(初出:2010/10/28)
(P7000)
新型MacBook Airについては、たぶん星の数ほどのレビューがネットに上がっていると思うので、詳しく知りたい方はそちらをごらんいただくとして、私としては個人的な備忘録代わりにエントリを一つ作る感じでいきます。
予約:2010年10月21日
気づいたのが遅かったのと、最初は「Airなんて要らない」と思っていたので発表速ポチではありません。
要らないと感じていたのは、初代Airでの不満点「液晶があんまり(向う側へ)倒れないヒンジの構造が改善されていないようだったから、です。
結構倒して使うシチュエーションが多いので、初代エアではイラっと来ていたんですよね。
でもネットですでに上がっていた写真を探して確認したところ、「結構倒れる?」と思ったので決意。
初代Airではそれ以外にもバッテリの保ちとかディスプレイを閉じたときにトラックパッドのボタンと液晶側のベゼルが当たって電蝕で黒ずんじゃう残念な作りとか(ボタンとベゼルでは同じアルミでも組成が違った?)、そもそもベゼル部分が太すぎない?とか不満たらたらだったわけですけど。
到着:2010年10月27日
上海で二日、日本のデリバリー拠点で二日も意味なく(意味はあるんでしょうが)滞留していた事に驚きです。
それがなければ25日には届いてたんじゃないかなあ。
でも、人気爆発でいつになるかわからないんだろうな、と思っていただけに一週間以内で手元に来たのはある意味うれしい誤算でもあります。
今回のAirは相当潤沢な部材確保の上で発売したんでしょうね。
構成:11.6インチ/128GB/4GB/1.6GHz
用途があくまでも「お外での執筆マシン&もろもろ」なのでメインではありません。家でのブラウジングマシンとしてはiPadもあるので、本当に出先使用です。
もっと言うと現在使っているVAIO Z(Windows 7/128GB SSD/BD)の代わりになれば、というスケベ心はありました。
VAIO Zにはほぼ満足してまして、強いて不満を挙げれば分厚い事と重い事くらい。
もちろんCPUやストレージ、バッテリの保ちといったパフォーマンス重視であれば、13インチが必須でしょうが、初代Airを使っていた頃の記憶から、ハイト(高さ)がありすぎて使いにくい事がわかっていました。
具体的には飛行機や新幹線のテーブルで使う時、ディスプレイ部分は低い方がありがたいのです。その点でVAIO Zは絶妙な高さだったので、それより高いモバイルPCはそもそも買うつもりはありませんでした。
11.6なら、VAIO Zよりも低めですから、私にとっては11.6のみがMacBook Airです。
13.3だけであれば間違いなく購入する気にもならなかったと思います。
当初はベーシックなモデルを考えました。
初代SSD Airのユーザーですから、64GB SSDと2GBメモリなら、スリープ環境で快適に使える事がわかっていたからです。
そもそもたいした作業をしない事がわかってますし、クライアントの一つであるAirにそんなに大量のファイルをため込む事などあり得ないからです。
ただ、それはMacとして使う場合です。
最後まで迷ったんですが、やっぱり文章を書く事を目的にした場合、私にはWindowsが必要です。
いえ、言い換えましょう。
「WZ Editorが必要です」
エディタを、たった一つのソフトを使いたいが為に、Windows環境が必要なんですよ。バカバカしい話ですが。
それ以外の私が必要なソフトはMacにもそろっているので問題はありませんが、エディタについては
「Macにはろくなエディタがない」
んです。
これ、ずっと昔から変わってませんね。
WZ(VZ)に置き換わる機能を持つエディタがなぜMacに無いのか不思議ですが、OCRソフトもいつの間にか実質的にMac用はなくなっちゃいましたし、その辺が個性なのかもしれませんね。
もちろん「Macにはロクなエディタソフトがない」って要っているのは世界中で私だけかもしれませんし、エディタユーザーでMacを使っている人の99.999999%は「Macにはすばらしいエディタがある」と思っている可能性が高いです。
それは「エディタに何を求めるのか?」というきわめてパーソナルな問題なので、私が欲しい機能がたまたまMac用のエディタソフトにはなかったというだけでしょう。もしくは私が知らないスンバラしいエディタソフトがあるんだけど、私の目が節穴で見つけられていないだけなのかもしれません。
めぼしいモノは一応全部ヴァージョンアップの度に使っているつもりなんですが……。
要するに私の方に柔軟性がないだけですね。
同様に私はことえりが使えません。指がATOKなんです。
実は私、変換効率とかはどうでもいいんです。単文節変換しかしませんから。
たとえば上の文章は、
************
実は私 変換効率とか どうでもいいんです。 単文節変換しか しませんから。
************
という文節で変換してます。なのでことえりであろうがMS IMEであろうが変換効率などあまり問題になりません。それよりルックアップする辞書に語彙が多い事の方が重要です。
「そうきゅう」とタイプして「蒼穹」が出てこないような辞書はダメなんです。
だから同じATOKでもポメラに積まれているルックアップ用の辞書では「合わせ月の夜」は執筆不可能です。もちろん「まそほのおとがい」の「まそほ」なんかを変換するのに数分、いやコード調べたりするのに手間取ると十分以上かかるかもしれません。(そもそも変換できないかもしれない)
MS IMEには「ATOK風キーアサイン」がプリセットしてあってそれを使えばいいじゃん、と思われるかもしれませんが、実は似て非なるモノでして、完全じゃないんですよ。
アレ? って引っかかる事がそれなりにあると、もう集中できないんです。
一度ついたクセが抜けないっていうのはそういうものなんでしょうね。最初に体が慣れてしまったのがたまたまATOKだったばかりに、です。
ATOKが無くなったらどうしよう?と時々真剣に思います。
長々と書いてきましたが、つまりは
「Windows環境を入れ込む必要があるので、ストレージとメモリは多いに越した事はない」
という事です。
同様にCPUの速度も誤差程度?と要ってしまえるほどでしょうけど仮想化ソフトを使う以上、少しでも速くて失敗だという事はないはずです。むしろ公開したくないから、という自分を納得させるためのいいわけの為かもしれませんが……。
キーボードはいわゆるWindowsノートであればチョイス可能なら迷わずUSキーボード(ASCII配列)を選びます。
理由は
・OADGキーボード(JISキーボード)は私にとっては不必要なキーがありすぎる。
・使わないカナがプリントされている
・よく使うスペースキーがでっかくてイイ
ですが、Macはちょっと特殊なので、私としてはUSは選べません。
理由は
・Aキーの左側がctrlキーではないから
です。
Windows機の場合、USだろうがJISだろうが、ctrlキーがどこにあろうがいいんです。
キーアサイン変更ソフトを使いますので。
それがMacの場合、CapsLockキーとctrlキーの入れ替えになるんですが、そのスペースキーよりもよく使うctrlキーをcapslockキーと入れ替えちゃうと「緑のLEDがついたり消えたりついたり消えたりする」んです。
それがヤなんです。LEDとか無ければ問題ないんです。
それだけの事なんですが……。
キーボード見てタイピングしているわけではないのですが、暗いところだったりすると結構視界にはいります。
そういうのが気になると集中できなくなるんです。
神経質すぎますかね?
そういうわけで、MacのキーボードはJIS、Windows系はUSが好みな私です。
セットアップ:パラレルズとWindows 7、そして最低限必要なソフト類
Mac用ソフト
・ATOK 2010
・InDesign CS5
・Photoshop CS5(Bridge CS5含む)
・Illustrator CS5
・他、ユーティリティ類(Firefox、DropBox、safaristandなどなど)
・Parallels DeskTop 6
Windowsソフト
・Windows 7 Pro(ドメインに参加する必要があるのでPro)
・ATOK 2010
・WZ Editor
・他、ユーティリティ類
ちなみにParallels DeskTop 6にはWindows用アンチウィルスソフトとして、カスペルスキー(1年分のライセンス)が含まれていますので別途用意する事もないでしょう。
私は他のWindowsマシンで使っているものと同じESET SmartSecurity 4.2をインストールしました。
この状態で、HDDの空きは90GB強です。
私の場合、これにDropBox領域が10GBちょっとなので、シンクロしても残は80GB。(時間がなくてシンクロできていない)
これくらいだったらOffice 2011も入れて大丈夫でしょう。
時間がなくてまだ入れてませんが……。
第一印象:ハードウェア
サイズの差はともかく、箱を開けて取り出した時に最初に感じたのが
「バランス悪っ」
というもの。
何のバランスかというと、液晶背面のあの白いリンゴマークです。
ええ、電源入れると光るあのリンゴマークです。
これが、11.6インチAirの天地の幅だと、でかすぎるんですよ。
Jobsがよく許したな、と思うほどでかいです。
でかいのが好きなのかもしれませんが……。
もちろん部品流用なので相対的な大きさはどれも一定ではありませんが、小さいより大きい方がバランス悪く感じます。
次に、これも実情が美意識を駆逐した残念な部分。
普通の企業で言うと、営業が口を出してデザイン部門が泣くというパターン?
もちろん、IOが向きだしでMacBookと同じになってしまった事です。
リッド付きのリトラクタブルIO、実用性や使い勝手は最低でしたが、Jobsの美意識ここに極まれり、と思ったものですが、新しいAirは安さという強力な武器と引き替えに悪魔に魂を売り渡してしまったという事でしょうか。
USBが2個になったとか、13インチの場合はSDカードスロットがついたとか、言い訳としては弱いながらもスペックは地味にアップ。
電源ボタンがボディへの直接埋め込みから、キーボードの一部を使う方式に退化。
ええ、退化ですとも。
で、間違って押しやすくなったのを見越して、ちょっとやそっと押しているだけでは反応しないロジックになっています。
電源オフの状態で、電源ボタンをチョンと押しても1週間くらいは起動しません。
2週間待っても起動しないかもしれません。それ以上経つと、今度は忘れているから問題は発生しないかも?
要するに電源長押しで強制シャットダウンするつもりで電源オン、って感じです。(五秒くらい?)
知人の「番長K」は新宿ヨドバシの店頭にAirの偵察に行った際、押しても押しても電源が入らないのをみるや瞬間湯沸かし器を発動。近くにいた店員の首を締め上げ、
「展示機壊れとるやんけ、ワレ、どないしてくれんねんっ!」
と恫喝したとかしないとか。
新宿ヨドバシの店員さん、ごめんなさい。友人としてお詫びしておきます。
(その辺の話は、記憶がやや曖昧なので事実とは微妙に違うかもしれません)
まあ、それくらい長押ししないと反応しないって言う事で。
この辺はスリープでの運用を前提にしているというアップルの決意?の現れなのかもしれませんが、要するに地味なコストダウンだと思われます。
キーボードといえば、キーボードバックライト。
これ、初代Airは光っていたと思われます。あとVAIO Zも光るんですが、私は購入時に動作チェックした後は一度たりとも光らせた事がないような記憶がありますので、少なくとも私にとっては他人にデモンストレーションして見せる(見せびらかす、とも言う)以外に必要性がない機能のようです。
と言うか、キーボードが光るんだって事忘れてました。
桃園で杯を交わした義兄M(某売れっ子イラストレーター)は「キーボードが光らなきゃいやだあああ」とだだをこねておりますが、そういう人は意外に多いのかもしれません。
あ、杯を交わしたのが桃園だったかどうかは記憶が定かではありません。
というか、杯交わしたっけかなあ……。まあいいけど、機能としては確かに劣化ですね。
第一印象:使い勝手
Airの到着日は帰宅が22時頃だったので、満足なセットアップもできてないんですが、概ね満足というのが現時点での評価です。
パフォーマンスというか、体感的なレスポンスはiMac(2009 27インチ Core i7/CTOモデル)よりいいですね。
こういうのはCPUとかは関係なく、単純にHDDとフラッシュメモリの差が出る部分だからでしょう。
もちろんこれは、アプリケーションを使っての体感速度ではなく、起動/終了とか画面切り替えとか、アプリのインストール時間とか、言ってみればOS周りの反応という意味です。
でも、InDesign CS5の起動時間が12GBメモリ、Core i7 4コア8スレッドのiMacの1/3以下となると、もはや笑ってしまいますね。
ええ、もちろん重いファイルを開いた上での動作は比べものにならないほど遅いんですがね。iMacだと立ち上がってしまえば、InDesignもエディタ並に軽快に使えますから比べものにはなりません。
まあ、OSが立ち上がった後は、液晶の解像度の低さ(縦)に苦笑するしかないんですが……。
ここも16:10が16:9という、安いパネルに迎合したしわ寄せというヤツに違いありません。
世の中16:9なんですね。16:10でもいいんですが、縦は最低800でいこうよ、と思いました。(なんとなく)
第一印象:ソフトウェア関係
結局仮想化ソフトは、VM WARE Fusion 3じゃなくて、最新ヴァージョンがリリースされたばかりのParallels DeskTop 6にしました。(10/29発売)
この手の仮想化ソフトはバグに目をつむれば、新しいほどパフォーマンスは改善されます。
iMacではVM Fusion3を使用しています。なので直接比較ができませんが、少なくとも1GBメモリを割り当てたWindows 7上でWZ EditorとATOKを走らせている状態では、Airはそれほどストレスがありません。
コヒーレンスモードで使えば、WZ Editorのあの超がつくほどダサい画面がMac OS上に直接開いてシュールな気分に浸れます。
もちろんParallelsの上にWindowsを立ち上げたまま、Mac側を使っても普通にさくさく動きます。
予想はしていましたが、仮想化環境を使わないならメモリは4GBもいらないかもしれませんね。
起動・終了はWindowsマシンでは考えられないくらいの爆速ぶりに、これももう笑うしかありません。
SSDのVAIO Zも起動・終了時間については満足してましたが、それはWindowsノート同士での井の中の蛙戦争だった事がよくわかりました。
Airの速さ(起動は約15秒ですね)を見ちゃうと……。
スリープからの復帰については、初代SSD Airでも特筆モノだったんですが、まさに瞬時です。
ディスプレイを開いたら、さあ、作業するぞ、という状態になります。
Windows は7になってもSSDにしても、さすがにここまでにはならないので、本当に快適です。
しかも、スリープ状態であまりバッテリが消費しないっていうのはすごいです。
これは初代Airの時にはムリだった性能です。
30日保つらしいですね、スリープ状態で。
つまりスリープでは電源オンの時の144分の1しか電力を食わないと。(計算合ってるかなあ……)
もはや自然放電とあんまりかわらなかったりして……。
本当に30日放置しててもディスプレイ開いたら瞬時に使えるようになるのかどうかは不明ですが……
他メーカーの悲鳴が聞こえて来るようです。
私の場合は、サイズはやっぱり11.6インチで正解。
フットプリント的にはVAIO Zより一回り小さいくらいで、これなら飛行機のテーブル(エコノミーとか、ハワイ線などのショボいビジネスのテーブルです)とか、新幹線のテーブルなどでもこのディスプレイサイズならちゃんと開けますから窮屈な思いをせずにすみます。
このAirが果たしてモバイルマシンのゴールかどうかは意見が分かれるところでしょうが、ウェルバランスなクラムシェル型PCである事は確かでしょう。