◎Bluetoothより2.4GHzワイヤレス
このワイヤレスキーボードはBluetooth(以下BT)接続ではなく、いわゆる2.4GHzワイヤレスと言われる専用レシーバを使った無線接続方式です。
まあ、BTも2.4GHzなんですが、ややこしくなるのでそこは触れないことにしましょう。
私はBT規格が立ち上がった際にその策定の志にリスペクトし、その後は積極的にBTデバイスを使ってきました。
恥ずかしながらBTエヴァンジェリストであるという誇りを胸に。
まあ、BT製品はかなり割高でしたけどね。
私の布教活動が実を結んだのか(いやいやいや)、BTは今では押しも押されもしない当たり前の、つまりは周辺機器ワイヤレス接続規格としてデファクトスタンダードの地位を獲得したかに見えます。
まあ、スマートフォンの爆発的な普及のせいなのでしょうが。
選択肢が限られ、そして絶望的に高額であったあの頃ことを思えば、今はまさにBTヘブン。BTは我が世の春を謳歌しています。
なんと素晴らしい時代なのでしょう。
だがしかし。
かつてエヴァンジェリストを自称し、心無い人々に石持て追われようとその信仰心に一片の曇り生じることのなかった私ですが、ここへきてBTを敬遠するようになってしまいました。
それはまるで、誰も見向きもしなかった志乃ちゃんが、全国アイドルになってしまったかのような寂寥感にも似て。
◎志乃ちゃんのこと
え、志乃ちゃんって誰? ですか?
高校時代のクラスメイトじゃないですか。
お下げでメガネでそばかすだらけの図書委員の、あの「おデコ」の志乃ちゃんですよ。
目と額が目が大きくてよく笑う可愛い子でしたよね。
ってまあ、そんなこと言われても知らないでしょうけど。
志乃ちゃんは基本的に地味でいつも特定の地味子集団としかつるんでなくて、そもそもあまり積極的な性格でなかったので、いわゆるメジャー路線の女の子ではありませんでした。
私と志乃ちゃんとの関係といえば、小学校では彼女とずっとクラスメイトでした。その後私は引越しをしたため中学校は別々でしたが、高校で3年ぶりに再会したという、言ってみればそこそこの知り合いという間柄です。
そういえば小学校の時はお誕生会には毎年お呼ばれするくらいには仲がよかった気がします。
そんな事もあって、知らない中ではないし挨拶は当然ながらタイミングが合えば教室でもちょっとした立ち話をしたりすることもありました。
本好きなのか、ずっと図書委員をやっていましたから、図書館に行くと話す機会がそれなりにありました。
何しろニコニコとよく笑う子で、まじめなところが私は気に入っていました。
本人は気にしていましたが、私は志乃ちゃんの「おデコ」はチャーミングポイントだと思っていました。
そう、私は結構志乃ちゃんの事が好きだったのです。もっともそれは恋愛とかいうジャンルには入らない、なんというか、話していて楽しい女の子、という意味合いです。
そういうわけで私の中では志乃ちゃんのランクは結構上だったのですが、同じ学年の男子連中の口からは「ガールフレンドにしたい女の子」系の話題に於いてその名前が挙がることはほぼありませんでした。
まあ、人の好みなんて好き好きとはいえ、彼らの口の端に上る名前は大体特定の数名に集約されていて、言ってみれば学校内のアイドルリストの中から好みを口にしている感じです。
そして志乃ちゃんはそのアイドルのリストには入っていなかったと。
いや、お前ら見る目ないなあ、と私は口に出しはしませんでしたが、いつも思っておりました。
そんな志乃ちゃんですが、卒業後数年後に開かれたクラス会で大ブレークしてしまいました。
もちろん志乃ちゃんがヴァージョンアップしていたからです。
本質的なものは変わっていませんが、薄化粧を覚えてそばかすを目立たなくしていたり、無造作なお下げだった髪は短くなって、いわゆるボブに変わっていました。ええ、めがねはコンタクトになってました。
髪型については本人曰く、忙しくて髪が長いといろいろめんどくさくなったからだそうですが、果たしてそれが本当の理由なのかどうかは不明です。
一番変わったのは男子と普通にしゃべるようになったことです。
クラス会ですからみんな私服で会うわけです。髪型が変わったり化粧などもそうですが、そもそもお互いにいろいろと新鮮なわけですよ。
なので高校時代にはあまり会話を交わさなかった相手にも、比較的抵抗なく声をかけられる雰囲気がありますよね。
そこで男子連中はいわゆるイメチェンをした(志乃ちゃん本人にはそういう自覚はなく、年齢やライフスタイルの変化にあわせた真っ当かつ順当な進化だと思っている)志乃ちゃんに声をかけるわけですね。
「なんか雰囲気変わった?」的な言葉で。
志乃ちゃんはそんな男子に対して臆することなくあのいい笑顔で普通に対応できるようになっていたのですよ。
「いい笑顔」の志乃ちゃんをあまり見たことがない男子連中はそこで始めて志乃ちゃんがチャーミングな女性であることに気づくわけです。
「え、何? こいつこんなにかわいかったっけ?」的なアレです。
で、気づけば二次会の会場では志乃ちゃんの周りには男子連中が5、6人もはべっていて、当の志乃ちゃんは仲の良かった女友達との女子トークができずに困惑している図がある、と。
……。
えっと。
ここまで書いてきてナンですが、ぜんぜん違いますな、例えが。
私が最近はBTを敬遠している、というお話でした。
でも志乃ちゃんのブレークについては「私は高校時代からすでに志乃ちゃんの魅力に気づいていたのに、お前らはいまさらになってその態度かよ!」とは思って一抹の寂しさみたいなものは感じましたが、敬遠したくなることはありません。
そう、志乃ちゃんとBTは違うのです。
◎BTに疲れる
志乃ちゃんの話はおいといて、BTの話をしましょう。
ごく初期から好んでBT製品を使っていたという話はすでに書いたとおりです。
ではなぜ普及してきた今になってウザったくなったのか。
それは……。
それは私がへそ曲がりだから!
ではなく、BTのダークサイド、つまりデメリット部分に疲れたからです。
以前はメリットに惚れて使っていたわけです。むしろデメリットのことなど考えようともしませんでした。
だってメリット部分がすばらしいと信じ込んでいたのですから。
◎BTのメリット
では改めて周辺機器の接続にBTを使うメリットを考えて見ましょう。
・USBスロットを占有しない(レシーバー・ドングルが要らない)
これだけ?
いや、これだけかもしれませんが、これが重要なんですよ。
以前はそれぞれのデバイスにそのデバイス専用のレシーバー(USBドングル)がついていて、特にモバイルPC系で運用するのはかなり面倒だったのですよ。
たとえばUSBスロットに無線マウス用のレシーバーをさしっぱなしにしていると引っかかったりして邪魔だし、かといっていちいちつけたりはずしたりがわずらわしいし、レシーバーなくしたら当たり前ですがマウスは使えないなど。
これがBTだとまともなノートPC系は早期にBTのチップが標準装備されましたし、レシーバーのくびきから解放されました。
それだけですが、それだけのことがどれほど軽やかな気分になれたか……。
「このすがすがしい気持ちを皆さんと分かち合いたい、わかりあいたい」という私の気持ちをご理解いただければ幸いです。
◎BTのデメリット
・最初にペアリング作業が必要
・相性の問題で時々ペアリングが解除されたりする
・BIOSで使えない
最初のペアリング作業はまあ、「天井の節穴を数えていれば終わる」的な通過儀礼のようなものなのでそこは目をつぶるとして、問題は接続が絶たれることがある場合。
もちろん普通に使えている時はいいんです。
快適です。
でも、何らかの理由で通信が途切れると、BTはけっこうめんどくさい。
いつもはキーボードやマウスの電源を入れると普通につながって使い始められるのに、今日はなんかつながらない……。なんてことになると、PC側でBTのオン・オフをやったり、ペアリングをやり直してみたり、再起動したりと、マウスが動かないという理由だけで大騒ぎです。というか時間がかかります。
マウスやキーボードのバッテリがなくなった場合などにもこういうパターンが生じることがあります。
こう書くと「俺はそんな経験はないよ」とおっしゃる方も多いと思います。
ええ、それは幸せなBTライフを送られているということで、私からするとうらやましい限りです。
私はもう数えられないほどのBTデバイスを使用してきましたので、そういう「いまいち系」のデバイスに「当たる」事もあるんです。
直近で「ああああああ、しまったあああああ」と思ったのは、この春先の引越し前のこと。
よせばいいのに、急に思い立って、デスクトップPC(Windows)のストレージを入れ替えました。
それまでHDDで運用していたのですが、512GBのSSDがバーゲンで投売りされていたのを見つけて反射的に購入、つまりストレージの入れ替えを行った際のことです。
その作業途中で私はあることに気づき、前述の叫び声をあげていたのです。
そう、普段使っているのはBT接続のタッチパッド搭載キーボード。
BTはBIOSでは反応しないことに気づいたのですよ。反応しなかったから「あ、そうだ」的な感じで。
そしてUSB接続のキーボードに変えなければならないのですが、引越し前なのでそういう普段使わないものはすでに荷造りが終わっているんですよ。
「ドチクショー」ですよ。
ええ、あきらめましたよ。そして引越し後にUSBケーブル接続のキーボードを使って移行しましたよ。
なんかね、その時にふと思ったわけですよ。
「なんかBTってめんどくさくね?」と。
タブレットやスマートフォンに接続するデバイスとしては仕方ありません。というかそういうものですからね。そもそもHDDをSSDに詰め替える際にBIOS画面呼び出したりしませんし。
まあ、途切れることもありますが、かといってそれ以外に選択肢がないので「どうしようもない」わけです。
しかし、PCの場合は違います。選択肢は他にあるのですから。
◎2.4GHzワイヤレスのメリットとデメリット
BTが普及する以前、ワイヤレス接続と言えば2.4GHz帯域を使ったレシーバー方式でした。
もちろんメリットとデメリットがあり、メリットはレシーバーを接続してデバイスの電源を入れれば即使えることです。
途切れることもありますが、バッテリを入れ替えたり電源をオン・オフすれば復活する程度の不具合ですし、そもそも距離や遮蔽物などの問題以外で途切れること自体、余りありませんでした。
こちらはBIOS画面で使えますし、まさにUSBケーブルを無線化したという理解でOKでした。
デメリットはレシーバーがPCに内蔵されていることはまずありえず、デバイスごとに専用のレシーバーがUSBポートを最低でもひとつは占有してしまうことです。
中には同じメーカーの製品であれば、ひとつのレシーバーでマウスとキーボードという2つのデバイスを使えるものもありましたが、マウスとキーボードの両方を無線化する場合はUSBスロットが2つ占有されていたのです。
今でこそデスクトップPCはUSBポートが8-10個なんてザラですけど、昔はそもそもデスクトップでさえUSBポートは少なくて、ハブを利用して増やしていたのです。
まあ、ハブを使えばいいのでデスクトップPCの場合はなんだかんだいってもデメリットにはなりませんでしたが、ノートPCで無線マウスを使う場合は少ないUSBスロットが常時ひとつふさがれているというのは結構な問題だったのです。
私なども盲目的に「USBスロットを占有するデバイスは悪。悪、即、斬!」みたいな勢いでBTラブだったのです。
が、「引越しBIOS事件」でフラストレーションを貯めた私は「USBスロットを占有しようがどうしようが、確実に動く事の方が重要なんじゃね?」と考えを改めたのです。
言ってみれば「憑き物が落ちた」ような感覚です。
◎リビングPC用お手元キーボード
ようやく本題です。
リビングのPCを操作する際、私は現在、上述のとおりBT接続のタッチパッドを搭載したフルキーボードを使用しています。
もちろんそれなりの操作をする場合はフルキーボードがありがたいのですが、リビングPCではほとんどたいした操作はしません。
主に検索ワードとか、IDやパスワードなどを入力する程度です。
アプリなどを試したり入れ替えたりする場合はシリアルナンバーやらキーコードやらも入力しますが、しょっちゅうやっているわけではありません。
つまりフルキーボードの必要性はないわけですね。
そこで「ちっちゃいキーボード」の出番です。
もちろんポインティングデバイスを搭載していないと意味がありません。
ワイヤレス接続であることは当然です。
ということで、ある日アマゾンを探検していて見かけたキーボードを「それ用」に導入する事にしました。
ただし、そのときはワイヤレス接続の方式などは気にも留めていなかったのです。
というか勝手にBT接続だと思い込んでおりました。
◎Ewin 2.4GHzワイヤレス接続小型キーボード
購入したのはこれ。
正式名称は
Ewin [2018新型] ミニ キーボード ワイヤレス式 2.4GHz 無線 マウスホイール付き タッチパッド搭載 マウスセット一体型 超小型 多機能ボタン USBレシーバー付き バックライト8色自由変更 Amazon fire TV、PS3、PS4、PS4 Pro、Raspberry PI、TV Box、Pro、HTPC、Google Smart TV、Andriod Smart TV、IPTV、Laptop、PC、Pad等対応Mini Keyboard 【日本語説明書&1年保証付き】
長すぎ。
で。
届いたブツを見て初めて気づきました。
「あれ、これって2.4GHzワイヤレス方式じゃん」
やけに安いなあ、と思ったら、BTじゃなかったのですよ。
言ってみればアレです。
お見合い写真を見たときは、色白でちょっとツンとした美人さんだな、と思っていたところ、見合いの席でにっこり笑うお相手を見て、それが志乃ちゃんであることに気づいたというか、まあそんな感じです。ちょっと苦しいけど。
というか、むしろBTじゃなくてラッキーと思った私でした。
充電をして、交換可能なバッテリにアクセスするふたを開け、そこに格納されているレシーバーをPCに挿し、本体の電源を入れればすぐに認識を始めてくれます。
当然ですがペアリング作業なんて通過儀礼は必要ありません。
待つことほんの十秒ほどでキーボードは使える状態になりました。
いやあ、快適です。
リビングPC用の入力デバイスはこういうのがマッチしているとつくづく思います。
文字入力は快適な親指タイプでオッケーですし、ポインタはトラックパッドで自由自在、スクロールダイヤルなんかもあって、ブラウジングに痛痒はありません。
というか、今まで使っていたフルキーボードよりよほど快適です。
そもそも文字を打つのにローテーブルに置いて、なんて事をしなくていいんです。
ソファに横になったり寝転んだりしてすべての操作が可能です。超軽いのでずっと持っていてもまったく苦になりません。
試していませんがBIOSの操作もこれでオッケーでしょう。
それからこれ、GPD WIN2のキーボードとしても活用できます。
意味不明と思われるかもしれませんが、GPD WIN2を旅行先のホテルのテレビ画面を利用したPCとして考えた場合、このキーボードがあれば、HDMIケーブルが垂れ下がるGPD WIN2本体を操作する必要がありません。
自宅にいるように、ソファに寝転んで文字入力やマウス操作ができるのです。
しかもGPD WIN2と違ってキーボードはバックライト付き。
そのバックライトも8色から好きな色を選べるという豪華版。
まあ、バックライトの色を選ぶのに意味があるのかどうかは私にはわかりませんが、そういうのが好きな向きにはいいのではないでしょうか。
いや、いい買い物しましたぜ。
というわけで、3000円以下で買えるリビングPC用お手元キーボードのススメでした。