(初出:2011/06/21)
武藤さんとちゃんとおつきあいする為には、スカっと晴れた、しかも空間周波数の高そうなところに行こうと思い立ってやってきたのが永世中立国のスイス。
で。
今回のテーマは「旅行スナップに武藤さんは使い物になるのか?」というもの。
ポイントは一つ。
「絶対に三脚は使わない」
です。
実は旅行には三脚も持ってきています。
でも使わないぞと心に決めています。
だって旅行スナップだもの。
ここ数日風景写真風のものをアップしていますが、私の中ではたんなる旅行スナップで決して風景写真ではありません。
「あ、山だー」
ぱちり
「あ、湖だー」
ぱちり
「見ろ、人がゴミのようだ」
ぱちり
それだけです。
それが証拠に半分以上のショットに同行者(配偶者とも言う)が写っているわけで純粋に風景のみのショットはあまりなかったりします。
建造物とか、道ばたの牛の糞とか、消火栓とかホテルとか、そんなものがほとんどです。
その用途に武藤さんはどれほど答えてくれたのかというと……。
「二度と旅行には持って行かない」
これが結論です。
今回、予備? にK-5とレンズを2.3本持ってこようとしたのですが、機内持ち込みの荷物としては嵩が張りすぎて、ミルクスのPEN-E-PL2をメインとした4/3システムを予備に選びました。(こちらは9-18、14-54、G20、GD45の4本)
ちなみに、武藤さんとレンズ一本で、E-PL2とレンズ四本より重いし大きいです。
K-5だとLimitedレンズ3本とボディで武藤さんとレンズ一本と同じくらいかな。
という事で、旅スナップなら武藤さんはちょっとミスマッチだと思いました。
理由は、
重い
大きい
明るい場所で、しかも相当気を遣わないと手ぶれが目立つ
というか、三脚とミラーアップを駆使して、ようやくブレの心配からは解放されるレベル
ということで、見た目のAPS-CクラスのDSLRだと思うとちょっとしっぺ返しを食らうカメラなんです。
おまけに、そのままの写真がほぼ仕えません。
そのままというのはJpegですが、何度も書いていますが、色がマトモに出ない事が多いので、L版だろうがA全だろうが処理が必要です。
勿論撮影が目的の旅行ならカメラやレンズの性能は外せないし、三脚が必須の人もいるでしょう。
それはそれでいいと思います。当然ながらそれがSD1であっても。
かくいう私も、ある意味今回SD1を使うためにスイスアルプスまで来たので後悔はしていませんし、楽しんでいます。
エラー吐くし、スイッチオンでファーストショット撮るまで時間かかりますし、背面液晶に出てくるアフタービュウは死ぬほど遅いし、出てきた画像は「カメラが壊れてる?」と言うか、「ほら、こんな感じで撮れましたよ」と人には見せられないクオリティですし、挙げ句の果てにそのファイルが壊れてたりするわけですが、それでもぶれてないショットを拡大するとK-5ではおよそ味わえない光景がディスプレイに広がります。
今回、MacBook Proの17インチを持ち出したのも滞在型の旅行で撮影が主目的だからで、その17インチ画面に広がるピクセル等倍のSD1の画像は……まさにシンセミアです。
でも。
それでも、もういいかな、と思います。
色々面倒が多すぎて、得られる快感とそこに至る披露と苦痛を秤にかけると、私はやっぱりミルクスかK-5とLimitedの組み合わせが1024倍も楽しいと感じます。
ホビロン画像を見るとベーやんの画像を等倍チェックする機がなくなってしまいますが、それでも撮れた写真自体はいい色だったりして、いろい六楽しむ分には何の問題もないわけです。
当たり前ですが。
そんなわけで今回はシリーズ最終回? として結論を。
SD1はSD15から大幅にグレードアップしたボディを持つ。
それは持っていて満足感が高いし、
独特のシャッターボタン周りのデザインは個性的で、
所有欲をそれなりに満足させてくれる。
特に私の個体は所有レンズを使う限りどれもジャスピンで、AF精度は相当ハイレベルにある。
でも、そのボディをコントロールする足腰は脆弱で、β版の域を出ない。
さらに、新しいFoveonの撮像素子からはき出される絵は色々と問題が多く、
特に色乗りとダイナミックレンジのコントロールが先祖返りしたように悪く狭い。
決定的なのがカメラブレで、思う存分シャッター速度を稼がないと後でがっかりするショットの量産になる。
私的な許容範囲はISO1600まで。
800までならシャッター速度に魂を積極的に売っていいと思う。
これらがOKな人であれば、今後行われる(かもしれない)様々なアップデートに期待しつつ、SD1をチョイスして使うのもアリだと思います。
おそらくSIGMAから今後出る「気合い入れました」レンズのメートル原器……というか計器がSD1になるわけで、面白いレンズが続々と生まれる可能性もあるし。
私はとりあえず、いろいろいじっていて、現状のSPP5.0はただのJpeg変換ソフトとして使い、その後Photoshop CS5で色々いじってマトモな色(好みの色)にする、というワークフローをなんとか確立しました。
CMSのお約束を念頭に入れた上で、下の二種類、4枚の写真をご覧下さい。私の暫定ワークフローで得た色(下)と、SPPで悪戦苦闘した結果との比較です。
現状のSPPでは、特に緑の再現が絶望的で、あんなに美しい緑の絨毯に覆われているスイスアルプスの山が、まるで枯れかけた芝生のような色にしかなりません。
また、色がついたグレーの表現も変な色が乗って苦手です。
ちなみに、カメラが生成するJpeg画像(RAWと同時保存するもの)も悪くないんですが、たとえて言えば、不純物の入ったシンセミアと、純度100%のシンセミアくらいの差があります(って、誰がそれを実感するの?)。
という事で、SPP5.0で悪戦苦闘してあきらめた画像を二種を掲載して、SD1のエントリを終了したいと思います。
★ex.1
(SPP5.0上でなんとか記憶色に近づけようとして力尽きたもの)
★ex.2
(SPP5.0上でなんとか記憶色に近づけようとして力尽きたもの)