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★長期レポート【PORSCHE Macan GTS】XVII サマリー(10,000km)その2

PORSCHE Macan

やっはろー(*^^*)

確定申告、終わったぜ!

正確に言うと「還付申請」ってやつですけどね。
「確定申告」は2月16日から提出可能になるのですが「還付申請」は1月4日くらいから提出可能なんですよね。
多くのサラリーマンが敢えてやる「確定申告」って実は「支払っていた税金が戻ってくる」パターンで、それは「還付申請」というヤツになります。
つまり2月16日の提出開始を待たずに提出可能なんですよ。
知ってました?
恥ずかしながら私は、ごく最近まで知りませんでした。
早く出せば早く戻ってくるわけで、必要な書類がそろっている人は早く提出するほうが吉ってやつでございますよ。

◎「走る」「停まる」「曲がる」ということ

一言で表現するとMacan3 GTSは「普通」です。
もちろん「いい意味で」という但し書きが必要ですが。

補足も必要ですよね。
世の中にクルマはあまた走っていますが、私はそれらのクルマを2種類に分別しています。
「普通」のクルマと「普通ではない」クルマです。
念のために書いておきますが「普通」が上位です。「普通ではない」=「なんかめっちゃすごい」ではありません。
アメリカ人がよく使う言い回しの「あなたってどうかしているわ」は「あなたってステキね」という意味の誉め言葉ですが、日本で同じことを言うと「あなたはちょっとおかしい。別れましょう!」というディスり系の意味なってしまいます。それと同じ?かどうかはアレですが、ここでは普通のほうが「すごい」という意味だとまずはご理解ください。

で。
Macanに乗ってみて、思ったんですよ。

普通に発進すること。
普通に加速すること。
普通に減速し、停まること。
そして与えた舵に対して普通に曲がること。

これらすべてが揃って初めて「普通のクルマ」たりえるわけですが、10,000km近く走ってみてMacan3 GTSはそれらを「普通」にこなせるクルマだということがわかりました。

補足の補足に入りましょう。
どんな車でも、それが健康に走れる個体であれば「普通に全部できる」と思っていた時代が私にもありました。

発進できる。
加速できる。
減速して、停まることができる。
ステアリングを左に切れば左に曲がり、右に切れば右に曲がれる。

そう、どの車だって可能なことでしょう。
でも「可能」であることと「普通」であることはイコールではありません。「普通」は「可能」であることは前提とした上で、それが「高み」へと至った状態のことをあらわす言葉なのです、ここでは、ですが。(*^^*)

○発進

停止状態でガスペダルを踏み込むとクルマは動き出す。
当たり前の事ですし、私も最近麻痺していましたけど、自分が「今はこれくらいのダッシュをしてほしい」と思ってガスペダルを踏んだ時に、ほぼ思い通りの出足でもって発進をしてくれるクルマって、ここの所少なかったんだな、とMacanに乗り始めて覚醒しました。
ルーズなんですよ、最近のクルマの出足って。
バイワイヤになっている車は特にそう。
メーカー側が意図的に初期の踏み込みにたいして反応を鈍くしているんですよね。そして多くの人はそれに飼いならされてしまう。踏み込む量を増やしたりしてキャリブレーションをする人もいますし、もともとラフにガスペダルをデジタル的にボコボコやることしかできない人なんかは「むしろ安全でいいや」とそのまま受け入れたりするわけです。
抗いたい人はスポーツモードにしてみたり、ガスペダルを踏み込む速度や量をいろいろ試しておりあいを見つけたり、一部の人は「スロットルコントローラー」いわゆる「スロコン」を付けて「普通」を得たりしています。
私は昔は「スロコン」を付けてましたけど、対応製品が見つからないクルマになってからは前車の「まあいっか」という「折り合いを見つけて受け入れる人」に属しておりました。
そしていったん慣れてしまえば、それを「普通」と思って生きていけるのです。

が、Macan3 GTSの場合はスロコンなどなくても私が思う「普通」の発進をしてくれるんです。
そして「ああ、今までの普通は錯覚だったんだ」ということに気づかされたというお話です。

昔はMT(マニュアル・トランスミッション)車に乗っていましたし、そもそもガスペダルがバイワイヤじゃありませんでしたので、この発進部分については自分でいくらでもコントロールすることができていました。
その後のAT(オートマチック・トランスミッション)車も、出来栄えは今に比べたらラフなものでしたが、実は発進に関しては必要な量は右足の踏み込み量や速度で「普通」にコントロールすることが可能でした。
こざかしいメーカー側が「エコドライブ」なんて「正義の御旗」の元に「入力」に対する「反応」をコントロールするようになってから「普通の発進」は「他人が意図したプログラム」を経たモノになっていったのです。

「何言ってんのかさっぱりわからない」と思われる人が多いと思いますけど、中には「ああ、わかる」と思ってくれる人がいれば幸いです。

○加速

「加速」については「発進」とは違う視点で考えないといけません。
バイワイヤ系のガスペダル車はもちろん基本的にプログラムによるフィルターがかかっているのですが、ここで重要なキーワードはむしろ「動力性能」です。

これについては「発進」よりも各個人の主に「要求水準」によって評価が変わると思いますのでアレですが(アレって?)、つまりここでも「思い通りの加速をしてくれるかどうか」ということが重要になります。
ここでもCAFE規制なんかがあって燃費を稼がないと制裁が怖いと思っているメーカー側は早め早めにシフトアップするプログラム制御を介在させますので、多くの場合は「期待している加速は得られていない」のが実情です。
誤解のないように書き添えておきますと、ここでいう「加速」は「フル加速」ではございません。ドライバーが臨む「これくらいの加速」が「そのまんま」「ズレなく」クルマの動きとしてアウトプットされるかどうかの話です。
これについては一定以上の低速トルクさえあれば、街中で違和感を覚えることはあまりないと思います。非力なクルマでも逆にプログラムのおかげで街中などで不満を抱くことは少ないはず。
日常における「加速」で「予想」と「希望」にたいしてつきつけられる「現実」とに乖離が生じるのは上り勾配になった時です。もちろん勾配がきつくなればなるほど乖離は大きくなるわけです。

Macan3 GTSはその乖離がほとんどない、というのが私の感想です。
もちろん「完璧」ではありません。
でも、「理想」とのギャップはきわめて少なく「あらまほしきことなり」と言うにやぶさかではないのです。

○減速して停まるまで

減速パワー、つまりブレーキの性能についてはMacan3 GTSは「普通」より「やや過剰」というべきかもしれません。
つまり減速性能に関しては文句はありません。ただし「普通」というにはやや問題があって、それは「思っているより減速してしまう」事です。
この場合は「思っているより加速が強い」ことより100万倍も安全といっていい、つまりは贅沢なことを言っていると自覚した上で敢えて苦言を呈するなら、ブレーキを踏んだ時のフィーリングがあまりにも人工的に感じるところです。

これについてはファーストインプレッション的な時から書いていますが、いわゆる「オーバーサーボ」感が強いんです。
前車のXC40が「踏力に応じた減速力が得られる」感ある素晴らしいフィーリングだったこともあって「(ブレーキペダルを)ちょっと踏んだだけなのに、いきなり減速パワーが立ち上がる」系のMacan3 GTSは「初見殺し」ってやつなんですよ。
私のMacan3 GTSを運転したドライバーは(ほんの数名ですが)、ことごとく最初のブレーキで「カックン」をやってしまいます。
ええ、全員「くの字」になって、その後シートバックにドンとなるヤツです。
そして異口同音にこう言うのです。
「え、何、これ?」
まあ、この手の「カックンブレーキ」はオーバーサーボ気味の他車でもよくあるパターンなので想像しやすいと思いますが、Macan3 GTSの場合、その想像の3倍くらいの「カックン感」だと思っていただけるといいのかなと思います。

ポルシェのオーナーはよく「ポルシェはブレーキがいいんだよ」と言うんですが、この場合「利きがいい」と理解しておいたほうがいいでしょう。フィーリングがいいわけではないのです。
もっともオーバーサーボのフィーリングに飼いならされてしまった人には「ちょっと踏むだけですごいストッピングパワーが立ち上がる。素晴らしいブレーキだ」と思い込んでいる人も多いので何ともいえませんが。

2トンを超え、法律を無視すれば平気で日本の高速道路の制限?速度の2倍以上の速度域で巡行できてしまうクルマについているブレーキの「利き」としては「普通」に「強力」だと言えます。

オーバーサーボについては、普通のドライバーならもちろんすぐにキャリブレーションできますが、そのあたりがアレな人が運転するMacan3 GTSの助手席に日常的に座らされている人は苦痛だと思います。
いや、一定数いるんですよ、その辺の能力が欠如しているというか、下手くそなドライバーって。
ブレーキの度に「カックン」「カックン」とされて、この人、なんで運転で免許取れたんだろう?ってマジで疑問が生じるようなドライバーに出くわしたことありますからね。

で、すぐに慣れて普通に使えてしまうようになるわけですが、それでも主に外的要因で急ブレーキを踏まなければならなくなった際には「カックン」しちゃうんですよね。
高速道路なんかだとよくあるじゃないですか、ターンシグナルも出さずに目の前に割り込んでくるようなクルマ。多くの場合はエンジンブレーキでやり過ごすには危ないタイミングなので、ブレーキで減速するわけですよ。具体的には100km/hで走っているとすると、一時的にから20km/hくらい減速させようとチョイ踏みするわけです。そのあたりはもう感覚的に急ブレーキだけど停止するためのものではなくとっさに減速する為の「チョイ踏み急ブレーキ」というか、沿いういうヤツなんですが、「チョイ」であっても「急」なので出ちゃうんですよね「カックン」が。20km/h減速じゃなくて50km/h減速しちゃう、みたいな。

もっとも単にオーバーサーボなだけで、その実減速パワーは大したことがないっていうクルマが多いですが、オーバーサーボでかなり強力なブレーキが「ちゃんと」働いてしまうので「思っている以上に減速してしまう」感がハンパないのです。

Macan3 GTSのフロントブレーキはキャリパーは対向3ピストン、つまり6ピストンで、ローターは直径30cmくらいの大径という組み合わせです。

加えてMacan3でもGTSのみ、ローターが通常の素材(鋳鉄)ではなく、表面に「タングステンカーバイドコーティング」が施されているので、初期制動力が違うことも一因でしょう。

ちなみにこの「タングステンカーバイドコーティング」されたブレーキ(PSCB=PORSCHE SURFACE COATING BRAKE)はPORSCHEによる独自製品だそうです。正確にはPORSCHE開発センターがBOSCHに協力依頼して制作したもの。ちなみに製造は日本の曙ブレーキです(公表はしていないと思いますが知っている人は知っている(^^;)

このローターにあわせてパッドも専用品になってしまうブレーキの特徴ですが、まず見た目が鏡のように平滑なこと。これは人目でわかります。

耐摩耗性もかなり違います。普通の鋳鉄ブレーキは使い始めると本当にすぐに表面が摩耗して多くの場合レコード盤のような細かいラインが彫られていくわけですが、PSCBは10000km走ってもご覧の通り、鏡面のまま、というか新車時と比べても摩耗した感触が全くありません。全く、です。サーキット走行を前提にした耐摩耗性があるというのもうなずけます。私のような通常使用だと100万キロ走っても摩耗していないんじゃないかと思われます。もちろんそれはローターだけの話で、パッドは減るんだと思いますが……。
その専用パッドもサーキットのスポーツ走行に普通に耐えるだけの耐フェードを当然ながら備えています。

サーキット用のオーバースペックブレーキとかいらないし。他のグレードのMacanと同じ鋳鉄でいいじゃん。その分安くしてほしい……と私も思うんですが、こればっかりは標準装備なのでどうしようもありません。レスオプションは不可です。

が、耐久そんな私のような日常系一般ドライバーにも、いや日常系一般ドライバーだからこそ「ありがたい」性能がこのブレーキには備わっているんですよ。性以外にも。
それは「ブレーキダストが出ない」んです。まあ、全くでないわけではないらしいのですが、ブレーキダストよりホコリのほうが目立つレベルなので実際問題はないのと同じです。専用のパッドもあんまりダストが出ない系のモノらしく、ホイールがまったく汚れなくなりました。いや、ホンマ。
この辺もだいたいセラミックカーボンブレーキと同じ感じということになりますかね。

要するにセラミックカーボンブレーキと同じような性能をセラミックカーボンブレーキより安価に提供するためにPORSCHEが頑張ったというヤツです。ただし重量は普通のブレーキと同じ。ここはセラミックカーボンブレーキがブッチギリで軽いので全く同じ性能とは言えません(ざっくり1/2の重さ)。ただお値段はセラミックカーボンブレーキの1/3くらいとお安く提供できるようになり、Macan3でもGTSには標準装着してもいいんじゃね? くらいに安くなったというお話です。なおMacanにオプションでセラミックカーボンブレーキを装着すると160万円を軽くオーバーします。

セラミックカーボンブレーキが出たので、もう少しついで話を。「カーボンブレーキ」と聞くと「カーボンブレーキはブレーキの温度が上がらないと効かないので、むしろ危険。あれはサーキットう専用だろ」なんて言う人がいまだにいて驚きますが、市販車のオプションである「セラミックカーボン」もしくは「カーボンセラミック」というブレーキはそもそも「カーボンブレーキではありません。基本的にはセラミックブレーキと言った方がいいくらいで、配合素材に炭素が多少入っている、みたいな理解でOKです。要するに極寒でもちゃんと効くブレーキなんです。というか、機会があればセラミックカーボンブレーキ装着車のブレーキを踏んでみればいいと思いますが、普通のブレーキより初期制動は強いです。まあ強い弱いというよりフィーリングがかなり違う方にびっくりすると思います。


さて、話を戻しましょう。オーバースペックなブレーキ形式についてでしたっけね。

そもそも対向ピストンのブレーキキャリパーを使っている車なんてほんの一握りです。
多くのクルマは前後ともに片側1ピストンですからね。XC40もそうでした。

対向ピストンの方が安定したパワーをかけ続けられるのにそうしないのはもちろん一番はコストの問題ですが、対向ピストンにするとホイールサイズを大きくしなければならなくなるのでやりたくてもできない場合がおおいんです。あ、この場合のサイズはホイールの「直径」ではなくリムの「厚さ」の問題です。
リムが厚くなるということはタイヤも太くなってしまいますし、そうなるとタイヤハウスが大きくなるので車幅を広げる必要があります。同じボディを使ったハイパフォーマンスモデルがラインナップにある車種なんかは、そのハイパフォーマンスモデルはたいがいオーバーフェンダーを装着して幅の広いホイールに対応させているハズです。

つまり1ピストンで十分以上のストッピングパワーが得られるのに、重く大きく(価格が)高くなる対向ピストンブレーキを採用する意味などないのです。ストリートカーの範囲で考えるならば、ですが。
ではハイパフォーマンスを謳うクルマがなぜ対向キャリパーのブレーキを採用しているかというと、それはもうズバリ「見た目」です。ハイパフォーマンスカーは地味だと買ってもらえないんですよ。
同じBMWの3シリーズで想像してみてください。1200万円するM3 Competitionが550万円の318iと見た目が全く同じだったら、きっとM3の売り上げ台数は1/10以下になるんじゃないでしょうか(しらんけど(^^;)。
318iのドライバーは我関せずでしょうが、M3を買ったドライバーは318iとは違うと「思われたい」んです。
単純にパフォーマンスで選ぶ人もいるでしょうが、多くのM3ドライバーは「318iとは違うのだよ、318iとは」と「常に思っていたい」わけです。そしてそういう人はまず間違いなく自分で思っているだけでは満足できなくて他人にそれを強要したいわけです。承認欲求ってやつですかね。なので「見たらわかる」違いを欲するわけで、それが「対向6ポットブレーキキャリパー搭載の大径ベンチレーテッドブレーキ」であり、それを誇示するために多くの場合、そういうブレーキキャリパーは赤やら青やらで塗られてキャッチーなパーツとなっているわけなのです。

何が言いたいかというと「サーキット走行の為に装着されたブレーキは、公道では過剰に決まっている」ということです。
Macanは全車(というよりPORSCHE車は全車)、BMWならMはサーキット走行の為の装備がなされているモデルなので(そしてそれらのクルマのほとんどがサーキットで走ることはないという事実はさておき)、ブレーキは「そうなっている」わけです。
サーキットだと「20km/hくらいのチョイ減速」とか「40km/hからのスムーズな停止」なんてありえないシチュエーションですからね。そんなシーンを見越したフィーリングの調整なんてナンセンスってものでしょう。

また長々とツマラナイことを書いてしまいましたが、Macan3 GTSのブレーキは「普通」以上に効くというお話でした。

「曲がる」についてはまた次回の記事で。