にゃんぱす~(*^^*)
X-H1で(というか、XFマウントで)AFが効いちゃうEFレンズ用マウントアダプター、FRINGER FR-FX10を手に入れて、ちょっと古い広角ズームレンズを付けてみたら純正広角ズームはもういらないと思った、というお話は前回の記事をご参照下さい。
そのキヤノンの、ちょっと古いけどかなり優秀な広角ズームレンズ EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM(長いので、以下EF-S 10-22mm)のあまりの安定っぷり、満足の行く写りっぷりに気を良くした私は、「FR-FX10をEF-S 10-22mm辺境伯家専属の家令にしておくのはもったいない」と判断。「むしろ我が側近としてさらなる活躍をしてもらおうではないか」と。
そんなわけですぐにEFレンズをもう一本買いました。
その名もEF 50mm F1.8 STM(長いので以下EF5018Ⅲ)。
いわゆる「撒き餌レンズ」と呼ばれるレンズの一つですが、私の記憶が正しければおそらくこのレンズが元祖、本家です。
※正確に言うと現行品ではなくマイナーチェンジ前のEF 50mm F1.8Ⅱですが、光学系は全く同じ、すなわちマイナーなチェンジなので、二つ名は引き継がれていると判断しております。
広角レンズとか望遠レンズ、標準ズームといった明確なジャンル名ではありません。
やや下げながらも畏敬を表す、ちょっとした敬称といったところですかね。
もともとはこのレンズの「価格対画質比」の高さに一目置いていたキヤノンユーザーが、EF 50mm F1.4 USMの威厳を損ねぬように蔑称を入れて「上げる為」に誰言うと無く用い始めた言葉なのです(私はそういう歴史認識をしている)。
いくら能力が高くても身分が平民なのだから、貴族様と同列に扱うわけには行かない、という感じで、今風にいうと「忖度」のある称号といえなくもないでしょう。
そのうち「撒き餌レンズ」という言葉は単独で力を持ち始めます。
すなわち「ニコンの撒き餌レンズ」とか「オリンパスの撒き餌レンズ」みたいな感じで、撒き餌レンズが増産されていきます。
当然ながら、その道中に「撒き餌レンズ」の定義のようなものが生まれ始めます。
「撒き餌レンズ」という言葉をネットで検索すると、様々なサイトがヒットします。そして撒き餌レンズの定義のような事が書かれています。
それを読むと、こんな最大公約数的な定義であろうということがわかってきます。
・実売価格が3万円以下であること
・単焦点レンズであること
・開放F値が概ねF2.8以下であること
・焦点距離がいわゆる標準ズームの中に当てはまること
ただし、サイトによっては「単焦点レンズだけでなく「ズームレンズ」も含めているところもあります。
個人的にはそんなのはどうでもいいのですが、私が気になったのは「撒き餌レンズ」を「探す」というサイトが多かった事です。
ジャンルはないといいながらそういうジャンルがあって、それに合致するレンズを探してきて、キヤノンの撒き餌レンズはこれとこれ、ニコンだとこれとこれ、SONYはアレとソレ、みたいな感じのバイヤーズガイドを展開している事にちょっとした違和感を覚える私です。
まるで平民の中から「あいつとそいつは優秀」というレッテル貼りをしている貴族様そのものの記事が多いように思いました。
いやまあ、それもまあいいでしょう。というかどうでもいいでしょう。私が違和感を覚えただけの話で、バイヤーズガイドとしてはむしろありがたいサイトなのかもしれませんし。
更に最近ではメーカーの中の人が「撒き餌レンズ」的な言葉を使っています、これはすなわち貴族様的なポジションで平民を見下した行為と言っても過言ではないのではないでしょうか。
なんでこんな事を書いちゃうかというと、「撒き餌レンズ」という言葉が私は嫌いだからでしょうね。それこそ「貴族様目線」臭が鼻につくというか……。
なのでそんなジャンル分けをタイトルにしてレンズをチョイスするようなことに違和感を覚えているのでしょう。
ちなみに上述した要件では「3万円以下」という項目に、個人的にはまったく賛同しません。
3万円模するレンズはもはやそもそも平民ではありません。
2万で平貴族。3万円台はもう爵位持ちです。男爵です。
平民はせいぜい1万5000円内外までしょう。
ということで、EF5018Ⅲです。
新品でも平民価格です。
中古だと探せば1万円内外で上物が腐るほどあるのではないでしょうか(知らんけど)。
「EFレンズは中古しか買わない」という言葉を座右の銘とする私は、一応「新品同様品」を購入。箱もまっさらで開けてみても「新品です」と言われたら「ですよね」と信じて然るべき状態のタマでございました。
箱を開けて「あ、そうか」と気づいたことがあります。
それは「フードは付属していない」事。
キヤノンのレンズは基本的にそうだったな、と。
最近は他のメーカーでも見かけの単体価格を低く見せるために、フードは別売りするレンズがふえてきましたけどね。
フード込みだと「こんなはずではなかった」価格にハネ上がる高額レンズがけっこうあります。
そんな立派な金属フード、いらんのですが……と思うようなヤツ。
閑話休題。
EF5018がⅡからⅢに変わったのは数年前です。Ⅱは確か20年だか25年だかのEFレンズの中でも特筆すべきロングセラーなのですが、だからこそ「実売価格がかなり安い」レンズだったのでしょうね。
Ⅲはマイナーチェンジだと書きました。
とはいえ「チェンジ」なので変わったところがあります。
それはなにか?
・デザイン
・マウントが金属に
・DCモーターからステッピングモーターに
・レンズコーティングのモダン化
Ⅱの弱点、欠点、「ここがこうだったら」という部分がほぼクリアされていました。少なくとも私はそう思いました。
なんとユーザーに寄り添ったマイナーチェンジなのか。
でも私が一番注目したのはこれ。
・最短撮影距離が45cmから35cmに短縮
上述の内容だけなら「ふーん。ようやくモダンなレンズになったんだー」で終わっていたのですが、この最短撮影距離の短縮で私は椅子を蹴って立ち上がったことを今でも思い出します(嘘です。そんな事はしていません)。
有り体に言えば「だったら欲しいかも」と思ったのでした。「使ってみたい」と。
まあ、思っただけで使わなかったんですけどね。^^;
なお、刷新によるネガもありました。
それはもちろん価格です。
新品で実売価格が1万円以下だったⅡですが、Ⅲになった当初は2倍近い価格にハネあがってしまいました。
現在では1万5千円内外までやや落ち着きましたが、庶民だったⅡに比べると、平民の中でも中流と呼ばれるクラスに入っています。
フードを買っていないのですが、F1.4と違って出目金系ではないので構図に気をつければそこそことれるはず、ということで外に持ち出してみました。
あ、撮影という不要不急の外出をしたわけではなく、普段通り通勤しなければならない典型的な社畜の私ですから、通勤途中でササッと試し撮りをした程度です。
(という言い訳をいちいち書かなければならないご時世がなんだかな、ですね。^^;)
取り付けた感じはこんな具合でX-H1とのバランスはしっくりしています。
もちろん単体の小ささや軽さはスポイルされていますが、ボディが大きく重いと細かい部分は気にならないのがいいですねぇ。
一度は自分で買って使ってみたかった、ある意味「憧れ」のレンズですが、実際に使ってみるとしみじみと感じましたね。
「75mmって使いづらい」
ええ、フルフレーム換算の75mmは個人的にもっとも馴染みのない画角なんです。
フィルム時代には80-200とかいうズームレンズは使ってませんし、デジタル時代に入ると80-200とか70-200って105mmの画角になるのですよね。
なので正確に表現すると「使いづらい」ではなく「慣れない画角」と言ったほうがいいのでしょうね。
まあ、そんな好みや慣れの問題は置いといて、このレンズ、評判通りの「名レンズ」だと思いました。
設計が古いので近接域だと収差爆発だろうな、と思っていたのですが、どうしてどうして、開放でも破綻を感じません。とても30年以上前に設計されたレンズだとは思えませんね。
レンズの基本設計が素晴らしいのか、刷新されたコーティングが素晴らしいのかわかりませんが、個人的には想像以上の写りで大満足。
近接の良さに気を良くして逆光耐性をチェック。
光が入るとコントラスト激落ちだろうな、と思っていたのですが、これもどうして、最新レンズと言われても「ですね。さすがです」なんて返してしまいそう。
縮小しているのでわかりにくいと思いますが、ゴーストが出ていても周りにコントラストの低下はあまりなく、ビシっと描写してくれています。
手ブレ補正機能はそれなりに効いているようです(一応、マウントアダプタ装着時設定で50mmにしています)
あ、ちなみに最短撮影距離だとこれくらいの倍率です。
F1.8の開放ですが、ハロっぽさはありません。
口径食は流石に皆無ではありませんが、一段、すなわちF2.0に絞れば気にならなくなります。
・F1.8
・F2.0