やっはろー(^^)
私は健康保険の選択で失敗しました。
なので私のような失敗をしないためにも、私と同じ境遇の人にとってこの記事が参考になれば幸いです。
退職といえば退職金。
入ってくるカネのことばかり考えがちですが、心配すべきは出ていくカネです。
色々ありますが、退職時にガツンとくるのは住民税と健康保険料でしょう。
なお、色々とややこしいのでここでは「会社員が退職した場合」に限った話にさせていただきます。
まあ公務員もだいたい同じですけれど……。
住民税は、最後の給与から残額がまとめて差し引かれます。
ご存じないかもしれませんが、住民税って6月から翌年の5月までの均等払いなのですよ。
なので6月に退職しちゃうと1年分がまとめてしょっぴかれますので、人によっては手取りがほぼない、なんてことになりかねません。いや、マイナスもあるか。^^;
最後の給与の金額を見て「なんで!」とならないようにあらかじめ心の準備をしておきましょう。
退職後の住民税については色々ありますけど、今回は健康保険の話なので、そっちはまた気が向いたときにでも。
リタイヤ後の健康保険については、ざっくりいうと2つの選択肢があります。
一つは国民健康保険。
もう一つはいわゆる社会保険の任意継続保険です。
リタイヤしたらこのどちらかに加入しないといけないのですが、問題は「どちらがお得なのか」です。
この場合の「お得」とはもちろん、どちらの保険料が安いのかというお話です。
保険料の算出方法は国民健康保険と任意継続保険では全く違います。
国民健康保険の保険料は「前年の収入」をもとに計算されます。
日本特有の四月スタート三月エンドの「前年度」ではなく年初スタート年末エンドの「年」が単位です。
これがどういう結果を表すかというと、こういうことです。
去年までフルタイムで働いていた給与をもとに計算された保険料を、リタイヤして無収入の状態ではらわなければならない
去年の収入が1000万円だと、無収入になったとしても1000万円収入がある人に見合った保険料負担を強いられるということです。
「そんなバナナ!(死語?)」
と思ってもそれが日本の法律なので払うしかないのです。
どうです? 退職金が切り崩されていく嫌な音が聞こえませんか?^^;
国民健康保険料については、住んでいる市町村ごとに違いますので、それぞれの市町村のwebサイトを探って、概算保険料をチェックする必要があります。
去年の源泉徴収票が手元にあれば、それをもとに計算できる様式やエクセルファイルなどが用意されているところが多いと思いますので参考にしてください。
一番正確なのは、去年の源泉徴収票を握りしめて役所の国民健康保険の窓口に突撃することです。
サクっと計算してもらえますし、その場で無理やり入らされる、なんてこともありませんのでアクセスが楽な人は気楽に相談してみましょう。
会社員の社会保険は健康保険組合か協会けんぽのどちらかの保険だと思います。
保険体系は基本的にどちらも基本的に同じです(保険料はそれぞれで違います)。
社会保険の場合、大前提として知っておくべきは会社員時代の社会保険料については「会社が半分負担してくれていた」というありがたい事実です。
つまりこれは「退職したら会社負担分も自分で支払う」ということを意味します。
要するに任意継続をチョイスすると、務めていた時の倍額を支払う必要があります。
あわてて給与明細の健康保険料の金額を見て、それを2倍計算してしまったあなたはきっとこう思うことでしょう。
「そんなバナナ!(もうええって^^;)」
これは真実なのです。目を背けても保険料は変わりません。
「残念だったな」
私からはこの言葉しかありません。
だがしかし!
そんなアタナに(私にも^^;)社会保険にはそんな「大前提」とは別に、「とはいいつつも、あんまりなので上限を設けます」というありがたいオプション条項?があるのです。
退職時の保険料(正しくは標準報酬月額)と健保組合(もしくは協会けんぽ)の平均保険料(正しくは平均標準報酬月額)の「どちらか安い方」でオッケーでっせ、というもの。これを「標準報酬月額の上限」といいます。
例えば大阪府の協会けんぽだと2021年の「標準報酬月額の上限」は30万円です(ほかもほとんど同じだと思われます)。
つまり退職時の標準報酬月額が30万円以上の人は標準報酬月額は30万円に揃えられ、それ以下の人は単純にそれまでの保険料の倍額が任意継続保険料となるわけです。
これはまあアレです。高所得者優遇措置ってヤツです。
だって、それまで標準報酬月額が最高の50等級の人、つまり毎月の給料が1,355,000円以上もらっていた人が支払っていた保険料は71,029円ですが、退職後は倍額でも51,100円で済むわけです。
一方で毎月の給料が30万円(社会保険は交通費込みで算定)だった人は、それまで15,330だったのに、退職したら30,660円も支払う必要があるのです。
とはいえ私のようなリタイヤ者や定年退職者の負担を減らすためでもありますので、上限を設けるのは正しいやり方であろうと思います。
さて、両者の保険料はわかりましたか?
社会保険と国民健康保険とは保険内容が微妙に違いますが、些末なことです(気になる人はご自身で調べてください)。一番の違いは保険料です。
なので2つの保険料を比べて安い方をチョイスするのが普通の人のとるべき道です。
私の場合、この段階で「どう考えても任意継続だよね」というチョイスを行ったのですが……それが大きなミスであることに気づいたのは少し経ってからなのでした……。
退職後はできる限り速やかに市町村の国民健康保険の窓口にいって手続きを済ませましょう。
必要なのは「退職したことを証明する書類」です。
離職票でもいいですが、これは多分すぐには出ません。
会社側が用意する「退職証明書」のようなものがあるはずですので、それを持っていくのがいいでしょう。
市町村で違いはあるかもしれませんが、通常は申込み時点ではお金はいりません。
窓口で加入手続きを行うと、数日後に書留で保険証が送られてきます。その後少し経ってから保険料の納付書が送られてきます。まあ、後払いですね。
保険料は1年間の保険料を10回に分割で支払う感じです。もちろん一括支払いも可能です。
任意継続を選んだ場合は、その旨を会社の総務に伝えると必要な手続きについて教えてくれます。
提出用の書類なども一式揃えてくれますので、説明どおりにきちんと手続きをしましょう。
総務が無能だとそんなことはしてくれないかもしれませんが、まあそんな企業はブラック確定ですね。退職できてラッキーだと考えましょう。
総務が心もとない場合は加入している健保組合か所属している協会けんぽに直接問い合わせましょう。その際「そういうことは会社の担当者を通じて手続きをしてください」と言われる事がありますが、きちんと「総務がアホで意味不明なので直接問い合わせた」と言っておくといいでしょう。遠慮する必要はありません。
ただし当たり前ですが、口調・態度はくれぐれも紳士的に。
任意保険については大きな落とし穴があります。なのでここで説明しておきましょう。
任意継続の加入期間は2年間で固定です。
1ヶ月とか1年とか期間は選べません。ただし、例外があります。会社に就職したらそちらの健康保険に加入した時点で脱退になります。
そういうわけで途中就職をしない場合は任意継続を申し込んだ時点で2年間の契約が確定し、これは途中で解除ができないのです。
そう「途中解錠はできない」のです。
「そんなバナナ!(略)」
そう思われるかもしれませんが本当です。受け入れましょう。
が、しかし。
裏技があります。
私はこの裏技で被害?を最小にすることができました。
それは「保険料の支払いを1ヶ月ごと」にしておくことです。
どういうことかといいますと、任意継続の申込時に保険料の支払い方法を選ぶことができますが、その際「一括」を選ばず「1ヶ月ごと」を選んでおく、ということです。
まあ「おそらく」ですが、ほとんどの人は「1ヶ月ごと」を選ぶとおもうのですが、退職金がある人は気が大きくなり「面倒だからこの際全額払っておくか」なんて全額前払をしてしまうと、裏技が封じられてしまうのです。
どういうことかといいますと
「いかなる理由があろうと支払ってしまった保険料は払い戻しされない」
「保険料が期日までに支払われないと被保険者の資格を失う」
ということなのです。
これを読んでピンと来た方は胸を張りましょう。まだボケてません。オツムは現役です。
そう、保険料を払わなければ任意継続を途中脱退できるのです。
全額前払しちゃっていると2年間強制加入されたままでですが、月払いにしておけば任意の時点で支払いを止めれば自動的に「資格喪失通知書」的なものが送られてきて実質的に脱退ができちゃうのです。
悪いことはいいません。リタイヤする人で任意継続を選んだ人であっても保険料の支払いは「絶対に」一ヶ月ごとにしておきましょう。
任意継続は最長2年です。
つまり3年目からは国民健康保険に加入することになります。
リタイヤにも色々ありますが、年金受け取り可能年齢前のアーリー・リタイヤをした場合で、かつ再就職せず無収入だった場合は、保険料が年収基準である国民健康保険の保険料は下がります。
私はコレです。
私もそうですが、年の途中で退職しているとそれまでの給与があることはお忘れなく。
一例として、Aさんの国民健康保険の保険料はこういう感じで決まります。
退職日:2021年3月。その後は無職で収入なし
2020年の所得(給与支払額ではなく、いろいろ控除された後の金額):500万円
2021年の所得:100万円
2021年6月~2022年5月の国民保険料:2020年の500万円をもとに算出
2022年6月~2023年5月の国民保険料:2021年の100万円をもとに算出
2023年6月~2024年5月の国民保険料:2022年の0円をもとに算出
つまり、年の途中で退職すると翌年からは国民健康保険料が少し下がるので、改めて任意継続と国民健康保険との保険料を比較してどちらか選ぶ事が可能です。
もし国民健康保険料のほうが安くなるのであれば、任意継続の保険料支払いをせず資格喪失をすれば国民健康保険に変更可能です。
ここからは私事ですが、世相的に私のようなパターンの人は結構多いと思いますので参考になるかもしれません。
私はこの春に退職しました。
コロナ禍で会社の業績が急降下し、いわゆる「早期退職者優遇制度」という人減らしシステムに乗っかった形です。
これはグチですが、私の会社は総務部門が異様に弱くサービスが悪いというか、そもそも知識がない人間が他の業務と掛け持ちでやっているような感じなのです。もちろん他の業務が主で、総務的な業務は「必要に応じて場当たり的にやる」みたいなところがあります。
なぜそうなのかというと、ちょっとややこしいのですが……グループ会社全体で統括総務的な事をやる別組織があり勤怠管理や給与計算などを始めとして基本的にそこに丸投げをしているのです。ウチはグループ会社の中でも有数の規模の会社なのですが、それでも総務部門は単なる「受付窓口」のような責任感しかないという感じです。
何が言いたいのかというと、退職手続きをするにあたって色んな事務手続きをやるわけですが、書類を記載するにあたりこちらの質問に対して総務担当者がほぼ何も答えられない、というていたらくなのです。
いや、私も同じフロアにいますので彼らがこの手の業務に対して無能なのはとっくに知っていたのですが、まさかここまでやる気がないというか、プロ意識が低いとは思いませんでした。
そう、退職金の計算書にサインをするときが一番ひどかったですね。
退職金の計算なども件の統括総務的な別会社がやってますから、担当はそこから届いた書類を私に差し出して「確認してサインしてください」というだけ。
私はその計算書をチェックしていくつか疑問があったのでサインする前に質問したのですが、全く答えられず「あ、あとで聞いておきます」「わからないので確認します」みたいな対応です。
一番ひどかったのは退職金の支払日。
コレもウチの特殊事情で退職金は3段階になっているのですが、その2,その3については金額は記載されているにも関わらず支給日がいっさい記載されていないのです(その1は就業規則の給与規定で最終急と同一日と決まっているので知っていた)。
そんな書類にサインできるかっ!^^;
「ねえ、こういうのって私以外の退職者は誰も質問しなかったの?」
「はあ」
ウチの社員はみな物言わぬ社畜なのだなとがっかりした瞬間でした。
話を保険に戻しましょう。
一連の退職関連の事務手続きの中に健康保険の「その後」をどうするかというものも当然ありました。
そして我社のそれは「任意継続しますか?国保に変更しますか?任意継続にするならこの書類に記載してね」というもの。
もちろん私は尋ねましたよ。
「国保と任意継続だとどっちの保険料が安いの?」と。
案の定「任意継続だと上限が30万なので保険料は○○円ですが、国保は市町村で違うので自分で調べてください」ですと。
まあそうなのかもしれませんが、早期退職に手を上げた勇士?に対してそれ?って感じでがっかりです。
私が以前務めていた会社では、自己都合退職者であっても、次の就職が決まっていない人については、そういうのも総務はちゃんと調べた上でアドバイスしてくれてたんですけどね。総務って雑用じゃないですけどねえ……。
私は自分で市のwebサイトから国民健康保険料が計算できるエクセルのシートをダウンロードしてチェックし、保険料が安い任意継続をチョイスしたのでした。もちろん月払いにしました。
しかし、ここが落とし穴だったのです。
使い物にならない総務部署しかない会社の「早期退職優遇制度」に手を上げて退職された私のような方々へ。
ほんとんどの方は、実は任意継続より国民健康保険の方が安くなります。
それが、国民健康保険の保険料減免制度、「非自発的失業者に係る保険料の軽減措置」というヤツです。
コレは、まともな総務部署がある会社であれば、早期退職者優遇制度で退職する人には絶対案内しなければならない制度だと断言します。
正確にいうと、離職票に「会社都合退職」である旨が記載されていれば保険料の減免制度が適用される市町村がほとんどなのです。
※次のすべての条件を満たす人が対象です。
(1)失業時点で65歳未満の人
(2)雇用保険受給資格者証の「12.離職理由」欄に以下のコードの記載がある人(理由コード11,12,21,22,23,31,32,33,34)
なお、軽減期間は「離職日の翌日の属する月から翌年度末まで」です。
いいかえると「早期退職者優遇制度」をうたっておきながら、離職票には自己都合退職と記載されちゃうとこの減免制度は使えません。
離職票はきちんと確認しましょう。もし自己都合になっていたら、「おいおい、そっちの都合で辞めてやるんだから自己都合退職はおかしいだろ?」と抗議するか、離職票にサインする前に労働基準監督署に相談してみましょう。どちらにしろ相当ブラックな会社であろうと思われます。
というわけで、私の失敗についてまとめておきます。
1.会社都合退職の場合は国民健康保険料が減額される事を知らずに、任意継続してしまった
あ、一行で終わっちゃった。^^;
そして私のその後ですが、2回目の任意継続保険料を支払った直後にこの減免制度の事を知りました。
3ヶ月めの支払通知を無視し、資格喪失証明書が届いた段階で「雇用保険受給資格者証」やマイナンバーカードなどを持って市役所の国民健康保険窓口に行き、加入手続きを行いました。
マイナンバーカードで雇用保険関連のデータが紐付いているのか、資格喪失証明書を見せた段階で「減免になりますね」と言われました。もちろん一応「雇用保険受給資格者証」のチェックはありましたが、サクっと減免額で保険料が決定したのでした。
ちなみに保険料ですが、任意継続より断然安くなりました。何しろ算出する基準である所得を30/100に減額してから保険料を算出してくれるわけですからね。
私がこの減免措置を最初から知っていれば、2ヶ月間ムダなカネを協会けんぽに支払う必要がなかっただけに後悔しきりです。
自分が無知なのはあえて棚にあげながら、つくづくウチの総務はつかえねーなと思った次第です。
以上、この記事を読んだ方はくれぐれも私のような失敗をしないことを願ってやみません。