それは名カメラだからではなく、「ここまでやっといてなんで?」という、そんな感じのカメラとして。いや、むしろユーザーとして口惜しいカメラの筆頭として。
多くの人に「P7800簡単に説明して」と水を向けると、ほとんどは「P7700のマイナーチェンジモデル」と言うに違いありません。
それ以上でもなければそれ以下でもない。
でも、私が同じ事を尋ねられたらこう言います。
「ああ、あれはP7700になれなかったもう一つのP7700だよ」と。
その理由は順番に説明していく事にして、まずはP7700との一番のというか、ほとんど唯一の違いについて。
それは「EVF」の存在です。
ちなみにP7700はEVFはおろかビューファインダはなく、液晶ディスプレイのみのカメラでした。
それ以外の部分はP7700からキャリーオーバーしていると考えていいと思います。
つまり
・28-200mm(相当)の高倍率ズームレンズ
・1/1.7型1200万画素センサー
・バリアングルモニター
・映像エンジン
・その他
あたり(その他って……)。
実は私、P7000番台のCOOLPIXは全部買ってますから、当然の流れとしてP7800には(勝手に)期待していたんです。
というのも「P7700のネガが潰されることはないにしろ、新型なんだから【改善されているに違いない】」と思っていたからです。まあ、そんな時期が私にもありました、みたいな?
あ。
また脱線しそうなので、まずは新搭載のEVFについて少し書いておきます。
P7000番台のCOOLPIXには盲腸のようについていたOVFですが、個人的には「ほとんど意味のないこんなショボい光学ファインダなど不要。というかスペースの無駄だからむしろ悪」と思っていましたので、その光学ファインダをスッパリ削ってきたP7700については好感を持っていました。まあ、賛成派です。
もちろん「使えない光学ファインダの代わりに時期モデルには是非ともEVFを」とは思っていたのですが、ご存じの通りP7700には採用されませんでした。
でもまあ、ないモノはしかたないな、という感じで最新の7000番台であるP7700は購入しました。
購入しましたが……私の用途には適さず、早々に売却されていったのでした。
そして1年後、P7800が発表。
よせばいいのに「なになに、ついにEVFが搭載だって?」と聞くとアホな私としては買わざるを得ないわけで。
しかし……。
結論から言いましょう。
P7800のEVFは使いにくいです。
なのであまり夢を見ない方がいいです。
まず最初に「え?」と思ったのはEVFと液晶画面が「切替ボタン方式」であること。
そうなんです。
液晶ディスプレイとEVFは自動で切り替わりません。ボタンでいちいち表示の切り替えをしないとダメなんです。マニュアル切替です。なぜなら「近接センサを搭載していない」から。
わかりやすいですね。
一応P7800はNikonのコンパクトカメラではハイエンドモデル。なのにこの体たらくはどうなのよ? って驚きます。いや、驚いただけでなく机を叩きましたけどね。
これね、私は本当にダメなんです。アホですから。
だってボタン切り替え式だと頭でわかっていても、ついついEVFを覗いて真っ暗なのを確認し、「そうだった」と改めてボタンを押して切り替えるという作業が頻発しますから。現に今日も頻発しました。
カメラをP7800一台しか持っていないのなら、そのうち無意識にボタンを押してEVFとディスプレイの切り替えを行える境地に達するのかもしれませんが、P7800だけ使うわけではない私としてはこの仕様はストレスの種です。数ヶ月で禿げそうです。
という事で、P7800の【第二印象】は相当わるいものでした。
なお【第一印象】については後述します。
さて、お次はそのEVFの見え味はどうなのか?
近接センサはなくとも、さすがに視度調整ダイアルはありました。ご安心下さい。
というわけで、視度調整。
で、その視度調整をしているわずか1分足らずの間にこのEVFの評価は私の中で固まりました。
「あまり期待しない方がいい」
と。
もちろん過去、ムリヤリ搭載していた腐れ光学ファインダと違い、いくらズームしようがきっちり視野角100%を表示し続けるってのがEVFの利点なので、構図を決めるための用途としてはまったく問題ないと思います。
ただしP7800のEVFは「小さなのぞき穴」といった風情なので、EVFオンリーでガッツリと撮影する、という用途には向いていないと思います。Nikon 1系のEVFを妄想している人はたぶん痛い目に遭います。月とすっぽん、とまではいいませんが、月とはんぺんくらいの差があります。
P7800のEVFの場合、ただでさえ見え方が小さいのに加え、画像の質がイマイチ。ぱっと見てコントラストが低めでクッキリ感が全く無いんです。そのため、全てが平板な感じに見えてしまう。つまりEVFを覗いて楽しいなんてことはなくて、だんだん撮影する意欲がなくなってくるんじゃないかと思われるからです。
P7800の場合、常用のEVFというよりは普段は背面のディスプレイで撮影しといて、手振れを極力抑えたい場面などで補助用に使う方がストレスが溜まらないのではないでしょうか。
なお、P7800の内蔵の光学手振れ補正については、過信は禁物ではあるものの、けっこうイケていると思います。200mm相当でもF4.0と比較的明るめなこともあって、カバーできるシチュエーションは広い……はずなんですが、これがP7700と同じで「ああ、こんちくしょう!」的な気持になるわけです。
AFがタコ、というのはまあ【第三印象】とでも言いましょうか。
ちょっと暗い場面(室内など)などで「ここはちゃんと構えてぶれないようにしたいからEVFで撮ろうかな」、などと思って切替ボタンを押してEVFを除いて構図を決め、シャッターを半押しにして狙ったところにピントを……合わせようにも合焦しない。
これです。
P7800のAFは本当にすぐに音を上げます。
光量がたっぷりあるトコロだと問題がないので意識しないのですが、少し光量が不足する場面だといきなりAFが合焦を放棄しだすのです。
もしくは広角端だとAFが効くのに、少しズームするだけでとたんにAFがダメになるというパターンです。
ただでさえ最短撮影距離が長い、つまり「寄れない」P7800の望遠側はAFも合わないので室内ではあまり活躍の場がないということになってしまいます。まあ、室内で200mmとか使わないとは思いますが。
続く。