もしくは「私がOLYMPUS PEN-Fを買わない理由」(初出 2016/02/09)
私はオリンパスのプレミアム会員かつ「オリンパス・オーナーズ・クラブ+(OOC+)」メンバーなので、まあオリンパスのユーザーでもVIP。と勝手に思っているわけですよ。
で、ブランニューのPEN-Fを買ってチョーってな感じでいち早く本カタログが郵送されてきたわけです。
「そうか、そこまで言うなら買ってやるぜ」ってのが意気に感じたVIPメンバーの性ってやつで。
まあ、そんなわけで予約の予約をしていたわけですよ、一応、発表日に。
オリンパスオンラインショップの言う「優先仮予約」ってヤツですよ。優先なのに「予約」じゃなくて「仮予約」ってんですからずいぶんな話ですけどね。
でもって、節分の日。
日本全国のアホ……じゃなくて善男善女っつうか老若男女が騙されて……じゃなくて伝統? を尊重? しつつ、出自の怪しい原材料で作られた添加物たっぷりの太巻きをバカ面で……じゃなくて口いっぱいにほおばって行事食をいただく、という美しい日本文化の継承に躍起になる日。つまり2月3日に件のオリンパスオンラインショップから「(PEN-Fを)確保可能(2/26発売日にゲットできる、と解釈)。なので太巻きばっかり喰ってないで、さっさと予約の手続きをしとけよ?」というメールが来たので、命令に従って速攻で予約手続きをしたわけですよ。ええ。
私の場合、プレミアム会員割引ってヤツで、オンラインショップ希望直販価格からそこそこ割り引かれて総支払額が税込み129,070円ですよ、ええ。
例によってこの段階ではどの店よりオリンパスオンラインショップが安いんですよね、オリンパス機の場合。今年からちょっと割引が減ったとはいえ。
ええ、PEN-F買うつもりだったんです。
というか、買う気満々でしたね。
だって、
1)オリンパスのボディ内手ぶれ補正がきくボディである(アタリマエですが)
2)EVFが内蔵されている
んです。
こういうのを首を長くして待ってましたからね。
私みたいな人、多いはずなんです。「火星に行きたい人」は地球上に1万人いるらしいですが、EVF内蔵型PENを待ってたって人はそれより多いんじゃないでしょうか。地球規模だと。
私、μ4/3(「マイクロ フォーサーズ」と読みます。念のため)システム、というかμ4/3のレンズを使うときのボディは、最近、というかこのところほとんどPanasonic LUMIX DMC-GX7ばっかりなんですよ(DMCっていってもデロリアンじゃないですからね?)。
μ4/3のボディはもちろん他にも持ってるんですけどね。例えば最新のE-M10MarkⅡとかも持ってますし。
いえ、E-M10MarkⅡってすっごく気に入ってるんですよ? あれはとても素晴らしいと思います。
私にとってE-M10MarkⅡはフラグシップのE-M1や上位機であるE-M5MarkⅡより数倍魅力のあるボディです。いや、ホンマ。スペックでカメラを語るほど中二病じゃないですからね、私。
なんというか、もはやE-M1とかE-M5とか、家から持ち出す気にすらならないんですよ。
E-M10MarkⅡだと「EVF付きPENだと思えば」という呪文を唱えれば持ち出せます。
E-M10系は小さいからいいんです。PEN E-P5に外付けEVFのVF-4付けるよりよほどコンパクトですしね。
でもね、やっぱりGX7を使っていると、あのファインダのトンガリ帽子の存在がツーマッチなんですよ。
バッグから出し入れする際にも、サイズの問題じゃなくてあの出っ張り部分が形状的にビミョーに引っかかるんですよ。
その点、GX7はスルっと出し入れできて、なんというか実サイズとか実重量とかの問題ではなくて、「軽やか」に使えるんですよ。
GX7はもう古いカメラですけど、今使ってもその性能は現役バリバリです。
GX8が出た今でも、私の用途だとまったく何の問題もなく使えています。というかGX8が出たらGX7が輝きを増した気がします。
そう。あまり弱点や欠点のないカメラなんですよね、GX7。
ただ一つの例外を除いて。
それは「ボディ内手振れ補正機能」の効き具合です。
GX7も、Panasonicとしては珍しくボディ内手ぶれ補正機能を搭載してます。が。なんというかオリンパスのそれと比べると大人と子供みたいなものですからね。XC60とCX3みたいなもん、というか(主に積載量的に)。
なのでオリンパス製のモノリス型でEVF内蔵カメラ、要するにPENシリーズにEVFが載るのをずっと待っていたわけです。
で、ようやくPEN-Fの発表。
いやあ、小躍りしましたね。
デザインはやり過ぎというか、必然性がないというか、ノスタルジックというよりはむしろそこはかとない加齢臭というかツンとした汗臭さが漂うものの、基本的には気に入りました。
特にシルバー。
唯一、心底ガッカリしたのが液晶が二軸のバリアングルになっていた事です。
私、大嫌いなんですよ、いわゆるバリアングル液晶。
好きなのはチルト液晶です。
オリンパスの場合、二軸バリアングルはE-M系に任せてあって、PEN系は何と言ってもチルトでしょ? なんて勝手に思い込んでいただけに、PENなのにバリアングル液晶を搭載してる事実を知った時には頭を金槌で叩かれたようなショックを受けましたね。
「ブルータス、お前もか」的な裏切り感? じゃなくて裏切られ感? を勝手に味わいました。
言い換えると、この「二軸バリアングル液晶」にさえ妥協すれば、PEN-Fって作り込みも凄そうだし「長く使えるカメラ」になるかもしれないな、と考えたわけですよ。
なのでポチったわけでして。
そしてあとは2/26の発売日をのんびり待つだけ、でした。
だがしかし。
そんな私の穏やかな「心静かにただただ発売日が訪れるのを待つ日々」に、突然の天変地異? が。
天変地異というか、商用Webサイトの提灯記事なんですけどね。
コレね↓
この手の先行展示会はニューモデルの恒例行事ですし、その紹介記事もまた恒例の露出なわけです。私なんかはアホですから、webサイトを見て気に入っちゃったら、発売前に見ずテンで予約しちゃう人間です。でもって、発売日に届けばいいや、と思うタイプなのでこういう先行展示会とかそういうのには興味がないんですよ。発売日に思う存分触れるんだから、わざわざ人混みの中に出かけようなんていう気にはならないんですね。要するにただのモノグサでめんどくさがりなだけなんですけどね。
いや、先行展示会に対する私のスタンスの話はどうでもいいんです。
問題はそのサイトにあったオリンパスの中の人の言葉です。
>片岡氏は、液晶モニターにチルト式ではなくバリアングル式を採用した理由を、「液晶の裏側に革を貼りたい」という開発者の意見によるものだったと明かした。
コレを読んで私はメロス状態ですよ。
ええ、激怒しましたね。
「リサーチした結果、撮影に拘りを持つ人の多くがチルト液晶よりもバリアングル液晶を求めている事がわかった。PEN-FはPENラインのフラグシップですから、ハイアマやプロの方にも使っていただきたいと考え、バリアングル液晶を採用しました」
とか、
「昨今はスティルカメラにも動画機能は欠かせません。スティルカメラでも動画を撮りたいという人にとっては、液晶がチルトだと使いにくいのです。そういうわけで今回はムービーにも対応している、という我々の本気をバリアングル液晶を採用するという形でアピールすることにしました」
的な理由であれば、それで良かったんです。
二軸バリアングル液晶なんて私に言わせれば戦艦大和(「世界三大お笑い建造物」という意味)みたいなものです。百害あって一理くらいしかないシロモノですからね。
でも機能としてのバリアングルを敢えて選んだというのであれば、あとは私が妥協できるかできないか判断すればいいだけなのですが……。
「液晶の裏側に皮を張りたかった」
ですと!(゜Д゜)
私、この一言で買う気がまったく失せましたね。妥協していた「気に入らない」部分が「忌むべき」モノに変わった瞬間でした。
そもそも露出補正ダイヤルなんかを一等地に持ってきた時点で「(ウチも富士フイルムみたいに)露出補正ダイヤルを付けてみたかった」んだってわかってはいたんです。そういう痛い人が「ファッション」優先でデザインしたカメラがPEN-Fなんだって。
だって独立した露出補正ダイヤルなんて必要無いしね。普通のプログラマブルなダイヤル一つ増やしてくれた方がナンボかいいんですよ。
でも、それも見ない振りして妥協して予約したんですよ。
だってEVFのある(手振れ補正が強力な)PENを使いたかったからです。
でもね、舞台裏を知っちゃったわけです。
>液晶モニターにチルト式ではなくバリアングル式を採用した理由を、「液晶の裏側に革を貼りたい」という開発者の意見によるものだったと明かした。
明かすな!ヽ(*`Д´)ノ
できれば墓の中まで持って行って欲しかった。
なんというか、そんなチャラい理由で便利だったチルト液晶がオミットされたのかと思うとなんかこう、バカにされている気がしてならないんですよ。
これって、我が宿敵? バリアングル派と我らが同胞であるチルト派の両方をバカにしていると思います。両派はそれぞれのカメラの機能としての利点を真剣に主張し合ってるんですよ。まあ、双方ともあまり聞く耳を持ってないのは別にして、です。
そんなチャラい理由でチルト液晶を簡単に捨てられる「程度」のカメラなんだな、PEN-Fって、と思うと、あとはもう、PEN-Fはチャラいカメラにしか見えなくなりました。
以上、私がPEN-Fを買わない理由でございます。
E-P5のちゃんとした後継機をEVF付きで出してくれないかな、チャラくない開発者さん?