趣味と暮らしにまつわる「モノ」に一喜一憂するブログ

★高杉さん家のおべんとう(読書感想文)

アニメ・マンガ

(初出:2012/03/26)

最新刊の五巻までを読みましたので、一応感想など。
まずはとりあえず作画について。
正直にいいます。
下手だと思います。


一枚絵などはそれなりなのですが、コマに落とすと馬脚を現すというか、そんな感じです。デッサンの破綻を指摘するとアレなんですが、うさドロの方がそう言う意味では上だと思いました。
もっともあっちは線が少なすぎるのと一枚絵の連続みたいなコマ割りが多くてどうなの?と思う部分が多いのですが……。
この人も白バックばかりのコマなのでアシスタントさんとかがいないのでしょうか? 少女漫画系ってそう言う人がおおいのでしょうか。
この辺はジャンプ作家なんかとはまったく待遇が違うのでしょうね。
うさドロに比べるとトーンはかなり使っているのでスカスカ感はありませんが、キャラが安定してないので右のコマと左のコマで同一人物なのに別人にしか見えないというようなシーンが多くて、その辺に神経質な私はちょっと目眩がしました。
下手ですが、下手くそではありません。
なので充分読めますし、へたくそ過ぎて話に入っていけない何てことはまったくありません。表紙を見ていてちょっと嫌な予感がしていたのですが、その辺はセーフでした。
作者さんにはとても失礼な事を描いていますが、こういうのは思った事を書いた方がいいと思いますので、感じたままを述べさせてもらいます。
一巻から五巻までで絵はかなり変わっているというか、作者が手抜きを覚えたという感じでしょう。
デフォルメ絵(ギャグ絵)が増えて居るようにも思います。
ただこの辺はバランスなので、ストーリーがそれによって阻害されているという事は無く、違和感なく読めました。
つまり作者は効果的に合理化したということでしょう。

私が結構気にするボリューム感ですが、こちらは充分です。
うさドロがスカスカ過ぎたので、文字が多い漫画を見ると嬉しくなります。(・ω・)

さて、肝心要のお話しについて。
基幹になるストーリーは「うさドロ(うさぎドロップ)」とまったく同じ。
保護者役が三十歳と三十一歳スタートというのも似た設定。
もっとも小学校低学年からスタートのうさドロに対し、こちらは中学校入学時点がスタート。

なので最初から予想できたのですが、「おべんとう」は初期から「恋心」成分が物語の重要な要素として設定されています。
保護者役のハル=温巳(はるみ♂)は一般企業に勤めている大吉と違って、大学の研究室にしがみつく? 研究者(学者)という設定なので、やや理屈っぽいのが特徴です。
研究者に(圧倒的に)多い自己中心型という設定ながら、このハル、アリエナイほど人がいいのはちょっと鼻白むかんじです。
まあ、マンガなので。(・∀・)
もっともこれは私が知っている大学の研究室にはこんな牧歌的な人がいないからでしょうね。奴らはもっと上下関係に敏感で自己主張強いし、自分と対等以下の立場の人の言うことは全然聞かない人が大半なので。それにもっと教授に媚びてます。
ハルはそう言うのとは違って、純粋な研究者っぽい感じ。
作者の憧れというか理想とする研究者なのでしょうね。

さて、主人公の設定もうさドロとほぼ一緒で、美人で頭が良くて、でも社交性が低くて単語しゃべり。
もっともうさドロのりんが長じるに従って普通にしゃべるのに対して、「おべんとう」の主人公、久留里(くるり。ああ、知り合いにこの名前の人いたなあ……)は中学生なのに言語障害っぽい感じのしゃべりのままなのもキャラ作りとは言えちょっと現実離れしている感じ。
いえ、マンガなのでいいんです。細かい指摘してますけど、否定しているわけではありません。重箱の隅にツッコンでいるだけですので。

とまあ、要するに基本設定はうさドロです。
違うのはテーマで、「子育て」という視点が重要なうさドロと違い、こちらはどちらかというと「人間関係の構築」と言ったところ。
そう。要するに恋愛要素が重要な枝を成しているわけです。

もちろんこのマンガはおべんとうマンガなので、毎回おべんとうが話の軸になっています。
おべんとうというのは要するに料理なので、家庭生活の大きな要素である「料理」という作業を通じて、人間関係や人間模様を絡ませていく話作りは、私が知っているいわゆる料理マンガとは一線を画す感じで、新鮮でした。
もともと私は毎日おべんとうを持っていくという習慣のないまま育ってきたので、新鮮度はかなり高いはずです。逆に毎日おべんとうを持って中学高校に通っていた人にとっては自分の体験に重ねながら楽しめるお話しになっていると思います。

五巻で久留里が卒業、次巻からいよいよ女子高生に、というところまでなのですが、なんというかここまでだと消化不良。
やっぱり完結してから読みたいなあ。
という事でつまり、とても続きが楽しみになるほど、面白かったです。
これもまあ簡単に言ってしまえば「久留里がかわいい」というお話しなのですが、うさドロよりも周りの脇役?達の存在感が大きいのでドラマが複雑に描かれています。
ライバル? 達の存在もキャラもいい感じですし、この手のゆるほわ系マンガにありがちとはいえ、「みんないい人」感にも安心感があって、読者を癒やしてくれてる良質なマンガだと思います。(五巻までは)

さて、これからのストーリーですが、私なら高校生のうちにハルと久留里を結婚させちゃいますが、最近は青少年保護条例なんかの絡みもあって十八歳にならないと色々アレでしょうから書きたくても編集からストップがかかるでしょうね。
結婚しなくても「そんな関係」もNG。
という事で、久留里は大学に進学、ハルと同じ研究者(ただしお弁当とか食的なテーマを持つ)としての道を目指しながら、准教授になったハルと結ばれ(結婚前)、できちゃった婚で式を挙げます。
出産の為に大学は休学しますが、周囲の応援で復学。
でも、出張中に子供が病気で生死の境をさまよった事をきっかけに専業主婦に。
その後、お弁当をライフワークにする事を誓った久留里は、三人の子供に恵まれ、お弁当研究家として忙しくも楽しい毎日を過ごす……
みたいな?
もちろん間に恋の戦いがいくつか挟まるわけですが……。

と、毎度ダラダラと思いつくままに書いちゃいましたが、「高杉さん家のおべんとう」はとても面白かったです。
鬱ストーリー好きの人向きではありませんが、全ての人にオススメします。

ちなみに貼り付けた写真ですが、Nikon 1 J1では顔認識はしませんでした。