前回の記事で紹介していた充電式の空気入れ、ベルクート スペシャリスト VL-1000のレビューです
前回の記事はこちら。
◎出会いはネットショップのDM
いやあ、これはちょっとした驚きでした。
だってAmazonで充電式の空気入れを物色していたまさにその最中に、このベルクートのVL-1000を紹介するDMが届いたのですから。
ひょっとして私、誰かに監視されてる?
私を監視してもなにも面白くないと思うんですけど。
◎VL-1000を選んだ理由
前出の私の記事に詳細を書いていますが、かいつまんで説明させていただきますとこんな感じです。
1.今まで参加したホノルル・センチュリー・ライドには、普段使いにフロアタイプの空気入れを、大会参加用に車載できるコンパクトタイプの空気入れの2種類を持参していた
2.以前はもう一つだと思って導入を見送っていた充電式の空気入れの状況をチェックすることにした
3.思いの外種類があり、導入を真剣に検討することにした
実際にAmazonで検索すると、自転車でも使える充電式空気入れは結構な数がヒットします。
と言っても、名称が違うだけで中身は同じものばかりなので、実際は4種類くらいでしょうか。
4種類ならすぐに選べそうなものですが、いざ本当に導入するとなると「ビミョー」なんですよね。
ホノルル・センチュリー・ライド(以下HCR)当日にバイクに積むわけですから、車載性というか、積みやすいものを選びたいじゃないですか。
それを考えると、私がチェックしたものはどれも「これだ!」と決めきれないものばかりだったのです。
具体的にはバイクに積むには「まだ、かなりでかい」、「ちょっと重い」と感じていたのです。
ボトルケージを使ってホールドするくらいはできそうですが、そうなると車載ボトルがシングルになります。なのでボトルケージをもう一つどうにかして増やす必要があるのですが、そうなるとジャージの背中Pocketに突っ込むか、ハンドル周りにブラケットなどを取り付けるくらいしか選択肢がありません。
いや、トップチューブバッグを買ってそこに入れるという選択肢もあるか……。でも無視しよう。
背中が蒸れて疲労しますので「バックパックに入れる」は却下です。
ハンドル周りがあまりごちゃごちゃするのは好きじゃないのと、ハンドルまわりは路面の突き上げがダイレクトに伝わりますので、ボトルがケージから飛び出す可能性が高いんです。
そのへんはBROMPTONで何度も痛い目をみています。
まあ、BROMPTONの方がロードレーサーより突き上げが何倍も強いんですけど。
もっとも「ボトルは簡単に取り出せないけど、そのかわりちょっとやそっとでは飛び出ない」ように強力に固定する、という手もありますが……。
そんな悩める子羊こと私に届いたのが、「こういうのが欲しかった」というベルクート VL-1000の紹介DMだったのでした。
決めてはズバリ、「小型軽量」そして「ボトルケージ台座と共締めできるブラケット付き」とう点です。
つまり、今までどおりなんです。
過去二回のHCRではハンディタイプの空気入れをボトルケージの台座に共締めできるブラケットに装着していたのです。
単純に人力の空気入れが充電式の空気入れに置き換わっただけです。
もちろん、ハンディタイプの人力空気入れと比較すると充電式の空気入れは「重い」のですが、レースではないので、多少の重量増は問題になりません。
特にHCRは平坦基調で獲得標高もしれています。総重量が1kgや2kg変わってもどうせちんたら走るしか出来ない私にとっては大差ない、しかも炎天下に人力で空気入れをプシュプシュすることを考えると納得どころか「むしろウェルカムだろ」と考えました。
◎DM読んだら、2分でポチる
サ○ウのごはんか。(^_^;
「こ、こういうのを探していたんだよ」でございます。
ワールドサイクルから届いたDM(もちろんメールです。念の為)を見た私はそのままショップのサイトに誘導され、ざっとチェックしているうちにそういう感じで興奮してしまい、DMを開いてものの数分でポチっておりました。
だって在庫があるうちに買わないと、HCRに間に合わなくなりますからね。
幸い、在庫のあるうちに確保でき、ポチった翌々日には届いておりました。
◎VL-1000のスペック
◆重さとサイズ
本体長さ/直径:246mm x 31mm
本体重量:344g
充電ホース:72g
専用ホルダー:54g
ということなのですが、サイズはともかく、重さについては念のために計ってみました。
おっと、ほぼ正確。しかもカタログデータをオーバーしていないなんて素晴らしい。
◆能力
最大圧力:8bar(kg / cm2) 120psi
連続可動時間:7~8分
最大空気流量:毎分10リットル
◆その他
懐中電灯機能:LEDライト内蔵
◆ACアダプタ
充電器入力:AC 100-240V 50/60Hz 最大0.35A
出力:DC 14.5V 0.5A
◆付属品
取扱説明書、ポーチ、専用ホルダー、ACアダプター(日本用の2P)
Amazonで見つけられる充電式小型空気入れは、最小のものでも直径が5cm近辺。。それも円形じゃなくて楕円径。あとは四角かったり不定形だったりで、要するにかさばるのです。
3.1cmφのVL-1000は多少長くなるものの、相当スリムです。
いや、3.1cmがスリムかどうかは議論の余地がありますが、その時の私は「3.1cmなんて、ウルトラスリムじゃん」と小躍りしてしまったのです。
燃費がリッターあたり5kmの車ばかり見ていて、「8km走る」なんて言われたら「超優秀じゃん」と思ってしまう、ある意味麻痺状態かもしれませんが、手持ちのPanaracerのハンディタイプの手動空気入れ(BMP-N21AGF2)もそこそこの太さですし、長さについてはVL-1000の方が5cmも短い。
◎装着手順や使い勝手は?
○準備
まずは充電します。
仕様上、からっけつから満充電まで2-3時間かかるそうです。
次に、バルブのアタッチメントをフレンチバルブ用に変更します。
VL-1000は米仏英、三方式ともに対応可能です。
まあ、空気入れってどれもそんな感じですよね。
VL-1000の場合、デフォルトでは米式(MTBやBROMPTONなど)になっていますので、これをフレンチバルブ用にするわけです。
やり方はバルブのアタッチメントを逆さにするだけ。
アタッチメントを外して使うと英式に対応する仕組みです。
まあ、これもよくあるパターンですね。
その後、本体のプラカバーを外して、コネクタ部分を露出させ、あとはチューブをつなげば準備は完了です。
で、タイヤのバルブに「ねじねじねじねじ」っと言う感じできっちり止まるまでねじ込めば、あとは本体のお尻にある電源スイッチを押せば内蔵ポンプが動き出して空気の充填が始まります。
ここで一つ注意があります。
○バルブとの接続方法
パンク修理の後など、完全に空気が抜けきっている状態から使うのであれば、「タイヤのバルブにチューブをねじ込む」→「チューブと本体を接続」という順番のほうがやりやすいです。
しかし「足りない分を補う」場合、普段遣いだとほぼこちらになるとおもいますが、その場合は「チューブと本体を接続」→「タイヤのバルブにチューブをねじ込む」という手順にしないと、空気は全部漏れてしまいますので、お間違いなきよう。
まあ、全部漏れても漏れた分を入れればいいだけなので、大した問題ではないかもしれませんが、念の為。
◎実際に使ってみて
我が家のバイクのホイールに使っているチューブレスタイヤのメンテをすることになっていたので、「0気圧から続けて4本分充填する」という格好のテストができました。
ちなみにチューブレスタイヤのシーラントを追加充填したという記事はこちら。
○充填にかかる時間(実測)
我が家のバイクはチューブレス(レディ)タイヤ仕様なので同じサイズのクリンチャーと比べると必要な空気圧は低いんです。
具体的には5barほど。タイヤにもよりますが、25c同士だとざっと2-3bar少なめでしょうか。
なので、前提として、ある意味で充電式空気入れに優しい環境であることは間違いありません。
ただし我が家は同居人と私の分がありますので二台分になります。
さて、実際に0barから5barまで充填してみました。
かかった時間:約55秒(4本分の平均)
謳い文句としては「8barまで1分30秒」とのことですが、まんざらウソではなさそうです。
また、1本あたり55秒ということは、カタログデータを信じると一度の充電で、我が家なら8回パンクしてもオッケー、ということになりますネ。
つまり「超オッケー」な性能であることが証明されました。
○LED懐中電灯機能はスグレモノ?
LED懐中電灯機能がついており、コレはもちろん単体で懐中電灯として使用可能です(独立ボタンあり)。
もっとも、これは夜間のパンク処理などで役に立つように装備されているのでしょう。
もちろん作業する手元を照らす用途に使えますが、空気の充填時にLEDライトを点けると、暗闇でもチューブにあるエアゲージの読み取りができるのです。
Amazonで売られている充電式空気入れは、本体側にデジタルのエアゲージが搭載されていて、予めセットした空気圧に達すると自動的にポンプが止まる、という便利機能がありますが、残念ながらVL-1000にはそれはありません。
多少残念ですが、空気を入れている最中にその場を離れることなどないでしょうし、ゲージを見てスイッチを止めればいいだけなので、不便とは思いません。
そのかわりにアナログゲージがあるわけですが、デジタル表示できずに暗がりでの視認性が確保できないというそのネガをLEDライトを活用することでツブシているのはちょっとした頓知ですね。
作りがシンプルになりますし、熱に弱い基盤は少ないほうがいいですから、むしろ歓迎してもいいかもしれません。
○エアゲージの精度
エアゲージの精度ですが、手持ちのPanaracerのエアゲージと比べても差はなく、意外にも正確だと判断します。
○熱はどうか?
懸念していた「熱」の問題ですが、それなりに熱は持ちます。
普通のフロア式の空気入れでも同じです。熱は持つものです。
ただし、一本一本入れていくやり方であれば、熱くて触れない、というほど高温にはなりませんでした。
もっとも私の場合は5bar、一回に約1分程度しか可動させていませんので、これが普通のチューブドクリンチャーだとVL-1000の上限値である8barまで入れるでしょうから、その時にどれくらい熱くなるかは不明です。
まあ、熱くなったらその部分を触らなければいいだけです。
暑くなるのはチューブとの接続部分、つまり先端部のみですから。
○音はどうか?
それから音です。
ポンプの音はそれなりにします。
夜中に自宅で入れると気になるかもしれませんが、屋外だと全然。自宅でも昼間なら大して気に留める必要もないでしょう。
それより一人暮らしじゃない人や、一人暮らしでもネコなどを飼っている人は、自宅でこれをつかって空気を入れる場合、事前に家人やネコには「電動空気入れ使うからちょっと音がするよ」くらいは言っておいたほうが要らぬ諍いを生じなくていいと思われます。
あと、間違っても夜間や夜明け前などは使わないようにしましょう。
なお、猫語が話せない人は愛情が足りません。反省し、精進しましょう。
◎ここが×
×専用ACアダプタ方式
USB充電器仕様ではなく、付属品を使わないとイケない点。
アホな人が規格外のものを使ったりする可能性があるので安全性を考えてのことでしょうけど、ACアダプタとかツブシちゃたら面倒だなあ、と思います。
×充電状態が不明
仕様では満充電まで2-3時間とあります。
で、それだけ。
本体側に(当然あると思っていた)インジケーターがないのです。
「よし、3時間たったな」
と思ったらACアダプタを引き抜くしかないわけですね。
今どき満充電がわからないバッテリ内蔵デバイスがあるなんて……、と目からウロコが落ちました。
×チューブをのネジ穴のカバー(プラパーツ)をすぐに無くしそう
メインスイッチと懐中電灯スイッチがあるおしりのカバーは脱落防止処理がされいますが、
チューブの雌ネジ部分にはとんがったプラパーツが刺さっているだけ。
外で使ってたりするとすぐに落としそうです。こちらも脱落防止にしてほしかった。
×値段が高い
これは言っても詮無いことですが、5千円で買えると、爆発的に売れる気がします。
◎想定される使い方(一部、良い子は真似しないように)
○HCRで使う
実際問題として、我が家は二台ともパンクなどしないと思われます。
走る出す前には毎回タイヤチェックと適切な空気管理をしていますし、そもそもチューブレスタイヤなのでリム打ちパンクはありえません。
また、走行ペースも遅く、路面変化に対応しやすく、変なモノを踏む可能性も低い。
すなわちパンク修理道具など私には無用の長物。
でも、保険としては持っていかざるを得ません。
パンクなどしないと信じてはいますが、奇跡が起こらないという保証はないのです。
そこで腹黒い私はいいことを思いつきました。
1.HCRでパンクしている人を見つける(なぜかおびただしいサイクリストがパンクしている)
2.「パンク修理はしないが、その後のしんどい空気入れを手伝ってあげよう」と交渉する
3.小遣いを稼ぐ
クリンチャーだと5本分くらいは充填できそうなので、一回あたり手数料を2000円くらいもらえると、1万円ほど稼げます。
つまり、モトがとれる!(*´ω`*)
何という天才!
ただし、くれぐれも良い子はマネしないように。
○普段からフロア式空気入れの代わりに使う
冗談はさておき、我が家の場合はこのVL-1000はフロア式空気入れより使い勝手が良さそうです。
というのも、フロア式空気入れの場合、空気入れのチューブが届く範囲に自転車(もしくはホイール)がないといけません。
我が家の場合、こういう二段式のスタンドにバイクを収納している関係で、上のバイクにはフロア式空気入れは使えません。一旦降ろさないとダメなんです。
しかし、VL-1000はこちら側がバイクに近づけばいいわけで、いちいちスタンドから降ろさなくても空気を入れる作業が出来てしまいます。
なので、普段遣いにも役に立ちそうです。
○車載用空気入れとして使う
それから、ライドイベントに参加する場合、つまりバイクを車載して遠征する時なんかも、これさえバッグに放り込んで於けば、いちいちかさばって重いフロア式空気入れをマンションの部屋から駐車場まで運ぶ必要がありません。
○グループライドにぜひ一台
いつもチームや仲間と数人で走る、という人はみんなでお金を出し合って一台買っておくというのはどうでしょう?
で、当然ながら一番健脚の人のバイクにくくりつける。
1台あれば5本以上のタイヤに使えますから、人数にも依りますが、他の人はインフレーターやCO2ボンベなどの荷物を持つ必要はなくなります。
人数が多いチームなら、もう一台買えばいいんじゃないでしょうか。
もちろん二番目に健脚の人が運び役ということで。
うん、値段を考えるとグループで共同購入というのはアリかもしれませんね。
我ながら何という天才。(*´ω`*)
◎まとめ
値段のこともありますが、使えるシチュエーションが想定できる人にとっては、なかなか興味深いプロダクトではないでしょうか?
積極的に推奨はできませんが、使いみちがある人には大いに悩む価値あり、と見ました。
私は今年のHCRはコレ一本で行く予定です。
で、現地で故障したりして……
ヤなこと言わないで
念のためにこれ(↓)は持っていったほうがいいんじゃ?