既にこのワナを熟知しているからです(……って自分で書いてても何をエラそうにって、思いますが(・∀・))。
というか、予めGARMIN EDGE 1000に落としておいた正しいルートを見れば間違いようがないだけですが。
前回は「単純な道だから間違えっこない」とか「これだけ多くのサイクリストがアワイチをしているんだから、標識がイヤと言うほどあって迷おうとしても迷えないにちがいない」などと言ってアワイチ観光マップを一枚持っただけで事に及ぶというナメた態度だったので、ちょくちょく道を間違えましたっけ。
まあ、意外に侮れないアワイチというヤツでございます。
愛媛県のしまなみ海道と違って、兵庫県の淡路島にはサイクリストの為に道路に延々案内が描かれているなんてことはありません。
標識すらほとんどないくらいですから。
あるのは必至でペダルを漕いでいる上り坂の途中で目にする「ここは登り坂の中間地点でーす」という標識。
あれって、ありがたいどころか「今その情報は欲しくなかった」と恨みがこみ上げて来ますけどね。
そう思っているのは私だけではないようで
「まだ半分か!」
案の定、後ろでツマの呪詛が聞こえましたぜ。
ウワサによると、この標識を見たが故に力尽きて足を着く貧脚サイクリストが多いのだとか。
けっこう上ってきているに違いないと思っている(思い込んでいる、あるいはそう思い込むことにより自分を鼓舞している)状況下にある、ようするに貧脚系サイクリストの評判はきわめて良ろしくないと思うんですけどね。
ほら、よく言うでしょう?
「小さな親切、大きなお世話」
この場合は「大きなお世話」ではなくむしろ「要らぬお世話」じゃないかと思います。
いや「要らんわ!」か。
ちょっと考えた方がいいと思いますよ、観光協会系? の人。
おっと、脱線しました。
ミスルートの話でしたっけ。
いや、今回は準備万端でミスルートなんてしないぜ、というお話でした。
淡路島みたいな田舎だと道路もさほど入り組んでませんので、わざわざスマートフォンを取りだして地図アプリをNAVI代わりチェックするまでもなく、サイコンであるGARMIN EDGE 1000のナビ機能に任せていればそれで充分過ぎるほどでございました。
少なくとも私の場合は充分です。
去年までは念の為にとスマートフォンを固定するブラケットをハンドル回りに取り付けておりましたが、今は取り払ってすっきりです。
バッテリも保たないわ、空気抵抗にもなるわ、フルフィンガーの手袋だと操作するのにいちいち脱がないとならないわ、そもそもハンドル周りがゴテゴテしてかっこ悪いわというわけで、もはやバイクでスマートフォンアプリを利用しようとは思わなくなりました。
本当に必要な場合もあるでしょうけど、その際はスマートフォンをバックポケットからとりだして、落ち着いてチェックすればいいだけです。
そんなわけで淡路島に限らず、ここ最近はたとえ近場であっても未知のルートをバイクで走る時には、面倒がらずに自分で用意したルートデータを使うようにしています。
多少寄り道したり別ルートを走ったとしても、基本ルートがある方が位置の把握がしやすいですし、今のところGARMIN EDGE 1000のNAVIで全くもって充分なのです。
というか「超便利だな、EDGE 1000」という感じで、個人的にGARMIN EDGE 1000を再評価しているような状況です。
もはやMAPとナビ機能の無いサイコンなど使う気にもなれないほどです。
ま、今はそんな事言ってますが、1000Jを買った当時は「使えねー」という感じで個人的には評価が低かったんですよね、EDGE1000Jの地図機能。
でも「使えねー」のはEDGE1000Jじゃなくて、実はEDGE 1000JのMAPとNAVI機能を活用出来なかった私の方だったということが判明しました。
以前は本体のプアなルート作成機能を取りだしてカーナビやスマートフォンのNAVIアプリと比較してダメだとディスったり、予め用意しているデータをコピーしてEDGE 1000JのNAVI機能に頼る場合でも、そのルートデータを自分で作成はせず、横着して他人がアップしたルートデータを利用させてもらっていたのですが、これがそもそもEDGE 1000Jの評価を下げる原因であり、私の間違いでした。
ネットに転がっているデータって、そもそも古かったり、実はその人の都合でちょっと寄り道が入っていたり、そもそも適当にルートを引いて同じところを行ったりきたり、あるいは意味のない迂回路になっていたりと、必ずしも「ベスト」なルートではなかったのです。
要するに「他人のベストルートは私のベスト瑠イートではない」ということですね。
今さらそれを理解するオロカな私でございます。
で、そのオロカな私は、「使えねー!」と決めつけたGARMINのマップとNAVI機能はしばらく封印してしまいました。
その代わりとしてスマートフォンアプリをハンドルに取り付けて利用していたのです。
今では自分で地図を吟味して、考えた上で引いたデータを使えば、GARMIN EDGE 1000のMAPナビは素晴らしい働きを示してくれるということがわかりました。なので今ではソレばかりです。
1000Jを導入するまで使っていた同じGARMINのEDGE 820Jから大画面の1000Jに乗り換えたのは、画面の大きさや見やすさが理由でした。
データの一覧性の高さと何よりMAPの見やすさにハートを射貫かれたというか、820Jの表示品質が悪く、そもそもMAPを使う気にもならなかった私にとって1000Jの画面表示はまったく別物に見えたものでした。
まあ、購入しても一年以上は真価を発揮させてやれなかった私が今さら言うのもなんですが、ミスルートに自信がある人はEDGE1000J、マジでおすすめですぞ。「いつまでもバッテリ残量を気にしながらスマートフォンアプリを使うなんてイケてないぜ」と敢えて言っておきましょう。
バックライト無しの状態でも視認性が高く、手袋をしていてもしていなくてもサクサク操作できる「専用機」はやっぱり「汎用機」より使いやすいッスよ。
というわけでGARMIN EDGE 1000(普通の人はJ)の宣伝でした。
えっと。
GARMIN EDGE 1000の話じゃなくて、最後の四番目の峠群を越えるお話でございましたね。
実はこのあたりで私の体に異変が。
いや、福良に入る前くらいから兆候はあったのです。でも「これくらいはまあいつもの感じかな」と変調と向き合う事を拒否する私でございました。つまり問題を先送りしていたのです。
でもその頃になると、さすがに無視できない状態になってきました。
変調、それは「膝の痛み」です。
膝の痛みって、アスリート的には「あるある」ですよね。
ポピュラーな話題です。
でもアスリートでもなんでもない私にとってはここへ来て膝が痛むなんて「話が違うな」と言うか、なに言ってんの? って感じです。
つまり「なんで私の膝が痛くならなければならないのか?」という受け入れがたい思いが勝つわけですよ。
痛みの場所は膝の外側です。
ペダリング、とくに踏み込む時にかなりの痛みが発生します。それも左足のみ。
なのでなんとか最後の峠を越えて淡路島の北西部へ下って海岸線に入り、その後平坦基調になってからも速度というかケイデンスをあまりあげられなくなりました。
平地は私達にとってはそれなりに速い25km/h巡航くらいを心がけていたのですが、その頃になると20km/hがやっとなくらいに落ちました。
それでもペダルを回している限りはけっこう痛み出てしまうので、「一度止まると二度と走れなくなるかも」と思いつつそのまま遅い巡航を続けておりましたが、どうにも我慢ができなくなり、頃合いも良かったのでコンビニを見つけた時点でギブアップ……休憩することにしました。
同仕様も無くなるまでムリして走るなんていうのは私の美学に反します。
「これ以上はヤバイ」という判断を下す事こそが美しいと考える私ですが、この時はちょっと判断が遅かった気がしております。
美しくありませんでした。
ただ、不幸中の幸いと申しますか、最悪の事態にまではなっていなかったようで、補給しつつ休憩をとったおかげで痛みが和らぎました。
そこは今回の我々のアワイチルートとしては、ゴールの駐車場まで残り30km弱といった地点でした。
「これなら騙し騙し走ればなんとかイケる」と思った私は、ツマに現状報告することはせず、ゴールに向けてコンビニを後にしました。
が。
まあ、5分や10分の休憩で治るような痛みなら、そもそもたいした変調じゃないって話ですよね。
「この道が平坦と言ったヤツとはじっくり話し合う必要があるな」と思える海岸線のアップダウンがそれなりにある「平坦基調」のルートは、私の膝を確実に蝕んでくれました。
ううむ。