「飛空艇を造ろう」発言から一週間。
いろいろあったものの材料は揃い、あとは実際に造船作業をするのみとなっておりました。
そして日曜日の夕刻のこと。
フリーカンパニー(FC)メンバーの中でもクラフターレベルが高い3名が揃ったので「造船に取り掛かろう」という話になったのでした。
最終組み上げをするためにはクラフター職でライトパーティ(4人)を組む必要がある、ということなので、FCクラフタートリオ加え、それまでパーティを組んで一緒に遊んでいたFCメンバーのRさんがクラフターとなって参加、4人のライトパーティを確保しました。
なお、実際に作業をする1名のレベルが製作に達成したレベルであれば、後の3人はレベル1でオッケーです。
また、パーティを組むメンバーが必ずしもFCメンバーである必要はなく、外部から応援を頼むこともできます。
作成はしません。
作業は納品です。
グランドカンパニー(GC)の調達などでブツを納品しますが、あの手順と同じです。
つまりスキル回しなど一切関係なく、クラフターとしては極めてイージーな作業です。
というか、作業ですらありませんね。
ただし、その納品を行えるのは相応のクラフターレベルに達した人だけです。
具体的には納品する材料を自分で作成できるレベルであること、のようです。
つまり、クラフターやってないけどカネ(ギル)はあるんだぜという人が、そのカネに物を言わせて材料をすべて揃えたとしても機械に納品を受け付けてもらえないのです。
相手は機械なので交渉もできません。札びらで頬を張り倒して解決、なんてことができないのです。
なのでもしそんな事を考えている人がいても、諦めて素直にクラフターのレベルを挙げましょう。
というか、カネさえあればクラフターのレベルを上げるのは実にイージーですからね。
私などはカネも時間もないので遅々として上がらないのですから。
そんなわけで実際にやってみるとその簡単さに拍子抜けしました。
始める前は「割れた(製作を失敗すること)らどうしよう」なんてドキドキしていたのですが、モノさえあれば完成は約束されているのでした。
とはいえ、納品が終わるたびに、ムービーが入ってけっこう気分が盛り上がります。
飛空艇を造り始めたタイミングで、運よくログインしてきたメンバーや離席していたメンバーたちが続々と地下工房に集まり、なかなか賑やかな雰囲気で作業は進みます。
というか、見学組は各自踊りを始めちゃいました。
まあ、ただ待っているのもヒマですから、応援がてらなにかやってやろうという気持ちはよくわかります。
よくわかりますが、あれって俯瞰的に見ると何やらシャーマン集団が工作機械に踊りを奉納している感じで、ちょっとシュールな絵面と化しておりました。
作業は順調に……進みませんでした。
というのも、製作途中でいくつかの材料について、用意した数では不足が出ることが判明したのです。
最初に作成可能なブロンコ級の飛空艇ですら、作成するために必要な材料はのべ1000個弱(シャード/クリスタル類は別途2000弱必要)。
そのすべての材料を集めたのは私ですから、要するに私が数を間違っていたということですね、ハイ。
10を超えるとそれ以上の数はよくわからない……わけはなく、最初は工程ごとに必要な素材を足し算する際にケアレスミスをしたのだと思っていたのですが、よく考えたら私、エクセルを使って必要材料の一覧表を作っていました。
つまり足し算を間違うわけがありません。なぜなら私は計算していないのですから!
これで私の「足し算もできないアホ」疑惑は晴れたのです(?)。
つまり単純な転記ミスということですね。
足し算ミス以前の問題ですね、すみません……。
とはいえ、すでに製作が始まっています。
「今日はここまで」とはしたくない。
しかし。
そこにいるじゃないか、クラフタートリオが!
なければ作ればいい。
というわけで3人で手分けして用意することに。
幸いなことに3人の手持ち素材でなんとか数が揃う事がわかりましたので、気分は一気に楽になりました。
なので後はもう、製作するのみです。
一旦造船作業の手を止め、FCのクラフター組は割り振られた材料作成に移行します。
シャーマン達?が踊りを踊る中で、各自製作を行うわけです。
衆人環視?でモノを造るなどという経験がないのでちょっと恥ずかしかったのですが、見られているとなると緊張します。
なので数を揃えるのが最重要と知りつつも、見栄もあって?スキル回しを駆使して割り当てられた素材はすべてHQ品として納品いたしました。
これぞ無駄な労力というもの。いや、自己満足の極地?
まあ、クラフターの性ってヤツですよね、きっと。
実際の作業は、4つに別れたパーツを、それぞれ3段階の工程を経て一つずつ作り上げたあと、最後に4つのパーツを管制卓で組み上げる、というものです。
私はパーツ2つの組み上げを担当し、管制卓での最終組み上げはFCのギャザクラNo.2のS師が行いました。
というわけで、途中材料不足で作業続行が危ぶまれたものの、無事に飛空艇が完成しました。
なんというか、感慨深いものがあります。
カッパーベル鉱山で、鉄鉱石を、ブルーフォグで霊銀砂を、サゴリー砂漠で霊銀鉱を、アッパーパスで銀鉱を、ナインアイビーでユーを、レインキャッチャー樹林でマホガニーを、茨の森でローズウッドを、ある時は太陽にジリジリ焼かれながら、ある時は雨でずぶ濡れになりながら、またある時は夜の冷え込みに震えながら、ただひたすらハンマーを、斧を、振り続けた日々。手にできた血豆は破れ、その血豆が乾かぬうちに同じところにまた血豆が出来、痛みで斧やハンマーが握れなった時はロープで道具を手にくくりつけ、それでもひたすらに振り続けたものです(というストーリー設定)。
一番の問題だった闇鉄鉱の確保は、結局栽培でまかなえることがわかり、カンパニークレジットでヴォイドマンドレイクの種を交換し、FCメンバーの庭師ことSさん(ギャザクラNo.2のS師とは別人)の今日曲のもと、短期間で揃えることができました。
完成した飛空艇を眺めながら、そんな事が走馬灯のように駆け抜ける……という余韻を味わおうとしていたところ、どうやら喜ぶにはまだ早いことが判明しました。
飛空艇は形を造るだけでは運用出来ないことがわかったのです。
というモノが必要らしいです。
車を陸運局に登録してナンバーをもらうようなものですね。
とはいえ登録証の取得は特に困難なものではなく、カンパニークレジット10000と交換だそうで、要するにカネで解決できる類のものです。
登録証を使い、完成。
これでいよいよ飛び立てる状態になりました。
さあ、みんなで飛空艇に乗って飛び立とう!
なんて気分が盛り上がっていると、飛空艇発進ムービーが!
そして……飛空艇は飛び去っていきました。
FCメンバー全員を残して……。
「ええええ?」
「行っちゃった」
などという会話が飛び交う地下工房。
ええ、行っちゃいました、我らが飛空艇一号。
宝さがしの旅へ。
それがエアシップボイジャー。
お宝を持って帰ってくることがわかったFCメンバーは、今度はお宝というキーワードでひとしきり盛り上がったのでした。
今回の反省点は材料不足。
この一点につきます。
一気に製作して見学しているメンバー含めてみんなで盛り上がろうぜ、という段になって「材料足りませんでした。今日は解散」なんてことはあってはならぬヤレヤレ事件です。
今回そんな事が起きた原因は、私の材料集め(というかストック管理)の方法にあります。
今回、材料を集める為に私が撮ったった方法は、とりあえず材料ごとに必要個数を集計し、それを一気に調達する方法です。
例えば、スチールインゴット。
これは4つパーツを造るための3つの工程、すなわち12ある工程のうち、5工程で必要になる素材です。
必要個数はそれぞれ21個、24個、24個、24個、30個。
私はこれを「スチールインゴット:必要数123個」として、123個用意してまとめてカンパニーチェストにストックしました。
他の素材も同じように必要延べ数で管理をしていたのです。
これがそもそも失敗で、実際には数が21個足りない事がわからなかったのです。
(21個を転記していなかった)
実際の作業はその工程に必要な数だけを納品します。
必要な素材は1工程に付き4種類です。
なので工程ごとに分けてチェストに入れておけば足りないモノは一目瞭然だったのです。
次回はそうやって管理しよう、と心に決めた私でした。
こんな感じで文字にしちゃうと「ふーん」ってな感じで別に大したこともないように思われるかもしれません。
でもそれは単純に私の文章力のなさによるもので、実際はけっこう感動するんですよ、これが。
そもそも飛空艇作成っていうのはチェスナット原木を切り出すのとは違って、日常的なものではありません。
つまりイベント感があります。
加えて、何しろ私の所属しているFCでははじめての飛空艇。
さらに言えば、その場にいた全員が初めての経験だったはず。
そりゃもう、盛り上がります。
というか、盛り上がって楽しかったんですよ、ってことがわかっていただけるといいな、と思います。
更に盛り上げるにはどうするか。
それはやっぱり参加感かな、と。
今回は私が素材集めを全部やっちゃいましたが、ギャザラーやクラフターだけでなく、素材によってはバトルクラスでも用意できるものがありますから、「やりたい」と思う人がそういうのを担当するなど、確かな「手分け感」を味わう雰囲気があればいいな、と感じます。
あと、これは極めて個人的な思い入れなのですが、「クラフター挙げてないけど、カネを出す」的なのは極力なしの方向で「手分け感」を味わう仕組みがあればなあ、と思うのです。
今回は「ヴォイドマンドレイクの栽培」という、ジョブやレベルが関係ない参画方法がありましたが、あれなんかは一案としてはいいのですが、どうしてもログイン率が高い人向けですし、
もっと他にないものでしょうかね。
気持ちだけで、具体案を提示できないのが歯がゆい感じです。
あ、あと「参加しないとなんか仲間はずれっぽくなってヤだな」的な雰囲気も避けたいですし、なんというかいろいろと難しいですね。
それもこれもNPCじゃなくて「人」相手のゲームだからこそ、なのでしょうね。
つまり、そういうお悩みもひっくるめて楽しむのがMMORPGということなのでしょう。
飛空艇を作り上げたことで、S師のクラフター魂に火がついてしまったようです。
彼女は飛空艇完成、就航の興奮も冷めやらぬ中、製図板を使って新たな設計図をかきあげてしまいました。
「空の次は海だ!」
ええ、次は潜水艇だそうです。^^;