でも、なんというか攻めてませんねえ、キヤノン。
そう思いませんか?
平成も終わろうという、ある意味終末戦争とも言えるにNikon – Canonの戦いミルクス編。
まあ、両者はいわば宿命のライバルなので戦わざるを得ないわけですが、9月5日にキヤノンがRFシステムを発表したことで、最初の戦いにおける両陣営の布陣が明らかになりました。
私はその布陣を見て、とりあえず最初の戦いはNikonの圧勝に終わるだろうなと予測しました。
戦術レベルではキヤノンに多少の優位性は見られるものの、それでもニコンが戦略レベルで得た優位性を覆すには至らないと判断しました。
要するに、レンズラインナップは魅力的だけど、そのレンズを活かすボディが用意できなかったキヤノン。
対して、レンズはそこそこだけど、ボディは今(ニコンが)考えうる最善のものを出してきたニコン。
果たしてユーザーはニコンのボディに魅力を感じるのか、はたまた「キヤノンのこのレンズを使ってみたい」と憧れるのか。
戦略レベルの話をすると、キヤノンのRFマウントシステムよりZマウントシステムの方が「攻めている」と思ってしまいます。
「どうせ新マウントにしなけりゃならないのなら、ガッツリ行こうぜ!」という意気込みを感じるニコンのZマウントは、Fマウントより直径で12mmも大口径化しました。
一方でそもそも54mmもあった大口径のEFマウントを要するキヤノンは、むしろ小口径化を模索していたなんて話で、結局採用したのはEFマウントと同じ54mm。「EFマウントより大口径になることはまかりならん」という感じで、落とし所が「同じ口径」だったのでしょうかね。
もっとも両者の差はたったの1mmで、実質的にほぼ同等といっていいので「両者イーブン」という見方もできますが、私はそれは少々違うと感じています。
長い目で見た場合、あるいは結果としては「同等レベル」に収斂されていくとは思いますが、そこに至ったマインドが決定的に違うように感じるのです。
つまり新マウントであっても、「ミラーレスなんて小型軽量じゃないと」なんて、あくまでも二軍的なポジショニングをしていた(と私が勝手に思っている)キヤノンに対し、「これからはこちらがメインになるに違いない」と決意した(と私が勝手に思っている)ニコンの、いわば「戦意」の高さを感じずにはいられません。
それはフランジバックの長さにも現れていて、凡庸なキヤノンは20mm。攻めてきたニコンはなんと16mm。
一概には言えませんが、ニコンのZマウントのほうがレンズ設計の自由度が「より高い」のではないでしょうか。
これからZマウントにラインナップされる広角系レンズには要注目でしょう。
あと、シグマやタムロンなどのサードパーティレンズのメーカーもZマウントをベースとした設計になってくるのではないでしょうか(RFマウントにはZマウント用レンズにゲタ履かせればいいだけだから)。
スピゴットマウントのFDマウントからバヨネットマウントのEFマウントに変えた時のあの「攻め」の姿勢は一体どこへ? と感じずにはいられません。
あの時は不退転の姿勢で臨んだ「転換」だったので、一眼レフと二本柱で行くという今とは事情がまったく違うといえばそれまでですが、それでもちょっと保守的にすぎると思いました。
これは妄想ですが、ひょっとしたら社内の戦いで破れたキヤノンの急進派の人の中にはニコンのZ7、Z6の発表を見て「だから俺があれほどいったじゃないか!」と、地団駄を踏んだ方がいるかもしれませんね。
とまあ、それくらいCanonが発表したEOS Rには驚きがありませんでした。
EOS Rに比べると、妥協作のはずのNikon Z7/Z6が、やはり「渾身の」ものであったと確信します。
対してキヤノンのEOS Rは「甘い」としか言いようがありません。
新しさも何もない、あの凡庸で退屈なデザインはまあ、好みもあるので置いときましょう。ただ、EOS Rを見るとZ7、Z6がエキセントリックなだけでなく、斬新、いや「新しいなにか」であると感じる気になってくるから不思議です。
EOS Rの外観は、それほどまでに私の心の琴線に触れませんでした。
外観はともかく、スペックが×です。
ニコンが「渾身」なら、キヤノンは「とりあえず」という表現が適当ではないでしょうか。
なんだよ、ボディ内手ぶれ補正が「電子式」って。
「ゴ・マ・カ・シ」でしょ。
そう、ここが重要です。
「ボディ内手ぶれ補正搭載」なんて書かれてますが、これはダマシみたいなものでしょうに。
キヤノンファンの中には「ほら見ろ、ニコンが載せてるんだから、キヤノンだって載せてくるって言っただろ?」みたいに、両者の手ぶれ補正が同等の性能であるかのように理解(誤解?)する人が出てきてもおかしくありません。
最初の一本たる標準ズームですが、
24-70mmのニコン。
24-105mmを用意したキヤノン。
当然ながらバーサタイル性ではキヤノンに軍配が上がりますが、私の目には一回りも二回りも小型で、200gも軽量。更に最短撮影距離が30cmとなかなか寄れるZ24-70mmの方が魅力的に映ります(RF24-105mmの最短撮影距離は45cm)。
そしてどう考えてもボディはニコンの方が上でしょう。
更に、ニコンはZ7とZ6という選択肢を用意しています。
まあ、蓋を開けてみると、現時点でのシェアの高さに加え、記録媒体をSDカードにとどめているEOS Rが、一般民衆の支持を得た、という結果になる可能性は無きにしもあらずですが。
何にせよ、XQDカードオンリーである時点で私の選択肢には入らないNikon Z7/Z6。(今どき)ボディ側にまともな手ぶれ補正機能がない時点で箸にも棒にもかからないEOS R。
ということで、「2018年秋、最もほしい135版フルフレームセンサ搭載のミルクス」は、消去法でSONYのαですかね?
とはいえ、SONYのαは今まで寡占してきた市場を荒らされるのは必至なわけで、そう考えると「これから」が非常に楽しみなジャンルではありますね。
マクロレンズには興味があるものの、広角~標準までがメインの私は、LEICA Qさえあればまだまだ戦えそうです。