GX8が登場したとき、GX7の後継機を待っていユーザーの多くが口にした言葉です。
だって、
1)でかい
2)重い
3)高い
ですよ?
もはや別物。
なんというか、Panasonicのカメラ部門って「モデルとしての継続性」という概念がないんじゃないかなと思いました。
シリーズも思いつき? でどんどん増えていくし。
GX7の後に出てきたシリーズ最新のGX8はというと、スマッシュヒットを飛ばしたGX7に対するリスペクトが感じられず、重厚長大路線へ。
「しっかりしたグリップの存在で、大きめのレンズとのバランスも良く」とか、「それってGとかGH系で間に合ってます」としか思えない理由でした。
結局GX7愛好家? の声が大きかったのか、GX7 MK2が発売されたわけですが、やっつけ仕事だったためにGX7 MK2にはPanasonicの愛が感じられませんでした。
・ほとんどがGX7のキャリーオーバー。
・チルト式EVFの割愛。
・ボディマテリアルのコストダウン化。
それでも私の様なGX7に対する「フラットボディ系のコンパクトかつ高性能なボディ」というリスペクトをもっていたユーザーはGX7 MK2を購入したのです。
もちろんGX8もGX7 MK2も両方買った人も多くいたに違いありません。
良いお客さんですよね。
私は良いお客さんではなかったので、GX8はスルーを決め込み、GX7 → GX7 MK2と言う感じであくまでも「GX7こそ正儀」路線を貫いていたわけです。
で、そのGX8は結局放置され、GX系の新機種として発売されたのは、GX7 MK3でした。
本来、GX7 MK3こそがGX7の後継機なのでしょう。
GX7 MK2はそれこそ「ツナギ」モデル。
私はそんな感じに捉えております。
実際問題としてGX7 MK2はいいカメラでした。
いや、「です」です。渡井的には現在進行形ですし。
って、MK3はまだ発売されてませんしね(この文章は2018年3月8日に書いております)。
文句を言いつつも、付き合って見ると予想以上に良い子なんですよね、GX7。
「絶対にチルト式のEVFがないとヤだ」という人以外はMK2で一定の満足を得られたはずです。
高機能だし多機能だし。
ま、文字通り正常進化したMK3はそのうち買いますけどね。
というわけで前振りが長くなりましたが、そんなGX8を今さらつ買って見た感想を書いちゃいますよ。
なんというか、一言で表すなら
「これはこれでいいカメラ」
です。
確かにでかいし、重いんですが、GX7をメートル原器として比較してしまうからそう思うのであって、デカさと重さを覚悟して使う分には「これはこれでアリじゃないかな」と思いました。
バリアングル……については書いちゃイカンのでしたね、ハイ。
ま、バリアングルディスプレイを除けば、それぞれの機能がGX7を上回っているボディですから「いいカメラ」なのは間違いありません。
なにより発売から2年以上経って、「高すぎる」と思った価格が「安い!」に変化していますから、でかくて重い点を理解した上でかうのであれば「なぜみんな買わないのか?」と言ってもいいレベルのカメラです。
ちなみにレンズキットを買いました。
ええ、14-140mmの高倍率ズーム付きのキットです。
なにせGX8のレンズキットの価格がGX7 MK3のボディの価格より安かったんで、つい。(・∀・)
GX8発売時の半額ですよ。
要するに「GX8は売れなかった」んですね。
答えは出ている感じです。
しっかりしたグリップ系が欲しい層はG/GH系を選ぶんですよ。
Panasonicもようやくその辺りが吹っ切れたのか、フラットボディのGX系はGX7のサイズを基準として、もっとガッツリとした撮影をしたいユーザー向けにはG9を用意したのだと思います。
そう考えると、フラットボディタイプのGX8のようなカメラは、もう出てこないタイプのカメラなんじゃないかと思います。
そう、贅沢なカメラなんですよ、GX8は。
発売時期の問題で、最新技術の差はありますが、今でも基礎体力としてはフラグシップの一角に加わっていると思います。
センサーはμ4/3では最高画素組ですし、EVFなんてμ4/3陣営では未だにトップクオリティでしょう。ボディ内補正機能も搭載されていますし、レンズ側の手振れ補正機能と連携する機能もちゃんとあります。
しかもPanasonicの場合、OLYMPUSと違って手振れ補正機能が搭載されたレンズが多いので、E-M1 M2やPEN-FよりGX8の方がよほど「ハイブリッド手振れ補正」機能の恩恵に与れますからね。
というか、OLYMPUSで連係手振れ補正機能が働くのは、高額なブルジョワレンズのみなのに対して、Panasonicなんてキットレンズでもレンズ側に手振れ補正機能がついてますから、圧倒的に庶民派です。庶民派万歳!(・∀・)
実際の使い心地も、PEN-Fより上じゃないかと思える程です。
ツナギで買ったカメラなのにPEN-Fより使いやすいってどうよ? という気にさせるほど。
EVFは実にハイクオリティで、PEN-Fよりどう見ても上です。
スペック上、新しいGX7 MK2より手振れ補正効果が低いと思われているGX8ですが、私が2台で比較した限りではGX7 MK2に比べても遜色がないどころか、大きめ、重めのレンズを使う場合はGX8の方が明らかに歩留まりがいいんです。
ええ、ボディを保持しやすいからです。
もっと言えばグリップの恩恵です。
まあ、身も蓋もないいい方をするならば「ヤボったいけど仕事はできる」っていうタイプですね、GX8は。
ま、名前もかっこよくないですよね、8とか。7の方がシュッとしているイメージ。
ほぼfirst impressionという感じなのであまり深掘りは出来ていない状態ですが、それでも最初に「おおっ」と思ったのは、シャッターのフィーリング。
音はPEN-Fと同じくらいの大きさなのですが、掌にほとんどショックらしいショックが伝わらないんです。
まさか、と思ってチェックしたんですが、デフォルト状態では電子シャッターにもなっていないし、電子シャッターを使った上で録音されたシャッター音をスピーカーから流しているわけでもありませんでした。
キレがいいという表現とはまた違って、なんというか上等なフォーカルプレーンシャッターユニットを使っているような感じです。チューニングが絶妙な機械を使う快感的なものを感じました。
たぶん、ですがPEN-Fよりダンピングが上手なのでしょうね。ボディが重い事も当然ながら影響しているのかもしれません。GX7 MK2と比べてもノーショックシャッターという感じで「上位機種ですから」と言われると「さすがですね」と素直に答えてしまうようなフィーリングでした。
それから、グリップの存在はやっぱりホールディングという面からはポジティブな印象しかないですね。
キットレンズの14-140mmをつけた際に持ちやすい事は言うまでもありませんが、LEICA DG15mm f1.7などの小型軽量レンズを装着した際も非常にしっくりきます。
というか、グリップのせいじゃないのでしょうが、レンズ込みでホールドする際に重さが全く気になりません。むしろGX7 MK2より軽やかに感じるくらいです。
保持力の分散は使用中に負担と感じる重さをも分散させるようです。
加えてLUMIX史上最良ではないかと思えるEVFがついてます。
つまり……あれほど毛嫌いしていた「でかくて重い」GX8ですが、使ってみると評価は一変。
「何これ、超いい感じじゃん」的な?
オマケに私をダメにするのが、キットレンズの14-140mm。
135判フルフレーム換算で28mm~280mm相当の画角をカバーする高倍率ズームなのにも関わらず、4/3フォーマットの利点を最大限に活かして小型・軽量に仕上がってますし、何より高倍率ズームとは思えないほど写りがいいとくるんですから、「旅行用カメラは、もうGX8と14-140mmつけっぱなしでいいや。あとTG-5があれば他に何もいらないや」と真剣に決心してしまうほどです。
ヤバい。
PEN-Fとかどうでもよくなってきた。(・∀・)