さて前回「その1」を読んでツッコミを入れたいな、と思っている方々には悪いのですが……。
先に自分でツッコミを入れておく事にします。
「上に向かってすぼまっている」X100Tまでのカメラのデザインをディスった私ですが、X100Fがまともになったのは平面的な意味において、のみです。
これについては「騙された」感がちょっとだけあります。
平面というか、正面及び裏面から見た場合に限って直線化工事が行われたという感じでしょうか。
すなわち、横から見るとまだテーパーが残ってるんですよね。
ほれ。
なので許容範囲にはいったというだけで、まだ私が理想とするディテールに100%到達したわけではありません。
なんでもっとこう、LEICAみたいにスッと素直に柱状にしないのかなあ。下手な傾斜はいらんのですよ。
なぜ傾斜させているのか意味不明ですが、部材の作成上、制約があるのでしょうかね? もしくは上から天面を見たときに少しでも小さく感じさせる為?
女性に受け入れられるように柔らかい雰囲気にする為に傾斜を付けているのかもしれませんが、断固反対します。
ということで、引き続きX100Fの機能についてツッコミを入れていくことにします。
このダイヤルを露出補正ダイヤルとして使う人は普通に使えばいいかと思います。
私はいちいちこのダイヤルをつまんで変更するのは面倒なのでコマンドダイヤルで露出補正を行いたいタイプです。
おそらく多くのカメラ、ミドルレンジからハイエンドのシステムカメラ(一眼レフやMILCS(Mirrorless Interchangeable Lens Camera System) )を使っている人はアタリマエのようにコマンドダイヤルで露出補正をしていると思いますし、その方法が合理的だと思います。
でも敢えてこのダイヤルを使って露出補正したい、という人がいてもそれはそれでいいと思います。±3程度あれば多くの場合はカバーできますしね。
まあ、私はまっぴらゴメンですが。
つまり私にとってこの露出補正ダイヤルはCに一度入れたら金輪際動かす事のないダイヤルだという事が言えます。X100Fの飾りみたいなものですね。
因みにX100Fの場合、このCポジションに合わせるとフロントのコマンドダイヤルが露出補正ダイヤルとして機能するようになります。
露出補正ダイヤルをcポジションにする事によって自動的に露出補正ダイヤルになります。
なお、このダイヤルは押下可能。つまり押し込めばプッシュボタンとなって(設定によっては)機能の切替に使えます。
まさに待望、なのですが、実は手放しに喜べません。
喜んではいるんです。でも仕上がりが「もう一つ」という感じ。
もっともこれはX-E3でもX-Pro2でも同じ事がいえるのでX100Fに限った話ではないんです。
それは「操作感が悪い」んです。
まず指掛かりがイマイチ。その上でちょっと強めに操作するとヘタに押下できるボタン機能を盛り込んでいるのがアダになってボタンをプッシュしちゃう。
で、プッシュしたまま回す感じでグニュッとした感覚がどうにもキモチワルイというかすっきりしません。
FUJIFILMはこのあたりの官能評価をもっと追い込んで欲しいと思います。
なので「フロントコマンドダイヤルのフィーリングが悪いから、仕方なく露出補正ダイヤルの方を使っちゃう」って言う人が居ると思います。
というか、それが狙いか、FUJIFILM。(・∀・)
X100FからISO設定も物理ダイヤルで行うようになりました。
フィルム時代への逆行が加速しておりますね。
デジタルカメラしか知らない人には新鮮なのかもしれませんがフィルムカメラ時代からのカメラユーザーにとっては「見慣れた」いや、「見飽きた」ロジックでちょっとうんざりです。
「懐かしい」「カメラらしい」なんて思う人もいると思われます。というかFUJIFILMはそう思って敢えて装備したのでしょうね。
私に言わせればクルマのサイドウインドウを開け閉めするのに手回しレギュレーターを取り付けたようで「勘弁して欲しい」って感じなんですけど。
なお、見えている「A」がISOオート。
私はISOオートを上限12800にしています。
ええ、これが常用です。ISO12800、X100Fの画質なら全然オッケーですから。
その上でシャッタースピードの下限を1/125にして手振れ対策としています。
細かい事を言えばISO6400を越えると色のバランスが崩れはじめる感じがするので手振れ補正機能がついてさえいれば上限はISO6400にするところですが、12800はそれでも許容範囲です。もちろんこの辺は「人に依る」し「用途にも依る」のでお好みで。
因みにこのISO上限、標準ISO、下限シャッタースピードのセットは3セット登録しておくことが可能です。
そのうちどのセットをこの「A」に割り当てるか、というのはメニューから決定します。
私はこのカメラの用途を考えるとセットを変更する事はなさそうです。
これはX-E3のレビューでもさんざん書きましたが、「まさにこれからの標準インターフェイス」と言っていいと思います。
FUJIFILMはX-Pro2からこっち、新しい上位機種に搭載しているこの機能ですが、唯一X-T20では搭載を見送りました。X-T20にまで搭載しちゃうと上位機種のX-T2が売れなくなるからと考えたのかどうかはわかりませんが、まあ、普通X-T20で充分ですよね。
X-T1より大幅に大きく重くなってしまったX-T2を敢えて買う人は見栄をのぞくと望遠系のレンズを多用する本気のカメラマンくらいでしょう。
その本気のカメラマンのほとんどはNikonとCanonの135フルフレーム一眼レフをかうでしょうから、APS-CのFUJIFILM Xマウントをチョイスするのは一部のへそ曲がりと信者のみ。となるとX-T2は数がでなくて次期モデルが怪しくなる。ここは一つ下位機種にはあからさまに足りない機能を設定する事によって相対的にX-T2の価値を上げようと考えたのかどうかはわかりませんが、X-T20が発表されたとき、私は心からガッカリしたものでした。
いや、X-T20の話はいいんです。
X100の新機種であるFにはご覧の通りフォーカスレバーがちゃんと搭載されてきました。
正常進化であり、営業半段による小賢しい横槍なども無縁の独立系プロダクトならではとも言えますね。
もっともセンサーを新しいものにしただけではFとしても売りに乏しいでしょうから是非とも搭載したかった機能に違いありません。むしろこのフォーカスレバーを搭載しなかったら、X100FはX100でもっとも売れないモデルになっていたに違いありません。ええ、断言してもいいと思います。
使い勝手はX-Pro2やX-E3と全く同じ。なんでこんな便利なモノをもっと早くに搭載してくれなかったのかと恨みごとを言いたくなるレベルです。
X-E3のタッチパネルの出来映えを見るとX100Fでタッチパネル搭載を見送ったのは英断だったと思います。でもフォーカスレバーの使い勝手の良さがあればタッチパネルを見送ったことによるネガティブは全く無いと思います。
次期モデルではいよいよタッチパネルを搭載してくるでしょうが、それまでに他機種でせいぜい研鑽を積んでより完成されたものを搭載して欲しいと思います。
従来モデルからX100Fに変わって改善された項目は多岐にわたりますが、このフォーカスレバーの能力を最大限に引き出す為にアップデートされた機能があります。
言い換えますと、X100Tにこのフォーカスレバーを搭載した場合、別の不満が出るに違いない、というポイントです。
それはフォーカスポイントの数です。
X-E3を触った後でX-E2を手に取ると実感するのですが、第二世代のセンサを使ったモデル群のフォーカスポイントが粗すぎるんですよね。
せっかくフォーカスレバーでポイント選びがぐんと快適になったのに、選べるのはまばらなポイントのみ。マーフィーの法則により「欲しいところにフォーカスポイントがない
なんて事になるわけです。
そんな時、手持ちだと少しずらして撮るだけで済みますが、三脚に据えてのマクロ撮影なんかだとホビロン!と叫びたくなるところですよね。
で、知った顔をした自称ハイアマとかベテランの人達はこう言うんです「AFに頼ってないでマニュアルフォーカスをすればいいのだ」と。
もちろんマニュアルフォーカスが悪いわけではないのですが、せっかく「使える」AFという超便利なテクノロジーを享受できる状態にあるのに、そもそもそれを放棄する事が前提なんておかしすぎます。
というか、FUJIFILMの第二世代のAFポイントが前時代的過ぎたのでいまだに「マニュアルフォーカスで〜」なんてしたり顔で言う人が後を絶たないのです。そういう老害を黙らせる為にも、第三世代で搭載されたAFポイント増強策は有効だと言えるでしょう。
そう。
「かなりまし」になりました。
まあ、画面のフチあたりにはAFポイントは置けない等のネガはそのままなので、総合的には7年前のパナソニックレベルですがね。
というわけで敢えて言いましょう。
フォーカスレバーの快適さを享受しないなんてもったいない、と。
X100Tまでのユーザーで、X100を愛して止まない人は是非X100Fを買うべきだと私は思います。
X100Fに比べたらTまでのX100はウンコだ! とはいいませんが、X100Fはもっとも「こうなりたかったX100」に近づいたX100だと思います。