つまりこの記事は電気とガスを併用していた我が家が、ガスを捨て、オール電化にしたことで光熱費がどう変化したかを継続的にレポートするシリーズものです。
今回がその第一回目になります。
光熱費なんて各家庭によってそれこそ千差万別。
「千差万別」の心はもちろん「家族構成や家庭事情が全く同じ家などない」からです。
家の間取りや部屋の向き地上からの高さなど、たとえ同じマンションであってもフロアが違えば要件は変わります。
そもそも地域が違えば同じ条件になろうはずがありません。
赤道直下と南極大陸で同じ環境であろうはずがないと考えていただければわかりやすいでしょう。
戸建てとマンションではいろいろ違いすぎますし、断熱材が入っている家とそうでない家の差は相当に大きい。
窓がない部屋と壁面が全部窓の部屋もその違いは明らかで、たとえ部屋の広さが同じで窓の面積が同一でも、一方は普通のガラス、もう一方がペアガラスだと、これだけでも大違い。
当然です。
エアコンや冷蔵庫、洗濯機に乾燥機、食洗機、照明、クッキングヒーター、湯沸かし器やテレビにパソコンなど、メーカーやモデル、製造年がそれぞれ異なるだけで性能は代わるのですから。
家電以外にも、家具やカーテンでガラッと変わります。
家具がなにもない部屋と寝るところすらなくなるほど箪笥や本棚で埋まっている部屋とが同じ冷暖房効率であるわけがありませんよね。
カーテンもそう。
カーテンしていない部屋とミラー機能付きのカーテンをしている部屋で真夏の冷房効率が一緒でしょうか?
年齢、性別、人種、違いはそれぞれ。
ハゲとアフロでは体感温度も違うのではないでしょうか(しらんけど)。
そもそも有機体であるかぎり、それがたとえクローンであってもまったく同じ個体など存在しないと思います。
ましてや人には自我があり、個体ごとに性格が違います。
性癖と言い換えてもいいですし、好みといってもいいのでしょう。
その家で生活している人は一人か二人かそれ以上か?
そしてその生活様式は?
昼型? 夜型?
などなど、順列組み合わせなんてほぼ∞でしょう。
よく、テレビで電気料金の値上げニュースなどで使われる「平均的な家庭の場合」なんていうフレーズがありますが、あれは言っちゃ悪いですが「意味はない」と思ってます。
いきなりディスっちゃいましたが、誤解のないように少し言いかえます。
「平均的な家庭」という言葉が悪いんです。
なんだよ、平均「的」な家庭って?
電気代やガス代を引き合いに出すならそんな単語を使ってほしくないですね。
単純に「平均〇〇円のところ」と言い方にしたほうがまだわかりやすい。
もっともそれだとあまりにざっくりしすぎてて、それこそ「ええ? ウチってどうなの?」という感じで自分の家庭との距離感がまったくつかめなくなる人がいそうですから、もう少し情報を加えるべし。
そう、こんな感じ。
・家族が四人
・構成は両親と兄弟二人
・両親は共働き
・子供は大学生と高校生
・平日の昼は誰もいない
・部活に入っていない高校生の子供は16時には帰宅
・パートの母親が17時30分頃に帰宅するまでは自分の部屋に閉じこもりがち
・通常18時には居間を中心に空調や調理器具が使われ始める
・大学生の子供と父親が帰り、全員が寝付くのが平均して午前1時頃
・夜にはだいたい湯船に湯が張られるが、それ以外にも日に述べ数人がシャワーを浴びる
・両親とも土日は休日
・なので休日は朝6時から午前1時くらいまでは居間を中心に電気やガスが使われるような家庭
「以上の生活パターンの家族の平均電気代が月に370円の値上がりになります」
うん、長い。
アホかいな、という流れ。
でもね、実際問題としてコレくらい説明してやっと「ああ、だったらウチはもう少し少なめかな」とおぼろげに想像できるかできないか、くらいじゃないでしょうか?
子供が三人いて、全員中高生でしかも運動クラブに入っているなんてばあいは洗濯機や乾燥機の稼働率がその家庭とはまったく違うでしょうし「ウチはその家庭よりはまちがいなく電気使っているなあ」と相対的な我が家の位置を想像できるのですよ。
「平均的な四人家族の家庭の場合」なんて言っても、その平均的家族の構成やライフスタイルが詳細に提示されない限り、平均などという言葉は無意味だと思うんですが、私おかしいですかね?
あえて言います。
騙されてはいけまいのです。
マスコミが流す「平均的な家庭の場合」というわかったようでいて、実は極めて曖昧な言葉は、電気会社やガス会社、さらにはそういう電気やガスを利用した機器類を販売して利益を得ているメーカー達がこぞってでっち上げた「都合のいいモデルケース」に過ぎないのですから。
そう、いわゆるひとつの「政府の陰謀」的なソレなのです。
ええ、もちろん個人の感想です。
陰謀説まで交えて長々と前振りをしていたのは、我が家のデータがその「平均的な家庭」とやらの消費エネルギー(電気代やガス代)からはいつも大幅に乖離しているからです。
実際問題としていつもぴったりな人って(あんまり)いないでしょ?
というわけで、この記事を読んでいただいている、我が家とは間違いなく事情が異なるであろう皆さんに、我が家の場合は本当に単なる1ケースに過ぎないということを予めごりかいしていただきたいということであります。
・家族構成:夫婦二人暮らし
・職業:二人ともフルタイムのサラリーマン
・生活様式:平日は朝から晩まで仕事。土日祝は基本的に在宅
・オール電化で給湯はエコキュート
うむ。
ざっくり書くとこれだけか……。
意外に少ない。
さすがにこれだけではあんまりなので光熱費に関係しそうな付帯情報をすこし。
・戸建てではなくマンション
・部屋は最上階の端部屋で南、西、東の三方にベランダあり。すべての部屋と風呂に窓あり。
・窓はすべてペアガラス仕様、加えて全窓にはミラー機能付きレースカーテン装着
・平日、休日問わず在宅時はほぼリビング一室で過ごし、寝室はマジで寝るだけ。
・平日はほぼシャワー、休日は夏でもほぼ湯船につかる
・7-10月、12-3月は在宅時はほぼ冷暖房をつけっぱなし。
・夏場の就寝時(24時から6時過ぎくらい)は寝室のエアコンはつけっぱなし
・テレビは朝の時間は時計代わりにつけっぱなし、夜は2時間くらい、ビデオ鑑賞などでつけっぱなし。特定の期間(ツールやジロがある時など)は2時間が4時間以上になるばあいがある
うん、かなり具体的になってきた。
コレに我が家が使っているすべての家電のメーカーと型番を挙げれば更に精度が高くなるのでしょうが、まあそこまではさすがに誰も望んでいないと思われますので割愛させてください。
我が家は関西電力系の契約メニューになります。
なので他の地域の方は同じようなメニューと名称を読み替えて比較していただければと思います。
以前は「従量電灯A」でした。
現在はオール電化に伴い「はぴeタイム」に変更しました。
価格は使用量を元に段階的な価格構成になっています。
・最低料金(最初の15kWhまで):336.15円
・15kWhを超え、120kWhまで:20.33円/1kWh
・120kWhを超え、300kWhまで:26.76円/1kWh
・300kWh超分:30.51/1kWh
この契約は時間や曜日の区別がまったくないので、例えば一ヶ月に670kWh使った場合、単純計算で電気代を導き出せます。
336.15円+(105kWh×20.33円=2134.65円)+(180kWh×26.76円=4816.8円)+(370kWh×30.51円=11288.7円)
なので、電気料金は18576.3円が基準になります(合ってるよね?)
これは曜日や時間帯ごとに細かく電気料金が分けられているメニューです。
ざっくり言うと平日の昼間(デイタイム)は従量電灯Aより単価が高く、土日祝日と夜から朝までの間は安く設定されています(リビングタイム及びナイトタイム)。
・基本料金(最初の10kWhまで):2160円
・夏季デイタイム(平日10-17時):36.30円/1kWh
・その他季デイタイム(〃):32.95円/1kWh
・リビングタイム(平日7-10、17-23時/休日7-23時):24.73円/1kWh
・ナイトタイム(23-7時):10.51円/1kWh
というわけなので、ご想像どおりはぴeタイム契約は計算が複雑です。
合計670kWh使用、その内訳が次の場合。
・デイタイム:64kWh
・リビングタイム:257kWh
・ナイトタイム:349kWh
2160円+(31.19円×64kWh=1996.16円)+(23.05円×257kWh=5923.85円)+(10.51円×349kWh=3667.99円)
合計で13,748円です。
どちらの場合も、これに「燃料費調整額」と「再生可能エネルギー発電促進賦課金」というよくわからない課金がされています。なので電気代とはこれらを含めたものになります。
「燃料費調整額」は要するに原油の仕入れ価格を消費者になすりつけるものです。飛行機の燃油サーチャージ的なイメージでしょうか。
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」というのは、ソーラー発電とかしている人(や会社)が関西電力に電気をく売っているわけですが、政策的にそれらは電力会社が高値で買い取らねばならないことになっています。
でも、電力会社は自社の役員や社員の給料を確保するために電力会社だけを使っている我々のような弱者にその分を負担させています。それがこの意味不明なタイトルの料金の正体で、こちらは使用電力量に比例して支払わねばなりません。
なのでその時々で額が違うのですが、モデルケースの670kWhの場合、だいたい2300円位プラスと考えていいかと思います。
つまり、はぴeタイムのモデルパターン670kWh使用時の電力料金は計算上の13,748円じゃなくて、ざっと16,000円に消費税が加わり、17500円くらいになります。それでも従量電灯Aよりは少し低い計算になっています。
つまり、はぴeタイム契約なら、従量電灯Aより安くなるということなのです。
上の計算に用いたはぴeタイムの670kWhの内訳は関西電力のwebサイトのモデルケースを転用したものです。
つまりこれは「関西電力的に都合のいいパターン」なのです。
身も蓋もない言い方をすると「電気代を低く見せる為にでっち上げたモデルケース」です。
「はぴeタイム」がさも「従量電灯A」より「お得」であるかを印象付けようとしている情報操作みたいなものでしょう。
少なくとも私はそう考えています。
検証のために先月(2018年6月)の電気使用量の比率を比べてみましょう。
◆関電モデルケース
デイタイム:リビングタイム:ナイトタイム ≒ 9:40:51
◆我が家の場合
デイタイム:リビングタイム:ナイトタイム ≒ 12:51:37
そうなんです、けっこう夜型の我が家ですけど、モデルケースと比べてナイトタイムの比率が低いんです。
モデルケース、ちょっとおかしいと思いませんか?
我が家もけっこう夜型のはずなのに、モデルケースの場合はどんだけ夜型なのか?
なんでリビングタイムよりナイトタイムのほうが長いのか……。
これ、本当に平均的なモデルなの??
すでに説明したとおり、「はぴeタイム」は平日の昼間は「従量電灯A」より割高になります。
それも冬季と夏季が別々の料金になっていて、電力事情が厳しくなる夏季の方が高くなっています。
これはつまり「夏季の平日は電気を使うな」と暗に脅迫しているようなものでしょう。
翻って夏季の平日の昼間に電気を使わざるを得ない人を考えてみましょう。
ええ、すぐに思いつくのがタイトルのとおり、老人です。
それもリタイア組。無職。家にいる人です。
要するに年金生活の老人家庭のライフスタイルのど真ん中がこの「デイタイム」ではないでしょうか。
つまり「毎日が日曜日」なご家庭は、「はぴeタイム」は割高プランになってしまうということです。
なにが「はっぴー」なんだか。
暮らし向きが裕福なご家庭にとってはまったく問題にならないでしょうけど、年金だけで生活している支出を押さえなければならないご家庭の場合、光熱費は大きな負担でしょう。
なので彼らはどうするか。
・できるだけエアコンは使わない → 熱中症で死亡
・外に出る → 熱中症や事故などで死亡
とまあ、どちらにしろ死亡する可能性が高まります。
「死ぬくらいならエアコン付けろや、アホか?」
なんて単純な話ではなく、気分的に「ムリ」しちゃうんですよ。
体感的にあまり暑く感じないのもお年寄り。
電力事情が悪いのなら協力しましょう、なんていう「いいお年寄り」ほど死亡率が高くなる。
これはもう、こんな電力プランを「お得」なんていって推している電力会社が老人を死に追いやっていると考えてもいいのではないでしょうか?
「お年寄りを大切に」なんて言うのであれば電力会社は「お年寄り向き平日お得プラン」を作るべきではないでしょうか。
専業主婦、それも子育て中のお母さんは平日の昼間は家にいるのではないでしょうか?
炎天下で公園? それはまあアホなのでアレですが、電気代が高いから外に出るなんていう人もいるかもしれません。
「子供は国の宝」なんていいながら、電力会社は平日の昼間の電気を高くして足を引っ張っているわけです。
「平日の昼間は子供は保育所とか託児所に集めて効率的に冷やせ。省エネとはそういうことだ」なんて考えているのでしょうね、きっと。
「エアコンの風は体に悪い」なんていう風評を信じ込んで子供と自分を殺す悲しい母親が増えないことを願います。
こうやって見ると「はぴeプラン」は共働きで昼間不在の家庭にしかメリットはないのです。
騙されてはいけません。
え?
「嫌なら従量電灯Aに変えたらいい」ですって?
悲しいかな、「お得」なんていう時間帯が設定されている限り、哀れな民衆はそういう行為をなかなか選べないのですよ。特に子育て世代は夜だってたんまり使うでしょうからはぴeタイムの方がそれでも「料金」はお得ですからね。
とまあ、こういう感じで「はぴeタイムのモデルケースは超嘘くせー」と思っている私でございます。
長い前振りですね、すみません。
いろいろ勝手な事を書いちゃいましたが、いよいよ本題です。
ガス併用の去年の従量電灯Aに比べて、オール電化+はぴeタイムにした今年、いったい光熱費はどう変化したのか?
引っ越したのはかなり前なのですが、なぜ比較は5月からなのかというと、4月までは引越し後のいろいろなイレギュラーパターンが多くて比較できない状態だったからです。
ようやく平常運転を始めたのが4月の中旬以降。ということで比較は5月分から、ということにしたいと思います。
・5月分
2017年(電気+ガス代):14313円
2018年(電気代):11931円
差額:2382円の節約
・6月分
2017年(電気+ガス代):20170円
2018年(電気代):13370円
差額:6800の節約
という感じで、今の所2ヶ月連続でオール電化の方が光熱費が安く上がっています。
だがしかし。
この時期は暖房は使わず、そしてまだエアコンの可動が殆ど無い事を考えるとまだ手放しでは喜べないのです。
問題はエアコンがフル稼働状態に入る8月と9月、そして初めて暖房を電気だけに頼ることになる12月以降でしょうね。
特にリビングで使うエアコン事情が大幅に変わりましたのでどれくらいの差になるかが不明です。
エアコンについては購入時に記事にまとめています。
具体的には去年までは大容量エアコン1台で広めの居間を冷やすという正攻法で戦っていましたが、今年は中容量のエアコンを2台使って1台ごとの能力には余裕をもたせるという戦術に変えているのです。
下手をすると電気代が二倍近くになる可能性すらあります。
といことで、次回の電気代がとっても心配な私でございました。
続く。