一粒の小麦は表皮・胚芽・胚乳の3パートでできていますが、通常の小麦粉はこのうち胚乳のみを挽いたもの。
全粒粉とは、その3つのパートをまるごと挽いた粉の事です。
果実や野菜など、だいたいのものがそうであるように実は小麦も中身より外身の方が栄養が豊富らしく、要するに普通の小麦を使うよりも全粒粉を使ったほうが栄養価の高いパンが作れるという寸法です。
ならばパンは基本的に全粒粉を使えばいいじゃん、と私などは思うのですが、これはまあ米を引き合いに出すとわかりやすいというか納得しやすいですね。
玄米の方が白米より栄養価が高いにもかかわらず、一般的に食べられているのは白米であるという理由と同じですね。
身も蓋もない言い方をすると、全粒粉でパンを作ると普通の小麦で作ったパンより「まずい」パンになってしまうからですね、ハイ。
まあ、アレです。
玄米のご飯の方が美味しいという人(私です)がいるように、全粒粉のほうが美味いという人がいても全然オッケーなのですが、圧倒的に少数派、という事実を認識すると全粒粉パンが主流になっていない現状が理解できるというわけでございますね。
マズイかウマイかはその人によって評価が分かれるわけですが、栄養価とか特徴は客観的な数値などに現れるもの。
具体的に全粒粉パンとは栄養価的にどんな特徴があるのかと言うと、
・食物繊維が豊富
・ビタミンも豊富
・カリウム、マグネシウム、リン、亜鉛、鉄、マンガンなどが豊富
・葉酸とかも豊富
他にもいろいろ。
成分とは少し違いますが、二次的な効果としては
・噛みごたえがある → 食べ過ぎないのでダイエット向き
・消化が緩やか → 腹持ちがいいのでダイエット向き
ということで、多少味が悪くても、効能?目的で食べるのはアリだよね、と思いませんか?
その味自体も、許容できるのかどうかは自分次第。
とにかく自分でパンが作れるなら作ってみないテはないでしょう?
とにかく一度作れ。話はそれからだ、というお話です。
こういうのもホームベーカリーだからこその楽しみと言うやつですね。
まずホームベーカリーで作る全粒粉パンの大前提は、100%全粒粉で作るわけではないということ。
もちろん全粒粉100%で作れるパンもありますし、町のベーカリーによっては100%を売りにしたパンがあったりもします。
ここではあくまでもホームベーカリーのレシピに沿って作るのが前提となるので、そのへんはご理解を。
具体的なレシピは次の通りで、私が使っているタイガー KBD-X100WFのレシピだと通常の強力粉と1:1、つまり全体の半分だけが全粒粉に置き換わる形です。
・全粒粉(強力粉)125g(52.5円)
・強力粉125g(77円)
・バター5g(20円)
・砂糖8g(2円)
・塩4g(2円)
・イースト3g(2円)
・水190cc(25度以下)(1円)
※砂糖以下のコストは正確ではありません。計算には入れますが、0ではないが計算できるほどでもないということで、適当に数値を入れているだけです。
というわけで、一斤あたりのコストは約150円とリーズナブル。
作ってみなければ始まらない。というか、作ってみたいパンはいろいろあるのですが、全粒粉パンとライ麦パンはその筆頭格でした。
でも、実際に作り始めたのはしばらく経ってからです。
理由は簡単。
「このまま好奇心の赴くままにパンを作っていくと、どんどん材料が増えていく」からです。
一斤分の材料を購入できる環境がない、というかコストを考えてもある程度の量を買っちゃうわけです。
250gで300円より、3kg入って1500円とかを買っちゃうわけですよ、貧乏性ですから。
でもって二人家族の我が家でその材料を消化するのにどれだけの時間がかかるのか、というお話です。
粉の鮮度が落ちるのと比例して味が低下していくでしょうし、そもそも材料の保管場所の確保もなかなか難しいのですよ。
ということで、他のパン用の材料もまだまだ多かったので、それらの消化具合を見てから、という流れでした。
でも先延ばしにしていると、今度は忘れちゃうんですよね。
そんな折、時々顔を出す近所の食材屋さんで国産の全粒粉を発見したのです。
値段を見ると結構安め。
ホームベーカリー使いの私の浅い認識では「パン用小麦粉といえば北海道」です。
岡山の小麦が果たしてパンに向いているのかどうか、そもそもこれって美味しいのかどうかなどそのへんはさっぱりわかりませんが、これもなにかの縁ですし、とりあえず8斤分はこの全粒粉で作ろうかな、と決意(大げさな)して買ってみました。
ちなみに1kgで420円税込みでございます。
材料を入れ、出来上がるまではざっと4時間程度。
結果として失敗せず普通に作れました。岡山産の全粒粉強力粉はパン用として使えるようです。
というか、偉いのはホームベーカリーか。
確かに「美味い」というパンではありませんね、全粒粉パン。
全粒粉の割合を減らすと評価は変わってくるかもしれませんが、レシピ通りの1:1で作る限りは個人的評価としては特に美味しいパンではないと思います。
なんというか、「食事」じゃなくて「食料」みたいな?
ただし、ふすま粉、大豆粉パンよりは美味しいです。
つまり何と比べて美味いか不味いかという評価になってしまいますが……。
あえて点数をつけるとすると、
フランスパン:10点(満点)
パン・ド・ミ:9点
基本の食パン:8点
米粉パン:8点
全粒粉パン:4点
ふすま粉、大豆粉パン:1点
こんな感じでしょうか。
ふすま粉、大豆粉パンの材料がなくなったら、リプレイスとしてライ麦パンに挑戦してみたいと思っています。
最後に蛇足ながら我が家のパンのローテーションについて。
・パン・ド・ミ
・フランスパン
・ふすま粉、大豆粉パン
・全粒粉パン
この4本柱に時々レーズンを入れてアクセントを加えているという感じです。
なお、美味い系(パン・ド・ミ/フランスパン)と美味しくない系(ふすま粉、大豆粉パン/全粒粉パン)は交互に食べるようにしています。
つまり月曜日にフランスパンだったら、火曜日はパン・ド・ミじゃなくて全粒粉パンかふすま粉、大豆粉パン。水曜日はパン・ド・ミかフランスパン、というように美味い系(味覚重視系)とまずい系(栄養健康考慮系)を連続させないような感じで楽しんでおります。