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☆SONY RX100 III 取りあえず初日感想

カメラ

ご覧の通り通勤鞄デジカメであるところのGRよりちょっと分厚いけど、低くて短くて好ましい。(初出:2014/05/30)

相変わらずのSONYのロジックで気に入らないところはそのままですが、望遠側に未練がない私に、RX10はもう要らないかも……。
と思わせてくれる画質の良さでした。

そしてSONY DSC-RX100M3 を3日使ってみて思った事

SONY DSC-RX100M3(以下、RX100M3)の最大のトピックは「内蔵EVF」だと思う。個人的に。
RX100M3は他にもブラッシュアップされた部分はある。
たとえば広角端が従来の135版換算28mm相当から24mm相当に広がった事。
もちろんこれは大きなメリットだが、実は28mm相当にズームするとF値が2.2になるという暗黒面も存在する。これは24mmにシフトしたことにより、28mmを使う場合は今までのスペック以下の性能に堕したと言っていい。要するに画角と明るさがトレードオフになったということだ。
どちらを採るのかと問われれば、私は躊躇なく画角を採る。でも納得しない人が居ても不思議はない。
この辺りのようするに「都合の悪い部分」について、メーカーは固く口を閉ざす。
もっともこれはSONYに限らない。どのメーカーも同じ穴の狢と行って差し支えない。
「広角端が24mmスタートになりました」
「広角端のF値は頑張って従来機の1.8を確保しました」
という字面が(広告上は)踊るだけだ。
「すみません、24mmスタートと、70mmでF2.8確保を確保した上でレンズをコンパクトに仕上げようとしたら28mmではけっこうくらくなっちゃいました。テヘ」
とは絶対書かない。
もっともソレを親の敵のように叩くつもりはない。
そこまで気にするユーザーは(商売上)無視していい数だと思うから。
というか、私はそのトレード、受け入れますから。

28mm相当のF値の暗さだけではない。RX100M3が同M2と比べて失ったものは他にもある。
それは望遠端の画角だ。
従来までのRX100は、100mm相当の画角まで稼いでいた。
100mm相当までズーム域がある、ってんでRXシリーズの長兄の型番が「RX100」になったという説もあるくらいで、画質重視のコンパクトカメラで100mm相当までカバーしているというのは初代RX100が出た当時は、それなりのインパクトがあったのだ(と思う)。
しかしRX100M3では望遠端は70mmまで。
その代わり、F値はあかるくて2.8ですよ、と。
これはつまり、100mmまでズーム域をカバーした上でF値を2.8に押さえると「とんでもなくでかいカメラになる」という事を意味する。
RX100シリーズに課せられた命題、それは「できるだけコンパクトに」である。
具体的には「フットプリントは初代RX100を越えてはならない」というものだ。
これは「フットプリント内に収めるので、多少分厚くなるのは許してね」という意味を孕んでいる。
事実RX100M3は従来機より5mm分厚くなった。
フットプリントだけを比較すると、RX100M3は高画質コンパクトの代表とも言える一台、リコーのGRよりもかなり小さい。ところがGRがちょっとした鞄の隙間にスッと入る薄さを確保しているのにくらべるとRX100M3は相当に分厚く感じてしまう。
事実、私が普段GRを入れている「場所」にはRX100M3はギリギリ入らなかった。
要するに「分厚くなるのをなんとか5mmに押さえると、望遠端は70mm相当が限界」ということなのだ。
ここは硝材の進化に期待して、将来のRX100Mxを待つしか無いだろう。
ともあれ「ズームと言えば望遠」「俺は望遠が大好き」というユーザーを、SONYはRX100M3では「斬り捨てやむなし」としたのである。
もっともこれは個人的には大歓迎だ。望遠端が100mmから70mm相当になろうが、充分だ。それより望遠端における最短撮影距離の短縮の方が圧倒的にありがたい。
こういう切り捨てならもっとどんどんやってほしいと本気で思う。
RX100M3は広角重視のユーザーに向けた「とはいえ中望遠域までOKッスよ」というカメラなのだ。
いや、はっきり言えば「24-70mm F2.8」というペットボトル大のレンズを付けた一眼レフユーザーの救世主たらんと欲しているにちがいない。
救世主などという言葉を使うと「何様だ?」というか大げさに過ぎるかもしれないので簡単に言えばこういう事だ。

「アンタ、ばっかじゃないの? いつまでそんなばかでかくて重いカメラ使ってんのさ」

そう。
24-70mm相当、しかもF値は1.8-2.8という明るさを持つレンズ付きカメラが、掌にすっぽり入る時代になったのだ。
さらに言えばレンズの歪曲補正は一眼レフなどよりよほど真っ当だから、大根のような大きさのあの標準ズームより歪みのない絵が望める。
「そんなもの、所詮コンパクトカメラじゃん」
と思う向きもあるだろう。
お説ごもっとも。
しかしRX100シリーズはそもそも「凡百のコンパクトカメラ」ではない。
センサの大きさが「凡百」ではない。
もちろん135版フルフレームには及ばないし、μ4/3にも少々及ばない。
だが、その圧倒的なコンパクトネスとライトネスがそれを補って余りあると感じるユーザーにとって、RX100M3は購入を検討する価値のあるカメラだと私は断言しよう。

24-70mmF2.8ズーム付きの135フルフレーム一眼レフを「よっこらしょ」と持ち出し、その圧倒的なマスと音による撮影する快感を味わうこともいいだろう。それは持ち主にとっては至福の時間であろう。自己満足こそが趣味の醍醐味なのだから。
だが、そうでない場合、たとえば撮影そのものが目的ではないシーンに連れ出すお供としては、RX100M3の方が断然魅力的なのではないだろうか?

つまり、だ。
そういう「言い訳」を前提にできるのが、RX100M3の素質だろうと言うことなのだ。
だが私はそこに重点は置かない。
コンパクトカメラであってもISO100固定などという不自由さはもはやない。
くらければISOを上げればいいだろう。どの程度までを許容するかは人それぞれだろうが、私はISO800でも1600でもオッケーだ。
あまつさえRX100M3には「光学式手振れ補正機能」が搭載されている。
AFがボンクラなのに加えてこの手振れ補正も期待より性能が低い事が難点だが、それでもそれなりに効いてくれるのは確かなわけで、つまりは望遠端のF値の明るさがF2.8であろうがF5.6であろうがそれは絶対的な興味の対象ではないのだ。
私の場合。

では私がこのカメラにたいして強烈に感じている「惹き」とは何か?
それはスペックに非ず。
それはギミックなのだ。
「男の子のオモチャ感」ただよう「内蔵EVF」のギミック。
それこそがRX100M3の最大のエポックであり、ある意味レゾン・デートルであると私は考える。

ということで、その内蔵EVFのギミックだが……。
結論から書こう。
「面白い!」
そう、面白いのだ。
言い換えるなら、RX100M3とはこうだ。
「本気で作った使えるオモチャ」

EVFのレバーは左側面にある。
コレが使いやすいか使いにくいかと問われれば、「使いやすくはない」と答えるしかない。
微妙な表現だが「使いにくい」とは思わないけど決して使いやすいわけではないからだ。
スイッチオフの状態でEVFをポップアップさせると自動的に電源が入る。
これは理にかなっているといえる。
だってEVFを引き出したってことは、EVFを覗く為だからだ。
EVFは電源が入らないと何も見えないわけで、EVFのポップアップが電源と連動するのはすこぶる自然な事といえる。
EVFはしかし、引き出しただけでは使い物にならない。
レバーでポップアップさせた後、今度はEVFの接眼部を手間に引き出さねばならない。
これはまともな「見え味」を提供する為に欠かせない光路長を確保するためであり、至極まっとうな構造だろう。
いや、白状しよう。
「この(接眼部を引き出すという)行為は、ちょっとワクワクする」
のだと。
「そんなの自動で出た方がいいじゃん。面倒な儀式だぜ」といえばそれまでだが、私はこのロジックに賛同したい。
ギミックを使える状態にするためにユーザーに一手間かけさせるといえば聞こえが悪いが、EVFを使う為には儀式が必要だといえば、ちょっとマニアックな響きになるからだ。
アタリマエだが視度調整が可能だ。
小さなEVFにも関わらず、調整幅がかなり広いのにも驚きだ。
正直に言って視度調整がやりやすいかと言われればこちらは「やりにくい」と答えるしかないが、それでも調整は可能だ。
ここは調整可能なリトラクタブルEVFの存在に素直に拍手したいところである。

ではEVFとしての性能はどうか?
これは「見た目より素晴らしいが、期待しすぎたらダメ」と言えばだいたいの予想はつくだろう。
つまりOLYMPUSのE-M1よりはダメだが、実用には充分という意味だ。
かなりレベルのあがった最新のMILCS(Mirrorless Interchangeable Lens Camera System) のEVFと比べるのは酷だが、それ以上後に寄れない場合にもう少しだけ距離を稼ごうとするとき、背面液晶からEVFに切り替えて「あと十数センチ」を稼ぐことはたやすいし、夏の直射日光下で背面液晶がつかいにくいと感じた際の代替策としては望外の性能だともいえる。
ようするに「充分使えるEVF」であることはたしかなのだ。

この「男の子心(ってなんだ?)」をくすぐるギミックにして、実用性は十分確保されているというその事実でRX100M3は「面白いカメラ」以外の何ものでもない。
つまりは、そんなカメラなのである。