趣味と暮らしにまつわる「モノ」に一喜一憂するブログ

★【SONY Cyber-shot DSC-RX10M4 レビュー】その4 「本能を刺激する!」

カメラ

人間には狩猟本能があると言われます

その昔、生きていく為に狩猟をしていたかららしいですが、農耕民族なら農耕本能とかあるんでしょうかね? あんまり聞きませんが。
ああ、でもベランダにプランターでミニ菜園を作りたいなんて思ってしまうのは趣味と実益というよりも農耕本能なのかもしれませんね。
まあ、農耕民族って農耕する前に狩猟民族だったのでしょうから本能としては狩猟の方がより根深い?

えっと。
何の話かと申しますと、もちろんRX10M4の話です、ええ。
RX10M4のことなんて忘れかけていて、ベランダで作るハーブは何が実用的か、という話を続けそうになりましたよ。ふー。(´д`)

というのはですね、RX10M4を持ち出して散歩すると、どうしても飛び道具に興味が行っちゃうんですよ。
飛び道具、すなわち600mm(換算)かつF4.0という大口径の超望遠レンズ。
それが「今この手の中にある!」と思うと血がたぎりますね。
そう、狩猟本能です。

なので無意識に猫とか鳥を探しちゃうわけですよ。
で、見つけると「居た!」ってなもんでレンズを向ける。
んでもって「撮れた!」「あ、ダメだ」「ブレてる」「逆光かー」「おい、こっち向け」なんて感じで一喜一憂するわけで。
もちろん思った通りに撮れていると脳内に「快感物質」が噴き出しますね。

これってつまりカメラによる「狩り」なんじゃないかと。
狩猟本能を刺激する、あるいは満たす行為なんじゃないかと。
達成感、爽快感、いろんな快感が得られる極上の体験なんじゃないかと。
それはLEICA QやRICOH GRⅡやX100Fみたいな広角単焦点レンズのカメラではちょっと得られない体験なんじゃないのかと。

もちろん猟銃や罠や釣り竿なんかで物理的なモノを得られるわけではなく、ゲットできるのは電子データというヴァーチャルな狩りではあります。
だとすると散歩しながらスマートフォンを使って狩りをする「ポケモンGO」と同列の行為なのかもしれませんが、リアルに寄り添う度合いが段違いに高いのは得物をファインダーに捉え、タイミングを合わせてシャッターを押す、という銃によるハンティングにスタイルが似ているからなのかもしれません。

で、二日程、出勤前に鴨川べり(鴨川の河川敷一体は鴨川公園というらしい)を歩いて600mmで遊んでみたわけですが……。
普段使い慣れない焦点距離、というか望遠を振り回すスキルがない事を思い知る事になりました。
留まっている鳥はまあ、写せますね。シャッターチャンスを狙ってとっていないのでまあ漫然とただ撮ったみたいな絵ばかりですが。

留まってるトンビは二日も撮ると飽きますね。(・∀・)


問題は飛んでいる奴らです。トンビがゆっくり輪を描いているようなパターンだとなんとフレーム内に留めることは可能かな,レベルですが、カモの動きにはついて行けません。
少なくとも600mmでは追い切れない。なのでググッと広角側に引くわけですが……。

「あれえ?」
引けませんな、コイツ。
AF ONの状態ではズームがうんともすんとも反応しない。
最初は故障か? とか思ったんですが、調べて見るとこれはRX10M4の「仕様」のようです。
何の為にコンティニアスAFで追っているのか、という感じです。これはちょっと想定外でした。
私は使いませんが、動画を撮る人にとってはこれって致命的なんじゃ?
そうでもないのか?

よくわかりませんが、いったんシャッターボタンを押す指から力を抜いてズーミングしてまた押す、という感じです。まあ私の様なモノグサは基本的に24mmか600mmしか使わないのであんまりズーミング中のAFについてとやかく思う事は無いのかも知れませんが。

ま、そんなこんなで次の感想項目は

◆AFの追随性と速度について

について。
曲がりなりにもこういう写真が撮れるのは、RX10M4のAF追随性の高さ故でしょう。


いったんフレームの中心あたりに被写体を捉えて、シャッターボタンを半押しにすると、被写体がアウトフレームにならない限りフォーカスを合わせ続けてくれます。
というか、そういう風に見えます。
こんな風に途中で障害物的なものがフレーム内に入っても本体? をAFが追い続けます。

その上で連写モードで撮影する、という極めてイージーな撮影スタイルで、これがけっこうジャスピンなんです。
私の様な「お散歩鳥撮らー(?)」にとってはかなり頼りになる相棒です、RX10M4。
というか、散歩の途中で鳥を撮って(採って、ではない)遊ぶというのはけっこう面白いんじゃないかな、と思えてきました。道具を手にすると趣味が広がるというのはこの事かも知れませんね。
「鴨のユーモラスな瞬間を切り取ってみたい」とか「無防備な観光客がトンビにおやつをさらわれる瞬間をゲットしたい」とかいう野望が生まれてきます。

特に後者の場合、決定的な瞬間を撮る事ができたらその観光客に「京都でのハプニングシーンとして、どう?」なんて高値で画像を売りつけることができてぼろ儲けし、RX10M4のモトなんてすぐにとれるかもしれません。
自分で自分の代金を稼いでくれるなんて、なんてよくできた子なんだ、RX10M4。

という妄想を抱かせるほど、600mmには威力があり、AF追随性の高さがダークな目論見を生じさせるわけです。
というか、冗談抜きで、鴨川の畔はカラスよりハトよりトンビの方が多いくらいですぜ、京都にお越しになる際は、くれぐれもトンビにお気を付けあれ。

た・だ・し。
RX10M4の「売り」であるAF速度の速さですが、これはなんというか、詐欺、とまではいいませんがミスリード的な印象操作というか、はっきり言って誇大広告です。
その誇大広告部分をSONYのwebサイトから引用しましょう。

世界最速(*1)0.03秒(*2)の高速AFを実現した高速・高精度な「ファストハイブリットAF」

公式のwebサイトなんかをよーく読むとわかりますが、問題は(*1)ってヤツです。
まず「世界最速」というのは「1.0型イメージセンサー搭載のレンズ一体型デジタルスチルカメラとして。2017年9月広報発表時点。ソニー調べ」です。
1.0型センサー搭載のレンズ一体型カメラって、範囲狭くない? しかも調べたのはSONY自身。
まあ、アタリマエにどのメーカーもやっている手法ですが、単純に世界一という言葉だけが一人歩きしそう、というかさせようとしてますね。
しかもそのサイトをご覧いただくとおわかりの通り、最速AF0.03秒の説明用画像がクジラですよ。これ24mmで撮った画像なんでしょうか???

次に「爆速0.03秒!」というのは「CIPA準拠。内部測定条件 f=8.8mm(ワイド端)、明るさ EV6.8、プログラムオート、フォーカスモード:AF-A、AFエリア:中央」という条件下での「限定的な条件でのみ発生する奇跡のような速度」ってやつです。

コレを読んでいる方なら、ここのところ世間を賑わしている自動車業界のダークな「実情」はご存じでしょう。つまり「一定のパターンで走ると超燃費が良くなるような設定に成業されるプログラムを積んでいた」的なアレです。あんなの業界では常識だったのに今さらかよ? と個人的には思っているんですがね。むしろ燃費計測の問題はそこじゃなくて「超人的な名人だけがたたき出せる数値」であることです。一般的な運転であの数値は不可能です。しかも名人度がドライバーによって違いますから、名人中の名人を雇っているメーカー(具体的にはTOYOTAです)が一番いい数値が出るんです。装置の誤差以上に名人という装置が重要なんですよね。なので「オバチャンモード」とか「ねーちゃんモード」とか「オラオラヤンキーモード」とか、標準的なアクセル操作をするモデルを作って、それこそAIに運転させて全てのメーカーが同じドライバーで運転した結果、という事で比較するのが正しい気がします。

閑話休題。
いろいろ難しい説明が書かれていますが、要約すると「広角端」のみ。しかも明るくてかつ光線の質がいいレンズど真ん中で計測した場合にしか出ないということです。
つまり爆速AFなんて幻想ですよ、幻想。
実際問題として「望遠端」だと爆遅です。
まあ、爆遅は言い過ぎかもしれませんが、フツーに遅くてイライラします。
望遠端でかつコントラストが低いと永遠か! とおもうくらいユラ〜っとしかフォーカシングしてくれません。
で、それでもシャッター押しちゃいますからこんなのばっかり。

この辺はまだまだウェポンと呼ばれる一眼レフ用のプロ御用達長タマの皆様の足元にも及びませんので、「過度な期待はしないでください」としか言いようがあります。
ワイド端では世界最速かもしれませんが、600mm相当では最下位の可能性もあります(知りませんが)。
少なくとも600mmでは私はいつも「遅い」と感じて心の中で舌打ちをしてます。

という事で、鴨川べりで最初に鳥を撮った際、帰宅後にMacに画像を吸い上げて画像チェックをしたところ、これがほとんど全滅に近い事がわかりました。
というか、予想通りでした。
5分程度の時間がなかったので「超イージーな感じで撮ったらどうなるのか」ってな感じで撮影したからです。
具体的には「プログラムオート」「ISOオート」です。
AFはAF-C(コンティニアス)、AFエリアは「フレキシブルスポットM」に。

exifデータを見るまでもなく敗因は明らかです。
AFは頑張っているのかもしれませんが、それがわからないくらいブレブレでした。
もちろんドンピシャに合っているのもあるんですが、順光で条件がよくシャッター速度が稼げているもののみですね。

で、フト疑問がわいたわけです。

◆手振れ補正機能

に対して。

RX10M4を室内でちょっと触った限り、つまり背面液晶でチラっとポストビューを眺める限りでは「手振れ補正、けっこう強力じゃん」って思っていたのですが、どうやら過信は禁物らしいぞ、と。

そこで二日目の鴨川べり。
今回は
「ISOオート」は変えず、たぶん普通はこちらを選ぶであろう「シャッター速度優先AE」にセット。
AF-C(コンティニアス)、AFエリア「フレキシブルスポットM」はそのままにしてシャッター速度をいろいろ変えて様子を見ました。
結果、私とRX10M4との手振れ補正機能に対する相性はあまり良くないようで、600mmだと静止している鳥を捕る場合でも最低1/1000くらいは必要でした。もちろん「そのつもり」できちんと構えてシャッターを押すと、1/500くらいでも歩留まりが上がりますが、「ちょっと気を遣う」レベルだと1/1000は必要みたいです。

翻ってRX10M4の手振れ補正機能は最大4.5段だそうで、つまり私は1/16000くらいの速いシャッター速度がないと600mmという長玉を扱えない程度の腕前だということが判明いたしました。
確かに私は手振れに関しては自慢するほど耐性が低いです。
まあ、いわゆる初心者よりちょっとマシ、レベルじゃないかと思います。
でもね、さすがにこれはひどすぎるんじゃね? って思ったわけですよ。

そこで汚名返上すべく、さっそくその辺をチェックしました。
X-E3にXC50-230mmをつけたものと、RX10M4とで「月」を撮り比べてみたのです。
もちろん換算焦点距離はX-E3の230mmに合わせて350mm程度にし、シャッター速度と絞りとISOはどちらも同じ1/1250にして撮り比べました。

すると……
X-E3/XC50-230mmではほとんど全部ビシっと写ってましたが、RX10M4だと等倍チェックだと全部×でした。
一番マシだったのでこの程度。

これは350じゃなくて600mm相当で撮影した部分の中央部を切り出したもの。

どうやらSONYが誇るRX10M4の手振れ補正機能の能力は、FUJIFILMの廉価版ズームキットについている望遠ズームの手振れ補正機能に及ばないようです。しかも大差で。
少なくとも月を手持ちで撮る場合は350mm相当でも1/2500以上のシャッター速度を確保する必要がありそうです。ヘタでスンマセンね。(´д`)
私は手振れ補正機能と人間との間には一定の相性があるというのが持論です。たぶんRX10M4の手振れ補正機能のアルゴリズムは私には合っていないのでしょう。そしてFUJIFILMのXC50-230mmの手振れ補正機能は私とは特別相性がいい気がします。
ということで、RX10M4の手振れ補正機能は盲信しちゃイカンよ、というお話でございました。

うーん、600mmで遊ぶ為に買ったんですが、ちょっと、いやかなりガッカリだな、RX10M4。(´д`)
でかくて重いくせに……。

その点、24mm相当の画角はいい。ブレていたってまったくわからないから。私が24mm好きな理由はもしかしてそれか?

コメント

  1. ひでたけ より:

    英語だと写真撮影も銃の射撃もshootingなんで、昔の人は写真を撮る行為に射撃と通ずるものを見たんでしょうかね?
    いや、でも今のカメラなら射撃と似てるかもしれませんが、昔のは一枚撮るのに時間単位で時間掛かってたんでしょうから射撃って感じでもないですかね?w