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★FUJIFILM XF23mmF2 R WR レビュー

現時点で3本でているFUJIFILMのF2ラインの広角担当のレンズです。 135判換算でざっくり35mm相当。 このF2ラインはさしずめフィルム時代に置けるF1.8/F2.8シリーズの立ち位置にあるレンズというころでしょうか。 要するに「お買い得ライン」です。

◆XF23mmF2 R RWというレンズの概略

もっともF1.4ラインなどと比較して金額的に安価であるというだけであって、FUJIFILMもユーザーもそもそも「廉価版」とは捉えていないとは思います。
だって、全然「廉価」じゃないし(個人の感想です)。

それよりもこのF2ライン、値段の差で選ぶのではなく、その小型軽量(あと防塵防滴仕様)という機能性で選ぶべき、というか積極的に選ばれるレンズだと考えています。
当然ながら機能だけであって良いはずもなく、そこには「描写力」も求められます。
ちゃんと写って欲しいですもんね。

重厚長大になりがちなXマウントシステムを使っていた私は、このレンズが発表された時に膝を打ったものです。
「待ってました。Xマウントにもこういうレンズが欲しかったんだよ」
ってな感じです。
それまでもXマウントには小型軽量のパンケーキレンズや準パンケーキレンズがありましたし、XF35mmF1.4 Rなんかは充分小型軽量だと思いますが、それらと違うのはこのF2ラインのレンズ群(って3本ですが)は一つの明確なコンセプト、すなわち同じ設計言語で作られたものなのです。
F2ラインを見ると、それまでのXマウントのレンズは一本一本独立したコンセプトや言語体系で作られていたような気がします。
それくらいF2ラインは統率? がとれたレンズだと思うのです。

そのコンセプトとは?
・小型
・軽量
・防塵防滴
・パーツ共用によるコストダウン(この場合は売価を抑えたい、買ってもらいやすくしたいというユーザー寄りの意味だと捉えて下さいませ)
・OVF系カメラ(って、X-Pro2だけですが)フレンドリーなデザイン手法
という感じでしょうか。

昔と違って設計のAI化やレンズの素材(硝材)の進化もあって、同じ描写力をより小型で軽量にできるようになっていると思います。構造的な問題(テレセントリック性が求められる)でデジタル時代のレンズはフィルム時代に比べて大型化が避けられない状況でしたが、(F値を)無理しなければいいレンズが作れる環境にはあったのだと思います。
私なんかもそうですが、いいレンズが欲しいので、レンズはF1.2とかF1.4など、できるだけ明るくないと評価しないとか、その上で開放から収差の少ないレンズを要望します。メーカーからしたら「無茶言うな!」的な無理ゲーを強要されているようなものです。
「んな化けもん作っても高くて売れるか!」という感じでオリンパスなどはセンサをハーフ版にする事でシステム全体のボリュームを下げる手法に打って出ました。
個人的にはとても応援してます、μ4/3勢。私のメインシステムでもありますしね。
で、まあそのオリンパス/Panasonic連合軍が出すレンズなのですが、F1.2とかF1.4なんていう大口径レンズは結局フィルム時代の135判のそれよりも大きくなってしまいました。
というか、ハーフサイズのセンサですらそれなのですから、APS-Cや135フルフレーム用で、μ4/3勢なみの描写力を得ようとするとどんだけ巨大なレンズになるのか、というお話です。

なんでもかんでも画質命の人はともかく、私をはじめとする多くのμ4/3支持者は「そんな事より軽薄短小な、それでもちゃんと写るレンズを!」と要求していった結果、μ4/3にはいわゆるカジュアル系の単焦点レンズがけっこう豊富になってきました。
「こんなにちっちゃくて軽いのに、めっちゃよく写るね」的なレンズがけっこうあって、ことシステムカメラを楽しむことに於いて、μ4/3システムはミルクス(MILCS=Mirrorless Interchangeable Lens Camera System)勢では一頭地を抜いている状況だと思っています。

「別にF1.4じゃなくてもいいんで、安くていいレンズつくってくれんかね?」
って思っている他マウントユーザーは多いはず。
メーカーも機材マニアやハイアマやセミプロ(あ、プロもか)のような、固定層しか買ってくれない(だから数が出ない=高くなる)F1.4のような明るいレンズだけじゃなくて、「普通の人にもキットズームだけじゃなくて、もっと写真を、カメラを楽しんで欲しい」って思っているはずです。じゃないと「もうカメラはスマートフォンでオッケー」っていう風潮が蔓延しちゃいますからね(いや、もう蔓延してますけど)。

かくてオリンパスやPanasonicを見て「ちょっと暗くても小型軽量で写りがしっかりしていると支持される」と考えたFUJIFILMは「うちもレンズラインナップは一通り揃ったし、普及版レンズに力を入れていこうぜ」となったわけです。

いや、知らんけど。(・∀・)
以上、私の勝手な妄想ストーリーでございました。

まあ、そういうわけで「Xマウントは基本的に高いレンズばっかり」というイメージだったFUJIFILMが、普及版として市場に投入したのがF2ライン。
FUJIFILMがμ4/3勢と違うのは「普及ライン」というには相当に高品質なモノになっている事でしょうか。なので「普及」というにはちょっと値段が高いままなのがマイナス点ですが。
オリンパスとか、普及レンズはあからさまに「ぷらっちっく」感が漂ってますからね。
でもFUJIFILMはそれをよしとしなかった。結果としてオリンパスの普及レンズの2倍くらいの値段になってしまったわけです。

ま、そのおかげで「所有する喜び」的な趣味には一定必要な要素がきちんと織り込まれたレンズになっています。
値段が多少高いのは「買う」という行為自体にも楽しみがあるというか、ちょっとハードルが存在する値段なので、購入という行為自体にも達成感がある感じとプラスに捉えてみてもいいかもしれません。
10万円クラスのレンズになると「高嶺の花感」があってチャレンジも面倒くさくなってきますが、その半額以下で気になるレンズが買えるとなると「よーし、ちょっと節約して貯金しよっかな」なんておもうオトウサンもけっこうでてくるはず。もしくは「コレくらいならボーナスが出たら自分へのご褒美にしてもいいかな」という感じ?

このクオリティでもっとやすければそりゃあ言うことないんですけど。

というわけでXF23mmF2 R WRというレンズをまとめると、こんな感じでしょうか。

・ちょっと高いけど、手が届かないほどではない値段(実売は5万円以下)
・F1.4とは比べられないけど、考えてみるとF2ってそこそこ明るいんだぜ(フィルム時代の普及版広角レンズはF2.8だった)
・でもハイクオリティな作りだぜ(フルメタル)

◆XF23mmF2 R WRを読み解く

・Xとは、FUJIFILMのXマウント対応レンズであるという意味。
・Fは、Fineの略かな? 自社レンズでも描写にこだわったラインのレンズです、という意味じゃないかと。メーカーってこういう自陣内での上下関係を作るのが好きだよね。
・23mmとは実焦点距離(画角は135判換算で約35mm相当)
・F2は開放F値
・Rは「絞り輪」付きレンズという意味。輪=RingのR。
・WRはWaterResistの略でしょうね。防塵防滴仕様

◆XF23mmF2 R WRに(私が)期待する事

これは「なぜ欲しかったのか? なぜ買ったのか? という理由ですかね。
まあ「なぜ買ったのか?」の答えは「欲しかったから」なんですが。

欲しくなった理由はいくつかあります。
1)実用になる小型軽量なレンズが好きだから
じゃないとおっくうになって持ち出さなくなるんです、私の場合。
今考えると、よくフルフレームセンサーの一眼レフにF2.8通しの広角・標準・望遠ズーム3本カメラバッグに詰めて撮影に出たりしてたなーって思います。もう二度とゴメンです。(´д`)
2)ステップモーター採用ということで、AFの速さが期待できた
FUJIFILMのレンズって、AF遅いし迷うのが多いのでこれは朗報でしょう、と。
3)防塵防滴である
防塵防滴でないよりあった方がいいに決まってますからね。
4)付属するフードが花形フードではなく、小型軽量である
これ重要。私は花形フードが大っ嫌いなんですよ。かさばるから。

それから実はこれが一番の理由。
X100系のボディに埋め込まれている、23mmF2レンズとの違いが知りたい

X100系にくっついているFixedレンズと数値上のスペックはまったく同じ(レンズ構成は全く違いますが)。
そりゃあ違いが気になりますよね。
特に私の様なX100のレンズに対してライトなアンチにとって「どう違うのか」は死活問題です(え?)。

というわけで、いつものところでさっそくチェックしてみました。
実はこのレンズ、キットレンズとして購入したので、ボディはキットの相手、X-E3です。

まずは歪曲チェック。

XF23mmF2 R WR

 

続いて遠景の描写というか、解像感のチェック。
例題というか、全体像はこんな感じ。

XF23mmF2 R WR F2.0

 

以下はその中心部を切り出してF2.0(開放)、F2.8、F4.0、F5.6で比較しました。

XF23mmF2 R WR F2.0

 

XF23mmF2 R WR F2.8

 

XF23mmF2 R WR F4.0

 

XF23mmF2 R WR F5.6

どうでしょう?
F2.0の開放でもすでにビシっと芯のある描写をしてます。
これにはびっくりというか、こんなテストをしなくても、撮りだしてすぐにX100系のヌルいレンズとは全く違うキャラクターを持っている事がわかります。
ボンクラな私ですらすぐに違いがわかるほどですから、こと開放付近での差は相当大きいと思われます。

逆光耐性も充分以上じゃないでしょうか。

XF23mmF2 R WR

空の色。

手すりの向こうに伸びるのは烏丸通。

XF23mmF2 R WR

◆XF23mmF2 R WRのおすすめ度

個人的には「このレンズは素晴らしい」と思いました。
XF100系で不満だった点がこのレンズにはありません。安心して開放からガンガン使っていけるレンズだと思います。
X-E3との組み合わせではAFもまったくストレスがありませんし、X100のように「AF詐欺(合焦合図が出てるのに撮ってみるとピントがあってないという案件。なお、X100系的には日常茶飯時)」も発生しません。
フードも個人的に支持しているフジツボ型が付属しますし、135判換算で35mm相当の単焦点レンズが欲しいと思っているXマウントユーザーはこのレンズを買わない理由は存在しないよ、と言い切っちゃいましょう。
同じXF23mmにはF1.4がありますが、悪い事はいいません、F1.4の開放F値がないと死んでしまう人以外、あんなのやめといた方がいいです。でかい、重い、フードがかさばる、あと、寄れないし値段が高い。
「やっぱり比べると上級のレンズは描写が違う」なんてわかったような事をいって見栄を張りたい人だけ買えばいいんじゃないかな。見栄を張りたいわけじゃなくて撮影を楽しみたいのなら断然このレンズでしょう。
少なくとも私は、F1.4を売り払ってこのレンズをお待ちしていた甲斐があったとしみじみ思っております。

Natsumi Amagase

【文書作成の以来、歓迎です】 口は悪いが愛はある? モノ好き(「物好き」ではない)のフツーのサラリーマン。 主にデジタルガジェット、時たま家電ネタが中心です。最近はややもすると自転車ネタに流れる場合も。 お問合せ先:natsumi%mono-ludens.com ※%を@に変えて送付してください

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