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★貧脚ライダーにとってエアロロードは無用の長物か?【TREK MADONE SLR】1st.インプレッション(その2)

自転車

やっはろー!

1st.インプレッションの続きです

前回は主に納車後、自宅までの道のりでの感想文でしたので、二回目は走り慣れた定番朝練コースを走ってみて「今までのORBEAとはここが違った」という部分に焦点を当てて書いていきたいと思います。

◎MADONE SLRの三大特徴とは?

それは

○衝撃吸収
○エアロロード
○フレーム剛性

です
このうち前回のインプレ記事では衝撃吸収性能についてほんの入口くらいを書きましたが、今回は2つ目のエアロフレームについて。

◎貧脚×エアロロード=「猫に小判」なのか?

私は猫派(というか犬が苦手)なので「猫に小判」と言われると微妙に嬉しい気分になる……かもしれませんが……。もちろんそういう話ではありません。

ロードバイク系のブログは星の数ほどあって、私もMADONE購入を健闘していた時に知見を得るためにいろいろと拝読しておりました。
これは「他人の意見を聞く」という行為にあたります。
全くゼロの状態で他人の意見を聞くという目的もありますが、今回は自分なりの意見や考え方は持った上で、いったい他人はどう考えているのか、同じ意見なのか、違う意見が多いのか? そのあたりに興味がありました。
まあ、ぶっちゃけこういうときって「自分の考えに対する肯定的な意見が欲しい」と思ってチェックするわけですね。
およそ自分には必要のないエアロロードを買おうとしているわけですから、第三者に背中を押して欲しいのですよ。

コクピット周りの景色。走行中見下ろすとこういう感じです。

具体的に言うと、私は「貧脚でもエアロロードの恩恵は充分得られる」という理論を持っています。
この理論を第三者からも聞くことができれば自信に繋がります。
この場合の「自信」というのは「MADONE、買っちゃおう」という決心を後押ししてくれるものです。

だがしかし……。
基本的には私の理論を積極的に肯定するような記事はありませんでした。
エアロロードに対する知見のほとんどは、「エアロロードの恩恵が得られるのは30km/h以上の領域」という意見です。中には「25km/hくらいで走っている人にはメリットはないと考えていい」なんていい切っちゃっている人も。

別記事にしたBATCAGEを装着。ちなみにケージを止めている部分は「コントロールセンター」という穴の蓋で、穴には電動変速機のバッテリが装着されています。

ここでもう一度私のサイクリング時の走行パターンを書いておきましょう。

・平坦:せいぜい25km/hくらいでの巡航。それ以上はしんどい。
・上り:よほどの緩斜面を除き、時速が2桁に入ることはあまりない。インナーローでもケイデンスは50rmp台がほとんど
・下り:怖いのであまりスピードは出さない
・コーナリング:公道で攻めるわけがない
・1日に走る距離:ロングライドは年に数回。普段は殆ど20~50km位の距離しか走らない

客観的に見て私のような貧脚ライダーにはエアロロードなど全く必要なし、ですね。
さらに言えば、そもそもロードバイクすら不要です。
実際にはクロスバイクで充分でしょう。

だがしかし「充分」というのは「満足」とは違う概念です。
クロスバイクで「充分」であることは理性ではわかっています。むしろお釣りが来るであろうことも。
どうせ上りはちんたらしか登れないのですから、だったらローギヤードなクロスバイクのほうがむしろ楽かもしれません。
でもクロスバイクだと私の場合は走っていても楽しくないのです。
クロスバイクだとたぶん、朝練は義務となってしまい、だんだん億劫になり、そのうち全く乗らなくなるに違いありません。
MTBがそれでしたからね。

フロントライトはBONTRAGER 800RT。取り付けはリバース(上下逆さま)

じゃあクロスバイクの何が気に入らないのか?
それこそ「エアロ」です。
クロスバイクのライディングポジションは、そうとうに前面投影面積が大きい、つまり空気抵抗が大きいのです。
クロスバイクのカテゴリーに「エアロ・クロス」なんてのが存在しないのはそれこそ「無駄無駄無駄無駄!」だからでしょう。
なぜって、自転車側でエアロをいくら頑張っても、そもそもの分母が大きすぎて自転車側の削減率はたかがしれているからです。
翻ってロードバイクの場合は比較的上体を立てたブラケットポジションであっても、前面投影面積における自転車の占める割合がクロスバイクより相対的に大きくなります(人間の前面投影面積が小さい)から相対的にエアロ効果は高まります。
ましてやポジションがほぼ固定のクロスバイクと違い、そもそもロードバイクは前面投影面積をかなり小さくして走れるポジションが楽に取れるわけで、その差は更に広がります。

何がいいたいのかといいますとクロスバイクがダメというよりも私は「空気抵抗が大嫌い」ということなのです。
ドロップハンドルを使用するロードバイクのポジションにもともと抵抗がない以上、クロスバイクを選ぶ理由は全くない、ということです。

さて、話をもとに戻しましょう。
私の「たとえ貧脚でもエアロロードの持つ機能的な恩恵は充分受けられるはず」という理論ですが、ネットの自転車系情報サイトでは概ね否定されてしまいました。
しかし、それが逆に私の背中を押したのです。
「これはアレだ。自分の理論が正しいことを証明するためにも、エアロロードを、MADONE SLRを買うしかない」と。

◎世の貧脚ライダーに告ぐ、「次に買うなら絶対にエアロロードだ」

いきなりのアジテーションですが、今の私の偽りのない意見です。
そう、エアロロードを買って、掛け値なしの貧脚の私が実際に乗ってみて、自分の理論が正しかったことが証明されたからこそ言える言葉です。
むしろこういい切ってしまいましょう。
「エアロロードは貧脚ライダー向きである」と。

そうなんです。
貧脚ライダーこそエアロロードを積極的に購入候補に入れるべきなのです。
「乗り心地がー」とか言ってる人はもう、MADONE SLRを買えばいいんです。簡単な話でしょう?

冗談は抜きにして絶対候補に入れるべきです。
それぞれ贔屓のブランドなどもあると思いますので、そのブランドが展開しているエアロロードを候補にいれるべき。
乗り心地云々が気になる人は実際に乗って確認するべき。
たぶんMADONE以上に快適なエアロロードは存在しないと思いますが、人によって許容範囲がちがいますし、「実は私、こういうガチガチなのが好き」って感じでソッチのほう(どっちのほう?)に目覚める人もいるかもしれませんしね。
感触の好みなど人それぞれですから。

というわけで、貧脚にとってエアロロードが有効だった、いやむしろ必須じゃね? なんて思った経緯について。

◎たとえ40km/hで走れなくても、強い向かい風の中を走らねばならない時がある

私の理論はほぼこれです。
「無風の状態で時速30km/hとか40km/hで巡航するとエアロフレームの恩恵を得られる」
これはわかりやすいですね。体験しなくても「ふむふむ、そうだろうな」と納得できます。
しかし「(無風の状態で)25km/h程度しか出さないのであれば、エアロフレームの恩恵はない」という意見には「ダウト」コールします。
空気抵抗は速度の自乗に比例しますので速度が高くなればなるほど効果もはっきりします。
35km/hとか40km/hと言われると「けっこう速い」という感覚がありますので「さもありなん」と納得できるので。
そして私のような貧脚ライダーのスタンダード(かもしれない)の25km/h巡航だとディスられるのも「まあ、そうだろうな」なんて納得してしまいがちです。
でも、その手の意見は貧脚じゃない人の意見だということを忘れてはいけません。
メーカー側が発表しているんですよ「たとえ25km/hでもエアロフレームの恩恵はある」と。
さらに言えば、どんな速度であろうが、そこに空気の流れが存在するのでえあれば、物理の法則としてエアロフレームの恩恵はあるはずなのです。

つまり「25km/h以下ではエアロフレームの恩恵はうけられない」なんて書いている人はその時点で間違っているのです。
問題は「体感できるかできないか」です。
「25km/hあたりでは、私にはエアロフレームの恩恵は感じなかった」という書き方だと理解できます。
「ああ。この人、鈍いんだな」と。

そうなんです。普段から35km/hとか40km/h以上で巡航している人には、25km/hなんて低い速度域で走ることがないのでエアロ効果があるかどうかなんて実はわかってないのです。だって実際は比べてないから。
そんな人、普段の25km/hの感覚なんてないんです。

真の貧脚ライダーは違います。
いつもの速度が「アラウンド25km/h」つまりその速度の空気抵抗が体に染み付いているのです。

カラーリングの正式名称は「Trek-Segafredo Blue」。Trekの女子チームのオフィシャルカラーです

さあ、そういうわけで、いつものコースをいつもの速度ではしてみようじゃありませんか。
このあたりはいつも時速〇〇くらいで走っているなんてことがわかっている道で、実際にそのいつもの時速○○kmで巡航してみました。

「あれ、いつもより楽だな」

これが回答です。
気のせいじゃありません。MADONEが納車されて気分がアゲアゲ状態で、無意識にいつもよりパワーが出ている……という側面は完全に否定できないものの、なんというか「いつもの感覚で走っていると、いつもより2~3km速い」んです。

そしておあつらえ向きにその日はけっこう風が吹いてました。
向かい風のルートになった時に確信しました。
「これは絶対に普段より楽だ」

愛すべき世の貧脚ライダー諸兄!
アラウンド25km/hクラブのメンバー諸君!
「向かい風になったので、もう帰っていいですか?」同好会の面々よ!

エアロロードなら、我々のそんな貧脚をサポートしてくれるぞ!

これ、マジで間違いありません。
他のエアロロードは知りませんが、MADONE SLRと私の組み合わせに関しては嘘偽りなく「効果あり。しかもけっこう大きい」という結論に達しました。

なのでもう一度書きます。
「貧脚を自覚しているならなおさらエアロロードを候補に入れてみよう」

◎下りで知るエアロロードの凄さ

いつものサイクリングコースで、いつもやっていることがあります。
坂の頂上で一旦停止。そこから位置エネルギーを使った慣性のみ、つまりペダルは踏まずにゼロスタートで、直線を下る、というもの。
ちなみにそこはトンネルで、無風状態。つまり基本的にいつもイコールコンディション。
MADONE SLRの持つ、エアロロードっぷりを体感するのにもってこいだとおもいませんか?
普段から同じことをやっていますから、今まで乗っていたORBEAのスコアは知っています。というか、ほぼ毎回同じ数値ですからね。

ここで私が何をやっていたかというと、ポジションを変えると、計測地点の時速がどれだけ変わるか、という「遊び」ですね。
これにより一番空気抵抗が低いポジションを学習していたわけです。もちろん向かい風対策です。
なので早速やりましたよ、エアロポジションで。

もうね、坂の途中で「あー、これはもう全然ちゃうわ~」とわらっちゃってましたね。
「自転車の持つ空力がどれ程改善されようとも、所詮圧倒的に大きいのは人間の前面投影面積。なので雑誌の記事やネットの情報サイトで騒ぐほどの差はないだろう」なんて思っていた時期が私にもありました。
その考えを改めました。

「エアロロードはマジですごい」

計測地点でのORBEAとの速度差は……なんと10km/h。
夢の?大台(50km/h)超えしちゃいました。

科学的な実験で? エアロロードの持つ効果の大きさを実感した私は、MADONE SLRに頭を下げるのでした。
「参りました」

下りではっきりと体感できるほどの速度の伸びの差、つまり加速感の差があるのですから、健脚ライダーがパワーを掛けて空気の壁を切り裂いて加速する時、エアロロードが大きな武器になるのは間違いないでしょう。

つまり、こういうことです。
「健脚ライダーには当然、そして貧脚ライダーにもそれなりに」エアロロードは恩恵があるのです。

巡航時に少し楽というのはもちろんですが、ロングライドイベントなどで大いに助かるのはやっぱりこの「向かい風」の時です。
向かい風になったととたん、体力より先にメンタルが削られるのですが、その時に「エアロロードだからちょっと楽なんだよな」と思えるだけで結構違うものなのです。
実際に低速でもそれなりの効果があるとわかった以上、これからはロングライド時にもけっこう余裕をもてるようになる……はず?

なお、私のMADONE SLRはホイールがディープリムではありません。
3cm程度のセミディープというか、ミドルハイトというか、全方位外交というか、オールラウンドを狙った「ディープじゃないけど、普通のアルミホイールよりは高さがあるよ」なホイールなので、普通のMADONE SLRだとよりエアロ効果は高いと思われます。

ディスクブレーキ専用ホイールなので、ご覧の通りリムにブレーキ面がありません

ただ、このことからわかるように、MADONE SLRは、たとえ貧脚だろうが下りではエアロフレームの効果が出まくる速度域に簡単に入ります。
いつもの感覚でいるとスピードが出すぎてヤバいことになりますので、自制が必要です。

最後になりましたが、少し補足を。
今回はエアロフレームをピックアップした記事なので「エアロフレームだから」という論法で突っ走って、他の要因をほぼ無視した記事になっていますが、例えば「いつもより2km/h速い」なんていうのはエアロ効果「だけ」の恩恵ではないだろうということを書き添えておきます。
その辺も含めて総合的なエアロロード、いやMADONE SLRの特徴に関する一考察は次回に。
刮目して待……ってね。

そんなわけで次回は「MADONE SLRでいつもの坂を登ってみた」です。