コイツが今発売されていれば!
今回はそんな懐かしい端末のご紹介です。
◎迷走へのプロローグ?
先日GPD WIN2の記事を紹介したG+で、その投稿にコメントを頂いたのですが、そこでかつての物理フルキーボード付き携帯電話の話題が出て大いに胸が熱くなった私。
そこでハタと思いついたのですよ。
「親指タイプでいいなら、別にWindowsPCのGPD WIN2を使わなくてもいいんじゃね?」
さあ、迷走の始まりだ!
◎ANDROID端末ならGEMINI PDAがあるじゃないか
現行の物理キーボード付きAndroid端末と言えば、すぐに思い浮かぶのがGEMINI PDA。
もっともこのデバイスのそれは親指タイピング用というよりはタッチタイプを目指したキーボードです。
クラウドファンディングが立ち上がったときからその存在は知ってますし、おもちゃとしては魅力的ですから、当然「ほしいなあ」とは思ったんですが、どうせまともに使えないことはわかってました。
私の求めるタッチタイピング環境はまだANDROID系では実現できていませんから。
あと、どう考えても私にとってはその金額は高すぎると思ったことも見送る理由になりました。
誤解のないように私がダメだと考える理由について書いておきますと、
1.現時点ではアンドロイド端末ではキーアサインを簡単に変更できないこと(ツール環境?)
2.WZ EDITORに匹敵する執筆ソフトがないこと(ソフトウェア環境)
です。
なお、どちらもタッチタイプで快適に使うことを考えた場合のネガです。
そう。
要するにそのときは親指タイプの執筆シーンなんて全く想定していなかったのですね。
GPD Pocketを購入しWIN2に至り、発想の転換で親指タイピングを始めてみたわけですが、これはこれでいけると理解できました。
何が何でもタッチタイピングとダイヤモンドカーソルで速度と高効率を求めなければ親指タイピングで最低限のことはできるのです。
そうとわかったら目からウロコが落ちたわけです。
だってエディタやキーアサイン変更に拘泥する理由がなくなったということですからね。
まさに軛からの開放、呪いの解呪、そう、これはまさに解脱。
よし、遅ればせながら買うか、GEMINI PDA。
高いけど。
○だがしかし
購入前にちょっと情報収集。
こういう時間がガジェットジャンキーに連なるもの達にとって至福の時だったりするんですよねー。
で、数十分後。
「ないわー」
GEMINI PDA、却下。
理由はキー配列。
「ー」の入力がダイレクトに出来ない仕様のようです。
GEMINI PDAには英語キーボードモデルと日本語キーボードモデルの2種類がありますが、どちらもダメ。
つか、何考えてるんだろう……。
慣れると大丈夫、なんて思っても、たぶん初日で叩き壊したくなってイラついている自分が容易に想像できます。
いやあ、成長しましたね、私。
以前の私だったら「いや、それでも使ってみないとわからないよ」なんて好奇心というか物欲が勝って絶対買ってましたからね。
冷静な私に乾杯。
◎そういえば……
私って、けっこう古いケータイを収蔵してまして、いわゆるガラケーの類は引っ越しの時にだいたい捨てたんですが、スマートフォン系は決心がつかずに「開けないだろうなあ」というダンボールにまとめて突っ込んであるんですが、そこにいくつか「親指タイプ」に使える端末があることを思い出しました。
◎SHARP初(たぶん)のandoroid端末、スマートブック IS01
まずはこれ。
調べてみると発売は2010年。
8年も前の端末です。
が。
キーボードの作り込みは今の基準でも素晴らしい。
というか、この大きさ、この薄さでパンタグラフ式の独立キーボードがついているのは感動的です。
当時は対して感動しなかったと思いますが、今になって感動するとは……。
昔はカネかけてたんですよね、ボディに。
IS01という型番はau版です。
中身一緒で見た目が結構違うものがdocomoからも発売されていましたっけ。
私は両方買いましたが、docomo版は手放して、au版のこのIS01は手元に残していたようです。
理由はたぶんdocomo版よりau版の方が気に入ってたからでしょうね。主にキーボード配列と色が黒一色という見た目の問題で。
ダンボールをあさって取り出してみるとバッテリはからっけつ(当然ですね)。
まずは充電です。
8年前でも、もうmicroUSBってところが泣かせます。miniUSBだろうと思ってケーブルをわざわざ探してきたんですが、徒労でございました。
さて、起動。
ちゃんと起動しました。
いや、その筋風に言い直しましょう。
「こいつ、動くぞ」
Android 1.6だったのか。
1.6って……。
マジで初期のandoroidっすよね。
既にCDMAのsimなどないのでもちろんWi-Fi運用ですが、ちゃんと掴みます。
というか以前もWi-Fi運用しかしていなかったような。
端末は初期化して保存していましたので、完全に初期状態です。
なのでまずはGoogleのアカウントを入力すると、普通にGmailが使えるようになりました。
連絡先もスケジュールもOKです。
うーん、かわいい奴め。
アイコンを見ていて記憶が蘇ります。
このIS01、けっこうなスーパー端末なんですよね。
まず、ワンセグ搭載してます。
試しに使ってみたら当たり前なのかもしれませんが、今でもちゃんと映ります。ワンセグなのでそれなりですが、非常時にテレビをチェックするなんて用途には充分でしょう。
それからコイツ、FMトランスミッター機能がついてるんですよね。
音楽ファイルなんかを入れて、トランスミッター機能で再生すれば、FMラジオで音が聞けるという仕組みです。
今でこそカーステよろしくBluetooth接続で普通にケータイ内の音楽ファイルを再生していますが、当時はBluetooth対応している車のほうが少なかったのでFMラジオで受信して聞く、なんて苦肉を講じていたわけです。
そもそもandoroidスマートフォンなんてまだまだイロモノ扱いの時代ですからクルマ(やカーステ)が対応とかしているほうがおかしいわけで。
うーん、なんというかすごいなぁ。
もちろんタッチパネルなんですが、ポインティングデバイスとしてトラックボールがついているのも斬新。ボール自体を押下できる仕組みで、つまりEnter機能も持ってます。
そうそう、地味に嬉しいのが辞書内蔵。
まあ、使ってなかったので嬉しいのかどうかはアレですが、日本の携帯って昔は辞書がついてましたね。
そして5インチ大画面液晶。
ボディが大きいのでけっこう大きい画面が搭載できるのでしょうが、これが今でも充分綺麗です。というか、まったくこれで不満がありません。
さすが「液晶のシャープ」の面目躍如といったところでしょうか。
この頃はまだ日本資本でしたしね、SHARP。
そうそう、特筆しておかねばならないのはフォントです。
シャープはPDA黎明期にZAURUSシリーズでブイブイ言わせていたシャープは、当時のWindowsの小汚いフォントとは一線を画すMac並の表示フォントを搭載してます、というのがウリ文句でした。
LSフォントという名前のそれですが、このIS01にも進化したそのフォントを搭載していて、文字を打つとマジできれいです。
なんというか、これが8年前に発売されていたと思うと脱帽です。
シャープの中の人、頑張ったんだろうな、とジーンと来ちゃいます。
そうそう、GEMINI PDAをディスる原因になった「-」ですが、IS01はもちろん独立したキーが割り当てられています。
◎使いものにならない
ということで「これ、今でも充分使い物になるじゃん!」的な感動にしばし浸った私。
次にすることは、当然使い物にすべく、「必要なアプリをインストール」でございます。
何しろ古いVersionのAndroidなので、アプリストアのアイコンの名前も昔のまま。
その名も「マーケット」。
ああ、そうだったかなあ(既に覚えてない)、なんて思いながらクリックすると……
○アプリがダウンロードできない
そもそもストアに繋がりません。
既にストアから弾かれるVersionになっているようです、andoroid 1.6。
要するに、ゴニョゴニョしてソフトウェアの改造をしないとアプリひとつインストールできないんです。
○内蔵ソフトをチェックする
よしわかった。
IMEは内蔵ものでOK。
親指タイプなんだから、文書作成も内蔵ソフトでいいんじゃね?
そう思った私はアイコンを探し、そこで「メモ帳」なるアプリを発見。
早速立ち上げて使ってみました。
タイトルを付けて本文を書く、というまあ普通のスタイル。
これならまあいいかな、と思ったのもつかの間。
「同期はどうする?」
そう。この問題にぶち当たります。
まさかmicroSDカードを抜き差ししてデータをやり取りするなんて、昔は当たり前だった手法は今では「やってられない」くらいめんどくさい作業になっています。
GPD WIN2だとdropboxで(ネットに繋がっていれば)瞬時に同期できますからね。
当初はコレをもくろんでいたんです。
でもアプリがインストール出来ない以上、この方法は取れない。
○メールを使う
次に考えたのがGmailを使って自分にメールする方法。
同期は取れませんが、IS01で書いた文章を自分にメールしておけば、コピペでPC上で加筆なり編集なりが可能。
ということは、より簡素化するにはメモ帳使わずに直接メールの本文をエディタ代わりにしておけばいいんじゃね?
と思いつく私。
なんという天才! なのか?
ということで、2日ほどこの方法で試してみました。
○やってられない
いや、人間って本当にらくするとダメですね。
テキストファイルをどの端末でも直接編集する便利さに慣れると、この一方通行方式はかなり面倒です。
加えて、キーボードの配列が微妙に使いづらい。
GPD WIN2だと、乗ってくるとタイプ速度がどんどん早くなってクルんですが、IS01ではこれが出来ない。
なんでだろうと思って分析してみたところ、キー配列、中でもshiftやaltと言った入力補助キーの場所が悪いんです。標準のIMEのロジックもちょっと感覚に合わない。
うーん、これは……。
◎使えなくはないけど、使いたくはない
二日間使ってみての結論がこれです。
IMEやエディタソフト、同期ソフトなどがインストールできれば、ネガはキー配列だけですから、それを我慢すればなんとかなるかもしれませんが、ストレスが溜まる項目が複数あるとさすがに辛い。
ということで、残念ながらIS01は一軍に上げてもらってチャンスを与えられましたが、ベンチの期待に応えることが出来なかったようです。
ということで、次は「アレ」を試すことにしました。
ええ、アレです、アレ。
アレについては、また後日。