PCオーディオの取り回し(操作性)の悪さ(ただし、我が家の場合に限る)にイラっとした私はどのような改善策を「チョイス」をしたのか、というお話の続きです
前回の記事はこちら。
それはNAS的ミュージックサーバ、ただしUSB接続。もちろんOpenHome対応のヤツ、です。
私が見つけたものはそういう製品でした。
とはいえPC画面をみなくていいもの、つまり単純なネットワークミュージックサーバなら簡単な話では?
私も最初はそう思っていたのです。
で、あれば。
現在運用中のNASでもいいし、ルーターのUSBポートに外付けHDDを繋いで音楽専用のサーバにするという手法もあります。
なのになぜ今回こういう記事を立ち上げたのかというと、「ただネットワーク上に音楽ファイルを置くだけの時代は終わった(ただし私の場合)」と思ったからです。
ええ、それがOpenHomeという規格の存在でした。
我が家でも大昔からDLNAを使ったネットワーク・サーバは使っていましたし、当然ながら今現在も我が家のネットワークにその環境は存在しています。
というか、最近の家電のうち、ストレージを有している、あるいはストレージを接続できるもの……具体的にはテレビとかビデオとかケーブルや光のセットトップボックスとかがそれにあたります。
あと、ゲーム機も。
それらはユーザー側が意識しなくてもナチュラルにDLNAサーバでありDLNAクライアントであったりします。
ユーザーが使っているかどうかの問題です。
例えばiPhone Xs MaxにDLNAクライアントアプリを入れれば、バスタブにのんびりとつかりつつ、リビングのブルーレイ(HDD)ビデオに撮りためてある「SSSSグリッドマン」の前回の作画が崩壊しているのを見て絶望することが可能です。
というか、そういうこともしておりましたっけ。
だがしかし。
環境があっても使いやすいかどうかは別問題。
というか、DLNAクライアントアプリがまともに動くのか? という話になってしまいます。
そりゃあもう……。
……。
いろいろありましたよ、DLNAクライアントアプリとの戦いが。
インストール直後はちゃんと使えたのに、しばらくして試すと延々探しに行くだけで視聴できないとか。
インストール直後はちゃんと使えたのに、しばらくして試すと「このファイルはゴニョゴニョで使えません」とか。
いい加減疲弊したのでもうあんまりDLNA系は使っていなかったのです。
そこでOpenHome。
これの最大の利点は「DLNAより安定している(はず)」というもの。
違いはDLNAがいろんなメディアファイルを扱えるのに対して、OpenHomeは「音楽ファイル」に特化していることでしょう。
つまりOpenHomeアプリでは湯船に浸かりながらリビングのビデオに溜まっている「転生したらスライムだった件」でゴボタに脱帽したり、「Ingress」のビミョーなCGの動きにツッコミを入れたりできないのです(単純比較はできないものの「ダブルデッカー」のはいける)。
だからOpenHome。
つまり私は「music特化の新DLNA=OpenHome」というキーワードを思い出し、そこから連想、つまり「記憶の倉庫から「ある物」をほじくりだしたのでした。
【I-O DATA ネットワークオーディオサーバー Soundgenic】
です!
Soundgenicとかいう商品名はまったくもって記憶にございませんでしたが、「アイ・オー・データがなんか廉価版のOpenHome対応機器を出した」という記憶はあったのです。
そもそもアイ・オー・データという単語というか会社名とオーディオという単語は、およそ結びつかない組み合わせに思いますよね?
私も以前はそうでした。
ですが、時代がアイ・オー・データをハイファイ・オーディオの世界に引きずり込んだというべきか、「fidata」という商品名、いやオーディオブランドを引っさげて参入した時は「マジ」で驚きました。
同時に「オーディオの世界もITという業界抜きではもはや語れないフェイズに入ったのか」と感慨深く思ったものです。
もっとも、そのfidataシリーズ、アイ・オー・データが本気を出しすぎてしまったのが災いして? およそ普通のサラリーマンが興味本位で手を出せるような価格のシロモノではありませんでした。
例えば、fidataシリーズの核であるオーディオサーバ、fidata HFAS1シリーズなんて、一番安いので32万円(税別)です。
32万円なんて、オーディオ機器としてはミドルクラス的な値段かもしれません。
人によっては「エントリークラス」などと豪語するかもしれません。
が。
そんな頭のおかしい人の価値観は置いといて、冷静にこう考えてみて下さい。
「たった4TBしかないNAS」が32万円(税別)です。
業務用の、しかもソリューション込みの値段だとしても4TBのNASの値段としては「ちょっと君ィ~」と見積もり持ってきた業者に文句の一つも言いたくなる値段です。
ましてや家庭用のNASとしては何をか況や、でございますよ。
ちなみに、現在のハイエンドモデルは2TBのSSDモデルで、二倍の値段、つまり64万8000円(税別)です。
「ヒューッ」
ではござらぬか、各方?
しかし。
64万円のNASの値段はまだ可愛いものです。
ネットワークオーディオと言えば、ネットワーク。
ネットワークと言えばLANケーブル。
fidataシリーズは「本気」のハイファイ・オーディオなので、当然のようにLANケーブルもラインナップ。
fidata LANケーブル(10m)
標準価格:186,000円(税別)
LANケーブルが!
じゅうはちまんろくせんえん!
なんで!?
びっくりしましたね。
アイ・オー・データのfidataを知らないみなさんもびっくりしたのでは?
そんでもって
「うわっ、1mあたり18,600円(税別)かよ!」
なんて思ったのでは?
あははっ!
いや、失礼。
ちょっと笑っちゃっいました。
いえ、バカにしたとかそんなわけじゃないんですよ。
ただ、私は知っているだけなんです。
だからつい、笑いが……。
何の話か、ですって?
ええ、そりゃもうfidataのLANケーブルのお値段の話ですよ。
fidata LANケーブル(1.5m)
標準価格:62,000円(税別)
は?
そうなんですよ。
1mのLANケーブルはラインナップにないので最短が1.5mなんですけど、それが62,000円ですって(税別)。
つまり。
何がいいたいのかと言うと。
「10mって、お得だな!」
そういうこと。
LANケーブルとは別に、レンダラー(実際に音を出すための装置、アンプとかDACのこと)との接続に必要なUSBケーブルもラインナップされております。
こちらは3mが3万円(税別)。
その値段を見るとこう思いませんか?
「USBケーブル、安いな」
これがアレです。
「麻痺している」ってやつですね。
ここまでいいですか?
いまいちピンと来ない人は、ここでLANケーブルとUSBケーブルのお値段を眺めてじっくりと「麻痺」してくださいな。
閑話休題。
そういうわけで私の中では【アイ・オー・データのfidata=サラリーマンが手を出してはいけないもの】というイメージが出来上がっていたのです。
そこへ持ってきて「fidataに廉価版が出たよ。fidataって名前じゃないけど……」ってなニュースがあったので「へえ」と思っていたというお話です。
その時の私はまだPCオーディオで完結していてOpenHomeの必要性などあまり感じていなかったので、fidataだろうがその廉価版だろうが「しょせんはネットワークオーディオ。私には関係ない」という感じで、まあスルーだったわけです。
「空気」という言葉があります。
地球を覆っている大気の総称という感じの認識で間違いないと思いますが、最近は「空気を読む」などという感じで「場の雰囲気」の事を空気と言ったりしますね。
でも、ここでは本来の意味。最近では「あいつ、空気だよね」的な使い方の空気扱いです。
具体的な例を上げて説明するとしたら、今季のアニメ「とある魔術の禁書目録」のヒロイン、インデックスのような存在といえばおわかりいただけるかと。いや、このあと重要な役割を果たすのかもしれませんが、それにしてもこの子ってそもそもヒロインじゃなかったですかね? タイトルの禁書目録を「インデックス」と無理やり読ませてその名を持つのがヒロインだったわけですから、もうちょっとこう、ヒロインとして扱って上げたほうがいいんじゃないかな、などと思う今日このごろ。
まあ、巨人の星の主役が実は花形であるように、機動戦士ガンダムの主役が実はシャアであるように、作者の当初の思惑とは違うように登場人物は動いてしまうものなのでしょうね。
閑話休題その2。
つまり私にとって、fidataもその廉価版もOpenHomeも空気だったってことですね。
その時に対して興味がないものは「ふーん」という言葉とともにだんだんと透明化が進んでいくわけです。
そして最後には……まあ、思い出せなくなるだけなんですがね。
だがしかし。
アイ・オー・データのfidata。のセカンドラインであるSoundgenicの事を、私は「空気化」する前に認識することに成功したのです。
そしてその認識力を固定する呪文を唱えたのです。
(Google先生に聞いただけですが)
呪文……じゃなくてキーワードはたった3つ。
「アイ・オー・データ」
「オーディオ」
「廉価版」
そして結果は……。
「ビンゴ!」でございます。
一番上にメーカーのwebサイトが出てます。
さすが検索の魔術師問われる私(自分で言ってるだけですが)。
「ほう、Soundgenicという名前だったのか。どれどれ」
というわけで、今回の「解」になりそうなものへとたどり着いた私です。
さて、現時点(2018年11月)でSoundgenicには4つのモデルがあります。
どれを買うか、なんですが、これがちょっとややこしいんですよ。
4モデルと言っても、ことは単純ではありません。
というか、私は度のモデルを選ぶかでしばらく悩みました。
ざっと1日くらい。
というのも単純なラインではないんです。
見た目はほぼ同じで、違うのはもちろん中身。
大まかに分けると「SSDモデル(オーディオ専門店向け)」と「HDDモデル(一般販売)」です。
そしてそれぞれに容量違いで2モデルある……ように見えるのですが……。
SSDモデル=1TBモデル(ノーマル)
SSDモデル=2TBモデル(ハイグレードモデル)
HDDモデル=2TBモデル(ノーマル)
HDDモデル=3TBモデル(ハイグレードモデル)
2ラインと言っても、切り口によって、つまりSSDとHDDで分けるか、ノーマルモデルとハイグレードモデルで分けるかで見方が変わってきます。
微妙に混乱しながらなおも調べていくと、ちょっと理解が進みました。
で、私なりの第三の切り口で分けるとこんな漢字です。
ノーマルモデル=旧モデル
ハイグレードモデル=マイナーチェンジ(新)モデル
それぞれストレージ容量が違うので単純に新・旧という感じにせず、マーケットを睨んで価格帯を広げてみせたというところなのでしょうか。
よくわかりませんが。
でも切り口がわかれば、私としては迷いもなくなります。
要するに「買うのは新型」だな、と。
あとはSSDにするかHDDにするかです。
もちろんSSDに……と思ったのですが、そこに立ちはだかるのが資本主義の壁……じゃなくて値段の差です。
多少の値段の差なら迷わずSSDです。もちろんこの場合の「多少」は日本語の「多少」です。
でも実際の価格差は多少でした。そしてこの場合の「多少」とは漢字の本場である中国で意味するところの「多少」でございました。
3TB HDDモデル=実売 約5万円(税込み)
2TB SSDモデル=実売 約16万円(税込み)
その差11万円!(税込み)
おっしゃー買うぞ!
HDDモデルを!!
これはもう、悩む時間など皆無。
ほぼ脊髄反射で決まるレベルですね。
ちなみにSSD 1TBのノーマルモデルの実売価格は9万円くらいですが、それでも2倍です。
なお、ノーマルモデル(旧モデル)とハイグレードモデル(新モデル)の違いは次の通り。
・筐体の防振対策がよりハイグレードに
・内蔵HDDがよりハイグレードに(WD社製カスタムHDD「WD AV-GP」。これはフラグシップブランドのfidataに使用されているもの)
・WAKE on LANに対応
NASなんて常時電源を入れているもんでしょ? なんでWAKE on LAN? などと思った私は普通ではないでしょうか。
ネットワーク・オーディオの世界では聞いたらオフ。聞く前に電源オン、という使い方が常識なのでしょうか……謎。
とはいえ、手元のアプリで電源管理ができるのはできないよりいいのは確かです。
ここでアレです。
値段の話。
私は新型を買うと決めましたが、もちろん5万円は高価な買い物です。
だってフツーのサラリーマンですからね。
新型の方がいい。だってハイグレードだから……と決心はしたものの、つまりフトコロがホットでもウォームでもない庶民的な視点でいくと、同じHDDモデルでもハイグレードとノーマルモデルとの価格差が気になるところではあります。
ズバリ、価格差は2万円です。
旧型、いやノーマルモデルの価格は3万円ほど。
2TBの3万円と3TBの5万円だとハイグレードモデルは割高です。
が。
SSDモデルだと1TBが9万円。2TBが16万円でその差が7万円にも広がります。
その差2万円だったら筐体(と基盤)が同じHDDモデルは「お得」という考え方が成り立ちませんか?
どうせHDDなんてそのうちイカれるんですから、そうなったらメーカー保証云々関係なく、スッパリと中身を開いてHDDをSSDに換装しちゃいますから、私。
そう考えるとHDDのハイグレードモデルがノットウォームなフトコロ所有者にとっての「賢者の選択」といえるのではないでしょうか?
と、自分の行為を正当化する私でした。
なんでもこの製品、最初に発売されたノーマルものはメーカーの思惑以上に売れに売れ、製造が追いつかないくらいだったそうです。
だからこそ短期間で音質を追求したマイナーチェンジともいえるハイグレード版を出すことができたのでしょうね。
私はその恩恵に浴した形です。
ありがとー、大勢のアーリーアダプターの皆さん!
これからもよろしく!!
とうことで、ワイヤレスヘッドフォンのリプレイスから始まった我が家のオーディオ変革物語は、一応の終結を迎えることになりました。
Soundgenicの音質とやらは、果たして今までのPCオーディオに比べてどうなのだろうか?
という話は次回。