ええ、今だから。むしろ今だからこそこのレンズを再評価したいんです。
ということで、
「新型が出た今だからこそ、旧型を見直そうじゃないか」シリーズ第二弾。
FUJIFILMのXマウント用レンズの中で、私が一番気に入っているレンズが実はコレだから。
X-E3が発売されたから、というか私がX-E3のしかもシルバーモデルを手に入れたからこそ再評価すべきだと思い立ちました。
だって手持ちのXC16-50がシルバーだし。(・∀・)
今までX-T10のシルバーにつけていたのですが、これからはX-E3にもつけて、ガンガン使おう、という意気込み表明を兼ねております。
そうなんです。ブラックではなく私がシルバーのX-E3をチョイスしたのは手持ちのXC16-50mmがシルバーだったからというのも大きな理由です。あと、50-230mmもシルバーですしね。
FUJIFILMのXマウント用の標準ズームレンズは大きく分けて3つあります。
まあ、松・竹・梅のランクというわけです。
「松」は、XF16-55mmF2.8 R LM WR
「竹」は、XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS
そして我らが(?)XC16-50mmF3.5-5.6 OIS Ⅱは「梅」というわけですね。
松竹梅の順番がわからないなんて人はいないと思いますが、よりわかりやすい用にうな重に例えるなら、
「特重」が、XF16-55mmF2.8 R LM WR
「上」が、XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS
「並」が、XC16-50mmF3.5-5.6 OIS Ⅱということです。
そう、つまり我らが? XC16-50mmF3.5-5.6 OIS Ⅱはもっとも下、貴族、市民、下民という階級社会であるなら、まさにその存在は下民。
だいたい、名称があからさまに貴族様や市民様と違います。
彼ら市民権(え?)を有している者達の称号は「XF」。下民は「XC」です。
因みにXFのFはFineのFですが、XCのCは「citizen」のCではなく「cheap」のCです。
メーカーは名前で既にレンズの階級を分けているのです。
なんということでしょうか!
「キットレンズについてるからCじゃないの?」
「え?」
「citto」
「それチットだから。キットレンズのキットはKだから」
「ああ、KITTか」
「それはナイト2000。カメラじゃなくてクルマ」
という意味不明なコントはおいといて、私は敢えて言いたい。
XCのCはcheapのCではなく、Congratulationsのcである、と。
なぜなら、このXC16-50mmF3.5-5.6 OIS Ⅱというレンズが素晴らしいレンズだから。
それを安く手に入れられる事が「おめでたい」ことでなくて何がおめでたいというのか。
貴族と市民はXFを買えば良かろう。だが下民である我々は胸を張ってXCを使おうではないか。それは貴族や市民を気取っている輩には到底理解できないであろう「賢者の選択」でもあるのだ、と。
解説しましょう。
まずは「松」、すなわち貴族向けのXF16-55mmF2.8 R LM WR。
名称からわかるように、こいつはF2.8通しの高級レンズです。絞りリングがあり、防滴レンズでもある。LMという見慣れない記号は、レンズを駆動するのにわざわざリニアモーターを使っている事を表しています。
つまりこのレンズ、重厚長大。スペック至上主義者用に用意された「金持ちホイホイ」と言うべきもの。
しかしてその実態はお寒い限りなんです。
まず、このご時世において手振れ補正機能が無い。
そして最短撮影距離が広角端で30cmもある。
72mmのフィルター径、650gを越えるメタボっぷりです。
次に「竹」、市民層のXF18-55mmF2.8-4 R LM OIS。
コイツは小賢しくもOIS、つまり手振れ補正機能は搭載しているものの、画角が狭い。135mm換算で24mmスタートの我らがXC16-50にはスペック上、逆立ちしても敵わない宿命を背負っています。
もはや性能でも不戦勝。
なぜなら望遠端の5mmや10mmなどの差はトリミングでどうとでもなるが、広角側は例え1mmでも広げようにも広げられないからです。
あまつさえ最短撮影距離が「松」と同等のワイド端30cm。
これではいくらフィルター径が58mmになり、重さが「松」の半分以下の310gにダイエットしたとしても「お呼びじゃない」というしかないでしょう。
F値も中途半端な2.8-4.0
そして我らがXC16-50mmF3.5-5.6 OIS Ⅱ。
広角端は「松」と同等。
(XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZはさらに1mm短い、23mmスタート!)
しかし「松」にはないOIS、すなわち手振れ補正が備わっています。
(XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZにも当然備わっています)
しかも最短撮影距離は広角端で15cm! 望遠端でも35cmまで寄れます(貴族と市民は共に40cm)。
(XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZの最短撮影距離は広角端で13cm。望遠端は同じ35cm)
フィルター径は市民と同じ58mmで常識の範囲に収まっており、重さについては200gを軽く切る195g。
(XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZのフィルター径はあ52mm。重さはなんと135g)
なのに全てのレンズがガラス製と来た!
(XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZはたぶんプラレンズを使用)
出てくる画像より、マウントやレンズのマテリアルの方が気になる神経質な方も、これで納得でしょう。
さらに言えば!
名称の最後にあるⅡというローマ数字が表すように、このレンズとしては世代代わりしたモデル。すなわち改良版。
まだ子孫を残せていない貴族や市民より未来へ一歩を踏み出していると言えるでしょう。
そんなXC16-50mmF3.5-5.6 OIS Ⅱを使う事ができる我々はまさに「幸いなるかな!」
XCのCはおめでとうの「C」である、としか言いようがありませんね。
多少のF値の差など、宇宙の神秘に比べれば目くそ鼻くそ程度の差。
この手の標準ズームに必要なのは明るくて大きく重いレンズではなく、多少暗くても気軽に持ち出せる小型軽量のレンズではないでしょうか?
その点、小型軽量を果たしたX-E3にこのXC16-50mmF3.5-5.6 OIS Ⅱを装着すると、まさに「これって中味スカスカなんじゃ?」的な不安すら覚えるほど。
あっても無くても大した問題ではない防塵防滴とか(だって世の中のほとんどのレンズが防塵防滴ではないじゃないですか)、実際問題としてなんの意味があるのかわからないリニアモーター駆動(だって時代はもはや遅くてトルク不足のリニアモーターじゃなくて、ステッピングモーターですからね)も省いて得た軽さという物理的な数字こそが我々ユーザーにとっての正儀ではないでしょうか。
そしてその実力はというと「中味スカスカ」どころか、みっちりビッチリと詰まっていて、思わず「よく写るなあ」とニンマリしてしまうこと請け合いです。
だって「レンズのちょっとした明るさ」を供物として悪魔に捧げることで、FUJIFILMが手にした「超お買い得レンズ」。それがXC16-50mmF3.5-5.6 OIS Ⅱなのですから。
ということで、いつものところでまずは歪曲チェック。
逆光耐性もそれなりにあります。
OISは実によく効きます。
ボケボケの写真が撮りたい向きにはおすすめしませんが、身の回りのほとんどがこれ1本で楽しめるのですから、私は文句ありません。
なお、念の為に書いておきますと、私は「松」も「竹」を所有して使用しておりましたが、結局手元に残した標準ズームはXCのみ。
理由は既に書いた通り、一番使いやすいから。重かったり大きかったり、手振れ補正機能がなかったり寄れなかったり、広角端で今時28mmスタートだったりするレンズは私にとってはもはや「使えないヤツ」なのです。
一応、メーカーの公式宣伝文句をコピーしておきます。
XC16-50mmF3.5-5.6 OIS Ⅱは、3枚の非球面レンズと1枚のEDレンズを含む10群12枚のオールガラス製レンズです。7枚円形絞り羽根を採用し、1/3ステップ(全17段)での細かな露出コントロールも可能です。フォーカスレンズの軽量化と高精度モーターの採用により高速かつ静かなAFを実現。また、最短撮影距離15cm(レンズ端約7cm)マクロ撮影を可能にしました。光学式手ブレ補正機能を搭載し、静止画、動画ともに手持ち撮影時の手ブレを抑えます。
XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZがベストなんじゃ……!
というか、気になる!
使った事がないから写りがどうとか言えないけど!