趣味と暮らしにまつわる「モノ」に一喜一憂するブログ

★近くにいる……そんな感じ RICOH GR Digital III

カメラ

(初出:2010/11/04)


(E-P2/LEICA DG45)

写真ってなんだろう?
そんな哲学的な事を考えた事はさらさらないのでがど、一つだけ確かな事があります。
私は虫の写真はダメですぅ……。(>_<)

今回のお題は、GR Digital IIIというよりも、リコーについて。

リコーはがんばってる、と思う。
中国の提携? 工場で粗悪な製品を作っている(故障が多い@私調べ という意味)けど、GR Digitalを発売してからのリコーを、私はちょっと身近に感じています。
勿論、こちらが勝手に作り上げてしまったイメージなので、私の感想は実際の会社の雰囲気とは違う事は百も承知の上で、そう思います。

昔、オリンパスという会社がありました(今もあるそうですが)。
そこはリコーとはまた違った意味で私にとって「スピリット」を感じるメーカーでした。
私はリコーよりもわかりやすいオリンパスのそれに共感してそのスピリットを応援する事を楽しむ事に決めました。

メイド・イン・ジャパン。
クオリティにこだわる。
新しい酒には新しい革袋を。
二十一世紀のカメラを。
レンズ性能清教徒。

ファンタジー的に言うならば、巨大な化け物を相手に敢然と立ち上がった勇者……みたいなイメージでした。
結果はメイド・イン・ジャパンだったものはいつのまにか中国製になり、数少ないメイド・イン・ジャパン製品をタツノ・クオリティなんていう言葉に置き換えて社内的に勝手に相対的な上下関係を作ったあげく、おんなの尻を追い回す事にかまけて、酒に溺れ始めたのです。
怪物退治はどこへやら。

何も知らずに酒場を訪れた若い旅人を捕まえては昔の栄光を語って聞かせ、酒をおごってもらっているような有様になってしまいました。

同じ酒場の常連だったリコーは、英雄などではなく脇役、むしろ小物と言っていいお調子者でしたが、話し相手を楽しませる術を知っていました。
男前でも金持ちでもありませんでしたが、彼と話すと酒がうまく感じたのです。楽しく酔えるのです。まさにいい飲み仲間と言った感じです。

化け物を退治するのではなく、化け物の機嫌を損ねないように暮らせばいいんだと思っていた彼は、実は勇者と同じく一度だけ化け物に挑もうとした事がありました。
彼は勇者と違って現実的なので、戦ってみてやはり自分が勝てる相手ではない事を理解すると、化け物を退治しなくても人間が生きていける方法を考え始めたのです。

勇者はいつもこう言っていました。
「化け物は俺がいつか倒してやる」
一方、件の飲み仲間はいつもこんな調子です。
「新しく入ったウェイトレスの好みのタイプを聞き出してやるぞ」

勿論これは本当に勝手なイメージで、しかも私がそういうイメージを信じていると言うわけでもありません。
何が言いたいのかというと「オオカミが来た」と言われるよりも「美味い葡萄酒を持ってきてやった」と言ってだまされる方が楽しいという事です。

もう知っている人も多いと思うけれど、リコーが先日、こんなことを始めました。

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とっておきPhoto 大募集!
というキャンペーンのタイトルがダサくて垢抜けないのはリコーっぽくてある意味うなずけます。
前面にあるのはGR Digital III。
もちろん、GXRでもCX4で撮ってもいいらしい。
でも、E-P2で撮った写真はダメだという事です。

こういうキャンペーンは、内容のいかんを問わず各社いろいろやっているようだけど、今回のリコーのはちょっとだけ違うんです。
何が違うのかというと
「ずっと続ける」と言っている事です。
勿論永遠ではないだろうけど、継続して行くという。
さらにご褒美がささやかすぎてほほえましい。

「全国デビューしてみませんか? チャレンジしてください」

と言いつつ、
「弊社WEBサイト上にて公開します。また、順次、全国の主要カメラ販売店にて、L判もしくは2L判程度のプリント写真の掲示を実施いたします」
と言う、なんだか結構肩の力が抜けるような賞品だそうです。

でも、私はそこがすばらしいと思いました。
「○○賞」と聞くと「ふーん」と思う人の方が多いんじゃないだろうか?

【賞金百万円。熱海で愛人と過ごせるペア宿泊券を副賞に! さらにリング・キューブで写真展を開催!】

みたいな感じだと全く他人事と思ってしまう人の方が多いはず。

でも、L版とか2L版でカメラ販売店に置かれる、と言われたら実にカジュアルじゃないですか?
「あ、あの写真とか採用されないかな?」
なんて自分が気に入った一枚に思いをはせる人がでてくるんじゃなイカ?

いや、つまり私はこのささやかなパーティに参加するつもりまんまんなのだ。
もう勇者と力を合わせていつか化け物退治するぞ、とか、本気でどうでもいい。

こういう「身近」を演出してくれるメーカーなんだな、という気にさせるところが、リコーの面白い所だと思う。
CXシリーズを半年ごとに出すのはユーザーからの声をフィードバックしつつ、新しい「芸」を披露する為で、GR系やGXRと比べてももっともリコーらしいカメラだとは思う。
でもGR Digitalみたいなカメラはリコーが唯一胸を張っていられるカメラなのでしょう。
両方あってリコーは「ユーザー」と二十一世紀のカメラを作っていこうとしている気がします。

実はこのキャンペーンより遙か昔から「GRブログ」という、関係者(社員が主メンバーだとおもうけど)の生の声、というよりもユーザー視点に近い、これまたご近所さん的な立場でずっと続けています。
GR Digitalの発売を機にやり出したものだけど、私が評価したいのは、いまだに続けているということです。

勿論GR Digitalの話ばかりではないし、他機種の話が続く事も多いけれど、それはユーザーの興味だったりするので問題はない。
問題はないどころか、もっと更新しろや!!! と楽しみにする人も多いんじゃないでしょうか。

そんなリコーを、私は結構気に入っています。
故障するカメラばかり買わされているけど、あんまり絵作りが好きじゃないけど、デザインがダサイとは思うけど、リコーの新型はいろんな意味で面白いのです。

CXもGXRもGRも、出ると結局買っちゃうのはそういうわけなんだと思います。

GR Digital IIIも、集中的に使って見て、実はとても気に入っています。
前のエントリでいろいろクサしたけれど、欠点は欠点だから仕方ない。
でも、そんな欠点を知った上で、なおGR Digitalシリーズには感心しているということです。

故障や産地は別にして、ポケットに入れておけるカメラとして、GR Digital IIIはとてもいい。
なのでもう少し使い込んだら、GR Digital IIIの、そんないいところを紹介したいと思います。